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我が家のファミリー通信 No.65

2015京都紅葉の旅最終日


京都の旅最終日は昨日に続いて快晴の朝だった。
今日の目的地は伏見稲荷大社。
人気の観光地で土曜日ということもあり、早朝から参拝しようと、Googleマップでバスと電車の時間を確認してホテルを出た。
今回の旅で大活躍してくれたGoogleマップの経路検索だったけれど、今朝は京都駅での乗り換えに時間がかかり、予定した電車に乗れずに20分後の電車になってしまった。
慣れない京都駅で、おまけに乗り場も一番遠くては、猛ダッシュしでもなければ6分での乗り換えは不可能である。

伏見稲荷駅前から続く参道それでも朝の7時半には稲荷駅に到着。
駅から出ると、直ぐ目の前から稲荷大社の参道が始まる。
朝日はまだ稲荷山の陰に隠れたままだが、一緒の電車に乗ってきた結構な数の観光客が既に参道を歩いている。

その集団をやり過ごすように、少し遅れ気味に歩いて、まずは本殿に参拝する。
鍵と玉をそれぞれ咥えた一対の狛狐が出迎えてくれる。

伏見稲荷は12年前にも訪れていたが、伏見稲荷だけはもう一度行きたいとの私の希望を聞いてもらったのだ。
何で伏見稲荷が好きなのかと問われると、自分でも良く分からないが、とにかくこの狛狐と千本鳥居がお気に入りなのである。


伏見稲荷大社狛狐 伏見稲荷大社狛狐
稲穂をくわえた狛狐

玉をくわえた狛狐


伏見稲荷大社千本鳥居狛犬の写真を撮りながら参拝を済ませ、次はいよいよ千本鳥居の中を歩く。
隙間無く立ち並んだ千本鳥居の中はまだ薄暗く、スローシャッターになってしまうので、手振れしないように一生懸命カメラを構える。

嬉しくて、歩きながら何枚も写真を撮ってしまう。
でも、千本鳥居の中では何処で撮っても同じような写真にしかならないのである。
時間が早いおかげで観光客の姿も疎らだが、それでも他の人間が写らない様なタイミングでシャッターを切るのは難しい。

千本鳥居を抜けると奥社の奉拝所があり、その近くに「おもかる石」がある。
前回はその存在に気付かずに通り過ぎていた所だ。

おもかる石 石灯篭の笠部分の石を持ち上げ、自分で考えていた以上に軽く感じれば願いが叶うと言われている。
白装束に身を固めたおばさんが、ジャラジャラと大きな音を立てて賽銭を投げ込み、ひじを真っ直ぐに伸ばして見事な拍手を打ち、石を持ち上げていた。

その姿に圧倒されながら、私もやってみた。
その石はとても重たくて、これを軽く感じるためには、巨大な鉄の塊を持ち上げるイメージで臨まなければダメだろう。
重たく感じた場合は願いは叶わないらしいが、私は願い事をするのを忘れていたので、影響はなさそうだ。

ここから先が私の好きな千本鳥居となる。
これまでの部分は、言わば観光客向けの千本鳥居である。
鳥居の間隔も狭く、廊下を歩いている気分にしかならない。
この先は、一つ一つの鳥居にそれぞれの奉納者の願いが込められているような感があり、その下を歩いているだけで厳かな気持ちにさせられる。


伏見稲荷千本鳥居 伏見稲荷千本鳥居
延々と続く千本鳥居 中を歩いていると厳粛な気持ちになってくる

お塚群そして所々にまとまってある、おびただしい数の石の祠。
それぞれに朱塗りの鳥居が立てられ、狛狐も置かれている。
その光景は千本鳥居よりも強烈で、まさに霊気が漂っている雰囲気だ。

石の祠は「お塚」と呼ばれていて、稲荷神を信仰する人達が私的な守護神として奉納したものらしい。
ロウソクが灯っているお塚もあり、ここが深い信仰の場であることを感じさせられる。

更に登っていくと新池という池があり、その池のほとりに熊鷹社がある。
薄暗い中に蝋燭が灯る様子は、本当に霊気を感じてしまう。
前回は時間が無くて、心残りだったけれど、熊鷹社から引き返すこととなった。
今回はその時のリベンジで、稲荷山の山頂まで歩くつもりである。


伏見稲荷大社熊鷹社
冷気漂う熊鷹社

千本鳥居そこから先は急な階段が続き、その周りにも途切れることなく鳥居が立ち並んでいる。
ようやくここまで日が射してきて、鳥居を照らす。
そうすると朱塗りの鳥居が更に鮮やかな色に変わる。

鳥居の裏には奉納者の名前と年月が書かれているが、殆んどが平成の年号の鳥居である。
石造りの鳥居は明治の年号が入っているが、昭和の年号の鳥居は滅多に見られない。
木製の鳥居なので昭和の時代に立てられたものは残っていないのだろうか、などとかみさんと話しながら登っていくうちに四ツ辻に到着。

そこには素晴らしい展望が広がっていた。
登山者風の姿の人も休んでいて、ちょっとした軽登山みたいなものである。

四ツ辻四ツ辻からは、稲荷山をぐるりと一回りするお山めぐりの道が続いている。
その道を右回りで回るか、左回りで回るか、何か決まりがあるのだろうかと思ったが、どちらに向かっても矢印が出ていた。

左回りは登り階段で始まり、右回りは下り階段で始まる。
「まだ元気なうちに登っておこう」と左回りを選んだが、良く考えればそれだと疲れてから最後に階段を登る事になる。
まあ、同じ場所に戻ってくるのだから、どちら回りでも大して関係ないのである。

しいて言えば、順に三ノ峰、間ノ峰、二ノ峰、一ノ峰と続いている左周りの方が参拝順としては良いのかもしれない。
しかし、一ノ峰が稲荷山の山頂となるのだが、ひたすら登りが続いているのだ。

最初は、この稲荷山を一回りするルートは登山道のような道なのかと考えていた。
しかし、この道も全て千本鳥居が立ち並び、これまでの参道と全く替わりはなかったのである。

お山めぐり千本鳥居それぞれの峰ごとに違う神様を祭った社があり、その周りには無数のお塚が立ち並んでいる。
茶屋もあって一休みする事もできる。
千本鳥居のトンネルを抜けると、突然そんな場所に出てくるのだ。

お塚を守っている狐も、それぞれ表情が違っていたり、狐ではなく普通の狛犬があったりと、見ていても飽きることが無い。

そして何故か猫も多いのである。
霊気さえ感じるお塚群の中で、ニャ〜と鳴きながら猫が歩いているのも面白い。

延々と上り坂が続くが、一ノ峰までの登りが一番きつかった。
ここで始めて体が汗ばんでくる。
山頂の一ノ峰は鳥居を抜けると突然現れる。
山頂だけあって、他の峰よりも日当たりが良くて明るく、千本鳥居のトンネルの出口に見える光は神々しくさえある。
そこも他と同じくお塚がびっしりと並び、何とも賑やかな山頂だった。


二ノ峰中社 三ノ峰のお塚
二ノ峰の中之社 三ノ峰のお塚

お塚を守る狛狐 狛猫?
狛狐 狛猫?

そこを過ぎると今度は下り坂がひたすら続いている。
ここの道も京都一周トレイルの一部になっているようだ。
お山めぐりトレイルといえば現れるのが、今流行のトレイルランナー。
トレイルとは言っても、ここはあくまでも参詣道である。
そこを走るのってどうなのかなと疑問に思ってしまう。


一ノ峰からは一気に下っていく。 下るにしたがって、周りは杉木立に囲まれ薄暗くなってくる。
そんな場所に、御剱社や薬力社などの社にお塚群があり、薄暗い分、更に霊気も強くなる気がする。

薬力社の奥には薬力の滝と名の付いた行場もあった。


薬力の滝
トンネルの中を走るのはなかなか新鮮だった

鳥居を担ぐ人途中で鳥居の大きな柱を肩に担いで登ってくる人とすれ違った。
奉納された鳥居はこうして人力で一つ一つ立て込まれるのだろう。
なかなか大変な仕事である。

立派な狛馬がいたり、口から水を吐く狐がいたりと、歩いていても飽きることが無い。
できればそれぞれの由来等を詳しく知れば、もっと楽しめそうだ。

後から調べてみると、この辺り御膳谷と呼ばれ、三つの峰の渓谷がここに集まり、一ノ峰、二ノ峰、三ノ峰を拝する特別な場所とのこと。
どうりで、お山めぐりの中でもこの付近の霊気が一番強かったわけである。


御膳谷のお塚群
霊気漂う御膳谷付近

最後に登り階段を上がって四辻へと戻ってきた。
さすがに朝のときよりも人が増えて賑わっていた。
その賑わいから逃げるように四辻の最後の道へと歩みを進めた。
そこを降りていくと東福寺や泉涌寺に出る事ができる。
東福寺は紅葉で名を知られている寺なので、今日辺りは大変な人出になっていそうだ。
そこで以前にも訪れている東福寺はパスして、まだ行ったことのない泉涌寺を目指すことにした。
泉涌寺までの道は、そのまま京都一周トレイルのコースにもなっている。

五社之瀧住宅街まで降りてきて、途中でふと横を向くと、路地の突き当たりに趣のある鳥居が見えた。
行ってみると五社之瀧と書かれている。
鳥居の先は谷になっていて、そこに行者が修行する声が響いていた。
観光客が立ち入るような雰囲気の場所でもなかったので、上から写真だけ撮って早々に外へ出た。
さすがに京都は奥が深い。

この日はお山めぐりにどれくらいの時間がかかるか見当がつかなかったので、山から下りた後の行動についてはあまり深く考えていなかった。
泉涌寺に着いた頃には午前10時になっていた。
重文に指定されている仏殿に入ってみたけれど、それ程面白くもなく、御座所庭園はこの日は閉園。

今熊野観音寺近くの今熊野観音寺付近の紅葉が綺麗だったので近くまで行ってみたが、そろそろ帰りの飛行機も気にしなければならない時間。
今回の京都紅葉の旅はこの辺で終わりにして京都駅まで戻ることにした。

早めに京都駅まで戻ったのは正解で、観光客でごった返す京都駅では昼になれば食事をする店も大混雑なのである。

特急はるかで関空に行き、帰りの飛行機はピーチ。
お土産で膨らんだザックもノーチェックだった。

これでしばらくは京都を訪れることもないだろうと思ったが、退職後は時間もたっぷりある。
ウィークリーマンションを利用して、大好きな京都をじっくりと見て回るのも良いかもしれない、なんて思い始めていたりするのである。

京都旅行最終日の写真 


京都駅 ピーチ
京都駅で昼食 ピーチに乗って帰途につく

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