トップページ > 山登り > 雪山遊びの部屋

幌加内 坊主山(2018/02/02)

雪が輝く道北の山


後ろに見える長留内岳

朱鞠内湖でワカサギ釣りを楽しんだ翌日は、幌加内市街地近くの坊主山でバックカントリースキー。
冬の幌加内での遊び方としては理想的だとほくそ笑みながら車を走らせ、登山口となる廃棄物処分場へと到着。

除雪作業が行われていたので、その邪魔にならないような場所を探して車を停める。

朱鞠内湖ではマイナス30度近くまで冷え込んでいた気温もマイナス20度まで上がってきていた。
風もなく陽射しがあるので、その気温でも暖かく感じる。

これから登る坊主山は、手前の山に邪魔されて、山頂の姿が見えない。
それよりも、後ろに見えている長留内岳や三頭山の姿の方が格好良い。

雪原の上にトレースが伸びていたので、平日でも結構人が入っているのかなと思ったら、見えていたのは全て動物の歩いたトレースだった。

雪深い幌加内なのでラッセル地獄を覚悟していたが、それほど埋まらないので助かった。
ここでまとまった雪が降ったのは5日前なので、雪も締まってきているのだろう。

森の中に入ってすぐに急登が始まる。
それほど厳しい登りではないけれど、嫌なのは頭上の木の枝に積もった雪である。
派手な雪煙を上げて、その雪が落ちてくる様子も目にしていた。
森の中のいたるところに雪の爆弾が落ちた跡が残っている。
もしもそれに直撃されたとしたら怪我をするのは必至だろう。


こんな爆弾の落ちた跡がそこら中にある

森の木の枝には雪が大量に乗っている

 
今にも落ちてきそうな大きな雪の塊がぶら下がっているところは避けなければならないので、登るルートを決めるのにも結構苦労する。

これでもう少し気温が上がったとしたら、本当に身の危険を感じるだろう。

30分くらいで、先頭をかみさんと交代。
結局、この後は登頂するまでかみさんが先頭でラッセルすることとなる。

50分ほどで尾根の上に出てきた。
木の間に坊主山の山頂らしき姿が見えていた。

山腹の木々は広葉樹なのに、山頂近くになるとそれが針葉樹に変わっている。
雪を被り真っ白になったマツは尖ったクリスマスツリーのようだ。
それが林立する様子はとても印象的な風景である。


 

次第に樹木の間隔も広がってきて、枝からの落雪も気にしないで登れるようなる。
気温が低いので、雪面の氷の結晶も大きくなっているのだろう。
それが太陽の光を受けてキラキラと輝いている。


真っ白な雪面でそれが星のように煌めくのである。
こんなに美しい光景は今までに見たことがない。

木の枝から落ちた小さな雪の塊は、その表面が氷の結晶に覆われ、まるでフワフワした柔らかい毛玉のようである。


標高570m辺りまで登ってくると、尾根の向こうに幌加内の市街地が見えてきた。
坊主山の山頂も、その全貌を現している。

この辺りからは尾根上の平坦な地形となるので、帰りのことを考えると緩やかに登っていくのが理想である。
最初からそれが分かっていればもう少し慎重にルートを考えたのだけれど、どうしても目の前に傾斜があればそこを登ってしまう。
結局、下山時にはここで若干の登り返しとなって、その時になって初めて後悔したのである。


その平坦地を抜けると、いよいよ山頂へ向かっての最後の登りが始まる。
目の前には真っ白いモンスターと化したマツの林が広がる。



写真でしか見たことがないけれど、蔵王の樹氷はこんな感じなのだろう。
このモンスターの間を縫いながら滑り降りることを考えると、ワクワクしてくる。

今日は、私たちより一足早く誰かが坊主山に登頂しているみたいだ。
私たちが苦労してジグを切りながら登っているのに、その誰かのトレースはモンスターの間をほぼ直登していた。

足跡から判断すると2匹のキツネみたいだ。
あまりにも良い天気なので、山の頂上にでも登ってみようとの話にでもなったのだろうか。

そんなトレースを追いながら、私たちも2時間20分で坊主山山頂に到着。
360度の展望が広がっていた。

その中でも三頭山を始めとする天塩山地の山並みが見事である。


そのまま南へと目を転じると遠くに暑寒別岳らしい姿が見える。
幌加内の市街地を通り過ぎ、そのまま東へと向きを変えると大雪山の山並みも見える。
北には犬牛別山の緩やかな稜線が伸びている。
そこまで足を延ばす人もいるみたいだ。
犬牛別山を超えた遠い先にも大きな山が見えている。ピヤシリ山か函岳なのだろうか。


そんな絶景をひとしきり楽しんだ後、下山開始。
南側に丁度良い斜度の開けた斜面が広がっていたので、まずはそこを滑り降りる。

気温はまだマイナス15度くらいはありそうだが、太陽の光をまともに受けているので、雪は少し解けてきていた。
光の春とも言われるくらいに、2月になるとさすがに陽射しは強くなる。
天気の良い時の南斜面では、もうパウダーは期待できないのだ。

途中からモンスターの並ぶ南西斜面へ回り込む。
こちらの方は、パウダーとは言えないもののまだ良い雪だった。

これで楽しい滑りは終わり。
標高差は100m程度だろうか。
カヌークラブのメンバーと一緒だったとしたら、少々不満がこぼれていたかもしれない。
2時間以上かけて登った割には、滑りを楽しめる区間が少ないのだ。
でも、私たちはこんな美しい風景を楽しめただけで十分だった。


その後の緩斜面では僅かな登り返しもあって少々苦労する。
しかし、そこから先で待っていたのは紛れもないパウダースノー。

木々の間を縫いながら滑り降りる。
登る時には気になっていた樹木に積もっている雪も、その下を素早く滑り降りれば危険も少ない。
あっという間に車を停めてある場所までたどり着いた。

帰り道、幌加内の町を過ぎて振り返ると、滑ったばかりの坊主山の姿がくっきりと見えていた。
周囲の山より一際丸く盛り上がり、樹木が疎らなその姿は、まさに坊主山である。


幌加内周辺には他にも、山スキーで楽しめそうな山が沢山ある。
しかも、いずれも標高の低い山ばかりで、楽に登れるのも嬉しいところだ。
これからは、冬の間に幌加内を訪れる機会が増えそうな気がする。



ページトップへ
今週のキャンプの運勢は?