北海道キャンプ場見聞録
朱太川
渡島半島の基部、長万部から寿都へ南北に横切る低地帯が黒松内低地帯と呼ばれ、日本の植物分布の南北の境界ともなっている。 その低地帯の中を縦断するように流れ、寿都町で日本海にそそぐのが朱太川である。 途中には北限のブナ林として知られている歌才ブナ林があり、 流域の貝化石の地層からはミネラル分を豊富に含んだ水も流れ込む清流である。 低地帯の中を流れる川だけあって高低差も小さく、殆どの区間が穏やかな流れとなっていて、のんびりとした川下りを楽しめる。 |
朱太橋~黒松内市街 (難易度:2 清流度:4)
私がカヌークラブに入会して初めて下ったのがこの川である。
その時はヘルメットも、カヌー用のウェアも無く、長靴を履いて下っていた。そんな装備でも例会に参加させてもらえるような穏やかな流れの川である。
ただし、人の手の入っていない自然河川なので川を完全に塞ぐような倒木もあり、前方の確認は怠れない。市街地に近づくと隠れ岩の多い瀬もあるので、油断していると隠れ岩に引っ掛かって沈することもある。
どんなに穏やかな流れの川であっても、常に危険が潜んでいることを忘れてはならない。
水も澄んでいて、緑に囲まれた清々しい川下りを楽しめる。
途中には、約170万年~80万年前(更新世前期)に海底でできた瀬棚層と呼ばれる地層が露出している場所あり、そこでは土の中に埋もれた沢山の貝の化石を見ることができる。
全体的に川の水深は浅く、水が少ない時は座礁することも多くなりそうだ。私たちが下った時の黒松内観測所の水位20.95mがストレスなく下ることができる目安となり、これ以下の時は歩かされる覚悟をして下った方が良いだろう。
春にはウドや良質のフキを収穫することができるし、秋には産卵するサケの姿も見られ、色々と楽しみの多い川でもある。
スタート地点は国道5号線の朱太橋が適しているが、目の前に民家もあり、大勢で下る時などは迷惑をかけない様に一言挨拶をしておいた方が良い。
黒松内市街から下流部も川下りのフィールドとなっているが、上流部よりも自然度は劣りそうだ。
川の水位情報:黒松内観測所
川下り日記:2002/5(朱太橋~黒松内市街) 2015/5(朱太橋~黒松内市街) 2017/10(朱太橋~黒松内市街) 2018/10(朱太橋~黒松内市街) 2019/10(朱太橋~黒松内市街)
川下り動画:2017/10 2018/10
穏やかな流れの朱太川
空が開けているところもあれば
樹木に囲まれたところもある
見上げるような土壁
川を換算に塞ぐ倒木
貝の化石が埋まった露頭
澄んだ水
美しい紅葉
岩絡みの瀬もある