北海道キャンプ場見聞録
目指すは北オホーツク
クッチャロ湖畔キャンプ場(6月5日~6日)
金浦原生花園のエゾカンゾウはまだ少ししか咲いていない
オロロンラインを北へ向かって車を走らせる。
天気予報は晴れのはずなのに、霞みのような雲がかかって空は灰色。
熊騒動で話題の利尻島の姿も、霞んでしまって目を凝らさなければその姿を確認できない。
エゾカンゾウの花も咲き始めていた。
ただ、途中で立ち寄った金浦原生花園では、ほとんどがまだ蕾のままで、それらが開き始めるにはもう1週間くらいの日数が必要みたいだ。
今回は、「夏のような暑さが続く札幌を逃げ出し道北の涼しい場所でキャンプしよう」との目論見である。
利尻か焼尻での島キャンプも考えてみたが、日本海側は全体的に風が強そうなので、オホーツクの方に向かうつもりでいた。
昼食は「てしお温泉夕映」のシジミラーメン。
天然シジミが有名な天塩町だけれど、全体の漁獲量自体はそれ程多くはないはずである。
ラーメンの中に入っている小さなシジミの身を残らず食べようとしながら、そんな事を考えていた。
天塩からは、道道84号でオホーツク海へと抜ける。
北海道の観光地は小さなものまで殆ど行き尽くしているので、キャンプなどで何処かへ出かける時は、何処か穴場の場所が無いか調べてみる。
今回それで見つけたのは、クローバーの丘。
そこからの、屈斜路湖の眺めが良いらしい。
名前の様なクローバーはそんなに生えていなかったけれど、眺めはまずまずである。
ただ、曇り空だったのでそれ程見栄えはしない。
そこにあった「幸福の鐘」と名の付いた鐘を思いっきり打ち鳴らす。
「クローバーの丘で幸せの四つ葉のクローバーを見つけ、その鐘を鳴らせば幸せになれる」
まあ、そんなストーリーなのだろう。
目の前の牧草地では堆肥の散布作業が行われているところで、そんなロマンチックな気持ちにはなれないまま、そこを後にした。
クローバーの丘で幸福の鐘を鳴らすかみさん、果たして幸福になれるのか?
そして、ここに来る時に必ず立ち寄るエサヌカ線の直線道路を北上。
ここもやっぱり、青空が広がっていないと、その感動も少し薄れる。
エサヌカ線の風景には青空が似合うのだが
途中でオホーツク海の浜辺へと降りてみる。
北オホーツクのこの付近の海岸は、我が家のお気に入りの場所で、1回は必ず海岸に立たずには気が済まないのだ。
北オホーツクでメノウを探すかみさんの図
メノウも拾えると最近知ったので、ちょっと探してみた。
小砂利でびっしりと埋め尽くされた浜辺でメノウを探し出すのは結構難しいけれど、かみさんはしっかりと3個見つけていた。
私は、メノウじゃないけれど綺麗な石を幾つか拾ってお土産にする。
今回、最初に泊まろうと考えていたのは「さるふつ公園キャンプ場」。
キャンプ場としてはかなりキワモノの部類に入るところだけれど、「そんなキャンプ場の素晴らしさを広くアピールすることこそ私の役割」との変な使命感に燃えて、キャンプ場に到着。
ただひたすらに、だだっ広いだけのキャンプ場。
そんなイメージではいたけれど、実際には直ぐ隣を国道が通り、道の駅などの建物も目の前に。
おまけに暑いし、風も結構吹いている。
寝るためだけに辿り着いたキャンプ場ならば、テントを張ることに全く躊躇いは無いが、今日は日中の数時間、ここでまったりと時間を過ごさなければならない。
さるふつ公園キャンプ場、これだけ見れば最高のキャンプ場に見えるけれど・・・
かみさんが明らかに嫌がっていたので、諦めて札幌を出る時にキャンプ地の候補に入れてあった兜沼公園に向かうことにした。
しかし、10キロほど走ったところで、猿払から向かうのならばクッチャロ湖の方が近いことに気が付いた。
やっぱりクッチャロ湖の風景は落ち着ける
久しぶりに北オホーツクでのキャンプを楽しもうと思っていたのに、ここで兜沼へ行ってしまうと、日本海キャンプに変わってしまう。
途中でUターン。
そんな感じで、ようやくクッチャロ湖畔キャンプ場に辿り着いた時には午後4時半近くになっていたのである。
今の季節は日が長いので、キャンプ場到着がこの時間になっても暗くなるまでにたっぷりと時間がある。
曇り空だけれど、クッチャロ湖が目の前に広がるここのロケーションはやっぱり素晴らしい。
まずは、さるふつ公園道の駅の水槽からすくい上げた1枚200円の活ホタテを焼く。
FBに写真をアップしたら「大きい!」とのコメントを沢山寄せられる。
札幌のスーパーでも200円も出せばこれくらいの大きさのホタテは買えるけれど、やっぱり地元で買うホタテは美味しそうに見えるのである。
水槽からホタテを取り出してくれる
旨そ~!
夕食のバーベキューを食べ終える頃、雲と山との間の僅かな空間から真っ赤な夕陽が少しだけ顔を見せてくれた。
その後は焚火タイムである。
場内にはポツンポツンとテントが張られている。
その殆どが、リタイア生活をしているおじさんだ。
自分もその仲間だけれど、最近の北海道のキャンプ場はこんなキャンパーばかりである。
ワインが空いたところで就寝。
翌朝、目覚めると直ぐにランニング装備に着替える。
今回のキャンプでは、猿払の広大な風景の中を走ってみようと、ランニングの準備をしてきたのである。
ベニヤ原生花園の中を走る
場所は変わったけれど、ここではベニヤ原生花園まで走ってみることにした。
3日前に千歳マラソンを走ってから初めてのランだけれど、その疲れはもう残っていないようだ。
キャンプのついでにこうやって走っていると、地元の空気をより感じられる気がする。
国道からベニヤ原生花園へと通じる道へと入っていくと、道端に雑草のようにワラビが生えていた。
焼尻島でのキャンプの時も、島内を歩いているとそこら中に普通にワラビが生えていたことを思い出す。
ベニヤ原生花園の中を突き抜け、オホーツク海へと出る。
そこからUターン。
ここの原生花園でも、花はあまり咲いていなかった。
6月上旬は原生花園お花を楽しむには少し早すぎるようだ。
海まで出てみる
キャンプ場へと戻ってきた
11.5キロ走って、キャンプ場へと戻ってくる。
ランニング中は雲が多かったのに、いつの間にか青空が広がっていた。
朝食を済ませ、ゆっくりと片付けをする。
最後に、駐車場の横の売店でソフトクリームを買い、湖畔でそれを食べる。
最高の青空が広がった
売店で働いているのは、定年退職後にここが気に入って本州から移住してきたおじさんである。
日本各地からやって来る同じようなリタイア組キャンパーと、ここで色々な話をしながら時間を過ごしているのだろう。
これも、楽しそうなリタイア生活の一つの形である。
通行止めの道路を歩いて神威岬へ向かう
今日はオホーツク海を南下し、最終的にはかみさんの希望するコムケ国際キャンプ場まで行く予定だ。
その途中で最初に立ち寄ったのは、神威岬。
我が家が北オホーツクに来ると必ず立ち寄る場所でもある。
初めてここを訪れたのがいつ頃だったか覚えていないが、その頃は興浜北線の線路が残っていたはずである。
車で向かおうとしたら、落石の恐れがあるとかで道路が通行止めになっていた。
歩いても1.5キロほどの距離なので、通行止めのゲートをくぐって歩いていく。
森の中からエゾハルゼミの合唱が聞こえてくる。
アスファルト舗装の上には、ウニやツブ貝の殻が散らばっていた。
カラスかカモメが食べ散らかしたのだろう。
人間よりも良いものを食っているみたいだ。
灯台まで登ってみる
迫力のある神威岬の姿が次第に近づいてくる様子は、徒歩ならではの楽しみだ。
岬までたどり着くと、荒々しい岩山の途中にへばりつく様に建っている灯台が姿を現す。
この風景も大好きだ。
通行止めゲートの近くに建っていた神威岬の案内看板には「神威岬は日高山脈がオホーツク海へと沈む最北端」と書かれていた。
「何?日高山脈がここまで続いているって?」
そんな事があるわけないと思って後で調べてみたら、地質学的には襟裳岬からこの神威岬まで「日高累層群」と呼ばれる一つの地層が貫いているらしい。
そう思ってこの神威岬を眺めると、この場所がまた特別なものに思えてくる。
ここでかみさんがウドを発見。
少し大きくなり過ぎていたけれど、新芽の部分だけを収穫している。
今日のキャンプで天ぷらにでもするのだろう。
彼女の食材を現地調達する技は、さすがとしか言い様がない。
昔はここを線路が通っていた
これが日高山脈の最北端ともいえるのだ
次に訪れたのがウスタイベ千畳岩。
ここも我が家の好きな場所である。
今回のキャンプ候補地にも入っていたけれど、ここでテントを張るにはまだ時間が早すぎる。
丁度昼になっていたので、近くの枝幸市街地で食事できる店を探したが見つからず。
何となく海鮮系が食べたかったので、結局、スーパーの安い握り寿司を買って、それを千畳岩で食べることにした。
岩だらけの風景の中で咲いているエゾカンゾウなどの花が、一際美しく見える。
手頃な大きさの流木が沢山転がっていたので、今日の焚火用としてそれらを拾い集める。
雄武町の出塚水産で揚げカマボコを購入。
雄武町は毛ガニの産地でもあるけれど、さすがにそれまでは手を出せない。
ウスタイベ千畳岩のキャンプ場も良いところだ
今日はホテル日の出岬で温泉に入ることにしていた。
ここの風呂はオホーツク海の眺めが素晴らしい。
眺めが素晴らしいホテル日の出岬
朝ランでかいた汗をようやく洗い流すことができて、スッキリとした。
日の出岬キャンプ場の様子をチラッと見てから、コムケ湖を目指す。
しかし、時間はもう午後3時を過ぎていた。
コムケ湖のキャンプ場は蚊が多く、テント設営中に刺されそうである。
私の頭の中で、今回のキャンプのテーマは北オホーツクであるとのイメージが出来上がりつつあった。
今日のキャンプが2泊3日の短い旅の最後である。
それならば、コムケのキャンプ場よりも、オホーツク海の風景にどっぷりと浸れる日の出岬のキャンプ場の方が最後を飾るにふさわしい。
そんな思いが強くなり、またしても途中でUターンして、日の出岬へと戻ってくることとなったのである。