北海道キャンプ場見聞録
四国お遍路 1日目(10月29日)
高徳線板東駅7:00 ~ 安楽寺通夜堂14:30
移動距離 : 18.6キロ
参拝札所 : 1番霊山寺、2番安楽寺、3番金泉寺、4番大日寺、5番地蔵寺、6番安楽寺
宿泊 : 安楽寺通夜堂(鐘撞堂の中、泊まるのには勇気がいるかも)
前泊 : ハイパーイン徳島東船場(徳島市内) 素泊まり5600円
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いざ遍路へ
ジェットスターで新千歳から関空まで、受託手荷物等の料金を含めて1人7630円。
関空から徳島までの高速バス料金が5250円。
飛行機が安すぎるのか、バスが高すぎるのかは解らないが、朝6時半に家を出て午後4時半に徳島に到着。
懐かしい眉山
私にとっては2度目の徳島の街である。
前回訪れたのは8月頃で、あちらこちらで阿波踊りの練習が行われていたことが記憶に残っていた。
それが何年前のことかは全く思い出せないが、多分20年前くらいだったと思う。
なだらかな眉山の山姿に、懐かしさを覚える。
川沿いのホテルにチェックインし、直ぐにまたストーブ用のガスカートリッジを買いに出かける。
事前に売っていそうな場所を探したけれど、一番近いところでホテルから2キロ先のホームセンターだった。
途中まで川沿いの遊歩道を歩いていく。
川の中を覗くとエイが泳いでいた。それも1匹だけではなく、何匹もいるのだ。
さすが四国だと感心してしまう。
屋形船からは賑やかな歌声が
明日から歩く距離のことを思えば、片道2キロなんて大したことないのだが、実際に歩くとやたら遠く感じた。
ホテルへ戻る途中、事前に調べておいた定食屋「いもや」に入る。
明日からはコンビニ弁当の夕食が多くなりそうなので、初日くらいはちょっと贅沢して外食することにしたのだ。
500円の定食はなかなか美味しかった。
川沿いの並木や橋がライトアップされ、岸に係留されている屋形船はビヤホールになっていた。
部屋に戻って窓を開けると、その屋形船から歌声が聞こえてきた。
翌朝、6時半前にホテルを出る。
いよいよこの日から四国遍路が始まる。
3月に退職してから、一番大きな目標にしていたのがこの四国遍路だ。
霊山寺の門前街
四国一周1200キロを歩き通すお遍路は、退職してできた自由な時間を利用してチャレンジするにはちょうど良い目標になったのである。
それ以外にも、司馬遼太郎の「空海の風景」を読んでいたので、その空海ゆかりの88霊場を巡ることに興味もあったし、空海が開祖の真言宗は実家の宗教でもある。
おまけに、我が家のルーツは愛媛県で、四国を流れる四万十川や仁淀川は憧れの川であり、とにかく今回の四国の旅には必然性があったのだ。
まずは電車でJR板東駅まで行き、そこからが実際の歩く旅の始まりである。
お遍路に必要なものは事前にネット通販であらかた購入してあったが、菅笠と金剛杖は1番札所霊山寺前の店で購入。
遍路装束を着るのを嫌がっていたかみさんも、半袖の白衣と金剛杖を買い、それで何とかお遍路さんぽく見えるようになった。
お遍路の服装は基本的に何でも良いのだけれど、白衣を着れば何となく心が引き締まる。
それよりも、周りの人から遍路であることが解ってもらえることの方が大切なのだろう。
それによって、心温まるお接待を受けやすくなるのだ。
1番札所霊山寺山門、いよいよここから四国遍路が始まる
服装は自由でも、札所での参拝の仕方には一応のルールがある。
山門で一礼し、水屋で手と口を清め、本堂で灯明(ロウソク)と線香をあげ、納め札を納め、お賽銭を上げ、お経を読む。
次に太子堂で同じ事を繰り返し、全てが終わったら納経所で納経帳に墨書きとご朱印をいただく。
最後に山門で一礼して寺を出る。
全てが初めての経験なので、一つ一つ確認しながら進めていく。
お経は、You Tubeで般若心経を練習してきたけれど、お寺で唱えるのは初めてである。
本堂の隅の方でボソボソと小声で唱えた。
お遍路さんで賑わう大日寺
2番極楽寺と3番金泉寺は比較的近いので、立て続けに回っていく。
慣れてきたら1ヵ所20分程度で済ませるが、まだ要領が解らないので30分以上かかってしまい、周りを見る余裕も無い。
4番大日寺までは5キロ程あったので、ようやくゆっくりと歩く事ができた。。
古い酒蔵の建物や、道沿いの巨大なクスノキの姿を楽しむ。
遍路道は、途中から舗装道路を離れて山の中へと続いていた。
多分それが昔からの遍路道になるのだろう。
でも、そんな道は僅かしか残っていない。
4番大日寺、5番地蔵寺と回っていくが、相変わらず決められた手順通りにお参りしていくだけで精一杯である。
今日は六つの札所を回る予定なので、そんなに時間もかけていられないし、お寺そのものにもあまり興味が湧かないのだ。
事前にそれぞれの寺の由緒などを調べておけば、もっと興味を持って見られたのかもしれないが、何せ88ヵ所もあるので、一つ一つ調べるのは無理がある。
「地蔵寺のイチョウが立派だった」程度の印象が残っただけである。
地蔵寺のイチョウの巨木
昼食を仕入れようとローソンに寄ると、イートインスペースがあったので、弁当を買ってそこで食べることにした。
これまでコンビニのイートインを利用したことは一度も無かったが、今回の旅ではこの後何度も利用することになる。
今日の最後の目的地は6番安楽寺。
そこへ向かう途中でパラパラと雨が降ってきたが、傘をさすほどの降り方にはならずに済んだ。
安楽寺に着いたのは午後2時過ぎ。
少し早すぎるが、遍路初日なのであまり無理しない行程にしていたのである。
宿泊場所はここ安楽寺の通夜堂を予定していた。
この山門の2階に泊まらせてもらった
通夜堂とはお寺の境内に設置されたお堂のことで、四国では宿に困った歩き遍路を無料で泊めてくれる施設を通夜堂と呼んでいる。
大体は畳敷きの小さな建物が通夜堂になっているが、安楽寺では山門の2階部分の鐘撞堂が通夜堂として使われている。
ネットでその写真を見て、風変わりな施設であることが解っていたので、かみさんには「相当酷いかもしれないけれど大丈夫?」と念押ししてあり、かみさんもそれなりの覚悟はしていた。
お参りを済ませ、最後に納経所で「ここの通夜堂に泊まらせてもらうことはできますか?」と聞いてみると、あっさりと「場所は解りますか?どうぞ使って下さい。」との答えが返ってきた。
意外と簡単に泊まることができてちょっと拍子抜けする。
山門なので、参拝者は皆その中を通っていく。
周りに人がいなくなるタイミングを狙って、山門の中の階段を登る。
頭上には鐘がぶら下がっている!
そこには大きな鐘がぶら下がっていた。
現在は使われていないようだが、山門を通る人が下からロープを引けば、鐘が鳴る仕組みになっている。
そのロープを通す穴から下を覗けば、参拝者が通り抜けるのを見下ろすことができる。
私達がそこに居ることに気付く人がいる訳もなく、何だか屋根裏に潜む泥棒になった気分だ。
床はコンクリートだけれど、マットなども置いてあって、一応は人がそこに泊まれるような配慮はしてある。
それでもやっぱり、最初は面食らってしまう。
お遍路1日目に泊まる場所としてはとても刺激的な場所だった。
最初にここに泊まれば、この後はどんなところにでも泊まれるような気がする。
なかなか凄い宿泊場所である
トイレはお寺の境内のトイレを使わせてもらう。
1.3キロほど離れたローソンまで買い出しに行き食料とビールを買って帰る。
ビールが沢山入った袋を抱えているものだから、人が途絶えた瞬間を狙って山門の2階へと駆け上がる。
下を通る参拝者を見下ろしながらこっそりとビールを飲む。
食事を済ませると他にすることも無く、7時半には眠ってしまった。
暫く経ってから目を覚ますと、日ハムの優勝が決まっていたのである。
この通夜堂だが、階段部分に扉がある訳でもないので、外部との仕切りはない。
10月末になれば蚊もいないだろうと思っていたが甘かった。
日ハムの優勝を確認した後は、蚊がうるさくて私もかみさんも良く眠れないまま朝を迎えることとなった。
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