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白樺山(2018/01/20)

Kさんの試練

暫くの間まとまった雪は降っていなくて、札幌からの道中、舗装面が出ていて道路は走りやすい。
ニセコなだれ情報を見てみると、「降雪なし、コース外はトラックだらけでそう良くはないが雪はある」。
気分は盛り上がらないが、晴れていて羊蹄山やニセコ連峰の山々がはっきりと見えているのが救いだった。

しかし、今日の天気は下り坂。
山頂に立つまで、この天気が持ってくれたら良いのだが。

2週間ぶりの新見温泉。
集まったのは10名。
登る山は白樺山だ。

本当は違う山に登る予定だったけれど、久しぶりにKさんが参加できるということで急遽白樺山に変更になったのである。
Kさんは以前に一度だけカヌークラブのバックカントリーツアーに参加したけれど、その時は楽しい思いができなかったらしい。
そのKさんにバックカントリーの楽しさを知ってもらうためには、白樺山が最適だろうと考えたのだ。

私は今日は、そのKさんの見守りも兼ねて、最後尾から写真でも撮りながらのんびりと登ることにする。
少し薄雲が広がってきたけれど、目国内岳の山頂がまだくっきりと見えている。


途中から林道を外れて、スキー場跡の斜面を登っていく。
ニセコの降雪はゼロだったけれど、こちらの方は数センチ程度の雪は降ったみたいだ。
その下の雪も柔らかく、なかなか良いコンディションである。

斜面には4本のトラックがあるだけで、あまり荒らされていなかった。
意外と今日は楽しめるかもしれないと期待に胸がはずむ。

Kさんが次第に遅れ始める。
額からは汗がしたたり落ちていた。
横に避けて、私に「先に行って下さい」と言ってきたが、それは許さない。
ここで一番後ろになってしまうと、ただでさえ皆から離されているのに、一人だけ大きく遅れてしまうのは目に見えているのだ。

それにしても、Kさんがスノーシューで登る姿を後ろから見ていると、無駄な動きが多いのが良くわかる。
これでは疲れるのも無理はない。

その前を登るO橋さんが、一歩一歩ゆっくりと登っているのと比べると、Kさんの方がずーっと歩数が多いのに、スピードは遅いのだ。
「もう少し歩幅を広げて、ゆっくりと登った方が良いですよ」と声をかける。

それに、皆が踏み固めたトレースの中を歩いているのに、ズボズボと埋まりながら歩いているのだ。
これは、歩き方が悪いのか、体重が重すぎるのかはよく分からない。

ようやくスキー場跡を登り終えて一休み。
ここから先、しばらくはダケカンバの森の中をゆったりと登っていく。
私はここの風景が大好きだけれど、Kさんに周りを眺める余裕はあるのだろうか。


若者4人のグループが追い付いてきたので、先に行ってもらうことにした。
でも、彼らよりも、今日ここまで先頭でラッセルしていたF本さんの方が、まだ体力がありそうに見える。
若者グループの最後に付いている男性なんか、Kさんと同じくらいに疲れているようだ。


 

切り株の上に乗っている雪の塊に、誰かが目と口を書いていた。
千と千尋の顔無しに似ている。
次にいたずらされた雪の塊はスライムのようだ。


スライム?

顔無し?


 
樹林帯を抜ける手前で一休み。
ここまでかかった時間は1時間と少々。

残念ながら予報通り天気は下り坂で、雲が広がってきていた。

最後尾を歩くのも飽きてきたので、休憩後は先頭のI山さんの後に続いて登る。
樹林帯を抜けると、目国内岳が再び見えてくるが、山頂には雲がかかり始めていた。
尾根の上に出ると風も強くなってくる。

最初のピークを越える頃には雪も降り始め、見通しも効かなくなってきた。
ここで撤退した方が良いんじゃないかと思えるくらいの、急激な天候の悪化である。

先を登っていた若者グループは、山頂を目指しているようだ。
私たちは予定通り、山頂手前のコルでシールを剥がす。


山頂手前のコルへ

山頂手前のピークめがけて登る


 
外人3人グループが追い付いて来て、そのまま山頂へと登っていく。
私たちはここから南東斜面を滑り降りるのである。

風に吹き飛ばされそうになりながら滑走準備をしていると、再び青空が覗いてきていた。
まずはビデオ撮影のためにI山さんが滑り降りる。

今日の風は南から吹ているので、滑っている間も風に晒されそうだ。
と思っていたが、斜面に入ると風が急に弱まった。
雪も良い。

勿論、ノートラックの斜面である。
滑っていて思わず歓声を上げてしまう。
他のメンバーも気持ち良さそうに滑り降りていく。

斜面はまだ続いている。
ビデオ撮影していたI山さんが、私たちの前を一気に滑り降りていく。



雪が良いのが分かったので、思い切り良く斜面へと突っ込んでいける。

K岡さんもスプレーを巻き上げながら滑っていた。
スキー場のゲレンデでは味わえない快感である。

斜面を下りきったところで昼の休憩。
ここからまた登り返しである。

「えっ?さっきみたいにここをまた登るわけ?」
そういうKさんに、O橋さんが申し訳なさそうに「最初にそれを言っちゃうと、滑っていても楽しくないと思って黙っていたんだよね~」
何という優しさだろう。


F本さんは前回の目国内岳に続いて、皆が休んでいる間に一人でまた登り返していった。
さすがに今回は、かみさんはそれには付いていかなかった。
それでも休憩後は、先頭でラッセルしながらルートを切り開くかみさんであった。

最初の登りではほかのメンバーもKさんのことを気遣っていたが、この登り返しでは誰もそんな気遣いは見せない。
一人取り残されるKさん。
皆が登っている横をF本さんが豪快に滑り降りていったので、一人遅れているKさん後ろから追い立ててくれるだろう。

20分ほどでコルまで登り返した。
再び雲が広がってきて、先ほどより風も強まってきた気がする。
いよいよ本格的に天気が崩れてくるみたいだ。

お帰りルートの方に移動してシールを剥がす。
吹雪の中でこんな作業をしていると、風に飛ばされた粉雪が舞い込んでザックの中があっという間に真っ白になってしまう。
遅れていたK岡さんが、亡霊のように吹雪の中を歩いてきた。
バックカントリーは楽しいけれど、この厳しさもバックカントリーなのである。


F本さんも追いついてきた。
皆の準備が整うのを待っている間に、顔が凍傷になりそうだった。
吹き溜まりもあっという間に大きくなってきて、それをスキーで踏むと簡単に崩れる。
雪山での事故はこんな時に起こるのだろう。

お帰りルートの斜面は上部に亀裂が入っているので途中で止まらないようにとI山さんから注意を受けて順番に滑り降り、斜面の下をトラバースする。
後は森の中を滑っていけば良いだけなのだが、スノーボードはスキーよりも少しだけ苦労する。

O橋さんは慣れているので、皆と一緒に滑っていても、止まる時は皆よりもちょっとだけ高い場所をキープする。
それを知らないKさんは、ついつい下がり過ぎてしまうのである。
そうすると、簡単に登ることができないボードは、皆の滑った跡に戻れなくなる。

一人だけどんどん下がっていき、とうとう行き詰ってしまい、I山さんが救出に向かう。
そんなこともありながら、雪が降り始める中、何とか車まで戻ってくることができた。
足が攣りかけてヨレヨレになったKさんだったけれど、バックカントリーの楽しさを少しだけは感じてくれたみたいで、今回のミッションも成功裏に終わったのである。



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