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サンセットサンライズ

日の出岬キャンプ場(6月6日~7日)

クッチャロ湖でのキャンプを終え、ホテル日の出岬で温泉に入り、コムケ国際キャンプ場へ向かう予定が、結局はそのまま日の出岬のキャンプ場に泊まることに。
荷物運びも面倒なので、道路から入って直ぐのところにテントを設営。
他にキャンパーの姿はなく、今の時期は観光客もあまりやってこないので、何処にテントを張っても大して変わりは無いのである。


空いているので テントを張る場所にはこだわらない


おかげで、コムケに行くよりも1時間は早く、風呂上がりのビールにありつけた。

つまみは、雄武町の出塚食品で買ってきた揚げカマボコだ。

一息ついてから、周辺を歩いてみる。
ここに泊まるのは12年ぶり、2回目である。
その時も北オホーツクをウロウロしながらのキャンプだった。

キャンプ場は12年前と何も変わっていなかった。
ただ、トイレだけが新しくなり、何と便器はウオシュレット、手洗いにはハンドドライヤーもあって、身障者用トイレは中に入るだけで自動的に水が流れる。

高規格オートキャンプ場ならばこれくらいの設備はありそうだけれど、ここはごく普通のキャンプ場。
こんな立派なトイレは他では見たことが無い。


ラルーナのある風景にも慣れてきた

総ガラス張りの展望台「ラルーナ」の存在感も相変わらずだ。
初めてこれを見た時は、何となく違和感を感じたけれど、今では日の出岬の風景の一つとして受け入れることができる。

このラルーナの周辺はちょっとした原生花園のようである。
エゾカンゾウにヒオウギアヤメ、センダイハギ、スズランにヒメイズイ。
ミヤマオダマキは、あまり見かけない白い花を付けていた。

変な原生花園に行くよりも、ここの方が花を楽しめる気がする。


ラルーナの建つ岬周辺は原生花園のようだ



日の出岬のモニュメント

珍しい白いミヤマオダマキ



今の時期はセンダイハギの花が盛りである


テントに戻ってきて、またビール。
かみさんが神威岬で採ってきたウドと枝幸のスーパーで買ったアスパラを、かみさんが天ぷらにしてくれる。


夕暮れ迫るキャンプ場

今年はウドの天ぷらを沢山食べたけれど、アスパラの天ぷらを一緒に食べると、やっぱりアスパラの方が遥かに美味しいと、当たり前のことに気が付くのである。

ここのキャンプ場は、その名前の日の出ばかりではなく、海に沈む夕日も楽しめる。
正確に言うと直接海には沈まないのだけれど、その方向に高い山は無く、手前に広がる海を赤く染めながら夕日が沈んでいく。
北オホーツクの中では貴重な海の夕日スポットなのである。

そんな夕日をじっくりと楽しむために、先に夕食を済ませる。
今の時期、日が沈むのは午後7時過ぎなので、そんなに急いで食べる必要もない。



水平線付近に雲が出てきていたので、日が沈む瞬間を見られなくなるのではと心配したが、逆にその雲が素晴らしい演出をしてくれた。
低い雲の中に沈んでしまったように見えた夕日が、その雲の下に再び姿を見せてくれる。


雲の中に隠れてしまいそうな夕日だったが

それが光の屈折の関係なのか、丸いはずの太陽が歪んで見えているのである。
四角い夕日だ。
北海道の厳冬期に道東で四角い朝日が見られるとの話は良く聞くけれど、ここで四角い夕日を見られるとは思ってもいなかった。

サンセットショーを楽しんだ後は焚火タイム。
ウスタイベ千畳岩で拾ってきた流木のおかげで、盛大に燃やすことができる。

暗くなるとラルーナに明かりが灯るはずなのに、今日は暗いままである。
総ガラス張りなので、照明が付くと異様なほどに明るく、前回はその明るさに辟易したものだが、それが付かないとなると何となく寂しく感じてしまう。
もしかしたら、評判が悪くて照明は止めたのかもしれない。


太陽が四角く歪んで見える


星が輝き始めるが、ラルーナの明かりは付かなくても、場内の街灯が明るすぎて、その光を遮らないと星が良く見えない。
せっかくISSが飛んできたのに、街灯の光が入って良い写真が撮れなかった。

明日の天気予報は曇り。
果たして日の出は見られるだろうか。
心配しながら眠りに付いた。


かろうじて日の出に間に合った

人の話し声で目が覚める。時間はまだ午前3時半にもなっていない。
今日の日の出時間は午前4時過ぎのはずなのに随分早いなと思いながら、念のためにスマホで確認すると、日の出時間は何と午前3時42分。
慌てて飛び起きた。

テントの外に出てみると、雲は多いものの日の出は十分に見られそうである。
声の主は、ホテルに泊まっているらしい中華系の観光客だったが、心の中で彼らに感謝した。

昨日の夕日と同じく、水平線から登ってきた朝日は一旦雲の中に入った後、直ぐにまた雲の上に姿を現した。
前回は雲一つない空の下で素晴らしい日の出を見られたけれど、こんな日の出の風景もまた楽しい。


雲の中に隠れてしまいそうな朝日だったが

再び雲の上に姿を現した


近くの漁港から出てきた船が朝日の前を通り過ぎていく。
そんな風景をひとしきり楽しんで、テントに戻る。
今度は焚火の前で朝のコーヒーを味わいながら、次第に高く登っていく朝日を追う。


朝焼けの海を漁船が通り過ぎる



ウニ漁の漁船が出漁していく

朝の光で海面がキラキラと輝き始める頃、漁船が光の中を次々と通り過ぎる。
岬の周辺でウニ漁をする漁船である。

かみさんが漁の様子を眺めていると、漁師さんが手を振ってくれたと嬉しそうだった。

岬にはワラビも生えていて、かみさんがそれを見逃すはずはない。

今日も気温が上がりそうなので、暑くなる前にテントを撤収することに。
午前3時半から起きていたので、朝食を済ませ、撤収を終えてキャンプ場を後にした時は、まだ午前7時だった。


ウニ漁に励む漁船とワラビの収穫に励むかみさん




この後は、滝上で芝桜を見て、浮島湿原に寄り道しながら上川町へ抜ける予定だった。
後で分かったのだけれど、このルートは12年前に日の出岬に泊まった時のルートを、完全に逆から回っていたのである。
私の考えることは、今も昔も大して変わりは無いようである。


渚滑川の流れる錦仙峡

さるる海水浴場、オムサロ原生花園に寄り道しながら、北オホーツクに別れを告げて滝上へと向かう。
私にとっての滝上は、芝桜よりも渚滑川の方に興味が向いてしまう。
渚滑川の流れる錦仙峡は、なかなか素晴らしい渓谷美を楽しめる。
その渓谷の中を歩ける遊歩道が両岸に作られていて、今回は「洛陽の滝」から「水の橋」の間を一回りしてみた。

途中にはキャンプ場もある。
2011年に渚滑川を下った時にここに泊まったことが、懐かしく思い出された。
その頃は、私がカヌークラブの企画係をやっていたので、例会でここまで遠征してきたのだけれど、今ならば多分誰も賛成してくれないだろう。

それにしても滝上は内陸部だけあって、さすがに暑い。
今までは海岸沿いを回っていたので、暑いと言ってもたかが知れていた。
木陰になっている渓谷遊歩道を歩いている間は良かったけれど、駐車場に戻ってくると暑さで頭がくらくらしそうだった。


まだ色鮮やかに咲いている個所もある

その後は滝上公園の芝桜を見に行く。
山の斜面を覆うように咲く芝桜の風景は何処にでもあるので、大した興味も無く、それを見るためだけにここまで来る気にはならなかった。
でも、せっかく花が咲いている時期にここを通るのだから、そのまま通り過ぎるわけにはいかない。

ただ、花はもう終わりかけているみたいだ。
開花期間中は500円の入園料を取られるのだけれど、昨日からは無料で入れるようになっていたのである。
でも、まだ十分に見ごたえがあるくらいに花が咲いていた。
暑さも忘れて山の斜面を登っていく。

上部の方は鮮やかなピンク色に染まっていたが、下の方はその色も霞んできている。
花の間から伸び出しているスギナのせいもあるのだけれど、ピンクの中に緑も混ざって、全体に淡い色合いになっている。
どぎついピンクよりも、私はこの方が好きかもしれない。

周りの観光客で日本語を話している人は一人もいない。
観光バスから降りてきた団体さんはタイ人のようだ。
まるで違う国に来たような錯覚に陥る。


これくらいの柔らかな色合いの方が好きかもしれない


次に向かった浮島湿原。
暑い中を歩くのは嫌だなと思っていたけれど、さすがに山の中は涼しかった。


タケノコを探して下ばかり向いて歩いていた

駐車場から湿原までは約1.6キロ。
遊歩道が整備されていて、その周辺はネマガリタケ(チシマザサ)が密生している。
となると、気になるのはタケノコである。
時期的にまだ少し早いかなと思ったけれど、ところどころで生えてきていた。

それが分かると、目は完全にタケノコ探査モードに変わる。
高低差もそれほどなくて、普通に歩けば20分くらいで湿原まで行けるのに、タケノコが気になってなかなか先に進めない。

途中で水芭蕉が咲いていた。
つい先ほどまで暑さに音を上げていたと言うのに、早春の花が咲いていたのは驚きだった。
それもそのはず、木道沿いには僅かだけれど雪が残っていたのである。


雪解け後間もないらしく水芭蕉が咲いていた

到着した浮島湿原は、如何にもまだ雪が解けたばかりといった風情で、雪につぶされた枯草に覆われていた。
花もまだほとんど咲いていない。
僅かにチングルマとミツバオウレンが咲いているくらいだ。

それでも背の低いアカエゾマツ、点在する池塘と、湿原独特の風景が楽しませてくれる。
ここでは、隣り合っている沼なのに、その水面の高さが全く違っている、ちょっと不思議な光景を楽しめる。
草がまだ伸びていないので、その様子がとても分かりやすい。

湿原を巡る木道はかなり傷んできていて、南沼へ通じる部分は通行止めになっていた。
何とか補修されることを期待したい。


背の低いアカエゾマツと点在する池塘、浮島湿原らしい風景だ


帰り道はすんなりと歩けると思っていたけれど、来る時に取り残したタケノコが目に付いて、結局また同じくらいの時間がかかってしまう。

そして昼食は、上川町のラーメン屋「あさひ」の味噌ラーメン。
天塩のシジミラーメンで始まった今回の旅は、上川ラーメンで締めくくられたのである。


日の出岬キャンプの写真
 


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