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トイレは町まで歴舟キャンプ

カムイコタン公園キャンプ場(5月4日〜6日)

庶野稲荷神社GW5連休の後半は、カヌークラブの仲間と合流して歴舟川やヌビナイ川を下る予定になっていた。
百人浜オートキャンプ場を後にして、今日の集合場所であるカムイコタン公園キャンプ場に向かう。
その途中、えりも町庶野に庶野さくら公園があるのを思い出して寄り道する。

公園の奥に真っ赤な鳥居が印象的な稲荷神社があったので、そこでお参りしてから公園内を散策。
信仰には全く無縁の私達夫婦だけれど、神社仏閣、仏像などは大好きなのである。
旅先で神社を見つければ、とりあえずは手を合わせてみるのだ。

残念ながら公園内のサクラは、殆どが散ってしまっていた。
襟裳と言えば厳しい環境の土地であるとのイメージが有ったが、襟裳岬を除けば意外と温暖な土地なのかもしれない。
それでも、まだ朝早いのにもかかわらず、観光客がちらほらと訪れていた。

 
庶野さくら公園   庶野さくら公園
庶野さくら公園は満開を過ぎていた   葉桜で赤く染まって見える園内

夫婦桜「夫婦桜」の看板にしたがって公園の奥に歩いていくと、立派なサクラの老木が姿を現した。
かなり腐朽が進んでいるようで、いたるところに樹勢回復措置が施されている。
この老木がびっしりと花を咲かせている姿をぜひ見てみたいものだ。

さくら公園を後にして、黄金道路を車を走らせる。
険しい海岸線に作られたこの道路だけれど、今は殆どがトンネル区間に変わってしまって、荒々しい風景を楽しめる場所は僅かしか残っていない。

同じように、積丹のシリパラインとか岩内の雷電海岸とか、交通の安全確保を目的としてトンネル化された場所が多いが、安全と引き換えに素晴らしい自然の景観を見られなくなってしまったのは残念である。

潮の引いた浅い岩場では地元の人たちが出てきて、何かを採っている様子だ。
海草でも採っているのかと思って、カメラの望遠レンズを利用して様子を窺うが、ハッキリとは分からない。
海草といえば、その付近の岩にはフノリがびっしりと付いている。
キャンプの夕食に少し採りたくなるが、多分フノリと言えども漁業権が設定されているはずで、うっかりと採ることはできない。
眺めるだけで我慢して、再び車を走らせる。


黄金道路   潮の引いた磯で収穫中
トンネルだらけになった黄金道路   潮の引いた磯では何かを収穫中

フンベの滝フンベの滝で再び車を停める。
岩から染み出すように幾筋もの水が流れ落ちる美しい滝である。
時間があれば、三脚を使ってスローシャッターで良い写真が撮れそうだったが、ここに来るまでのんびりし過ぎたので、時間の余裕がなくなってきていた。
適当にシャッター切っただけで先を急ぐ。
広尾町のオオバナノエンレイソウ群生地も多分見頃を迎えている頃だが、そちらも諦めるしかなかった。

そして余裕を持って現地に着いたつもりが、既に大方のメンバーは到着していた。
そこでちょっとショックな話しを聞かされる。
ここのキャンプ場自体はまだオープンしていないけれど、道路に接する駐車場のトイレと水飲み台が使えるはずと思っていたのが、そのどちらも閉鎖されたまま。
水もトイレも使えなければどうしようもない。
水もトイレも使えないキャンプ場他のキャンプ場にいくしかないのかと途方にくれていると、228君がバーーべキュー小屋横の散水栓が、元栓を開ければ水が出ることを発見。
後はトイレ問題だが、今日ここに泊まる予定の女性はかみさんを含めて二人だけ。
二人には申し訳ないが、この二人ならば問題ないだろうと、予定通りここでキャンプすることに決まった。

そして、歴舟川上流部の川下りを終えてキャンプ場に戻ってきて、皆で大樹町の銭湯へと向かう。
その前に、散水栓から水を取る為のホースを買わなければならない。
大の大人がぞろぞろと大挙して地元のホームセンターに入っていく。
そうして買ったのものが、切り売りのビニールホース1mだけと言うのも、笑える光景だった。

銭湯から出た後は、再び皆で夕食の買出し。
夕食のメニューはO橋さんの希望により、しゃぶしゃぶでとなる。
しゃぶしゃぶにした理由が「前のキャンプで皆と一緒にしゃぶしゃぶをやったのが楽しかったから」と言うもの。
「初めてのキャンプで皆でカレーを作ったのが楽しかったです」
小学生がそんな話しをするのは良く聞くけれど・・・。
まあ、幾つになっても子供の心を失わないのは、とても素敵なことである。

私達だけ別の買い物をして、皆より遅れてキャンプ場に戻ると、皆、浮かない顔をしていた。
どうしたのかと思ったら、結局散水栓の水は出なくて、O橋さんとI山さんがもう一度ポリタンクを買いに戻ったとの事。
私もポリタンクを持ってきていたので、もう一度大樹町まで戻って、ガソリンスタンドで水を貰ってくることにした。
水だけはいくらあっても困ることはないのだ。

バーベキュー炉の中で流木焚き火その帰りに、公園で簡単に水を汲める場所を見つけておいた。
キャンプ場に戻ってからは、夜から雨が降る予報になっていたので、かみさんと二人で川原で流木拾い。

家から持ってきた薪がまだ殆ど手付かずのまま残っていたけれど、キャンプ場のバーベキュー小屋の中で燃やすには大きすぎるのである。
何時も使っている流木集め用の袋に、大量に流木を拾い集めて戻ってきた

快適なキャンプを楽しむためには、事前準備は欠かせない。
これでようやくビールを飲むことができる。

メインディッシュのしゃぶしゃぶが始まる。
14名で一つの鍋を囲むので大変である。
宴会中自分で入れた肉は箸でしっかりと捕まえていないと、直ぐに横から持っていかれてしまう。
必死になって鍋に手を伸ばしていたため、約2名が近くにあったランタンで服の袖を焦がしてしまった。
さすがに、途中からもう一つ鍋が追加されたが、時既に遅しである。

しゃぶしゃぶが食べ尽くされたところで、今日採ったばかりのネギとコゴミ、昨日我が家が採ってきたタランボをかみさんが天ぷらに揚げてくれる。
今度もまた、天ぷらが揚がるのを待ちきれない人たちが、シェラカップと箸だけ持って、かみさんの後ろにずらりと並ぶ。
次々と箸が伸びてきて、油を切る暇もなく、揚がったものから次々になくなっていく。
その様子からは、それぞれが立派な社会人として働いている大人達だとは、とてもじゃないが想像もつかない。


天ぷらの材料   順番待ち
これが天ぷらの材料   天ぷらが揚がるのを並んで待つ人々

そんな楽しい夜も更けて、テントに入る頃には霧雨が降り始めていた。
翌朝目覚める頃には、夜中にテントを叩いていた雨も上がって、青空も広がり始めていた。
しかし、その次に川を眺めて唖然とした。
昨日流木を拾い集めた川原はすっかり水没してしまい、まっ茶色な濁流に変わっていた。
キャンプ場付近ではそれ程降らなかったのに、山の方は大雨だったらしい。


キャンプ場の朝
天気は良いけれど歴舟川は大増水

コーヒーを一口飲んだ後は、かみさんを乗せて大樹町までドライブ。
朝早かったので、川下りに出かける前に、もう一度大樹町まで出てくることになる。
面倒と言えば面倒だけれど、トイレまで車で10分もかからずに行けるのだから、それ程苦にもならない。

当初の予定ではこの日にヌビナイ川を下ることになっていたが、増水して危険なため、歴舟川本流をキャンプ場から大樹町市街地まで下ることに変更。
この濁流を見て今日は見学することに決めたガンちゃんを、皆で無理矢理川に誘い出す。
そうして、キャンプ場前の河原から増水した歴舟川に漕ぎ出した。(この川下りの様子はこちら

キャンプ場に帰還ちょっとした事件があったものの、距離も短く、流れも速かったので、1時過ぎには川下りを終える。
そのまま皆で忠類村のナウマン温泉に入り、大樹町で買出しをして、キャンプ場に戻ってきても、まだ時間はたっぷりとあった。

クラブでのカヌーキャンプは何時も時間に追われることが多いが、今日は暖かな陽射しの下でのんびりとした時間を楽しむことができた。

昨日から一緒に泊まっていたガンネルズのメンバーは、今日は札内川を下りに行ったので、夕方近くになってからキャンプ場に戻ってきた。

かみさんと二人で、今夜の分の流木集めをする。既に川の水位はかなり下がり、川原も昨日と同じくらいまで広がってきていた。
そしてそこには、増水によって新たに運ばれてきた流木が、沢山転がっている。日中の強い日差しに照らされて、小さな流木はもう完全に乾いていた。
カタクリダムで流れを遮られない川の、これが自然な姿なのである。

川とサイトの間の林間にはカタクリやエゾエンゴサクが可憐な花を咲かせていた。
今回のGW5連休の旅では、キャンプをしていても川を下っていても、何処に行っても美しい花の風景を楽しめたのである。

今日の夕食は、増水した歴舟川で500mも流されたがんちゃんの「肉が喰いたい!」の一言で、焼肉となった。
まだ明るいうちから肉を焼く煙が上がり始め、気が付くと何時の間にか林の向こうに月が上がってきていた。
ガンネルズのメンバーも加わり、キャンプの旅最後の夜も賑やかに更けていった。


キャンプの夜は更ける
空には月や星が輝きキャンプの夜は賑やかに更けていった

丸い月   歴舟川も照らされる
木々の枝越しに丸い月が   神威大橋の照明が川を照らす

そして最終日、朝から空は見事に晴れ上がり、旅の最後を祝ってくれているかのようだ。
トイレタイムで大樹町まで走る途中に見た歴舟川は、昨日までの濁りもすっかり取れて、その向こうにはまだ雪の残る日高山脈の山並みが見えていた。


歴舟川

濁りの取れた歴舟川と日高山脈


キャンプ場でかみさんを降ろして、私はそのままヌビナイ川の様子を見に行く。
今回の5連休、クラブの掲示板で「歴舟川なんかどうですか?」との話題が出ていた。
そこへ「今年はさくらの開花が早いから、ヌビナイ川はこんな様子になっているかも」と、私が一枚の写真を貼り付けたところ、「GWは絶対にヌビナイ川を下ろう!」と一気に盛り上がって、今回のキャンプとなったのである。

桜咲くヌビナイ川8年前の5月19日、川下りとは関係なくヌビナイ川の様子を見に行き、その風景の美しさに感動し、ぜひともこの時期のヌビナイ川を下ってみたいと思っていた。

本当にその時と同じ状態なのか、ちょっと心配もしていたのだ。
しかしそれは杞憂に終わった。

8年前より、新緑は少し濃さを増し、サクラの花は盛りをやや過ぎて、川の水の透明度も劣っていたが、もしも今の様子を始めて見たとしたら、その美しさに感動するのは間違いない。
ようやく8年越しの夢がかなう時がきたのである。

そうして最高のヌビナイ川川下りを楽しみ、スタート地点でタランボも収穫し、キャンプ場へと戻ってきた。
既に片付けてあったキャンプ道具を車に積み込む。
できればキャンプの旅最終日にヌビナイ川を下るのは避けたかった。
激しい流れの中を5時間もかけて下れば、身体は疲労困憊。それから札幌まで帰るのは大変なのである。
でも、楽しく遊んだ後の疲れは、心地良いものでもある。
強風で土ぼこりが舞う十勝平野を、旅の余韻に浸りながら車を走らせた。

歴舟キャンプのアルバム 


美しいヌビナイ川

この川を下ると思うとワクワクしてくる


歴舟川の鯉のぼり   十勝平野の土ぼこり
歴舟川の上で泳ぐ鯉のぼり   十勝平野は強風で土ぼこりが舞い上がっていた


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