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四国お遍路 19日目(11月16日)

岩本寺宿坊 7:40 ~ 土佐西南大規模公園佐賀地区西公園 14:25
移動距離 : 22.7キロ
参拝札所 : 無し
宿泊 : 土佐西南大規模公園佐賀地区 テント泊 (トイレ、水場あり、目立たない場所にテント設営)
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足に激痛そして初のテント泊


岩本寺の山門を出る

宿坊なので朝6時からのお勤めに参加する。
本物の般若心経を聞いて真似しようと思ったが、音程が高すぎて無理だった。

団体さんのトイレタイムが終わるのを待っていたものだから、宿を出たときは午前7時40分を過ぎていた。
岩本寺から次の札所の金剛福寺がある足摺岬までは80キロもある。
そこを3日間かけて歩く予定である。

霧が出ていて幻想的な風景の中を歩いていく。
その先、片坂峠の市野瀬遍路道では、険しい山道の峠越えを覚悟していた。

しかし、道は険しいけれど、その殆どは下り坂だったので、標高差180mを大して苦労せずに降りてこられた。


次第に朝靄が晴れて陽が射してくる



現場事務所のトイレでかみさんが救われた

降りてきたところの工事現場事務所が休憩所として使えるようにしてくれていたので、そこで一休みする。
再びトイレ危機に見舞われていたかみさんは、ここのトイレで救われた。
女性にとってトイレ問題は、一番重要なことなのかもしれない。
宿坊で一緒だった男性が追い付いてきたのと入れ替わりで私たちは出発。

今日から履いている5本指靴下は今のところ良い感じである。
昨日までは、メッシュの靴下と登山用の厚手の靴下を重ね履きしていた。
それを新しい5本指靴下との重ね履きにすると足が窮屈になりそうなので、今日は5本指靴下一枚で歩いているのだ。

そこから5キロほど先の土佐佐賀温泉こぶしの里の遍路小屋で2度目の休憩。
そこからは伊与木川沿いの遍路道を歩いていく。


遍路道の隣を電車が通り過ぎる

土佐くろしお鉄道の線路も併走していて、そこを時々電車が通過する。
なかなか楽しい道なのだけれど、足が痛くてあまり余裕が無い。

私が休めそうな場所を探している間にも、かみさんはどんどん先へと行ってしまう。
そんなかみさんに次第に腹が立ってくる。
やっとベンチを見つけて、そこにへたり込む。
昼が近いので私はパンを食べるが、かみさんは立ったままで休もうともしない。

一緒に歩き続けていると、二人の間にこうして不協和音が生じることが時々ある。
特に疲れている時にそれが生じやすいのだ。


気持ちの良い道だが楽しむ余裕が無い

その先、殆ど会話も交わさずに歩き続ける。
遍路道は国道から離れて山道へと入るが、急な上り下りは無い。

この遍路道を歩いていくと、自然石とレンガで作られた熊井隧道が現れる。
明治38年に建設され土木遺産にも指定されている隧道で、なかなか良い雰囲気だ。

近くには土佐くろしお鉄道のトンネルもあり、そこから電車が出てくる様子を見たかったが、そんなに良いタイミングでは電車は通ってくれない。

再び国道まで出てきたところで、左足の甲が突然激しく痛み出した。
足を引きずりながらでないと歩けない。


熊井隧道を歩く


その先のローソンの前にベンチが置かれていて助かった。
そこに座って足をマッサージして、何とか歩けるようになった。

今日はこの先の土佐西南大規模公園でテント泊を予定していた。
遍路で歩き始めてから今日で19日目、まだ一度もテントを張っていないのである。
2キロの余計な重りをただ背負って歩いているようなものだ。


最初はこの東屋の横にテントを張るつもりだった

ローソンでビールや食料を買い、公園を目指してトボトボと歩いていく。
土佐西南大規模公園は何箇所にも別れていて、今回私達がテントを張ろうと考えているのは佐賀地区の西公園と呼ばれる部分だ。
そこだけでも結構な広さがある。
公園の様子を眺めながら国道を歩いていて、トイレが近くにある東屋を見つけて、そこを今日の野営地に決める。

国道から見えるのと、東屋の周りに石が敷かれていて凸凹しているのが難点だが、贅沢は言ってられない。
キャンプ場ではないのでテントの設営は本来認められていないはずだ。
少し暗くなってきてから、こっそりとテントを張らせてもらうことにする。
それが野宿の際の基本的なルールでもあるのだ。

宿坊で一緒だった男性が国道を歩いてくるのが見えたので手を振ると、私たちのいる東屋まで降りてきた。
彼はこの先の民宿に泊まる予定だけれど、チェックインの時間にはまだ早すぎるので、ゆっくりと歩いているとのこと。
何だか、私たちとは正反対の事情なのが可笑しい。
男性の名前はY口さんで、この後何度も顔を合わせることとなる。


テントを張るのには良い場所だった

Y口さんを見送り、暗くなるまで、東屋の中でビールを飲んで時間をすごす。
テントこそ張っていないが、東屋の中に荷物を広げビールを飲んでいる姿は、浮浪者と大して変わりは無い。

園内を散歩していると、テントを張るのにもっと良さそうな場所を見つけた。
周りからは完全な死角になっているので、そこならば直ぐにでもテントを張れる。
早速、荷物を持って移動し、テントを設営。
そこは展望台の真下だった。

テントさえ張ってしまえば、後はもうゆっくりと過ごせる。
美しい夕景を眺めながらビールを飲んで食事をする。

満天の星空に真っ赤な月の出。
キャンプはやっぱり楽しい。
お遍路に来てから初めての自由でのんびりとした時間を楽しむ。
 


月の出を楽しむ

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