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海別岳(2017/03/01)

初めての冬山単独行


朝焼けの海別岳

道東キャンプに合わせて企画した海別岳の登山は、初めての単独行となった。

前日に登山口の確認をするが、雪山ガイドに載っているT字路までは除雪されていなくて、隠れパン屋さんのメーメーベーカリーから直ぐ先の除雪終点が一番近そうだった。

朝6時前に宿泊先の清里イーハトーヴユースホステルを出る。
これから向かう海別岳の上空が、朝焼けに赤く染まっていた。

6時55分に除雪終点を出発。
そこからはスノーモービルやスノーシューのトレースが続いていたが、スキーのトレースらしきものは見当たらない。
デコボコしていて歩きづらいトレースだ。


海別岳の山頂から登る朝日

海別岳の山頂から朝日が昇ってきた。
明日からは崩れる予報になっているが、何とか今日の間は天気が持ってくれそうだ。

30分でT字路までやって来た。
距離で1.9キロ、標高差で100m、スタート地点に着いたところで既に疲れている。
ここから海別岳山頂までのコースタイムは4時間50分。
そこを4時間もかからずに登れるだろうと根拠のない自信はあったけれど、それも何となく覚束ない。

鹿避けの柵を過ぎた後、雪山ガイドでは十二線川沿いに登るルートが紹介されている。
事前にネットで調べたルートでは、そのまま尾根沿いに登るものが多かったので、私もそのルートをGPSに登録してあった。


カラマツ林の間を真っ直ぐに登っていく

カラマツ林の中にスノーモービルのトレースが続いていて、その横には埋もれかけたスキーのトレースも残っていた。
GPSのルートとも合っていたので、それを頼りに登っていくことにした。

途中で林道を横切る。
林道には雪上車が走ったような跡が残っていた。

スキーのトレースは見失ったが、GPSのルートにしたがって林道を横切り森の中へと入っていく。
暫くすると再び雪上車の跡に合流した。
その跡は大体同じ方向に向かっていたので、雪上車の跡を歩いて行くことにする。
デコボコしているけれど、自分でラッセルするよりは楽なのである。

そのうちに、スキーのトレースもその直ぐ横に現れホッとした。
雪上車は何処に向かっているのか分からないので、さすがにその跡を追うのは不安なのである。


樹林帯に行く手を阻まれる

やがて雪上車の跡は明らかに違う方向に向かっていたので跡を追うのを止める。
登り始めてから既に1時間以上経過していたので、そこで少し休憩する。

スキーのトレースを再び見失ったので、GPSを頼りに登っていく。
518mの小ピークは北側を巻くようになっていたが、樹木が混んできて行く手を遮られる。
帰りのことを考えると下りたくないので、上へと進む。
これが間違いだった。
途中で完全に前に進めなくなり、途中まで引き返して、諦めて少し下に降りる。

そこをようやく脱して、ダケカンバやアカエゾマツの森の中へと入ってく。
再びスキーのトレースも見つけて、そこから先はそのトレースに従うことにした。

傾斜は殆ど無くなり、アップダウンも多くなる。帰りはこの辺りはシールを貼った方が楽かもしれない。


木々の間からようやく海別岳の姿が見えてきた

スキーのトレースはGPSのルートから大きく離れ始めた。
基本的には、今いる尾根の上を登っていけば問題は無いのだけれど、何となく不安になる。

途中でスノーモービルのトレースと交差した。スノーモービルはGPSルートの方に向かっている。
どちらのトレースを追うかで迷ったが、やっぱりスキーのトレースを頼りにすることにした。

木々の間から海別岳の山頂らしき姿が見えてきた。
森林限界を抜けると風が強そうなので、森の中にいる間に2度目の休憩をとる。
ここまで2時間半近くかかっている。
標高はまだ640m位で、まだまだ先は長い。

森林限界を抜けると目の前に真っ白な雪面が広がっていた。
そのずっと先には、海別岳の山頂の姿。


どれが海別岳山頂なのか分からない


しかし、山頂の手前に偽ピークがあるはずなので、どれが本当の山頂なのか分からない。
右側の方にも山頂らしきピークが見えているが、もしもそれが海別岳山頂だとしたら、あまりにも遠すぎる。

スキーのトレースは消えてしまったが、ここまで来れば雲に覆われない限り迷う心配は無い。
後ろを振り返ると、流氷の浮かぶオホーツク海が一望できた。
ここ数日の風向きが悪かったのか、流氷の大部分は岸から離れてしまっていた。


オホーツク海の流氷は岸から離れてしまっていた



斜里岳が美しい

斜里岳の姿も右手に見えてきた。
冬の海別岳の姿を見ると、そこに登りたくなるが、斜里岳の方は険しすぎて全くそんな気は起こらない。

心配していた雪質も、所々ウィンドクラストしているけれど、概ね柔らかい。
それに、ジグを切らずに直登出来る斜度なのが嬉しい。

今日、海別岳に登っているのは多分私一人である。
巨大な山塊の中にたった一人。
もっと険しい山だったら、不安に耐えきれず、途中で撤退していたことだろう。

ただ黙々と登り続ける。
特に難所もなく、この先は体力勝負である。


偽ピーク直下の斜面

しかし、その勝負の先行きが何となく怪しくなってきた。
予想以上に時間がかかりすぎている。

何処までスキーで登るかも問題だった。
雪は相変わらず柔らかいが、1155mの小ピーク近くはかなりデコボコしていそうだ。
そこで1100m付近でスノーシューに履き替えることにした。

ここまでで4時間近く、20分ほど休憩して最後の登り。
小ピークまではあっさり登れたけれど、その先がきつかった。
傾斜は急になり、足元の雪も柔らかいまま。
一歩一歩足が埋まり、これならばアイスバーンの方が楽に登れそうだ。

数歩歩いては立ち止まり、それを何度も繰り返すうちに、少しずつ高度が上がる。
そうしてついに偽ピークの上まで登ってきた。
その瞬間に目に飛び込んできた光景に圧倒される。


偽ピークから眺める知床半島


真正面に見える知床連山、それを挟むように広がるオホーツク海と根室海峡。
オホーツク海の流氷は根室海峡にまで流れ込んでいる。
そしてその先の国後島。
見事な風景の広がりだった。

海別岳の山頂の姿も、そこで初めて確認できた。
しかしそこまで行くつもりは全くない。
時計は既に12時を回り、更に行動を続けるには時間が遅すぎた。
それよりも既に体力の限界に達していたのである。


偽ピークから見える海別岳山頂


偽ピークからの展望をたっぷりと楽しんでから下山開始。
スノーシューでの下山も結構足に堪える。
これだけ雪が柔らかければ、山頂直下までスキーを履いたまま登って来れたかもしれない。


下山開始

スキーをデポしたところまで降りてきて、履き替える。
後は流氷の海に向かって一気に滑り降りるだけ。
と思ったが、登りとスノーシューの下山とで、既に足はガクガク。
滑りを楽しむ気力も残っていなかった。

それに所々に吹きだまりもあるので、無理して滑ると転倒の恐れもある。
単独行で怪我でもしたら誰も助けてくれない。
そう考えると慎重に滑り降りるしかなかった。

林間まで降りてくると、気温も上げって雪も溶けてきていた。
今度は、重たい雪と密集した樹木に苦労しながら滑り降りる。
500mlのお茶も飲み干し、最後はボロボロになって車まで戻って来た。

それでも、一人で海別岳を登り終えた満足感は、これまでに無く大きなものだったのである。


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