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双珠別岳(2023/03/20)

ザラメシーズンイン

2014年の3月末に一度だけ登ったことのある双珠別岳。
何時も日勝峠界隈の1時間程度で登れるような山ばかり登っていたので、久しぶりに頂上まで3時間くらいかかる山にも登ってみようと双珠別岳に出かけることにした。
登り口の近くに広いパーキングエリアがあるのだけれど、国道沿いの雪がかなり解けていて、笹をかき分けて雪の上に出なければならない。

双珠別岳バックカントリー
ここから登るのはちょっと躊躇われる


そこで泥だらけになるのが嫌だったので、林道入口に車を停めることにした。
双珠別岳に登るためには、ここから林道を1時間くらい歩かなければならない。
適度な傾斜の疎林の斜面を滑れる山なので、この林道歩きさえ無ければ、もっと人気の山になっているだろう。

双珠別岳バックカントリー
林道入口に車2台くらいは停めれそうだ


私は、この林道歩きが全然苦にならない。
街の中で1時間ウォーキングすることを考えれば、美しい森の風景や鳥の囀りを聞きながら豊かな自然の中を歩くのは、天国のようなものである。

午前8時に登り始める。
林道の雪は固く締まって、とても歩きやすい。
今日の帯広の予想最高気温はプラス16℃で、朝7時に家を出る時には既に8℃くらいまで上がっていた。
さすがにここまで登ってくると気温も0℃くらいだが、次第に気温も上がってきて滑る頃には良い感じのザラメ雪になっているはずだ。

双珠別岳バックカントリー
林道歩きも楽しい


林道を歩くにしたがって、国道を走る車の音が次第に遠ざかっていく。
聞こえてくるのは鳥たちの囀りだけだ。
天気も良くて、木々の影が真っ白な林道に模様を描く。

双珠別岳バックカントリー
緩やかな傾斜もあるので帰りは楽だろうと思っていたが


エゾリスの足跡が目に付く。
突然現れる足跡は、木の上から飛び降りたのだろうか。
新しい足跡の先を追っても、その姿は見えない。

双珠別岳バックカントリー
アニマルトラッキング、これはエゾリス


見慣れない鳥が、遠くの林道上を歩いて横切った。
鳩くらいの大きさで、頭の上の毛が立っているように見えた。
「えっ?!ライチョウ?」
近づいていくと突然飛び立って木の中に隠れてしまい、そこには足跡だけが残っていた。
後で図鑑で調べてみると、北海道に生息するエゾライチョウだったようだ。

双珠別岳バックカントリー
アニマルトラッキング、エゾライチョウ?
 

 

小さな沢を何度か超える。
その水音が春を感じさせてくれる。

双珠別岳バックカントリー
春の水音


気温が上がって雪が柔らかくなってくると、シールに雪がくっ付きはじめる。
それを気にしていると、何時の間にか前回の斜面への取り付きポイントを過ぎてしまっていた。
登り始めてからの時間も1時間を少し過ぎている。
この後は、疎林の斜面を登っていけば良いだけなので、何処から取り付いても大した差はない。

双珠別岳バックカントリー
ここから先は何処からでも斜面に取り付けそうだ


南向きの斜面なので、林道よりも更に雪が柔らかくなる。
シールにくっ付く雪も多くなり、まるで高下駄のようになってしまう。
シールワックスを持っていたので、それを塗ると高下駄状態は解消された。

双珠別岳バックカントリー
斜面に取り付いて直ぐは樹木も混んでいたけれど


斜面に取り付いて直ぐは、まだ樹木も混んでいたけれど、間もなくしてダケカンバとアカエゾマツを主体とする疎林に変わっていく。
春の暖かな陽射しを身体全体に浴びながら登っていく。

双珠別岳バックカントリー
良い感じの疎林が広がる


今日は風が強かったが、周りの木々がその風を適度に遮って、心地よい春風に変えてくれる。
その風のおかげで、気温が高い割には汗もあまりかかない。

双珠別岳バックカントリー
心地よい風が吹き抜ける


振り返ると沙流岳が見えていた。
山頂から続く白い谷筋のラインが印象的だが、さすがにここを滑った人の話は聞いたことがない。

双珠別岳バックカントリー
振り返れば沙流岳


日勝ピークもここからだと、堀ゲレンデと呼ばれる斜面が良く見える。
ここは、そのうちに滑ってみたい場所だ。

双珠別岳バックカントリー
日勝ピーク、右側が保津ゲレンデ


  

労山熊見山も見えてくる。
ここまで2時間くらいはかかっているのに、1時間ちょっとで登れる労山熊見山の方が、こちらよりかなり高いのが気に入らない。
まあ、スタート地点の標高がこちらの方が170m近く低いのだから、文句を言ってもしょうがない。

双珠別岳バックカントリー
かなり登ってきたつもりなのに隣の労山熊見山のほうが高く見える


形の良いダケカンバが森林限界の目印になっている。
そこからハイマツが所々に頭を出している斜面を100m近く登れば尾根の上に出てくる。
さすがに尾根の上は風が強い。

双珠別岳バックカントリー
森林限界の境目になるダケカンバ


双珠別岳山頂手前の標高1325mピークまで登ってきた。
ここまでかかった時間は2時間20分。
双珠別岳の山頂は、思っていたよりも遠くに見える。
ここから山頂までの距離は約900m、双珠別岳の標高は1383m。
この強風に晒されながら、そこまで登る気にはなれず、あっさりと山頂を踏むのは諦めた。

双珠別岳バックカントリー
爆風の中を900m先の双珠別岳山頂を目指す気にはなれなかった


ここからでも十勝岳連峰は格好良く見えているし、トマムスキー場やその先の芦別岳、夕張岳も見られたし、それで十分といった感じだ。
ただ、家に帰ってから地図を眺めていて、オダッシュ山が双珠別岳の陰に隠れていたことがわかり、それだけがちょっと心残りだった。

双珠別岳バックカントリー
条件が良ければ隣の狩振山まで足を伸ばしてみたかった


写真を撮り終えたら早々に滑り降りることにする。
気温がまだそんなには上がっていないので、上部の雪はまだザラメにはなっていない。
それでも林間に入ると、期待通りの締まったザラメ雪となる。

双珠別岳バックカントリー
ツリーランが楽しい


今年は黄砂がまだ降っていないので、山の雪も白いままだ。
快適なツリーランを楽しむ。

双珠別岳バックカントリー
黄砂で雪が汚れていないのも良かった


途中、風の当たらない場所で昼食にする。
春の陽射しが心地よい。
お湯を沸かしてコーヒーでも入れたい気分だ。
春スキーの時はお茶セットも用意した方が良さそうだ。

双珠別岳バックカントリー
春の陽射し


下るにしたがってザクザク雪となり、林道が近づく辺りではスキーが引っかかるようになる。
いわゆるストップ雪である。
気温が高くなるのは分かっていたので、湿雪用の赤い固形ワックスを塗っておいたのだが、その効果も殆ど失われてしまったようだ。

双珠別岳バックカントリー
林道に傾斜はあるけれどスキーが全然滑らなくて参った


林道に入ると、更にその状態がひどくなる。
緩い傾斜が続いているので、登りは1時間かかった林道も下りは一気に滑れるだろうと思っていたのだが、その期待は裏切られた。
太ももの筋肉が悲鳴を上げそうになりながら、それでも15分ほどで車まで戻ってくることができた。

翌日は風も弱まる予報で、山に入るのなら1日遅らせた方が良いのは分かっていたが、翌日は侍ジャパンの準決勝。
ここはやっぱりそちらの方が優先なのである。


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