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富良野岳ジャイアント尾根(2018/01/14)

限界斜度

カヌークラブ新年会の二日目は、前十勝を登る予定だった。
しかし、前日に登った三段山の雪の状態が今一つパッとしなくて、前十勝も同じような状況だと思われ、富良野岳のジャイアント尾根に変更となる。

前日の夜に雪が降り始め皆の期待も膨らんだが、積もったのはせいぜい3センチ程度。
これでは山の状況も大して変わってそうにない。

二日目ともなると参加者も大きく減って、前日から半減の9名。
朝風呂に入ってふやけきっている人達を宿に残し、旧バーデンかみふらの前の駐車スペースへ移動。

8時半と時間が早かったこともあって、停まっている車の台数もまだ少なかった。
最盛期には駐車スペースから車が溢れ出し、路上駐車が問題にもなっているのだ。

そこから見える富良野岳の山頂付近は朝日に照らされていたが、山に邪魔されてその光はまだ私たちのところまでは届いてこない。

富良野岳に向かうためには、まず沢を渡らなければならない。
スノーブリッジができるような沢ではないが、幅30センチほどの細い橋があるので、その上を渡るようになっている。

その橋がもともとあるものなのか、誰かが板を渡してくれたものなのかは分からないが、どうせならばもう少し太い橋を渡して欲しいものである。

上に雪が積もっていて、その上を渡るのは非常にスリリングだ。
皆で協力してスキー板だけを先に渡すが、それでも橋の上を渡るときは冷や汗が出てくる。
おまけにそれが2ヶ所もあるのだ。

最大の難所をクリアした後は、アカエゾマツやダケカンバの美しい森の中を登っていく。

風も吹き込まないのか、しばらくまとまった雪は降っていないはずなのに、木々の枝にはたっぷりと雪が積もったままだ。
森の中に積もっている雪も、ふわふわの正にパウダースノーである。


しかし、今日まで何十人かに踏み固められたようなトレースは、コンクリートみたいに硬く締まっている。
急傾斜の場所やトラバースラインでは、板がスリップするので余計な力が入ってしまう。

標高1250m付近から樹木がまばらになり、やがて森林限界を過ぎる。
登るにしたがって木々の枝は真っ白な樹氷に覆われてくる。

昨日途中まで登った三段山、今日登るはずだった前十勝、更にその先には美瑛富士と、十勝連峰の山々が真っ白な姿を見せている。

背後には広大なアカエゾマツの樹海が広がり、その先には富良野盆地が一望できる。

ジャイアント尾根を登るのはこれが2回目だけれど、初めての時は強風に晒されまわりの風景も全く見えないままに終わっていたのだ。
三段山とは一味違った雄大な風景を満喫できた。


 

樹林帯を抜けても、なかなか朝日が届いてこない。
登っている山の方向から朝日が昇ってくるため、太陽がちょうど隠されてしまうのである。

樹林帯を抜けた後は尾根の上を登っていくのだが、登るにしたがって尾根の幅が狭くなってくる。
そこをジグを切りながら登っていくと、尾根の端の方で転落しそうな恐怖感にとらわれる。

おまけに、雪面も硬くなってスリップしやすくなっているので、余計に怖いのだ。
高所恐怖症の人間にとって、山登りは結構辛いスポーツなのである。

標高1500m付近まで登ってくると、少しだけ平らになっている場所がある。
ここが今回の目的地だった。


ここからは、そのまま登ってきた尾根の上を滑り返したり東側のベベルイ沢へと滑り降りるのが一般的コースらしい。
私たちは、二十二林班沢川の方へ滑り降りた方が雪が良いとの情報を得ていたので、そこから西斜面を滑ることにした。

そこには、樹木もまばらでノートラックの素晴らしい斜面が広がっていた。
しかし、傾斜がかなりきつい。

かみさんは滑る前からビビッていた。
雪が良ければ思いっきりいけそうだけれど、滑ってみないとどんな雪質なのか分からない。


急斜面にビビってしまう


試しに少し滑ってみたけれど、ビビッているので後傾になってしまって、直ぐに尻餅をついてしまう。
I上さん、T山さん、F本さんは急斜面などものともせず、あっと言う間に斜面の下へと消えていった。

華麗な滑りを見せていた弁天さんも、重たい雪に板をとられて転倒。
それを見たら、もう完全にビビッてしまった。

平らな雪面に見えていても、場所によって急に雪質の変わるところがある。
今日は滑りを楽しむのは諦めることにした。



沢の下まで滑り降りてしまうと何処かで登り返すことになるので、標高1300m辺りからジャイアント尾根に向かってトラバースしていく。

木々の間を縫いながら歩いていると、突然ポカリと空いた場所に出てきた。

日が当たっていて雪も柔らかく、ここの斜面を見逃すわけには行かない。

後のことは考えずに、皆で滑り降りる。
ここでようやく気持ちよく滑ることができた気がする。



楽しんだ後は、森の中をひたすら平行移動。
時々、登りのトレースや滑り降りた跡を横切るが、そこを滑り降りてもどこに出るか分からないので、我慢して歩き続ける。

そうしてようやく自分たちの登りのトレースまで戻ってきた。

後はそのトレースに従って滑り降りるだけ。
最後の沢の横断も、登りの時よりも安心して渡れる。

もしも失敗して水の中に落ちたとしても直ぐに車まで戻れるのだ。

こうしてカヌークラブの新年会が終了。
滑りは楽しめなかったけれど、天気に恵まれ雄大な山の景観を楽しめた2日間だった。




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