トップページ > その他 > 四国お遍路 > 伊予の国(愛媛県) 

四国お遍路 32日目(11月29日)

千人宿記念通夜堂 7:30 ~ ガーデンタイム 16:30
移動距離 : 26.4キロ
参拝札所 : 44大寶寺
宿泊 : ガーデンタイム 素泊まり4000円 (食事付きにもできる)
この日の写真へ(Googleフォト)


山里から峠を越え高原の街へ

朝7時半に千人宿大師堂を出発。
そこから直ぐ先に民宿来楽苦がある。
豆腐製造所が併設されていて、夕食は豆腐づくしらしい。
ここも泊まってみたい宿だったが、無料で泊まれる大師堂が近くにあると、やっぱり無料の方を選んでしまう。

山里の風景、川の流れる風景、そんな風景を楽しみながら朝のヒンヤリとした空気の中を気持ち良く歩いていく。


山の斜面は全て柿畑だ



大きな柿が4個100円とは相当に安い

この辺りは柿の産地らしく、そこら中に柿の直売所がある。
柿は重たくて荷物になるので買うのを躊躇っていたが、あまりにも美味しそうなので、我慢できずに4個100円で買ってしまった。

しかし、直ぐその後でもっと美味しそうな柿を3個もお接待で貰ったのである。
まあ、世の中はこんなものなのである。

この先の久万町に向かうには二つのルートがある。
鴇田峠を越えるか、農祖峠を越えるかだが、45番岩屋寺までどうやって行くかも関係するので、かなり迷ったところである。

結局、久万町の宿に泊まることにしたので、そこまでの距離が短い鴇田峠越えのルートを選んだ。


若松の出荷作業が盛んに行われていた

鴇田峠を目指して、田渡川に沿った山間の細い国道を登っていくと、あちらこちらで松の枝ようなものの出荷作業が盛んに行われていた。

働いている人に聞いてみると、その松の枝は門松の材料になるそうである。

後で調べてみると、この辺りでは正月飾りに使う松の若木である「若松」の栽培が盛んで、その出荷量は全国第2位らしい。

ニラにショウガに若松にと、これまで全く知らなかった産地を新しく知ることが多く、お遍路は社会勉強にもなるのである。



清冽な田渡川の流れ

田渡川の流れは次第に険しくなるとともに、川の風景も美しくなってくる
そんな川をもっと近くから楽しみたかったが、川原へ降りられそうな場所が見つからない。

滝ノ上橋休憩所で今日初めての休憩をとる。
国道から離れて次第に山へと入っていく。
今日は気温も低く、汗もかかない。
田渡川の流れもますます細くなっていく。
山里の風景は相変わらず美しく、今日は歩いていても本当に楽しい。

舗装道路に別れを告げ、まずは下坂場峠への山道に入る。
下坂場峠は山登りをする時の小ピークのようなものである。
標高790mの鴇田峠に向かって、朝からずーっと登りが続いているので、下坂場峠への登りも大して苦にならない。


川に迫って建てられた家が凄い



手作りの小屋に案内してくれた

昼食を食べられそうな休憩所をやっと見つけて休んでいると、おじさんが現れてその近くの自分で建てたという小屋に案内してくれた。
近くで汲んできた湧き水でモンドセレクション金賞受賞の(これを強調していた)こいまろ茶をご馳走してくれる。

ソフトボールの監督をしていたこと、短歌をたしなみ、お寺の総代をやっていることなど、話は尽きない。
こちらもそんなにゆっくりしている余裕も無いのだが、なかなか中座するタイミングをつかめない。

最後に和紙にメッセージを書いてくれて、近くの旧遍路道を少しだけ案内してくれて、最後に握手をしてお別れする。
私達の姿が見えなくなるまで見送ってくれていた。


久万町へと下ってきた

午後2時20分、鴇田峠を超え、後は久万町に向かって300m程下っていく。
今日は宿に入る前に、44番大寶寺に参拝する予定だった。

久万町に近づくと「役場まで○m」の標識が頻繁に現れるようになる。
普通なら次の札所までの距離を書いた看板がありそうなところだ。
鴇田峠を越えて、久万町の役場に行こうとしている人などいる訳無いのだ。
おかげで途中で道を間違えてしまった。

50mほど山に登って午後3時30分、大寶寺に到着。
杉の巨木、山門の大きなわらじ、歴史のある仁王像が印象的な山寺である。


杉の巨木に圧倒されながら大寶寺山門に到着


43番明石寺からこの大寶寺までの距離は約67キロ。
当初の計画ではこの間を2日で歩くつもりでいたけれど、そのためには毎日30キロ以上歩かなければならない。
足を痛めたこともあり、それは到底無理なので、ここまで3日かけて歩いてきた。
そのために、ここで当初計画よりも3日遅れとなったのである。


参拝を済ませ宿を目指す

参拝を済ませて街まで下り、生協で買い物をして、今日の宿であるガーデンタイムに到着。

受付のお兄ちゃんが今一頼りにならなく、宿泊料金を間違えられ、領収書もくれない。
後で領収書を貰いに行った時、宿の女将さんがいて、初めて料金を間違えていたことに気が付く始末だった。
私達より先にチェックインしていたお遍路さんからも、部屋の鍵が違うと文句を付けられていた。

そのお遍路さんと風呂で一緒になる。
私達より先に回り始めたが、途中でがん検診のために地元に戻ったりしていたので、遅くなったらしい。
風呂は比較的広いけれど、シャワーの出が悪くお湯の温度も低い。
有料の乾燥機は全然乾かず、あまり良いイメージの残らない宿である。
でも、経費節約のためこの辺りでは唯一の素泊まり宿として選んだところなので、文句は言えないのだ。


33日目へ >  

ページトップへ