北海道キャンプ場見聞録
四国お遍路 3日目(10月31日)
鴨の湯 6:35 ~ 民宿つじ荘 16:25
移動距離 : 24.1キロ
参拝札所 : 11番藤井寺、12番焼山寺
宿泊 : 民宿つじ荘(2食付き6500円)
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遍路ころがしにチャレンジ
朝焼けが綺麗だ
蚊にはそれ程悩まされずに朝を迎えた。
今朝も朝焼けが綺麗だ。
小屋に荷物を置いて「焼山寺まで行ってきます、遅くなっても必ず戻って来ます」と書いた紙を残していた男性は、昨日の夜遅くに帰ってきたようだ。
置かれていた荷物は大きなザックに少し大きめのテント。それが折りたたみのカートに乗せてある。
どんな旅をしているのか聞いてみたかったが、その男性が起きてくる前に私達は出発。
田園風景の中を歩いて11番藤井寺へ。
藤井寺境内から焼山寺道へと入る
藤井寺から12番焼山寺へ至る山道が焼山寺道と呼ばれ、歩き遍路の中での最大の難所である。
焼山寺道へ入ると88箇所のご本尊を祀った祠が続いていた。
その一つ一つを見ている余裕も無く、急な坂道を登っていく。
1時間ほど歩くと傾斜も緩くなり、チョロチョロと湧き水の出ている水大師に到着。
そこのベンチで15分ほど休憩して、再び急な登りが始まる。
同じ坂道でも、場所によって石畳が敷かれていたり、コンクリートの擬木階段になったりと変化する。
一見は階段の方が登りやすそうに見えるが、私は階段が苦手である。
同じ歩幅で登っていくと同じ筋肉に負荷がかかり続けるので、疲れるのも早い気がするのだ。
階段よりも登りやすい
水大師で一服
長戸庵を過ぎて暫く進むと眺めの良い場所があった。
昨日切幡寺から眺めた徳島平野を、反対側から眺めていることになる。
その切幡寺の大塔らしき建物も山の中腹に見えている。
標高はこちらの方が高いので、その分、眺めも良い。
焼山寺道の途中から徳島平野を眺める
風景を眺めながら10分弱ほど休んで、再び歩き始める。
細い痩せ尾根を過ぎると、杉林の中の急登となる。
そこを登りきった辺りの標高はおよそ600m。
その後は小さなアップダウンはあるもののほぼ平坦な道である。
柳水庵
登山道のあちらこちらに、土を掘り返したような跡がある。
最初は、何か工事でもしたのだろうかと思っていたが、動物の足跡もあり、どうやらそれはイノシシが掘り返した跡らしい。
少し下って柳水庵に到着。
大きな建物があって、以前はここに泊まることもできたみたいだが、今は雨戸も閉じられ無人の家になっていた。
しかし、風情のある水場もありテント泊で泊まるのならばなかなか良い場所である。
と思いながら更に少し下ると、もっと快適そうな小屋が建てられていた。
地元の有志の方が造られた建物で、自由に寝泊まりもできるようだ。
この様な宿泊場所は事前に調べておいたのだが、ここは完全にノーマークだった。
もしも詳細が分かっていれば、無理してでも宿泊予定地に組み込みたくなるような、快適な小屋である。
急な階段を登った先で御大師さんが迎えてくれる
車道を横断し、再び山道の急な登りが始まる。
ここまでの遍路道は杉林の中を通る部分が多く、熊野古道を歩いている時の風景ととても良く似ている。
急な登りの最後に石段があり、そこを登った先で弘法大師の大きな銅像が、それまでの苦労を慰めてくれるかのような優しい表情で出迎えてくれる。
その銅像の後ろに聳える大きな杉は左右内の一本杉で、隣の浄蓮庵は一本杉庵とも呼ばれている。
ここまで標高差約250mを一気に登ってきたので一休みしようと思ったが、建物の修繕工事をしている人達が休んでいたので、そのまま通り過ぎてしまう。
その先は急な下りが延々と続いていた。
焼山寺はまだまだ先である。
せっかく登ってきたのに、それまでの苦労が水の泡に思えてしまうくらいに下り続けるのである。
美しい山里
そこを下った先に小さな山里が現れた。
急峻な山肌に張り付くように古い民家が建っていた。
庭先ではカキやミカンが実を付けている。
美しい山里である。
ここに住む人々はどんな暮らしをしているのだろう。
あくせくした世間を離れ、ここで死ぬまで暮らすのも良いかなと考えてしまった。
一本杉から標高差約350mを一気に降りて、適当な休憩場所が見つからないまま再び急な登りが始まった。
それも、これまでの坂道よりも更に急な登りである。
さすがにここの登りはきつかった。
「遍路道に果ては無けれど、登り道には必ず頂あり」
そんな言葉を思い浮かべながら登り続けた。
焼山寺山門に到着
250m程登り返すと、坂道も少しは緩くなってきた。
急な岩壁の所々に奉納された仏像が立っている。
昼食も食べずに登り続け、午後1時半前にようやく焼山寺山門に辿り着いた。
藤井寺から焼山寺まで休憩を入れておよそ6時間。
これでほぼ一般的なペースなのだろう。
今日の宿泊地まではまだ10キロもある。
急いで参拝を済ませ、寺の休憩所でおにぎりを食べて直ぐに出発した。
そこから再び延々と下っていくことになるが、一部に山道はあるものの、殆どが舗装道路である。
疲れてはいるものの、山里の集落の風景や左右内谷川の美しい流れを眺めながら、楽しく歩くことができる。
近くに停まった車から女性が駆け下りてきて、お菓子とミカンを下さった。
この様なお接待を初めて受けたので、感動してしまう。
無人販売所
道路沿いの無人販売所では大量のスダチが200円で売られていた。
札幌ならば小さなスダチが1個100円で売られているのに、信じられない安さである。
でも、スダチをそんなに大量に買っても使い道がないので、眺めてため息を付くだけである。
午後4時半前に予約してあった神山温泉の民宿つじ荘に到着。
直ぐに近くの神山温泉に入りに行く。
当初の予定ではこの温泉の裏にある公園にテントを張る予定だったが、山越えで疲れ切っていたので、民宿泊に変更して大正解だった。
ビールを買って宿に戻り、乾杯して、洗濯して、夕食。
旅に出てから初めて食べるまともな食事である。
遍路に出てから一番厳しい一日がこうして終わったのである
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