北海道キャンプ場見聞録
ヌビナイ川(2017/09/16)
ゴリゴリ川になってしまった
川下り前日にヌビナイ橋から見た川の様子
水不足で下れるかどうかが心配されていたカヌークラブ9月例会のヌビナイ川。
4日前に恵みの雨が降り水位は一気に75センチも増えたが、その翌日には直ぐに50センチ以上減ってしまい、その後も減り続けていた。
そんな水位の変化を見守りながら一喜一憂。
例会前日にも少しだけ雨が降り、水位の減少が止まってくれたのは嬉しかった。
しかし、前日から歴舟入りしてキャンプをする私にとっては、それほど嬉しい雨ではない。
それでも、ヌビナイ橋から見た川の様子は、水も澄み、水量も程々で、翌日の川下りに期待が高まる。
集まったのは31名。
買ったばかりのカナディアンで例会初参加のY川ご夫婦、普段はファルトに乗っているけれど今回はダッキーを借りて川下りにチャレンジするH山ご夫婦と、初心者も二組。
去年の増水後にヌビナイ川を下るのは私も初めてで、一体どうなるのかちょっと不安である。
そうしてやって来た砂防ダム下のスタート地点は、台風以前と何も変わりは無かった。
水も澄んで、水量も何時も下っているのと大して変わりないように見える。
スタート地点の様子は何時もと変わらないように思えたが
上流に砂防ダムが見える
川下りのコンディションとしては申し分なさそうだが、曇り空なのが残念である。
昨日のキャンプは、予定外の雨の中でのテント設営。
今日は晴れる予報だったのに、どんよりとした曇り空。
どうも天気予報通りには、いってくれない。
集合写真を撮ってから、私達は直ぐに下り始める。
人数が多い時は、先頭の方を下る方が楽なのである。
最初の橋を過ぎ左へ曲がった先で、川の流れがこれまでとは変わっていた。
台風前には、玉石がゴロゴロとした浅瀬が続き、最後は「アリー潰しの落ち込み」を下って瀞場へ入るような流れだった。
それが、左岸の崖の下に沿って結構速い流れとなっていたのである。
その途中に倒木の枝が張り出していて、私達は強引にその中をくぐり抜けたけれど、ちょっと嫌らしい倒木である。
そこで、I山さんが川の中に入って、邪魔な枝の処理を始めた。
ところが、生木なので太い枝は簡単には折れない。
そんな様子を見ていて、次々と助っ人が集まってくるが、太い枝は鋸でもなければ処理できそうにない。
これだけ人が集まってくると後へは引けない
最初はI山さん一人で倒木処理を始めたが
ヌビナイ川は、ただでさえ下るのに時間がかかる川である。
それが、スタートしたばかりなのに、この倒木処理にかなりの時間を費やしていた。
無理して処理しなくても、自信がない人にはちょっとだけポーテージしてもらえば、それで済むような状況である。
倒木をロープで引っ張って下るスペースを作った
しかし、ここまできてしまうと後には引けないのだろう。
最後には、ウッチーさんが倒木をロープで引っ張って、その先を別の立木に縛り付け、何とか通り抜けられるだけのスペースを確保した。
そんな努力の甲斐あって、後続のメンバーはそこを快適に下ることができたのである。
その先の「アリー潰しの落ち込み」は、以前とほぼ変わりなく存在していた。
しかも、上流の流れが変わったために、余計に下りづらくなっている。
カナディアン組は諦めてポーテージしたが、カヤックのメンバーは舟に乗ったまま何とか下ることができていた。
アリー潰しの落ち込みはカナディアンでは下れなかった
その次に待ち構えている「正面衝突の瀬」も、見覚えのある風景で直ぐにそれだと分かった。
安心して瀬の中に入ったが、ちょっとだけ様子が違っていた。
流れがまともに正面の岩に向かっていて、大きな玉石が邪魔して横へ逃げるスペースもない。
岩への衝突は避けられないと観念した
「これは絶対に避けられないわ!」
私は瀬の途中で既に観念していた。
かみさんの必死のドローも役に立たず、そのまま岩に激突。
沈はしなくてもカヌーが傷んでしまう。
今回は、エポキシパテで補修してあった場所のパテが剥がれ落ちただけで済んだ。
小回りの利くカヤックでさえ岩に乗り上げたり張り付きかけたりするのだから、カナディアンではどうしようもない。
次々に激突、張り付き、そして沈。
ダッキーを含めて3艇が沈と、ちょっとした沈脱祭りが繰り広げられた。
ここは「正面衝突の瀬」と言うより「激突の瀬」と呼んだ方が似合っていそうだ。
岩へ向かってまっしぐらのY川さんご夫婦
次の瀬の先で再び倒木が川を塞いでいた。
横をギリギリで通り抜けられるけれど、Y川夫婦は手前で上陸させた方が良さそうだ。
Y川夫婦を呼び寄せていると、その後から下ってきた人達も何か危険があるのかと思って次々と上陸してきてしまった。
そのまま下っていったとしても、浅瀬に乗り上げて途中で止まってしまうので、わざわざ手前で上陸する必要もなかったのである。
土砂に埋もれた集いのプールときらer岩
大きな淵になっている「集いのプール」は、土砂に埋もれてしまって見る影もない。
そこにある巨大な「きらer岩」の上には、昔から流木が2本乗っていて、どれだけ増水したらこの流木が流されるのだろうと思って見ていたものである。
それが今回は、更に多くの流木が「きらer岩」の上に積み重なっていた。
この辺りから、今までとは川の様子が少し変わってきていた。
集いのプールの先には、右岸側に今までには無かった楽しく下れる瀬ができていた。
しかし、以前よりも良くなっていたのはここくらいで、その他は以前の方が楽しかったと思われるような変化ばかりである。
気持ち良く下れる瀬がほとんど無くなってしまった
以前も「やけくその瀬」などと命名するくらいに、大きな玉石の間を強引に漕ぎ抜けるような瀬もあったのだが、そんな瀬が更に増えたような気がするのだ。
結構楽しく下れていた「岩乗りの瀬」も今は「やけくその瀬」と化していた。
ここまで下ってきたところでカメラの電池が切れてしまった。
充電するのを忘れていて、おまけに予備の電池もテントの中に置いてきたので、この先写真を撮ることができない。
風景や他のメンバーの様子を撮影しながら下るのも私の楽しみの一つなので、気落ちしてしまう。
ちょっとだけ救いなのは、どんよりとした雲が空を覆い、そのために川の風景も余り見栄えがしないことだった。
これで天気が良くて、目の前にキラキラと輝く清流の風景が広がっていたりしたら、更に落ち込んでいたところである。
やっと渓石橋まで下ってきた。
3キロちょっとの距離を下るのに2時間もかかっていて、先が思いやられる。
渓石橋の下で記念撮影する人達
「ローラー滑り台の瀬」は、大きくは変わっていなかったけれど、最後の方が小さな落ち込みになっていた。
流れを塞ぐ流木
その先で1本の流木が、川を完全に塞ぐ形で引っ掛かっていた。
瀞場に近い流れだったので、カナディアンを持ち上げてその上を超えることができたが、もう少し増水して流れが速くなっていれば、かなり危険な倒木である。
今度は、見たこともない堰堤が現れて驚かされる。
今までは土砂に埋もれていたのが、川底が洗掘されて姿を現したのだろうか。
後で自分のホームページで確認したところ、ここが「壊れた堰堤」として写真入りで紹介されていて、自分の記憶の好い加減さに呆れてしまった。
ただ、その写真と比べると、ここの流れが大きく変わっていることは事実だった。
次第に、座礁してカヌーから降りる回数が増えてきた。
水が少ないのでこうなるのか、それとも流れが変わって座礁するような瀬が増えたのか。
多分、後者の方が正解なのだろう。
惨劇の瀬は流れが変わり新しい落ち込みができていた
数年前に沈脱祭りが繰り広げられた「惨劇の瀬」は、流れが完全に変わっていた。
大きな落ち込みは無くなったけれど、S字にカーブしている流れの途中が落ち込みになっていて、少しトリッキーである。
ここでは、ガンちゃんが何時もの瞬脱の妙技を披露してくれただけで、餌食になった人はいなかった。
その先の「蟻地獄ホール」も全員無事に下って、後はゴールを目指して修行の川下りが続く。
ヌビナイ川のダウンリバーでは、この蟻地獄ホールまでは皆で一緒に下ってくるけれど、そこから先は疲れのために皆無口になって、それぞれのペースで黙々とゴールを目指して漕ぎ続けるのが何時ものパターンである。
尾田橋の上から見下ろした瀬の様子
今回は座礁することも多く、余計に疲れが増幅する。
座礁して苦労している他のメンバーを構っている余裕も無く、ただひたすらゴールを目指して下っていく。
歴舟川本流との合流部まで下ってきた時は、心底ホッとした。
8月に本流を下った時には避けていた尾田橋下の瀬も、今回はチャレンジ。
去年の台風後に初めてここを下った時よりは、素直な瀬になった印象だった。
そうしてようやくキャンプ場前の川原に到着。
水は少なく、人数は多く、そして初心者も入って、下るのに5時間はかかるだろうと覚悟していたが、4時間40分で戻って来られたのはまずまずだった。
台風後に初めて下ったヌビナイ川は、つまらない川に変わってしまったような印象だった。
しかし、もう少し水が増えた時、そして天気が良い時に下ったら、違う印象を受けるかもしれない。
(当日12:00歴舟川水位 尾田観測所 101.91m)