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迷沢山(2022/02/08)

リベンジのはずが返り討ちに

24時間降雪量60cmと過去最多を記録した札幌。
その翌日に素晴らしい青空が広がったけれど、自宅の除雪作業が残っていたし、札幌市内の道路は何処も大渋滞。
登山口の駐車場が除雪されているかも分からないので、その日は出かけるのを諦め、大雪二日後の火曜日に迷沢山に登ることにした。

道路状況もかなり良くなり、登山口の平和の滝駐車場もきれいに除雪されていた。
先客の車は1台だけ。

迷沢山バックカントリー
先客の車は1台だけ


ここの登山口からは手稲山に登る人が多いので、既にしっかりとしたトレースができている。
大体はスノーシューで登っている人達の様だが、今日の先客はスキーで登っているようだ。

この人が迷沢山に向かっているのならば、ラッセルしなくて済むのでありがたい。
あの大雪の後で、ラッセルしながら迷沢山を目指すのは、私達の体力ではほぼ不可能なのである。

迷沢山バックカントリー
登山道にはしっかりとしたトレースがあった


途中、阿部山に向かうトレースもあった。
どんな山なのかは分からないが、山スキーで登るような山ではなさそうだ。

今回の旧送電線ルートで迷沢山を目指すのは11年ぶりになる。
その時は途中で天気が悪くなってきて、迷沢山までは行かずに終わったので、今回はそのリベンジである。

迷沢山バックカントリー
ここから登山道を離れ送電線下の刈り跡を登る


送電線の下までやってきた。
予想以上に滑った跡が多かったので驚かされる。
やっぱり、天気の良かった昨日に登りに来た人がいたのだろう。
スノーブリッジを渡って、送電線下の斜面に取り付く。

迷沢山バックカントリー
送電線の斜面へ行くにはスノーブリッジを渡らなければならない


斜面に見えていたトレースは昨日のもので、雪に埋もれかけたトレースもあって、それは一昨日のもののようだ。

ここの斜面自体は東向きなのだが、うねりが大きくて部分的には南向きになっている。
昨日は一日中陽射しが強かったので、そんな斜面はことごとくサンクラストしていた。

他の部分も、とてもパウダーとは言えないような重たい雪が積もっている。
期待していた状況とは少し違っていた。

迷沢山バックカントリー
昨日のものと思われるトレースは一人分だけだ

 

急斜面を登りきった先には、一人分のトレースしか見当たらない。
この深い雪を一人でラッセルしながら登るのはさぞ大変だったことだろう。

迷沢山バックカントリー
この辺り登り返しもあるので帰りは辛そうだ


そうして苦労して登った割には滑りを楽しんだ様子は見られない。
雪が深すぎるので、斜度の緩い斜面では直滑降でしか滑られないようだ。
直滑降できるのならばまだ良いけれど、途中の斜面では何度か登り返した跡もある。

滑りを楽しめないのならば、せめて風景だけでも楽しみたい。
昨日のようなぶっちぎりの青空ではないけれど、まだ青空も見えている。

迷沢山バックカントリー
下界の風景が見えてくるが、やっぱり鉄塔と送電線が邪魔だ


ここを登っている時に印象的なのは手稲山の後姿である。
手稲区に住んでいると一日に何度も目にする手稲山だけれど、この後姿を見られるのはこのコースを登っている時だけなのだ。

迷沢山バックカントリー
この風景が好きだ


しかし、天気は次第に下り坂となって雪も舞い始め、そんな手稲山の姿も霞んで見えなくなる。
送電線の刈り跡を離れて、トレースは美しい森の中へと入っていく。

迷沢山バックカントリー
ここを滑ると楽しそうだ


急なトレースで行き詰ったかみさんは、自分でラッセルしながら登りはじめた。
私はそのままトレースの中を登り続けたけれど、ラッセルしながら登ってくるかみさんに直ぐに追い付かれてしまう。
ここまで2時間以上、殆ど休まずに登ってきていたので、さすがにパワー切れのようだ。
息切れも酷くなってきて、10歩登っては暫く立ち止まって息を整えなければならない。

迷沢山バックカントリー
ラッセルしながら登っているかみさんと速さは大して変わらない


 

その森を抜けて再び送電線の下へと出てきたところで、そのトレースは突然終わっていた。
ここを目標に登ってきたのか、ここで力尽きたのかは分からないが、ここから送電線の下を滑り降りたようだ。

私達も、雪が降り始めた段階で迷沢山まで登るのは諦めていたので、トレースが終わっていても特に落胆することはなく、「良くここまで頑張ってくれた」とトレースの主に心の中で感謝した。
もう少し登った先に立派なダケカンバの木が見えていたので、今回はそこを最終目的地とすることに決めた。

迷沢山バックカントリー
ここを今日の最終目的地に


そこから先のラッセルは、勿論かみさんの担当である。
そうして登り始めてから2時間45分で、今日の山登りは終了。

その場所の標高は丁度900mだった。
11年前のリベンジをするつもりで登ってきた迷沢山だったけれど、前回はもう少し先の936mの小ピークまで登っていたので、リベンジどころか返り討ちにされた感じである。

迷沢山バックカントリー
形の良いダケカンバだった


そこで一休みしている間に雪の降りは更に強まってきていた。
見通しも悪いので、トレースの主が滑った跡を頼りに滑り降りる。

迷沢山バックカントリー
見通しが悪くなり、困ったのは細かな起伏が分からないことだ


雪はかなり重たく、一度転ぶと起き上がるのも大変そうなので、慎重に滑ることにする。
かなりの急斜面もあるので、かみさんはすっかりビビッてしまい、まともに滑れなくなる。
「何のために登ってきたのか分からない」と文句を言い始める。

迷沢山バックカントリー
一度びびってしまうと何ともない場所も滑られなくなる


それでも何とか滑れていたけれど、下の方まで降りてきて雪質が更に悪くなってくると、もうお手上げである。
怖がって、斜滑降さえできなくなる有様だ。
「もうスキーなんか嫌だ」
最終的な怒りの矛先は、迷沢山に登ることに決めた私に向けられるのである。

迷沢山バックカントリー
もう一息で登山道だ


何とか手稲山の登山道まで滑り降りてきた。
そこからは登りのトレースの中を一気に駐車場まで滑る。

これだけ何の楽しみもなかった山行は久しぶりかもしれない。
自然の中での遊びではたまにはこんな事もあるのだと、自分を納得させるしかなかったのである。



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