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白樺山(2017/03/25)

春山のパウダー

札幌は季節外れの大雪が降っていたというのに、ニセコの積雪はゼロ。
それでも、新見温泉まで登ってきたら、3センチくらいの湿った雪が積もっていた。


青空が広がってきた

今シーズン4回目の新見温泉、今回は目国内岳に登る予定だった。
それが現地に着いたI上さんが、「白樺山の北斜面はどうだろう。いや、やっぱり目国内の北斜面も良いかも。」などと言い始める。

まあ確かに、この時期に少しでも良い雪を滑ろうと思ったら、北斜面に行くしかないのだ。

白樺山に初めて登った時も、最初は北斜面を滑る予定だったのが、そこに辿り着く前に良い斜面を見つけて、その斜面ばかり滑っていたのだ。

とりあえず、途中まで登ってからどちらに向かうか決めることにする。

朝のうちは雲が多かったのに、急速に青空が広がりつつあった。
天気予報では夕方頃から晴れることになっていたので、予想外の好天にテンションが上がってくる。


3月の強い陽射しが照りつける

暫く登ったところでI山さん「白樺山と目国内岳とどちらにしましょう?」
「え?、え~っ!」
白樺山に向かう何時ものルートで登っていたので、当然白樺山を目指しているのだと思ったら、まだ決めていなかったらしい。

その辺りからでも前目国内岳の麓を経由して目国内岳に向かうこともできるが、新見の沢川を渡るルートよりはかなりの遠回りである。
「ここまで来たら、白樺山に登りましょう」と、そのまま白樺山に向かうことにしたが、しっかりと計画しているようで意外とおおざっぱなのが、私達のツアーの何時ものパターンなのである。

昆布岳を眺めながら途中で一休み。
陽射しが強くて暑いくらいだ。
朝の天気を見て、温かい飲み物しかザックに入れてこなかったが、これならばもう1本冷たい飲み物を持ってきた方が良かったみたいだ。
もしもこれで目国内岳を目指していたとしたら、途中で飲み物が切れていたかもしれない。


眺めの良いところで一休み、昆布岳の尖った姿が後ろに見えている



まだ霧氷が残っていた

森林限界を抜ける。
尾根の途中にポツポツと生えるダケカンバが、枝先まで真っ白な霧氷に覆われていた。
こんなに陽射しが強いのに、霧氷がまだ残っているのは意外だった。

今シーズンの過去2回、南東斜面を滑った時のドロップポイントまでやって来た。
するとI上さん、「雪が悪くなる前に、ここを1本滑っておきますか」

I山さんも、I上さんがそう言い始めることは予想していたようだ。
気持ち良く滑れそうな斜面を見ると黙ってはいられないI上さんなのである。

私達の前に登っていった大人数のパーティーは目国内岳に向かったようで、今日白樺山に登っているのは私達のパーティーだけみたいだ。
当然、目の前にはノートラックの斜面が広がっている。

勝手知ったる斜面なので、各々が自分の好きなラインで滑り降りていく。
強い陽射しに照らされた雪はさすがに溶けてきていたが、ターンするのに全く支障はない。
最高の1本を楽しんだ。


暖かな陽射しを浴びながら一休み

気持ちの良い1本


 


尾根の向こうには積丹半島の山々が見える

一休みしてから登り返す。
北斜面を滑るため、白樺山の山頂を目指す。

尾根の上を歩いていると、積丹半島の真っ白な山々が良く見える。
そこに広がる真っ青な海。

岩内の街周辺は、既に積雪も無くなったようで茶色い大地が広がっていた。

そうして12時10分に白樺山山頂に到着。
今シーズン、3回目にして初めての山頂である。
過去2回は、天気が悪かったこともあり、山頂を目指そうなんて気持ちは全く湧いてこなかったのだ。

私達のツアーは、山頂を踏むことよりも、パウダーを滑ることが主目的なので、天気が悪い時にわざわざ山頂まで登ることは殆ど無い。
でも、今日の天気ならば、北斜面が目的ではなかったとしても、迷い無く山頂を目指していただろう。

前目国内岳とその奥に見える目国内岳、そしてその隣の岩内岳。
前目国内の名前は、白樺山から眺めた時の位置関係で付けられたものじゃないかと思えてしまう。


白樺山山頂から眺める目国内岳や岩内岳


ニセコ連峰のチセヌプリやイワオヌプリは、ここではシャクナゲ岳の後ろにちょこっと頭を出しているだけで、存在感が薄い。
遠くには噴火湾と駒ヶ岳も見えていた。
360度の絶景が広がっていた。

皆で記念撮影してから北斜面へと滑り降りる。


山頂で記念撮影


しかし、今回のメンバーで北斜面を滑ったことのある人は誰も居ないのだ。
まずは、隣のピークとの間のコルまで滑り降りて様子を見る。


I上さんが滑る様子を皆で見守る

風で雪が飛ばされ、斜面はガリガリだった。
まずはI上さんが滑り降りるのを皆で見守る。
次にI山さんが違うラインで滑り降りる。

上の方の雪は硬そうだけれど、少し降りれば大丈夫そうだ。
それを確認して次は私が滑り降りる。

「あれ?何だこの雪は?パウダーじゃないの!」
何時もならば途中で止まって後続メンバーの写真を撮るのだが、あまりにも気持ちが良すぎて、ビデオを構えているI山さんの隣を通り過ぎ、そのまま一気に下まで降りてしまった。

3月も下旬、おまけにこの強い陽射しの中で、信じられない様なパウダーが残っていたのである。
誰が言い出したのかは分からないが、ここをもう1本滑ろうとの話しに反対する人は誰もいなかった。


3月末なのにパウダーが舞い上がる

登り返している途中、I上さんが「向こうの斜面が良さそうだ!」と言って、先頭で猛然と登っていく。
帰りのことを考えると、I上さんが向かっているのとは反対側の斜面を滑った方が、もう一度登り返す時の距離が短くなる。
しかし、そんな些細なことはI上さんの頭の中には、全く思い浮かびもしないのだろう。
ただひたすら、「どのラインで滑り降りるのが一番気持ち良いか」、それしか考えてないのは明白である。

そして滑った今日の3本目も最高だった。
下まで滑り降りてきたところで、I上さんが「さあ、これからどうやって戻れば良いんだ?」
一応は、帰りのことも少しは頭にあったみたいだ。

I山さんが先頭で、登り返す。
途中から白樺山の山頂を巻くようにトラバースしていけば、尾根の途中で出られるはずである。

その途中にも、ノートラックの気持ちの良さそうな斜面が現れる。
I上さんが何時、「ここも1本滑りましょう!」と言い始めるのじゃないかと冷や冷やしていたが、さすがのI上さんももう1回シールを張り直す元気は無かったみたいだ。

I山さんの絶妙なルート取りで、尾根のちょうど良い場所に出てきた。
そこでシールを剥がし、本日最後の4本目を滑ることになる。


最後の滑走準備


降りるのは、1本目に滑った時よりも新見温泉寄りの南東斜面。
ただ、その斜面は両側に雪庇が発達していて、斜面の途中には大きな亀裂も入っていた。


本日最後の4本目

一ヶ所だけ雪庇のない場所があり、そこからI上さんがドロップイン。
そのラインしか安全に滑れる場所は無さそうなので、その上を私も滑り降りる。
想像以上に重たい雪に変わっていて、そこで2度も転倒してしまった。

駐車場まで戻ってくると、そこには私達の車しか残っていなかった。
身体は疲れ切っていたけれど、思う存分に遊んだ充実感は最高だった。

多分これが今シーズンのパウダー納めになるのだろう。
15回の山行。
天気は、吹雪の日もあれば今日の様な青空の日もあったが、全てにおいて最高の仲間と最高の山スキーを楽しめたことは間違いない。




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