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時間に追われて屈斜路湖キャンプ

オートキャンプ屈斜路(10月7日〜8日)

国後島の羅臼山羅臼温泉野営場を出て羅臼の街までやってくると、昨日は見えなかった国後島の姿が海の向こうに浮かんでいた。
その姿をもっと楽しみたくて、望郷の森展望台に寄り道する。
羅臼山や爺々岳など、その姿を間近に見ると、そこへ自由に行き来できないことが本当に残念に感じる。

家から持ってきた薪は、2泊した羅臼の野営場で全て燃やし尽くしてしまったので、どこかで補充しなければならない。
川の様子を見るつもりで忠類川の河口に寄り道すると、そこで一晩分の焚き火用の薪を集めることができた。
海岸からは知床連山が全て一望でき、素晴らしい眺めだった。
もう少し上流の川の様子も見たかったけれど、ちょうどサーモンフィッシングの最盛期で、そんなところをカヌーを積んだ車でウロチョロしていたら白い目で睨まれそうなので、サッサと先に進むことにする。

 
忠類川河口から眺める知床連山
忠類川の河口からは知床連山が一望できる

開陽台の展望台あまりにも良い天気なので開陽台の展望台にも寄り道する。
360度のパノラマが楽しめて、確かに良い眺めだけれど、過去にも訪れたことがあり、何度も来るような場所ではないと実感させられた。
山に登るようになると、こんな中途半端な展望にはあまり興味が湧かなくなっているのかもしれない。

今日の宿泊予定地は和琴半島湖畔キャンプ場を考えていた。
しかし、今日は3連休の真ん中。人気のキャンプ場なのでどれだけ混んでいるかがちょっと心配だった。
午前中の到着ならば、まだ空いているスペースがあるかも知れない。
そんな淡い希望を持ってキャンプ場に到着したが、現実はとっても厳しかった。
湖畔にずらりと隙間なく並んだテント。それでも、入口真正面の湖畔にだけ僅かなスペースが残っていた。
しょうがないのでそこにテントを張ろうと思ってかみさんの様子を窺うと、「こんなところでは絶対にキャンプしたくない」とのこと。
それは私も同じだったので、そのままキャンプ場を出てきてしまった。


開陽台からの展望   開陽台からの展望
開陽台から眺める牧場風景   開陽台から根釧原野を眺める

そんなこともあろうかと、第2候補地としてオートキャンプ屈斜路を考えていた。
ところが、キャンピングガイドを見ると9月末クローズの予定になっている。そんな事態までは想像していなかったので、慌ててキャンプ場に電話すると、この3連休まではオープンしているとのこと。ホッとしてキャンプ場へ向かう。

鹿のフンを避けてテント設営17年ぶりに訪れたオートキャンプ屈斜路は、広々とした場内には先客は誰もいなくて、暖かな日差しが降り注ぎ、とてものどかな雰囲気だった。
びっしりとテントが立ち並び、波立つ湖から冷たい風が吹き付け、寒々とした雰囲気の和琴とは正反対である。
確かに和琴の方は、湖面が凪いでいる時は最高のロケーションを楽しめるけれど、料金自体にそれ程差はなく、片や大混雑、片やキャンパーは我が家だけ。
どうしてこんなに差ができるのか、不思議に感じてしまう。

受付の優しそうなおじさんから「好きなところにテントを張って良いですよ。シカの糞が落ちてるけど、臭いもしないし、汚いものじゃないから」と言われる。
シカの糞を気にするような私達でもないので、「はい、分かりました」と言って、早速サイト選びにとりかかる。
前回ここを訪れた時も確か、予定していたキャンプ場に泊まれず、緊急避難的にここにやって来たはずである。第一候補地になるようなキャンプ場ではないけれど、なかなか良いキャンプ場であることは確かだ。
広々とした場内から一番気に入ったサイトを見つけて、テントの準備をする。
ところが、よく見ると周辺はシカの糞だらけである。
さすがに糞の上に直接テントを張るのは嫌なので、他を探すことにした。
直ぐに他のサイトが見つかるだろうと思ったが、それがどこを見ても、必ずシカの糞が転がっているのである。場内をくまなく歩いても、結局、糞の落ちていない場所はどこにもなかった。
これが、ここのキャンプ場にお客さんが誰もいない理由ではないと思うが、ここにもし普通のキャンパーがやってきたとしたら、テントを張らずに帰ってしまうのは確かだろう。

シュラフを干してからお出かけ最後は諦めて、糞の一番少なそうなところにテントを張ることにした。
こんな時に、焚き火用の火ばさみが役にたってくれる。シカの糞の粒を一つ一つ拾っては、遠くに投げ捨ててようやくそこにテントを設営。
ここでも余計な時間を随分使ってしまった。

湿ったシュラフをテントの中に広げておいて、まずは腹ごしらえをしに行く。
昼食は釧路川沿いに立つ「COVO」という店でスパゲティを食べることにしていた。
キャンプ場からは元来た道を20キロも引き返すことになる。屈斜路湖オートキャンプ場に泊まるのならば、もっと近くの店を探しておけば良かったのだが、何も考えずに予定通りの行動をしてしまう。

私は勝手に、COVOについて隠れカフェ的なイメージを持っていたのだけれど、実際の店は立派な建物で、駐車場にも車が一杯停まっていた。
戸惑いながら店内に入っていくと、テーブルが一つだけ空いていて、その席に案内され、スパゲティを注文する。
ここで何となく嫌な予感がした。一つのテーブルで食事をしている以外、他のお客さんのテーブルの上には何も乗っていないのである。
時間は12時30分なので、他の客は私達とちょっとの差で店に入ったのだろうと解釈する。
注文した品が出てくるまでの間、これからの行動の予定を検討する。
釧路川の源流部を屈斜路湖から美留和橋まで下り、そこから約6キロを走って戻って車を回収する。その後は温泉に入って汗を流す。
その時間配分を考えると、キャンプ場に戻る頃にはもう暗くなってしまう。下手をすると走って戻る頃には日が沈んでしまうかもしれない。
ここにきてようやく、時間が押していることに気が付いた。
しかし注文した品が出てくる気配は一向にない。
30分経過しても、厨房から運ばれてきた食事は2人分だけ。私達の前にまだ4〜5にんは待っているし、何時の間にか入り口には順番待ちのお客さんも並んでいた。
かみさんの話によると、この店はご主人が一人で料理を作っているので時間がかかるらしい。
それにしても、これでは客を待たせすぎるし、そもそも注文時に「少し時間がかかります」と言ってくれれば、その時点でどうするか判断できたのである。
さすがにそれ以上待っていることもできなく、私達の注文した麺はまだ茹でていないとのことなので、一言謝って店を出てきた。
短気な客なら、謝るどころか、怒鳴って出てくるところだろう。
結局、コンビニでおにぎりを買ってそのまま川下りへと向かったのである。

(この後の川下りの様子は川下り日記へ)

川下りを終えて走って戻る川下りを終え、すっかり陽が傾いてきた中、国道243号を走ってスタート地点まで戻る。
その時、背中のザックの中で職場から持たされている携帯電話が鳴り始めた。
私はこれを不幸の電話とも呼んでいる。
まだ一日は終わっていないけれど、今日は本当についていない一日だった気がする。

温泉は屈斜路湖の近くの仁伏温泉へ行く。
屈斜路湖ホテルの日帰り湯を利用しようとしたら、その隣の「玉砂利の湯」の看板を見たかみさんがこちらが良いと言うので、レトロな佇まいの仁伏保養所へと入る。
湯ぶねからザーザーと惜しげもなくお湯が溢れ、昨日の羅臼のホテルとは大違いである。
それに、屈斜路湖に面した洗い場はガラス張りで、波が荒ければ水しぶきがかかるくらいの距離で湖を眺めながら、体を洗うことができる。

キャンプ場に戻ってくる頃には辺りはもうすっかり暗くなっていた。
湖畔近くに一組のキャンパーがいるだけで、場内に他に人影は無し。
焚き火に火を付けて、ビールで乾杯。
今日の夕食もキャンプ初日と同じく、白滝の道の駅で買ってきたマイタケの五目御飯。
焚き火を楽しむ陽が短い今の季節は行動時間も制約されるため、こうしてキャンプしながら移動するのは本当に大変である。
今日は釧路川の川下りをメインにしていたのだから、途中で寄り道などしないで真っ直ぐに釧路川に向かうのが正解だったのである。
と言うよりも、久しぶりの長期?休暇だったので、欲張ってあれもこれもと予定に詰め込んだのが、そもそもの間違いだった気がする。

でも、日が短い分、夜の焚き火を楽しむ時間は十分にある。
この夜は素晴らしい星空も広がっていた。キャンプで見た今年一番の星空と言っても良いだろう。
昼間の慌ただしさも忘れて、吸い込まれそうな星空を見上げて時を過ごす。
隣の森の中からは羅臼の時以上に、オスジカの求愛の鳴き声が頻繁に聞こえてくる。
知床の海岸で拾ってきた薪が全て燃え尽きたところでテントにもぐり込んだ。


キャンプ場の星空
満点の星空を眺めながら夜を過ごす

場内に朝日が射し込む翌朝は再び慌ただしい時間が始まった。
今日は斜里岳の山登りの予定である。登り始めるのは少しでも早い方が良いのだ。
昨日の川下りと違って、下山中に暗くなってしまっては、命にさえかかわってくるのである。

それにしても、これだけ場内が糞だらけなのに、夜中にテントの横を通り過ぎる足音を聞いた以外、ここでエゾシカの姿を見ることは一度もなかった。
羅臼のエゾシカと違って、こちらのエゾシカの方が警戒心が強いのかもしれない。

今日もまた濡れたままのテントを撤収して、斜里岳の登山口へと向けてキャンプ場を後にした。

次の斜里キャンプへ 

前日の羅臼キャンプへ 

この後の斜里岳登山の様子へ 


キャンプ場の前浜   場内の様子
キャンプ場前の湖畔   広々としたキャンプ場の場内


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