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白老川(2022/07/24)

岩避けトレーニングと樽前ガロー

6年ぶりに下る白老川。
橋の左岸側に新たに護岸が作られていて、今までは右岸側に本流が流れていたのが、この護岸工事によって左岸の方にも分流ができていた。
スタート地点の御料地橋水位計が壊れているようで、過去に下った時の水位と比較できないが、見た目は水は少し多めのようだ。

白老川の川下り
私は新しく作られた護岸の前からスタート


他のメンバーは少し上流側からスタートして本流の方を下る。
私はそこまでカヌーを運ぶのが面倒なので、橋の下の分流からスタートした。

白老川の川下り
他のメンバーは御料地橋上流からスタート


以前は橋のすぐ下流に岩盤が露出した瀬が有ったけれど、これも護岸工事の影響なのか埋まってしまっていた。
他のメンバーと合流して下っていく。

ソロで白老川を下るのは初めて。
最後にここを下った6年前は、あまり乗り慣れていないMEで下ったこともあり、沈はするし、川の様相も変わってしまい、この川をカナディアンで下ることはもう無いだろうと思っていた。
それが6年も経つと、喉元過ぎれば熱さ忘れるというやつで再び下ってみる気になったのだ。

白老川の川下り
御料地橋下流にあった剥き出しの岩盤は埋まってしまったようだ


かみさんがカヌーに一緒に乗らなくなったので、ソロで川を下ることに慣れなくてはならない。
特に、流れの中の岩を素早く避けるテクニックはどうしても身につけたい。
白老川を上手く下ることができれば、かなりの自信になることは確かである。
そう考えて今回の川下りに参加していた。

白老川の川下り
岩避けのトレーニングには打って付けの川だ


早速それを試す流れが現れた。
上手く岩をかわしながら下っていくと、最後に流れの真ん中で大きな岩が待ち構えていた。
左岸側には流れの中に倒木が入っている。
余裕を持ってその岩の右側をすり抜けることができた。

白老川の川下り
大岩の左には流木が入っていた


今日の参加者はカヤックが9艇の他に、SUPのNもとさん。
カヤック以外のメンバーがいるのは、舟の種類は違っても何となく心強く感じる。
どんな川でも全く臆することなくチャレンジするNもとさんだけれど、白老川だけは苦手にしているようだ。
確かにフィンの付いているSUPで、岩だらけの急傾斜の瀬を下るのは大変そうだ。
それに、沈しても素早くSUPに這い上がれるNもとさんでも、白老川の瀬で沈するとそれも難しい。
結果的に、体のあちらこちらを岩にぶつけながら流されることになるのだ。

白老川の川下り
SUPで立ったまま下れるような瀬は全く無い


大きな岩が待ち構える瀬まで下ってきた。
その手前で座礁して難儀しているNもとさんを追い越して最後の落ち込みへ。
上手くクリアしたと思ったら、その先のアンダーカットの大岩にぶつかりそうになってヒヤッとする。

白老川の川下り
真っ直ぐに下っていくと正面のアンダーカットの大岩にぶつかってしまう


その大岩の手前のエディでは、さちえちゃんの乗っていたカヤックがグルグルと回っていた。
最後に下ってきたNもとさんは落ち込みで沈して、人間の方は大岩をかわしたけれどSUPが大岩に引っかかりそうになる。
NもとさんとSUPはリーシュで繋がっているので、ヤバいかなと思ったが、リーシュに引っ張られたSUPは大岩から抜け出した。



この大岩の後ろからは下に潜った水が湧き出していて、まともにハマってしまうと厄介なことになりそうだ。
ようやくカヤックを回収したさちえちゃんは、落ち込みの上から再チャレンジして見事にクリア。

白老川の川下り
さちえちゃんの再チャレンジ


そこで、昼の休憩にする。
天気が良ければ、淵が青く染まって美しい場所なのだが、今日は曇っているのでその眺めも今一だ。

白老川の川下り
お昼の休憩


休憩を終えて後半戦のスタート。
岩避けについては、これからが本番のようなものだ。
増水する度に流れが変わる川なので、予想は全く付かないけれど、岩が多くなるのだけは間違いない。

そうしてやって来た岩だらけの瀬。
瀬の途中に大きな岩があって、その岩を回り込まなければ先の様子が全く見えない。

白老川の川下り
岩が邪魔で先の様子が見えない


私の先を下っているカヤックに続いて私も岩を回り込んだ。
瀬の中に下るべきルートが見えていて、先行するカヤックもそのルートを下っていく。

岩と岩の間がちょっとした落ち込みになっているようで、カヤックも大きく煽られている。
でも大きなカナディアンならば特に問題は無さそうだ。

白老川の川下り
この時点で下るルートは見えていた


と思ったけれど、隠れ岩を見逃していた。
その隠れ岩にぶつかった瞬間、カヌーは横向きになって左側の岩にバウが引っかかる。
ここで下手に抵抗すると、バウとスターンが岩に引っかかり上流側に傾いて張り付く最悪の状況を招いてしまう。
そんな考えが頭をよぎり、抵抗しないまま下流側に傾いてカヌーはひっくり返った。

白老川の川下り
隠れ岩にぶつかった瞬間、カヌーはクルリと横向きになってしまった


流されながら、ひっくり返ったカヌーを起こす。
もとに戻ったカヌーは、乗り手を置き去りにしてあっという間に瀬の中を流れていった。

後は流されながら、自分の身を守るだけ。
動画を撮影していたI山さんがロープを投げてくれたようで、私の直ぐ横にロープが着水。
しかし、ここでロープを掴んでも安全に接岸できる場所がない。
それよりもこのままフローティングポジションを維持したまま流される方が安全だと判断して、ロープには頼らないことにした。

白老川の川下り
このロープを掴んでも岩にぶつかるだけ


このまま瀬が終わるまで流されるしかないのかと覚悟を決めた時、さちえちゃんが岸からパドルを差し出してくれているのが見えた。
後で分かったのだけれど、さちえちゃんも沈をして流されていたようだ。
おかげで私は、次の落ち込みに入る寸前でさちえちゃんのパドルに救われたのである。

白老川の川下り
このパドルに救われた


私の舟は対岸に流れ着いていたので、ウッチーのカヤックにつかまって対岸へと渡してもらう。
そこで初めて、パドルも流してしまったことに気がついたが、そのパドルは直ぐに元の岸の途中に引っかかっているのを発見される。
白老川を下るということで念のために用意していた予備パドルが、ここで対岸に渡るのに役に立った。
予備パドルは、カナディアンで川を下る時の必須装備だと改めて認識させられたのである。



こうして一件落着となったけれど、流されている途中にあちこちに体をぶつけたようで痛くてたまらない。
私の後に下ったNもとさんも流されたようで、さちえちゃんとNもとさんと私の3人が、ここの瀬での痛みを共有することとなったのである。

その後も岩だらけの瀬が次々に現れる。
途中で一度だけ座礁したが、ポーテージを強いられる瀬は無かった。
6年前には何度かポーテージもしていたので、やっぱりその時よりは水は多かったのだろう。

白老川の川下り
何処を下れば良いのか途方に暮れそうな瀬


今回の川下りのテーマだった岩避け技術の習得については、一度沈したので納得できるものではなかった。
それでも他に2回位、考えたルートで下れなかった事はあったけれど、少しは自信がついたかもしれない。

白老川の川下り
沈は一度で済んだけれど


最後に下った瀬の写真を撮っていると、沈をしたNもとさんが流されてきた。
カメラを構えながら、思わず「いたた!」と声を出してしまう。

Nもとさんにとって白老川はやっぱり苦手な川のままで終わってしまったようだ。
そんな苦手な白老川なのに、今回も逃げずに参加したのには、別の理由もあったようだ。

白老川の川下り
ここを流されるのも痛そうだ


それは樽前ガローの中を歩くこと。
私が最初に樽前ガローを見たのは2005年、2度めに訪れたのは2018年、いずれも近くでキャンプをするついでに寄り道したもの。
私も初めて樽前ガローを見た時からその中を歩いてみたかったので、直ぐにその企画に飛びついた。
他にも参加希望者があって、白老川を下り終えてから総勢6名で樽前ガローに向かう。

以前はガローの中に降りられた場所が、足場が悪いために立ち入り禁止になっていたので、別の場所から降りることにする。
さすがに立入禁止のロープを跨ぐわけにはいかないのだけれど、私達が降りた場所のほうが足場は悪そうだった。

樽前ガローを遡上
ガローの中に降りていく


函になったガローの中には霧が立ち込め、幻想的な雰囲気である。
そこからNもとさんを先頭にガローの中を遡上していく。
私は上流部から入って下流の方に歩くものだと思っていたが、Nもとさんが言うには沢は遡上するほうが安全なのだそうだ。

樽前ガローを遡上
霧が立ち込めたガローの中は幻想的だ


学生時代は登山のサークルに入っていて、登山の中でも沢登りが好きだというNもとさん。
私達が流れに足を取られそうになる中、スタスタと身軽に歩いていく。

苔生したガローの風景は素晴らしい。
一般の観光客は川沿いの遊歩道や橋の上からこの風景を眺めるしかない。

樽前ガローを遡上
この風景を一般の観光客は見ることができない


物好きな人はガローの中に降りられる場所を見つけて、そこからの風景を楽しむ。
私は、そのレベルである。

Nもとさんは更にそこから川の中を歩くのだが、前に来た時は一人だったので途中で諦めたとのこと。
それが今回は一人じゃないので、嬉々として先頭を進んでいくのだ。

樽前ガローを遡上
先頭を突き進むNもとさん


途中で函から出て、普通の川のような風景に変わったが、それでもNもとさんは進むのを止めない。
その上流には、更に幅が狭まり深さも増した渓谷が続いているので、そこまで行きたいらしい。
私も上流にかかっているガロー橋からその様子を眺めたことがあるので、その気持が分からないでもない。

でも、今日は白老川で流された時にぶつけたお尻や太ももが痛くて、おまけにドライスーツを着ているので川の中は歩きづらいのだ。
Nもとさんは途中で帰りたいと言い始める人が出てくるのも分かっているらしく、その背中からは最後まで行くわよ!オーラが立ち昇り、男たちは黙って付いていくしかない。

そしてようやく、狭くなったガローが現れた。
しかし、そこから先は川もかなり深くなっている。
I山さん以外の男たちに、それ以上進む気力はもう残っていなかった。

樽前ガローを遡上
この先はもう他のメンバーは進めなかった


更に先に進んでいった二人は苦戦しているようだ。
その様子だけでも見てみようと私も川に入ったが、そもそも足が立たない。
「無理無理、絶対無理」直ぐに私は岸に這い上がった。

間もなくして、二人もそれ以上進むのは断念したようで戻ってきた。
そこから先は笹をかき分けてガロー橋まで歩く。
それでも、行ける場所まで行けたNもとさんは満足そうである。
最後にガロー橋から狭まった渓谷を見下ろし、樽前ガローの遡上を締めくくった。

白老川の動画へ
沈した時の動画へ

(当日12:00白老川水位(参考) 大昭和下流観測所:3.10m)



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