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四国お遍路 11日目(11月8日)

ロッジ室戸岬 7:35 ~ 蔵空間茶館 15:35
移動距離 : 19.8キロ
参拝札所 : 24最御崎寺、25津照寺、26金剛頂寺
宿泊 : 蔵空間茶館 素泊まり5500円 (料金は高いけれど古民家に泊まれるのが魅力)
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初めての本格的な雨

ゆっくりと朝食をとって宿を出たのは午前7時35分。
今日の宿泊予定の場所までは20キロも無いので、余裕があるのだ。
できればもっと先まで進みたいけれど、その先の宿までだと30キロを越してしまう。
この辺りが毎日の行程を考える時の難しさである。


小雨の降るパッとしない天気だ

宿を出れば室戸岬はもう目の前。
しかし、朝から雨模様で、今一気分が盛り上がらない。

海岸の岩礁の中に「弘法大師行水の池」と書かれた看板が立てられ、その周辺に遊歩道もあったが、そこには目もくれずに目指すのは御厨人窟だ。

私の四国遍路に宗教的な意味合いは薄かったけれど、空海についてはとても興味があったので、その足跡を辿ることは楽しみの一つでもあった。

中でも御厨人窟は、その中でも一番楽しみにしていた場所なのである。
ここで空海が虚空蔵求聞持法の修行をしていた時、明星が飛来し空海の口に飛び込んだという話しは印象深い。
修行中の洞窟の中で空海が見ていた空と海。
それと同じ風景を見られれば、少しは空海の心を感じられるかもしれない。


立ち入り禁止になっていた御厨人窟

ところがその御厨人窟は、落石の恐れがあるため立ち入り禁止になっていたのだ。
中に入れなければ全く意味が無かった。
すっかり気落ちして、24番最御崎寺への山道をトボトボと登っていく。
標高160m付近にある寺なので、なかなかきつい登りである。

参拝を済ませて室戸岬の灯台まで行ってみるが、灰色の雲と海が広がるだけで、私のイメージしていた室戸岬の風景はそこに無かった。

室戸スカイラインを下っていくと室戸の町が眼下に広がる。
その先は霞んで何も見えないが、頭の中に四国の地図を広げ、そこに有るはずの足摺岬に思いを馳せる。
 


室戸岬から下っていくと室戸の町が見えてきた


一時止んでいた雨が再び降り始める。
国道から離れて室戸の市街地の中を道を歩く。
この方が、地元の人たちの暮らしを間近に感じられて楽しいのだが、雨足が強くて周りを眺める余裕も無い。


津照寺の階段を登る

10時半、25番津照寺に到着。
小高い山の上にある寺で、急勾配の階段を登っていく。
その階段と、途中にある唐風の鐘楼門しか印象に残らないようなお寺だった。

津照時から降りてきたところに「遍路の店夫婦善哉」の看板がかかった店があり、雨宿りをかねて中を覗いてみる。
お土産やかと思ったら、中に食事ができる場所もあったので、ついでに昼食にする。
私は定食、かみさんはゆず辛子うどんを食べたが、結構美味しかった。

相変わらず雨が振り続ける。
ビニールハウスの雨樋から雨水が激しく流れ落ちる。

土砂降りの中、急な山道を登っていく。
四国に来て初めてサワガニを目にした。
熊野古道を歩いていて山の中で始めてカニを見たときは驚いたが、さすがにもう見慣れていたので驚くことはない。

26番金剛頂寺も標高160mくらいの場所にあるので、距離は短くてもなかなかハードである。
午後12時40分、大きな草鞋が奉納された山門に到着。
境内では天然記念物の奴草を見られた。


奴草

金剛頂寺山門

 
ようやく雨もやみ、寺から降りてきたところの道の駅キラメッセ室戸で一休み。
今日の宿は素泊りなので、そこで夕食用の巻き寿司を購入。


白壁に水切り瓦が特徴的

そうして宿のある吉良川の町までやってきた。
ここの街並みは国の伝統的建造物群保存地区に指定されているので、宿に入る前に街の中を一回りしてみる。
土佐漆喰の白壁に水切り瓦、いしぐろと呼ばれる石垣塀、それらが独特の景観を作り出していた。

今日の宿である蔵空間茶館も、壁面に4層の水切り瓦が設けられた古い建物だった。
何処が宿の入り口なのかも良く分からないまま木戸を開けて恐る恐る中に足を踏み入れる。
そこは洒落た感じの小さな庭になっていて、優しそうな宿のご主人が庭仕事をしているところだった。

案内された部屋と言うか家は、昔ながらの古い古民家。
それを一棟丸ごと自由に使っても良いとのこと。


この古民家を1棟貸切で使うことが出来た



この日の夕食風景
ここの料金は素泊りで5500円。
私たちにとってはちょっと高すぎる値段だったが、他に宿が無かったのでやむを得ず泊まることにしたのである。
しかし、こんな古民家を1棟貸切で泊まれるのならば文句は無かった。

ビールを買いに近くのスーパーに行くと、美味しそうな刺身があったので一緒に購入。
しかし、しょう油が無い。
店の人に小さなしょう油が無いか聞いてみると、ビニール袋にしょう油を入れて分けてくれた。

宿に戻り、木のお風呂に入って冷えたビールで乾杯。
宿に到着してからの行動は毎回同じだけれど、その宿は毎回変化があってとても面白いのである。

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