北海道キャンプ場見聞録 夏山歩きの部屋
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北鎮岳・御鉢平一周・黒岳(2011/7/30)縦走三日目

最後が一番きつかった


雲の平を歩く 大雪縦走最終日。朝日を見るために桂月岳に登った後、黒岳から層雲峡に下山する前に、北鎮岳まで足を伸ばすことにする。
 荷物はテン場に置いたまま、飲み水や雨具はかみさんのザックに入れてもらい、私はカメラバックを持つだけ。
 重い荷物さえ背負わなければ、普段のランニングの成果を十分に発揮することができる。
 6時30分、黒岳のテン場を出ると直ぐに雲の平の中に登山道が延びていく。
 傾斜も緩く、北鎮岳の雪渓や周辺の花々を眺めながら、のんびりと歩ける場所だ。
 昨日、北海岳の方から見た雪渓は丹頂鶴に見えていたけれど、こちらからは確かに2羽の鳥が向かい合っているように見える。
 それでもやっぱり白鳥には見えなかった。
チングルマの川 チングルマの群落がまるで川が蛇行するように花を咲かせている。
 つい先日まではそこには雪渓が蛇行しながら残っていたのだろう。
 チシマツガザクラの小さな花にマルハナバチが必死にしがみつきながら密を集めている。
 他にも小さな蜂や蝶が花園中を飛び交い、まさに生命の乱舞を見るようである。
 エゾノツガザクラにアオノツガザクラ、チングルマにエゾコザクラ、縦走初日から何度も目にしている花達だが、その群落が現れる度に感動の声を上げてしまう。
 既に綿毛になってしまったチングルマも、それはそれで美しい。


チングルマ チングルマの綿毛
お花畑を背景に咲くチングルマ 綿毛になったチングルマも可愛らしい

命が乱舞する大雪の花園

 御鉢平展望台の看板が掲げられたところまでやって来た。
 これまでに他の場所から御鉢平の風景を何度も眺めているので「何でここが展望台なの?」と思えてしまう。
 ただ、雲の平を歩いてくるとここで初めて御鉢平の中を見渡せるので、感動も大きいのだろう。
 後ろを振り返ると、黒岳や桂月岳の向こうに北大雪の山も見えてきていた。


御鉢平

北鎮岳を目指す 途中で黒岳石室の管理人さんとすれ違った。
 毎日こうして山を歩いているのだろう。羨ましい限りである。
 「もう少し登ればウサギギクが咲いていますよ!」と教えてくれた。
 「へぇ〜、そうですか!」と言いながら、「どんな花だっけ?」とかみさんと顔を見合わせた。
 目の前に急な雪渓が立ちはだかる。
 7月初め頃には気温が下がって雪渓が凍りつき、滑落する人もいるという話しを聞いていた。
 アイゼン無しで登れるのだろうかと思っていたが、沢山の人が歩いて階段状に踏み跡ができていて、苦労せずに登ることができた。
 その雪渓を過ぎたところでウサギギクらしい花を発見。
 何故か私の場合、黄色の花はあまり好みじゃないので、管理人さんの話を聞いていなければ、そのウサギギクを見ても素通りしていたかもしれない。


雪渓を登る ウサギギク
今時期の雪渓は登りやすい 多分これがウサギギク

 北鎮岳分岐に到着。
 先程まで見えていた北大雪の山は既に雲の中に隠れてしまっていた。
 朝は晴れていても回りから次第に雲が湧き上がってくるのは昨日の天気と同じパターンだった。
 北大雪の山はもっと上に登ってから写そうとも思っていたのだけれど、何となく嫌な予感がしたので、念のために途中で写しておいて正解だった。
北鎮岳山頂から見える愛別岳など 分岐からはガレ場を登ってあっさりと北鎮岳山頂に到着。
 その頂上の向こう側に見えるはずの新しい山々の風景を楽しみにしていたのに、そちら側は既にもう雲の中に隠れてしまっていた。
 黒岳さえも雲に覆われそうになってきている。
 頂上でしばらく待ってみたけれど比布岳と愛別岳が僅かに顔を見せてくれただけだった。
 時間はまだ8時20分。最初は北鎮岳に登るだけのつもりだったけれど、そのまま御鉢平を一周することにした。
 北鎮分岐からは中岳へと下っていく。
 身も軽く、殆ど駆け下りる感じである。
 今日は、知り合いのこうめさんがラン仲間と一緒に御鉢平を走ると聞いていた。
 山の上を走るなんて信じられないと思っていたけれど、こうして自分で駆け下りていると走りたくなる気持ちも何となく分かる気がする。
 中岳から先は一月程前に歩いたばかりだ。
旭岳が正面に見える その時よりも回りに見える雪渓は小さくなり、咲いている花も変わって、また違った風景を楽しめる。
旭岳も雲に隠れ気味だ。
 中岳分岐まで下りてくると、その先は間宮岳への登りに変わる。
 それまで軽快だった足取りも急に重たくなってくる。
 やっぱりここを走って一周するなんて人間業じゃないと思えてきた。

 旭岳の方から登ってきた時は、殆ど平らな場所に立っている間宮岳山頂の標識を見て、「ここって山なの?」って疑問に感じたものだ。
 それが、中岳分岐側から登ってくると、長い坂道に苦労させられただけ有って、山頂に立つ満足感を味わえたのである。
 黒岳が随分と遠くに見える。
 そこから歩いてきて、またそこまで歩いて戻るというのが、自分でも信じられなかった。
 どうも、山の風景のスケール感を今一理解できていないのだろう。


豪快な風景 イワブクロの花
豪快な山の風景の中を歩く 豪快な風景の中に繊細な風景も

御鉢平の風景
今朝歩き始めた黒岳が遙か彼方に見えている

 荒井岳から北海岳までは初めて歩く区間である。
 トムラウシや忠別岳、白雲岳も雲に隠れて、御鉢平側の山しか見ることができない。
北海岳を目指す 北海岳への緩やかな坂を登っていく。
 登るにつれて周りの風景が次々と移り変わり、余計に足取りが進む。
 10時15分、北海岳山頂に到着。
 昨日よりも雲が少なく周りの山々もよく見える。
 でも、黒岳はもう少しで雲海に呑み込まれそうだ。

 北海岳を下っていくと、一目で登山者とは違うタイプに見える人が登ってきた。
 いわゆるトレイルランナーなのだろうか。
 その次にすれ違った男性もランナーに見える。
 「あれ?もしかして!」と思ったら、その後に現れたのはやっぱりこうめさんだった。
 驚いたのは、同じカヌークラブのK鍋さんご夫妻も一緒だったことだ。
 川の上でしか会ったことがないのに、山の上での久しぶりの再会と言うのもおかしなものである。

雪渓に埋もれた北海沢 皆さんと別れて、北海沢まで下ってきた。
 その北海沢に流れ込む小さな沢。
 石室の管理人さんからその沢の水はとても美味しいと聞いていたところだ。
 まだ雪渓に覆われているけれど、管理人さんの話ではその雪渓の陰で○○をした登山者がいるらしい。
 確かにそこには周りから死角になるスペースがありそうだ。
 その事は考えないことにして、火照った体をその沢水で冷やすことにした。
 頭を沢水に付けるとその冷たさで痺れそうになる。
 その後は昨日と同じ風景に再び感動しながら、テン場まで戻る。
 昨日は苦労して登った最後の上り坂も、荷物を背負っていなければ全く苦にならなかった。


こうめさんとバッタリ 美しい沢水でクールダウン
逆回りで走ってきたこうめさんに遭遇 冷たい水が気持ち良い〜
赤石川
御鉢平が水源の赤石川

霧に包まれた黒岳に向かう 5時間程で御鉢平一周から戻ってきた。土曜日の昼ともなると、黒岳石室も随分と賑わってきていた。
 昼食を済ませテントを片付け、再び重たいザックを担ぎ上げる。それでも350mlの缶ビール3本分と2リットルの水の分は、縦走初日よりは確実に軽くなっているはずだ。
 それなのに同じ重さに感じるのは、今までの疲れが軽くなった分を相殺しているのかもしれない。
 12時45分、テン場を後にする。
 黒岳は完全に雲の中に隠れていた。
 周りの景色は何も見えず、岩場の中をゆっくりと一歩一歩登っていく。
 13時10分に黒岳山頂に到着。
 そこの人だかりに驚かされた。山の上でこれだけの人混みを見るのは初めてである。
大混雑の黒岳山頂 上空に青空が少しのぞいていたが、周りの霧が晴れそうな気配もなく、早々に下山することにした。

 後は下るだけと甘く考えていたが、この下りが今回の縦走の中で一番きつかったのである。
 大きな玉石がゴロゴロと転がり、角材を使った階段もその落差が大きい。
 重い荷物を背負っているので一歩一歩下りる度に体重とザックの重さが全て膝にかかってくるのだ。
 膝を痛めないように両方のストックで体を支えながら慎重に下りていく。
 登山道沿いの植生も高山のそれではなく、トリカブトなど頂上直下から森の中の植生の様に変わってきた。
 頂上を挟んだだけでこれだけ違うものなのかと驚いてしまう。
 目立つ花はチシマノキンバイソウ程度で、周りの風景も見えず黙々と下り続けるしかない。


チシマのキンバイソウを楽しみながら下山
斜面にはチシマノキンバイソウが タカネトウチソウ

リフトが目障り 1時間かけてリフト降り場のある7合目まで下りてきた。
 付近では餌付けされたシマリスがチョロチョロと走り回っている。
 ズームレンズを望遠にしなくても、目の前でその姿を撮影できる。
 白雲小屋や桂月岳で苦労してシマリスの写真を撮っていたのは一体何だったのだろうと空しくなってしまう。
 そこで冷えた缶ジュースを飲んでいくらか体力も回復し、確かそこから20分程でロープウェイ駅まで下りられる筈なので、リフトに乗らず歩いて下りることにした。
 しかしそこから先も結構険しい道が続き、結局標準コースタイムの倍の40分もかけてロープウェイ駅へとたどり着いたのである。
 今回のコースを縦走する場合、黒岳を最初に登るか、最後に下るか。
 途中ですれ違った縦走装備の登山者も相当に辛そうだったので、どちらを選択しても楽することはできなそうだ。

縦走三日目の写真 
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黒岳石室 北鎮分岐 北鎮岳 北鎮分岐 中岳分岐 間宮岳 北海岳 北海沢 黒岳石室
1:15 0:20 0:15 0:30 0:15 0:50 0:50 0:20
距離:11.8km 標高差(最大):420m

GPSトラック 平面図 縦断図 

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