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白雲岳・北海岳(2011/7/29)縦走二日目

余裕の行程のつもりが


 縦走二日目は白雲岳の野営地を出て、白雲岳に登ってから黒岳石室のキャンプ指定地へ向かうルートである。
 このルートのコースタイムは4時間。
白雲小屋テン場を後にする 今日は花を楽しみながらのんびりと歩けそうである。
 銀泉台から入って赤岳、白雲岳、黒岳を回って層雲峡へ下りる縦走コースは、日帰りルートとして紹介されている。
 そこを2泊もして縦走するのだから余裕があるのは当然だった。
 私達が6時半に野営地を出発する頃には、他のキャンパーは全て出かけてしまっていた。
 白雲分岐へ向かって登るにつれ、後に見えていた白雲小屋が次第に小さくなっていく。
 そしてその背景には高根ヶ原や遠くにはトムラウシ山も見えている。
 上空には青空も広がり、縦走日和になりそうだ。
 気温も上がってきて、途中の雪渓から吹き下ろしてくる風がヒンヤリとして心地良く感じる。


雪渓を吹き下ろす風が心地良い 雪渓との溶けた後に咲くエゾコザクラとエゾノハクサンイチゲ
雪渓から吹き下ろしてくる風が心地良い 雪渓が溶けた後に広がる花畑

緑岳とトムラウシ山
左には昨日登った緑岳、遠くにはトムラウシ山も見える

白雲岳を目指す 白雲分岐にザックをデポして岩場の中を登り始める。
 目指す頂上が何処なのかがしばらくは分からない。
 この後に向かう北海岳とそこへ通じる登山道が眼下に一望できる。
 今日の最終目的地である黒岳も見えているが、そちらの方には雲が湧き上がってきているのがちょっと気がかりだ。
 尾根を越えると、目の前には平らな地形が広がっていた。
 こんなところにカルデラがあるとは思っていなかったのでビックリする。
 登山道はそのカルデラの縁を巻くように続いていて、周囲にはヨツバシオガマが沢山咲いている。
 カルデラの縁は岩峰が取り巻いていて、はっきりとしたピークは無いものの、その一番奥が頂上みたいだ。
白雲岳のカルデラ 最後の急な岩場にさしかかる。
 コエゾノツガザクラ、アオノツガザクラ、チングルマの群落に回りを取り囲まれ、感嘆の声を上げてしまう。
 ザックをデポした時にストックも置いてきたのは正解だった。
 最後の岩場は両手をフルに使ってよじ登らなければならない。
 7時45分、白雲岳山頂に到着。
 旭岳、北鎮岳、凌雲岳、黒岳と御鉢平を囲む山々が一望できるが、その背後からは雲がモクモクと湧き上がってきているように見える。
 トムラウシや東大雪の方向は既に雲に遮られ何も見えない。
 ちょっと気がかりな天気である。


白雲岳から見る烏帽子岳と黒岳 白雲岳山頂直下のお花畑
黒岳に雲がかかってきている ここの花畑は美しかった

白雲岳山頂に立つ
白雲岳山頂に立つ、北鎮岳や比布岳、凌雲岳が見える

 白雲分岐まで戻り、そこからは白雲岳の山腹をトラバースしながら北海岳へと向かう。
 白雲岳のトラバースでは、まず最初にヨツバシオガマの群落が目を楽しませてくれる。
雪渓と白雲岳と青い空、白い雲 その後は大雪渓を横切る。
 黒い溶岩が剥き出しの白雲岳を、真っ白な雪渓と真っ白な雲が挟み込み、そしてその後ろに青空が広がる。
 単純で美しい風景だ。
 反対側に目をやれば、烏帽子岳へ続く深い谷を埋める様に雪渓が続いている。
 雪渓を渡りきると、チングルマとエゾコザクラの群落が出迎えてくれる。
 これらの花は雪田植物と呼ばれ、雪解けによって生育開始時期が規定される。
 雪渓が溶け続ける間は、常に何処かでその花を楽しむことができるのかもしれない。
 そこから先、北海岳に向かって延びる登山道をほぼ一望できる。
 単調な道のように見えても、途中では様々な花が咲いていて、退屈しないで歩く事ができる。
 大雪山は本当に山全体がお花畑なのだと改めて思い知らされる。


ヨツバシオガマ 青い空とチングルマ
白雲岳の山麓に咲くヨツバシオガマ 青い空とチングルマ

北海岳へ続く道
北海岳に向かってひたすら登っていくが途中の花も美しい

北海岳山頂で一休み 9時40分、北海岳山頂に到着。
 7月初めに旭岳から御鉢平まで登ってきているので、そこからの風景はほぼ見慣れたものだった。
 白雲岳から眺めた時以上に御鉢平の周囲の雲はその面積を広げつつあるようだ。
 後ろに見えるのも赤岳から白雲岳までで、白雲岳はもう少しで雲の中に呑み込まれそうになっている。
 本当に、この付近の上空にだけ青空が残っているようである。
 これから向かう黒岳も微妙な状況だ。

 北海岳を下っていくと御鉢平の反対側の北鎮岳に目を惹き付けられる。
 山肌に残る雪渓を見て、それが白鳥雪渓として有名なことを思い出した。
 でもその姿は、どう見ても丹頂鶴である。多分、雪渓の溶け具合によって姿が変わっていくのだろう。


北海岳から見る黒岳・凌雲岳
黒岳や凌雲岳が雲に隠されそうだ

白雲岳にも雲が 北鎮岳の雪渓
白雲岳ももう少しで雲に呑み込まれる 北鎮岳の雪渓は丹頂鶴に見える

北海沢 北海沢まで下りてきた。
 沢沿いにはまだエゾノリュウキンカが咲いていて驚かされる。
 沢を流れる水は手が痺れるくらいに冷たい。
 この沢沿いにも素晴らしいお花畑が広がっていた。
 沢を渡って一山越えると、今度は赤石川が眼下に見えてきた。
 赤石川は御鉢平の中が源流で、黒岳の横を流れて層雲峡の紅葉谷へと続いていく。
 大雨や融雪時には増水して徒渉するのに苦労するらしいが、今回は楽に渡ることができた。
 先週末に幾春別川で行われたレスキュークリニックの時に川の中を歩く技術を教えられたことを思い出す。
 でも、もしもこの川が増水していたとしても、その技術はあまり使いたくはないのだ。


北海沢を渡る 赤石川
北海沢を渡る 赤石川を渡るとその先の山が黒岳だ

北海沢のお花畑
北海沢を渡った先のお花畑も素晴らしかった

黒岳石室へ最後の登り 赤石川を渡れば、黒岳石室への最後の登りとなる。
 それ程急な登りでもないのに、昨日の緑岳への登りと同じで、下ってきた後の登りは余計にきつく感じる。
 それでも、目の前に見える岩山まで登らなきゃダメだと思いながら登ってきたら、黒岳石室はその岩山の下にあったので、少しだけ嬉しかった。
 11時40分に黒岳石室に到着。
 4時間のところを結局は5時間以上かかってしまい、荷物を背負うとなかなか予定通りには歩けないことを痛感させられたのである。

 この後、桂月岳にも登るのだけれど、それはキャンプ日記の中で紹介することにする。

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白雲小屋 白雲分岐 白雲岳 白雲分岐 北海岳 北海沢 赤石川 黒岳石室
0:40 0:25 0:25 1:10 1:15 0:10 0:20
距離:9.9km 標高差(最大):400m

GPSトラック 平面図 縦断図 

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