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四国お遍路 38日目(12月5日)

仙遊寺 7:55 ~ 湯の里小町温泉しこくや 16:00
移動距離 : 27.7キロ
参拝札所 : 59国分寺
宿泊 : 湯の里小町温泉しこくや 1泊2食付き8025円 (くつろげる温泉に豪華な食事)お勧め!
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予期せぬトラブル発生

宿坊泊では朝のお勤めは欠かせない。
般若心経は、11月15日に岩本寺の宿坊に泊まった時と同じく、リズミカルな太鼓の伴奏とともに唱えられる。


仏壇には亡くなられた奥様の写真も

これが四国のお寺での標準的なパターンなのだろうか。
もっと厳かに唱える般若心経のほうが私は好きである。

ここのお寺の住職は、四国遍路の世界遺産登録に向けて一生懸命活動されている方である。
お経の後の説教では、その話の他に空手のシニアの部で一瞬だけ世界一になった話しや、2年前に亡くなった奥さんのことなど、話の尽きることがない。

それを私達とK田さんだけでひたすら聞いているのである。
7時過ぎにようやくお説教が終わり、そのまま朝食。

私達には長すぎる説教だったのに、K田さんはその後も住職に色々と尋ねていた。
随分熱心な方だと感心してしまう。


朝食の精進料理

朝食も勿論精進料理。
料理の材料も有機栽培の野菜を使うなど、かなり本格的である。
これも、亡くなられた住職の奥様が始めたらしい。

住職の説教の中で宿坊の経営は赤字だと言っていたが、確かにその通りなのだろう。
この料理を作ってくれている女性二人も、宿坊の部屋の一つに住み込みで働いている様子であったし、宿坊の経営もお接待の一つなのかもしれない。

昨日の雨も上がり、宿坊の窓からは今治市内やその先の瀬戸内海、しまなみ海道の橋の姿まで見えていた。

寺を出た時はすでに午前8時近くになっていた。
今回のお遍路中で、一番遅い出発である。


仙遊寺の宿坊からはしまなみ海道も見える



紅葉を愛でながら山を下りる

昨日は楽しむ余裕も無かった紅葉の風景を眺めながら山門まで下っていく。
そこから先の下界の風景もなかなかすばらしかった。

田園地帯を抜けて59番国分寺に到着。
山門も無くあっさりとしたお寺だ。

納経所の若い坊さんが無愛想で好きじゃない。
うっかりして禁煙の札がかかった場所でタバコを吸ってしまい、納経所から飛び出してきたその若い坊さんに叱られる。
こちらの方が悪いのだけれど、余計にその坊さんが嫌いになった。

国分寺の後は、見るものもない国道を歩いて道の駅今治湯ノ浦温泉で昼食。
その先で国道から離れたけれど、相変わらず見るものも無く、道路際のベンチで休憩。


日切大師のクスノキ

相変わらず退屈な歩きが続く。
日切大師のクスノキの巨木が印象に残った程度だ。

そんな時、車で通りかかったおじさんから「これでジュースでも飲んでください」と、300円のお接待を受けた。
これで少し元気が出る。

その先の店先にベンチと自販機を見つけ、いただいた300円で缶コーヒーを飲んで一休み。
その店のシャッターに張り紙があって、そこには「12月5日で閉店しました」と書かれていた。
今日である。
何か不思議な偶然だった。

その先に石鎚山らしき姿が見えてきた。
私が四国で名前を知っている山といえば石鎚山くらいである。


石鎚山を眺めながら歩いていると元気が出てきた

以前、熊野古道の旅で一緒になった四国の方から、石鎚山は良い山なので一度是非登ってみてくださいと言われたことがある。
今回は、時間的に石鎚山まで登る余裕は無いが、その姿を見れただけで嬉しくなる。

遥か遠くに西条市の中心部らしき影が見えている。
家もまばらになり、石鎚山などの山並みを眺めながら歩くのとても気持ちが良く、元気も沸いてくる。

それまで退屈して元気なく歩いていたのが、この変わりようである。
見える風景によって、これだけ気分的にも肉体的にも違ってくるのだと自分でも驚いてしまう。

商店街を歩いていると「高橋」の名前の看板が多いことに気が付いた。
私のルーツは愛媛県らしいが、確かに愛媛県で一番多い名字は高橋なのである。

そうして午後4時ちょうど、今日の宿である湯の里小町温泉しこくやに到着。
温泉で疲れを癒す。
K田さんも午後5時頃に到着したようだ。


豪華な夕食、土鍋の中には鮑が

夕食は豪華だった。
お遍路中に泊まった宿の中で一番料金が高かっただけのことはある。

デザートで出てきた「あいか」というミカンなのかイヨカンなのか分からないが、これが素晴らしく美味しくて感激した。
「あいか」は「紅まどんな」の規格外品で、「紅まどんな」の方は1個500円くらいの値段がついていた。

お遍路中に、一個一個袋掛けして大切に育てられている柑橘類を見てきたが、それが多分この様なものなのだろう。

お遍路さん用サービスとして売店で売られているジュースも1杯無料なのだが、こちらのオレンジジュースも美味しかったのである。

2日前に姉から母親が骨折して入院したとの連絡があり、このまま旅を続けるかどうかで悩んでいたが、この日再び姉から連絡が入り、容体も安定している様子なので最後までお遍路を続けることにした。
88ヶ所のご朱印を貰った納経帳を母親への土産にしようと考えていたので、途中でお遍路を打ち切るのは避けたかったのである。


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