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屋久島キャンプ、雨から逃れて西へ

屋久島青少年旅行村(5月21日〜23日)

龍神杉登山を終え、宮之浦の民宿「やくしま89」に宿泊。
翌日もパッとしない天気で、疲れも溜まってきていたので、ここにもう1泊することにした。

この日はバスで一湊の矢筈神社へ参拝し、そのまま一湊の街歩き。(ブログの記事へ
宮之浦ではポツポツと雨も落ちてきそうな天気だったのに、一湊では青空さえ見えていた。

ところが、宮之浦へ戻ってくると相変わらずパッとしない天気。
どうも東風が吹いていると、島の東側に位置する宮之浦は雲に覆われるみたいだ。
明日も同じような天気になりそうなので、この辺りで宮之浦に見切りを付け、島の西側に移動することにした。

自家製の刺身宮之浦へ戻って来た後は、屋久島環境文化村センターの大型映像ホールで屋久島の紹介映像を見る。
これは、民宿永田岳の女将さんにお勧めされていたもので、天気の悪い時に時間をつぶすのにはちょうど良いのだ。

一湊の布引の滝に遠足に来ていた宮之浦小学校の児童達も、偶然同じホールに。
でも、その映画が終わる頃にはほぼ全員が寝ていたのである。

スーパーのヤクデンで買い物をして、民宿の近くの魚屋で刺身を買って、豪華なお造りを肴に金麦で乾杯。
街中の民宿はやっぱり便利なのだ。

雨の宮之浦から脱出翌朝、雨の降る中、8時40分フェリーターミナル始発のバスに乗って、西海岸の青少年旅行村を目指す。
狙い通り、途中から雨も上がった。
ただ、風が強いのがちょっと気になる。

しかしその風も、バスが西海岸の方に回り込むとパタリと止み、道路は乾いていて雨の降った気配も無い。
島の東と西でこれだけ天気が違うのである。

私達の乗ったバスは大川の滝行きなので、青少年旅行村の前でも停まってくれる。
キャンプ場に他のキャンパーの姿は無かった。
島の中ではかなり不便な場所になるので、一般のキャンパーは利用しづらいのだろう。

我が家のサイト主にバンガローが主体のキャンプ場といった感じだが、料金が高すぎて私達の泊まれるようなバンガローではない。
テントサイトは、海岸沿いと栗生川沿いの2箇所に別れていて、私達はやっぱり川を眺められる場所にテントを張ることにする。

一息付いてから、買い出しを兼ねて栗生の集落まで出かける。
キャンプ場から集落の中心部まで約1.5キロ。
ちょっと不便だけれど、何とか我慢できる距離である。
屋久島を縦走しているくせに、たったこれだけの距離を歩くのもやっぱり面倒に感じてしまうのだ。

栗生川の河口近くにメヒルギ(マングローブ)の群生地があるらしいので、ちょっと寄り道してみる。
でも、そこは幼木が植えられているだけで、わざわざ見に行くようなものではなかった。
昔はここには、もっと沢山のメヒルギが群生していたらしい。

ミモザの咲く風景メヒルギよりも、その辺りの砂浜にウミガメの上陸した跡が残っていることに気を惹かれてしまう。
栗生川の河口にある栗生浜海水浴場もウミガメの産卵地らしい。
ウミガメの産卵地として有名な永田浜ではその姿を見られなかったので、できればここで見てみたいものだ。

栗生川の河畔ではミモザが花を咲かせていた。
北海道では見られない花なので、それだけで嬉しくなってしまう。

澄んだ水の流れる栗生川を渡る。
橋の上からウミガメの姿が見えないかと目を凝らすが、見えるわけがなかった。

 
メヒルギ群生地   ミモザの花
ちょっとガッカリしたメヒルギ群生地   北海道では見られないミモザの花

栗生川
美しい栗生川

手打ちそば松竹栗生川を渡ったところにある「手打ちそば松竹」で昼食にする。
ここは前回、レンタカーで島を一周した時に立ち寄った店で、おいしい蕎麦を食べられるのだ。
私は飛び魚の棒寿司のセットを注文。
これまでに食べた唐揚げ、一夜干し、薩摩揚げに加えて、これで一通りの飛び魚料理は制覇である。

食後は直ぐ近くの栗生神社に参拝。
境内にはセンダンやイチョウの巨木があり、楽しめる。
他にガジュマルの巨木もあるらしいのだが、それを見逃したのがちょっと残念だった。

集落の中の小さなスーパーでビールなどを買ってキャンプ場に戻る。
海楽園のキャンプ場のように冷蔵庫がないので、ビールは帰ってから直ぐに飲む分しか買えないのが辛いところだ。
ミニマム装備のキャンプなので、クーラーバックなど持っていないのである。


栗生神社のイチョウ
栗生神社のイチョウの大木

キャンプ場に戻ると直ぐに、ビールを持って海岸へと下りる。
キャンプ場から歩いて直ぐのここの海岸はサゴシ浜と呼ばれ、サンゴの死骸で埋め尽くされているのだ。
前回の島内ドライブ時にもここに立ち寄って、その美しさに感動したものである。

軒下で夕食今回はその風景を眺めながらビールを飲もうと企んでいたのだが、既にビールは生温くなっていた。
それでも、タイドプールの中で泳ぐ色鮮やかな小魚達を観察したり、サンゴの浜で貝殻拾いをしたりと、のんびりとした時間を過ごす。

夕方になるとポツポツと雨が落ちてきた。
管理棟の軒下で夕食にする。

この日は結局、私達の他はソロキャンパー一人だけだった。
テントを叩く雨音を子守歌に夜8時には就寝。
翌朝5時までぐっすりと眠った。
ちょっと疲れ気味なのかもしれない。


サゴシ浜
サゴシ浜でビールを飲む

栗生の朝雲の多い朝だったけれど、朝日の姿だけは見られた。
ここでは山の方から朝日が昇ってくるので、日の出の時間は6時16分。
その頃には朝焼けの色も消えてしまっていた。

この日は、バスで尾之間まで出かけ蛇之口滝ハイキングコースを歩いた。(その時の様子はこちら

帰りのバスの時間を間違えて、歩き終わった後に尾之間で時間を持て余してしまった。
バスの本数が結構あると思っていたら、栗生まで行くバスは13時34分の後は16時21分まで無かったのである。
それが分かっていれば、もっと早い時間から歩き始めて13時34分のバスに乗っていたところである。

しょうがないのでペイタという喫茶店で2時間近く時間をつぶした。
尾之間のAコープで買い出しをして、そのままバスでキャンプ場へと戻る。
夕食メニューさすがに栗生のスーパーよりも品揃えが多く、夕食もここで購入。
クーラーバックは無かったけれど、氷も一緒に買ったので、その氷が溶けきるまでは冷たいビールを飲めるのである。

今日は、この広いキャンプ場にテントを張っているのは私達だけである。
川の対岸では、地元の消防団が訓練をしているようだ。
昨日から、夕方になるとそのかけ声が聞こえてくる。
それだけなら良いけれど、毎日、朝と夕の決まった時間に流れる役場からのお知らせ放送には参ってしまう。
対岸の集落に放送を流すためのスピーカーが、キャンプ場の直ぐ隣に建っているので、もの凄い大音量で場内に響き渡るのである。

今日は満月だったけれど、雲に遮られて月の姿は全く見えない。
でも、満月の夜には上陸してくるウミガメの数も多いと聞いたことがある。
ダメ元で様子を見に行くことにした。

暗闇の中で動く影 昨日足跡を見た場所は遠すぎるので、キャンプ場から歩いて直ぐの川岸に下りてみた。
しかしそこは、サンゴの欠片に覆われたザレ場のような河原である。
そんなところでウミガメが産卵する訳は無く、諦めて帰ろうとした時、かみさんが声をひそめて「いた!いた!」と叫び声を上げた。

まさかと思って声のする方を見たら、何と直ぐ目の前を黒い影が動いていたのである。
慌ててヘッドランプの明かりを消した。
暗闇の中でウミガメの歩く音だけがガサガサと聞こえてくる。
感動の時間だった。
こんなところにまでウミガメが上陸してくるのである。

満月翌朝はまだ暗いうちから起き出して、ウミガメの様子を見に行く。
しかし、そこにウミガメの姿は無かった。
もう海に帰っていったのだろう。

サゴシ浜の方にもいってみると、そこには昨日までは無かったウミガメの足跡がそこら中に残っていた。
やっぱり満月の夜を目指して上陸してくるらしい。

そんな様子に感動していると、かみさんがまたしても「いた!いた!」と小さな叫び声を上げたのである。

生まれて初めて見る、自然のままのウミガメである。
これには本当に感動した。

ちょうど窪地のような場所に迷い込んで、海に戻るのが遅れてしまったのだろう。
岩場に突き当たったり、岩の隙間に挟まりそうになったりしながら、必至に海を目指している。
ウミガメそんな様子を静かに見守りながら、「もしも途中でひっくり返ったら、二人で元に戻せるだろうか」と心配になってくる。

最初にその姿を発見してから20分程経っただろうか。
ようやく波打ち際まで辿り着き、廊下のような細い水路の中を大海原を目指して泳いでいったのである。

お金を払ってまで永田浜のウミガメ観察ツアーに参加する人もいるというのに、私達だけで夜も朝もウミガメの様子を見ることができた。
何て贅沢な話しなのだろう。

地元のおじさんがやって来たので、ウミガメの姿を見られたことを報告する。
そうすると、色々な話しを聞かせてくれた。

キャンプ場へ戻ってテントの片付けをしていると、そのおじさんが屋久島の観光パンフレットをわざわざ持ってきてくれた。
本当に良い人である。


波打ち際まで辿り着いたウミガメ
ようやく波打ち際まで辿り着いた

  海の中を泳ぐウミガメ
砂浜に残されたウミガメの足跡   大海原へと帰っていった

天気予報ではしばらく雨が続きそうなので、この後は安房に移動して民宿に泊まることにした。
バスで安房に移動する前に、大川の滝を見に行く。
安房行きのバスは、大川の滝で折り返して戻ってくるので、その折り返し時間の40分を利用して滝を見られるのだ。

思い出の海岸バスの運転手さんも分かっているので、その間、重たいザックをバスの中に置かせてくれた。
大川の滝はアジア系の観光客に占領されていたので、サッサと写真を撮って、そこから海岸の方へと行ってみる。

3年前の屋久島縦走時、最終日に花山歩道を下りてきてここの海岸に立った時の感動を、もう一度思い出してみたかったのだ。

林の中を抜けていくと、そこには3年前と同じ青い空と青い海が広がっていた。
その風景に満足して、今日の安房の宿へと向かったのである。


大川の滝
見応えはあるけどアジア系観光客だらけの大川の滝


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