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朱太川(2019/10/20)

鮭は少なくても風景が素晴らしい

2年連続で今時期の朱太川を下っていたので、今年は何処か他の紅葉が綺麗な川を下ろうと考えていた。
しかし、朱太川をまだ一度も下ったことが無くてどうしても下りたいというガンちゃんが、珍しく自分から川下りを企画したので、これは参加しないわけにはいかない。

ただ、週間予報の週末の天気はパッとしないものだった。
のんびりと下る川は、天気が良くなければ楽しくない。
しかし、そんな心配もガンちゃんの晴れ女パワーが一掃してくれた。
前夜の雨で川の水は増え、川下り当日は気温も高めで青空が広がる最高のコンディションである。


ガンちゃんと同じく、のんびり川下りがしたくて集まったメンバーは全部で9名。
最近はクラブの中でもホワイトウォーター志向が強まり、朱太川の様なのんびりと下れる川は例会の対象にはならなくなってしまった。
しかし、ホワイトウォーターも楽しいけれど、のんびりと川を下りたいというメンバーも確実にいるのである。


川の水位は前日よりも10センチ近く増えていた。
雨が降る前の水位は去年下った時よりも20センチ近くも少なく、心配する人もいたが、私は大して心配していなかった。
観測所で測定している水位は、川底が掘れたり埋まったりすることによっても変わってくる。
去年下った時の水位でさえ、ほぼ最低水位と言っても良いような状況なので、それが更に20センチも下がる訳がない。
20センチも下がれば川の水が無くなってしまうのである。
予想通り、水の量は去年と殆ど変わりはなかった。


時々カヌーの底を擦るけれど、下るのに殆ど支障はない。
朱太川は、のんびり下れる川ではあるけれど、自然河川なので、あちらこちらで倒木が待ち構えている。
そんな倒木は、大体は川がカーブしている外側にあるので厄介だ。
本流に乗ったまま下っていくと、まともに倒木に突っ込んでしまう。
水量が多ければ余裕を持って避けられるのだけれど、水が少ないので避けようとすると舟が座礁してしまう。
座礁せずにギリギリで倒木をかわせるようなルートで下らなければならず、結構テクニカルなのである。


そこら中で倒木が待ち構えている


暫く下っていくと石を積んだ堰が現れるが、半分以上が水没しているので問題なく下ることができる。
少しだけ波があるので、カヤックメンバーはこんな所でもサーフィン遊びに勤しむ。
この付近は周りに河畔林が無いので、空が広々と感じられ、朱太川の好きなポイントの一つでもある。


こんな所でもサーフィンしてしまうカヤッカーの性



去年新たに現れた川を塞ぐ巨大な倒木は、今年も健在だった。
余程の大増水にでもならない限り、この倒木が無くなることはなさそうだ。
舟から降りて、根元付近に開いたスペースを何とかくぐり抜ける事ができる。


かろうじて根元近くを通り抜けられる

簡単には無くなりそうにない倒木


倒木の先には紅葉を楽しめるビューポイントが待っている。
もう少し秋が深まれば、更に美しく色づきそうだけれど、今でも十分に美しい。
パドリングを止め、緩やかな川の流れにカヌーを任せ、そんな風景を楽しみながら流されていく。



そしてその先で待っているのは、貝化石の地層。
3年続けて下っていると、どれもお馴染みの風景である。
貝の場合は、化石とは言っても、ただの貝殻が土に埋まっているのと同じである。
詳しい人ならば、「これはダイシャカニシキで、これはエゾワスレガイ」などと言いながら興味深く見られるのだろうけれど、私にはホタテやホッキの貝殻にしか見えないのだ。


貝化石が露出した地層



化石と言うより貝塚を掘り出した感じだ


川岸にホッチャレとなった鮭の姿が見られるようになってきた。
でも、去年、一昨年の様な鮭の大群に皆で歓声を上げるシーンがなかなか訪れない。
時期的には過去2年とほぼ同じで、サケの遡上が少ないとの話も聞いていないし、サケの姿が少ない理由が分からない。


カヌーの下を泳いでいく鮭の姿もまばらだ


何時も昼食を食べている河原までやって来たので、今年もそこに上陸する。
綺麗な河原だったのに、今年は随分雑草が繁茂していた。
でも、ここから下流に適当な河原は無かったはずなので、雑草の生えていない場所を探して、そこでお昼を食べる。
陽射しが強くて、ドライスーツを着ていると暑いくらいだ。
それもそのはず、この日の黒松内の最高気温は18度まで上がっていたのである。



昼食を終えて再び下り始める。
直ぐに現れるの巨大な崖である。
その崖の上には、歌才の北限のブナ林が広がっているはずだ。


巨大な露頭だ


ブナの木も目立つようになってくる。
倒木の間をくぐり抜けたり、倒れ掛かった木の下を通過したりと、変化のある流れを楽しむ。
このような自然河川を下る時は、先に何が現れるか分からないのだけれど、どれも見覚えのある風景である。


この木が倒れたらどうなるのだろう


違っているのはサケの姿が少ないことである。
そのうちに何処かで群れているだろうと思って下っていたが、去年一番鮭の姿が多かった付近でもやっぱり姿は少ないままだった。
朱太川に憧れていたガンちゃんに、舟にぶつかって来そうな勢いで泳ぎ回る鮭の姿を見せてあげられなかったのが残念である。


鮭は少なくてもこんな風景の中を下れるのならば不満はない


川が蛇行して大きな澱みになっている場所から、私たちの姿に驚いたカモの大群が一斉に飛び立った。
慌ててカメラを向けたけれど、その大群の一部の姿しか捉えられずに終わってしまう。


ムキタケの様にも見えるけれど

去年は、下っている途中に天然ナメコを収穫できたけれど、今年は見当たらない。

ヤナギタケはあちらこちらに生えているけれど、そんなに美味しいキノコでもないので、スルーしてしまう。
まとまって生えていれば収穫する気になるのだけれど、ヤナギの木に数本単位で生えているので、収穫も面倒なのだ。

ムキタケらしいキノコが密生している木があったけれど、はっきりと特定できないのでこれもスルー。
でも、今時期のダウンリバーならば、キノコ採りを目的に下っても楽しいかもしれない。

黒松内の市街地が近づくと岩の多い瀬が現れる。
瀬と言っても波が立つわけではなく、座礁しない様にルートを選ぶのが面倒な程度だ。
秋の陽射しを受けてキラキラと輝く流れの中を漕ぎ下り、今日の川下りを終えた。


暖かな一日だったけれど、日陰に入るとさすがに空気はひんやりとして、晩秋に近づいていることを感じさせられる。
そろそろカヌーシーズンも終わりが近づいたようだ。
 

(当日12:00朱太川水位 黒松内観測所:20.84m)



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