トップページ > キャンプ > キャンプ日記 > 1999年キャンプ日記

1999年我が家のキャンプ日記


朱鞠内湖キャンプ場
  (3/20〜3/21)

オロマップキャンプ場
  (5/2〜5/3)

ニセコサヒナキャンプ場
  (6/5〜6/6

エルム森林公園
  (7/10〜7/11)

望洋台キャンプ場
  (7/31〜8/1)

美笛キャンプ場
  (8/6〜8/8)

然別湖北岸キャンプ場
  (8/11〜8/13)


滝之上キャンプ場
  (8/28〜8/29)


チミケップキャンプ場
  (10/9〜10/11)


厚真大沼野営場
  (10/23〜10/24)

朱鞠内湖キャンプ場

 1999年我が家のキャンプ初めは、昨年に引き続き朱鞠内湖の雪中キャンプだ。
 雪中キャンプとはいっても、さすがに北海道の1月2月の時期にキャンプをする気にはなれない。 3月になり、春の息吹が感じられる頃が雪中キャンプのベストシーズンなのだ。
 それでも去年の朱鞠内湖のキャンプでは、3月の末に泊まったときでも雪解けが進み(それでも積雪は1m以上)、せっかくの雪景色も少し汚れたような状態だった。
 そんなわけで、今年は3月になったら直ぐにでも出かけるつもりだったのに、天候などの影響で今回まで遅れてしまった。
 「あー、早く行かないとせっかくの雪が解けてしまうー」なんてソワソワしていたのだが、今年は久しぶりの大雪だったために朱鞠内湖の積雪は2m以上、ぜーんぜん心配することなんか無かったのだ。

 天気は快晴、眩しいくらいに真っ白な雪景色、「うわー、最高だぜ!」とその時はまだ無邪気に喜んでいた。
 いつもテントを張る場所まではまだ道路が除雪されていなくて、しょうがなく駐車場の近くでテントを張ることにした。雪は固く締まっていて、上を歩いてもほとんど埋まらないので荷物運びも楽である。せっかく用意してきたカンジキも出番が無しに終わってしまいそうだ。
 寒さのためにポールのショックコードのゴムが伸びきってしまい、思いの外設営に手間取ってしまう。途中で、フレームを逆向きに組み立ててしまったのに気付き、また最初からやり直したりと悪戦苦闘している最中に、何かを口にくわえて走り回るバカ犬フウマの姿が目に入った。
 ふと頭をよぎるいやな予感、も、もしかしてまた・・・・・
 「こらーっ、何してるんだー、フウマ!!」興奮して逃げ回るバカ犬をようやく捕まえて、くわえていた物体の正体を確認したところ、いやな予感は的中した。それはカチカチに凍り付いた人間のものと思われるウ○コであった。
 いつもこんな調子なので、最近は人のいないキャンプ場でもなるべく繋いだままにするようにしているのだ。

 そんなドタバタはあったものの、何とかテントを張り終わり、リビング用の雪穴を掘って一息つくと冷たいビールが飲みたくなってしまった。残念ながら冬のキャンプにビールは不用と思い、用意してこなかったのだが、やっぱり設営完了後の一杯は何時でも必要なのである。
 その後は夕食用のワカサギ釣りをすることにした。
 サイトから湖面まではかなりの高低差があるので、荷物運搬用のジャンボソリで一気に滑り降りようと提案したのだが、最近ますます冷めてきた息子は「俺は歩いて行くから先に行っていいよ」との返事。
 しょうがなく親父一人でソリに乗り、湖面に並ぶワカサギ釣りのカラフルなテントの群に向かい、凍った雪面をガリガリガリと大きな音を立てて滑り降りていくと、釣り人達の冷たい視線を一身に浴びてしまい非常に気恥ずかしい思いをした。
 氷に開けた穴から釣り糸を垂らすのだが、寒さが厳しいのでその穴にも直ぐに氷が張ってきてしまう。普通は氷すくい用の網を用意するのだが、今回はあまり真剣に釣り用の準備はしてこなかったので、取りあえずゴアテックス製手袋で水面の氷をつかみ出すことにした。おかげで手袋もカチカチに凍り付いてしまった。
 1時間ほどで40匹のワカサギを釣り上げ夕食のおかずには十分な数なので、寒さのせいもあり早々に引き上げることにする。

 日が落ちてくると急に寒さも厳しくなってきたような気がする。用意してきた薪で焚き火をしてみたが、北風が強いせいもあり全然暖かくない。さっさと夕食の準備を済ませ、テントに入り夕食タイムだ。
 普通は、テントの中でコールマンのガソリンランタンを灯し、ガスストーブも燃やしていればかなり暖かくなるはずなのだが、今回に限っては少しも暖まらない。夕食が終わると全員シュラフの中にもぐり込んでしまった。
 時間はまだ6時半、シュラフに入ってしまうともう何もすることがなく、翌朝までの時間が永遠なものに感じられてしまう。それでも少しうとうとしてきたので、危険なのでランタンもストーブも消すことにした。すると、テント内の温度も急速に下がってきた。これでも、ストーブのおかげでテント内はかなり暖かかったのだ。
 「そういえば、テントの外の片付けがまだだった。」
 気合いを入れ直してシュラフから抜け出し、テントの外へ出てみると、満天の星空が目に飛び込んできた。それにまん丸い三日月が。
 三日月の影の部分が、真っ黒な夜空に照らし出されて異様に明るく、満月のように見えるのである。しばらくの間、その不思議な光景に見とれてしまった。
 「おかあさん、出てきてごらん、すごい綺麗だよ」
 普通ならば、こんな時は真っ先に飛び出してくる妻なのだが、「ご、ごめんなさい、わ、私、シュラフから出られない・・・」
 その時の気温はマイナス11度、こんなに空が晴れていたら明日の朝は何度まで下がるのだろう・・・。

 タイツにスウェットにもこもこのオーバーズボン、着れるものは全て着込んでシュラフにもぐり込み、眠りについた。それでも、途中で目が覚めると冷たい空気が襟元から忍び込んでくる。今度は防寒ヤッケで頭の上を覆い、完全な密閉状態にした。真っ暗なので、目が覚める度にそっとヤッケを押し上げて様子を見るのだが、あたりはまだ暗闇に包まれている。これほど朝が来るのを待ちこがれたのは初めてである。
 何回めかに目を覚ましたとき、ようやく外が明るくなっていた。
 「やったー、ついに朝が来たぞー」
 頭の上のヤッケを押しのけると、それはバリバリと音を立て、白い氷が頭の上に降ってきた。ストーブに火を付けようとしたが、ノブが凍り付いて回らず、ライターも火がつかない。全てが霜に覆われてしまっていた。
 何とかテントの外へ這い出して温度計を見ると、マイナス23度である。
 ちょうど太陽が昇ってきて優しい日差しに全身を包まれ、「フー、無事に朝を迎えることが出来た」これが実感である。
 その日は風もなく、天気は快晴、焚き火にあたりながら暖かいコーヒーを飲んでいると、今朝方までの苦闘が嘘のようである。 森の中を散策したり、急斜面を滑り降りて遊んだりと快適な時間を過ごすことが出来た。
 マイナス23度の中でのキャンプなんて、もう2度と体験する事は無いだろうし、もう1度体験する気にもならない。
 何はともあれ、貴重な体験だったのである。
  


  ページTOPへ