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白老川

(御料地橋〜白老浄水場付近)

2日前に千歳川を下り、身も心もリフレッシュ。
気持ちも新たに白老川を下ることができる。
もしもこの千歳川を間に挟まなければ、カヌーシーズンが始まってから、トナシベツ川、支湧別川、ルベシベ川、白老川を連続して下ることになってしまう。
どれもカナディアンカヌーで下るような川では無く、はっきり言って普通ではない。

だからと言って、千歳川を間に挟んで普通になるわけでもない。
それでも、過去2回下ったことのある白老川に悪いイメージは無く、I山さんの強引な誘いにも気軽に乗ってしまった。

かみさんが「白老川ってどんな感じだったっけ」と言うので、2年前に下った時の動画を一緒に鑑賞。
白波の立つ瀬の中で、目の前に迫る岩をギリギリでかわしていく。
それを見て私は、これはちょっときついかなと不安になってきた。
スポーツ選手が絶頂期の自分の映像を見て、今の自分にこれだけのパフォーマンスは無理だと感じるのと同じ心境である。

予想外の良い天気そうして迎えた川下り当日。
集合場所である白老町のローソン前に付くと同時に、頭上に広がっていた雲が消え去り、眩しい夏の陽射しが降り注いできた。
ドライスーツを着るような天気じゃないが、白老川を下るとなると、少々暑くてもドライスーツを着ていた方が安心できる。

皆が揃ったところで車を回送。
これまでゴール地点にしていた場所は、河原が大きく削り取られ、すっかり様変わりしていた。
スタート地点も、橋の下へ下りていく砂利道に大きな溝ができていて、車では入れなくなっていた。
去年か今年に入ってからの大雨で、そうなったのだろう。
これでは川の様子も大きく変わっていそうだ。

御料地橋の下からスタートそれでもスタート地点の御料地橋の下は、何時もと変わらない風景だった。
ちょっとだけ違っていたのは、何時もと違う場所から冷泉が湧き出ていることくらいだった。
もしかしたら、これまで気付かなかっただけなのかもしれない。
こんな温泉成分が川に流れ込んでいるためなのか、白老川の水は美しいコバルトブルーに染まって見えることが多い。

スタートして直ぐの岩盤の浅瀬で、早速苦労させられる。
今日の水量は過去2回と比べて数センチ多いだけで、殆ど変わりは無い。
水が少ないと岩避けに苦労させられるが、水が増えた時のこの川の恐ろしさを考えれば、少々の苦労は我慢するしかない。


白老川を下る
最初から苦労させられる

白老川を下る暫くの間は岩避けに忙しいけれど、特別に難しい流れはない。
気を使うのは周りの舟との間隔くらいである。

カナディアンは足が速いので、普通に下っていても前のカヤックに追い付いてしまう。
そうなると前の様子が見えなくなるので、岩避けのタイミングが遅れてしまうのだ。

それに大きなカナディアンが横向きに座礁してしまうと、後続の舟の進路を塞いでしまうことにもなる。
できれば先頭から2番目くらいで下るのが一番好きなのだが、レスキュー態勢が取れないことを考えると、あまり前の方でも下れない。

ここは下りようがない浅瀬でどうやっても下れないようなところが有って、そこは諦めてポーテージする。
今までは、それなりに下れるルートがあったのだけれど、流れが広がってしまったようだ。

前方に落ち込みが見えてきた。
前回は下見してから下ったことを思い出しながら、皆の後に続いて下り降りた。

ここで昼の休憩をとることにした。
腰掛けるのにちょうど良い岩が有ったので、皆で仲良く並んで腰掛け、それぞれが持ってきたおにぎりやパンを食べる。
目の前の淵はコバルトブルーに染まり、とても美しい。


美しい瀬の前でお昼を食べる
こんな場所で食べるおにぎりはとても美味しい

白老川の風景昼食を終え再び下り始めるが、大きな岩に挟まれたこの付近は、今回下る区間の中では一番美しいところである。

そんな風景に癒された後は、いよいよ核心部へと入ってくる。

流れが一箇所に集まって流速も早くなる。
座礁する心配は無くなるが、大きな岩の落ち込み、流れを塞ぐ大岩と、障害物が次々と現れ、一瞬の間に下るルートを判断しなければならない。

そのために、間隔を開けて下っていたつもりが、前のカヤックが岩に乗り上げ横向きになってしまった。
流れが速く、横に逃げられる場所も無い。
必至になって避けようとした瞬間、波に揉まれるように我が家のカヌーは下流側にひっくり返ってしまった。

一番、沈したくない場所である。
パドルを離してしまったので、上流側に残っているパドルに手を伸ばす。
何とかパドルは確保できたが、そのために後ろ向きになったまま瀬の中を流されるという最悪の状態になってしまった。
普通は下流側を向いて、足を浮かせるように流されるのが鉄則である。

ここを流されてきた背中やお尻に、ゴツンゴツンと岩がぶつかってくる。
途中で何とか身体を反転させることができた。
しかし、目の前には次々に岩や倒木が現れる。
乗り上げた岩にしがみつこうとするが、後ろから流れてきているはずのカヌーが激突してきそうな気がして、諦めて流れ続ける。

そしてようやく安全な場所に這い上がることができた。
後ろを振り返ると、かみさんは既に岸に上がり、我が家のカヌーは大きな岩の横に浮かんでいた。
良く見ると、岩から突き出した倒木にペインターロープが引っ掛かっているみたいだ。

パムさんが自分のライフジャケットにロープを付け安全を確保した上で川に飛び込み、引っ掛かったロープを外してくれる。
こうしてカヌーも無事に回収できたが、バウ部分のデッキの板が外れて無くなっていた。

この後、川を下っている間は何ともなかったけれど、家に帰ってから身体のあちこちが痛くなってきて、流されている間に岩に相当ぶつかっていたみたいだ。
かみさんはそうでも無かったようで、沈して流される時はしっかりとガードポジションを取ることが必要であることを、改めて知ることとなったのである。

瀬が続く白老川体制を立て直して改めて下り始めるが、その瀬はまだ延々と続いていた。
適当なエディが無かったので、そのまま私達だけで下り続ける。
途中でバランスを崩して危うく2度目の沈をするところだったが、何とか立て直して、ようやく瀞場までたどり着けた。

そこから岩の上に登って後方を眺めるが、視界の中は岩だらけで、何処に川が流れているのかも良く分からない状態である。
ここが増水したら、どんな様相になるのか、考えただけで恐ろしくなる。

核心部は殆ど流されただけなので良く分からなかったが、皆の話しを聞いても、「こんなところが有ったっけ?」と言うくらい、川の様子が変わってしまったようだ。
やっぱり、前回下った後に大増水でもあったのだろう。


白老川の瀬
これでも、核心部を過ぎて比較的穏やかになってきた流れだ

白老川を下るその先でも、これまでは比較的楽に下れていたのが、岩だらけになっている場所が何度も現れて、その度に私達のカヌーは座礁してばかりだった。
何せ、巨大な玉石や岩だらけの河原なので、本流がその何処を流れるかで、川の様相はガラリと変わってしまうのだ。

座礁が多いのは舟の影響も有ったかもしれない。
ここをMEで下るのは初めてだったが、MEの場合、バウに座るかみさんとの間隔が狭いので、私はクロスサイドを漕ぐことができないのである。
大体はかみさんに声をかけながら操船できるのだけれど、咄嗟の方向転換が必要な時にクロスを漕げないのは辛いものがある。

その点では、今まで乗っていたフリーダムの方が扱いやすかったのだが、現在は舟底に穴が開いて使用不能状態。
もしもそれを直したとしても、こんな川を下れば、また一発で穴が開いてしまうことだろう。


白老川の瀬
瀬の先には倒木のおまけ付き

一番後ろからゆっくりと下っている時、前方でY須賀さんのOC-1が沈をして、おまけにゲスト参加のI角さんのカヤックが岩に張り付いて取れなくなっていた。
それを見たかみさんが、「ここはもうダメ」と言い始めたので、しょうがなく途中で上陸してポーテージする。

砂岩のシュート白老川で瀬を下らずにポーテージするのも初めての経験。
ここはもうカナディアンで下るような川では無いと思えてきた。

ストレス無く下れたのは、最後の方にあった砂岩のシュートくらいである。
ゴール地点に停めてあった車の姿が見えてきて時は、心底ホッとしたのである。

2016年7月9日 晴れのち曇り 
当日12:00白老川水位(御料地観測所) 95.11m 


白老川の瀬
ここはポーテージしてしまった

白老川を下る
気持ち良いのはこんなところくらい

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