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我が家のファミリー通信 No.65

2015京都紅葉の旅二日目


西本願寺に寄り道夜中から降り始めた雨が翌朝になってもまだ降り続いていた。
傘を差してホテルを出、近くのロイヤルホストで朝食を食べる。
西本願寺に寄り道しながら京都駅まで歩き、そこからJRで長岡京へと向かう。

最初の目的地は、長岡京の紅葉の名所光明寺である。
今日はここから徐々に北上し、洛西の紅葉スポットを見て回る計画だった。
長岡京駅からバスに乗る。
京都市内から外れ、まだ朝も早い時間帯。他の観光客は居ないだろうと思っていたが、数名のグループが後からバスに乗り込んできた。

話す言葉は中国語である。
京都の中国人観光客の多さは話しに聞いていたし、昨日も嫌と言うほど中国人の姿を目にしていた。
開門前の行列やたらに大声で話していたり、出入り口や通路の真ん中で通行の邪魔をしている人間が居れば、それは必ず中国人なのである。
いけないことだとは思っていても、そんな姿ばかり目にしていると、次第に中国人を蔑視してしまうのはしょうがない。

光明寺の開門は午前9時。
10分前に着いてしまったが、既に駐車場には大型バスが1台停まっていて、そこから観光客の集団がぞろぞろと降りてきていた。
予想外の展開に驚いてしまう。おまけにその集団がまた中国人なのである。
どうやら、秋の京都を甘く見ていたようだ。

傘を差さなくても歩けるくらいに雨は小降りになっていた。
総門をくぐると、モミジの名所として知られている「もみじ参道」が左手に見えていた。
しかし、お寺の案内係らしい女性が、団体の列を表参道の階段へと誘導している。
光明寺もみじ参道その女性に聞いてみたが、どうやら参拝ルートが決まっているらしい。
しょうがないので、紅葉の写真を撮りながら中国人団体と一緒に表参道の階段を登っていく。

階段を登り終わると、その団体は建物の中へと入っていく様子だったので、私達は先にもみじ参道を見ることにした。
そこには素晴らしい風景が広がっていた。
参道を真っ赤に染める散紅葉。
そしてトンネルのように頭上を覆う色取り取りのモミジ。
圧巻である。

向かいからは、バスに同乗していた中国人のグループが歩いてきていた。
彼らには順路など関係ないらしい。


光明寺もみじ参道
素晴らしいもみじ参道の紅葉

もみじここの紅葉も例年よりは遅れ気味のようで、まだ色付き始めたばかりのモミジもある。
その葉の上に真っ赤な散りモミジが混ざり、これもまた印象的な風景を作っていた。

もみじ参道を楽しんだ後に、団体客のいなくなった御影堂や釈迦堂前の信楽庭などをゆっくりと見て回った。

この次に向かうのは大原野神社。
交通の便が良くないので、移動はタクシーを使う。
周辺に畑が広がるのどかな風景の中を走っていくと、山の直ぐ麓に大原野神社の鳥居が立っていた。

タクシーから降りると強風が吹きつけてきた。
雨も上がって天気も回復してくるだろうと思っていたのに、細かな霧雨まで降っている。
テンションも下がり気味だ。

大原野神社さすがにここには中国人の姿は無かった。
私達の後から日本人の少人数の団体が参拝しに来ていたが、それ以外に観光客の姿は見かけなかった。
人気の紅葉スポットだと思っていたが、そうでもないらしい。
やっぱり、交通の便が悪いからなのだろう。
帰りのバスも1時間に1本しかないのである。

参道に入ると、周りの木々が風を遮ってくれる。
光明寺ほどではないけれど、参道を赤く染める散り紅葉や周りのモミジの紅葉が、朱塗りの鳥居や灯篭と相まって、神社らしい紅葉風景を醸し出していた。
ただ、「オッ」と声をあげる様な風景は参道の特定の場所から眺めた一シーンだけで、全体としては期待外れな感じだった。


大原野神社
散り紅葉の美しい大原野神社の参道

大原野神社の狛鹿その中で目を惹いたのは、一対の狛犬ならぬ狛鹿である。
同社の春日神の使いが鹿であることに因んでいるらしい。

隣の勝持寺の紅葉も美しいと聞いていたので、足を運んでみる。
大原野神社から勝持寺への近道は杉林の中の薄暗い道で、強風で揺られた杉から時々枯れ枝が落ちてくるので、足早に通り過ぎる。
竹林の中に伸びる勝持寺の参道らしき道に出てきた。
時計を見るとバスの時間も迫ってきている。
それに乗り遅れると次のバスは1時間後しかないし、タクシーが走っているような場所でもない。
迷った末に、勝持寺は諦める事にした。

そこから戻る途中、濡れた石段で滑り、一瞬身体が宙に浮くような派手な転び方をしてしまった。
右の二の腕を擦り剥き、左手の骨折した中指を突き指し、背骨を打撲。
もしもザックを背負っていなかったら、背骨に重大なダメージを受けていたかもしれない。


勝持寺参道と山門 勝持寺山門
勝持寺の参道は美しい竹林に囲まれている 勝持寺の山門、この下で転んだ

次の目的地は地蔵院。
近くには有名な苔寺や人気の鈴虫寺(華厳寺)もある。
苔寺は事前に申し込まなければ参拝できないし、鈴虫寺は坊さんの漫談の様な説法を無理矢理聞かされるみたいで、ネット上での評判もあまり良くない。

地蔵院への道果たして、地蔵院だけを見るためにここまで足を運ぶ価値はあるのだろうか。
大原野神社が期待外れで、天気もパッとせず、ちょっと迷っていたが、時間の余裕もありそうなので、予定通り地蔵寺へ向かうことにした。

バスと電車を乗り継ぎ、阪急嵐山線の上桂駅で下車。
駅舎の隣の蕎麦屋で腹を満たせてから、徒歩で地蔵院へ向かう。

住宅地の中を抜けて辿り着いた地蔵院の境内は、私たちの他に参拝者の姿も無く、ひっそりと静まりかえっていた。
大原野であれだけ強く吹いていた風も、この付近では殆んど吹いていない。
竹の寺とも呼ばれているだけあって、参道の両側には美しい竹林が広がる。
その竹林の中にヒヨドリの鋭い鳴き声が響き渡る。

竹林と紅葉の美しい地蔵院淡い緑の竹林を背景に、色付いたモミジが枝を広げている。
心が洗われるような美しい風景だ。

竹林の中を更に進んでいくと、紅葉に囲まれた本堂が姿を現す。
これもまた一幅の絵を見るような美しさだ。
ここを外さなくて良かったと、しみじみと感じた。

方丈から眺める庭は枯山水の庭園で「十六羅漢の庭」と呼ばれているらしいが、今回は紅葉しているかどうかの基準でしか庭を見ていないので、あまり惹き付けられるものはなかった。

地蔵院を出て、車も通れないような細い道を抜けていくと、突然賑やかな場所に出てきた。
苔寺の門前である。
鈴虫寺の方からも、沢山の観光客が歩いてきていた。
地蔵院からは少ししか離れていないのに、この違いには驚くしかなかった。


地蔵院の散り紅葉
一瞬だけ日が射すと、苔の上の散り紅葉が一際美しく見えた

地蔵院本堂と紅葉
紅葉に囲まれる地蔵院本堂

嵐山渡月橋苔寺の前からバスに乗って嵐山を目指す。
次の目的地は嵯峨野の化野念仏寺。
そこまで直行するバスがないので、嵐山で乗り換えなければならないのだ。
そして到着した嵐山は京都の代表的な観光地だけあって観光客でごった返していた。

暫くしてやって来た乗り換えのバスに飛び乗り、その混雑から逃げ出す。
今回の京都の旅では交通機関の利用で、スマホのGoogleマップに本当に助けられた。
京都の交通案内の他のアプリも入れてあったけど、使いやすいのはGoogleマップだった。
地図上で目的地を指定すれば、現在地からそこまでの交通機関のルートや時間が直ぐに出てくるのだ。
多くの交通機関が入り組んでいる京都では、スマホ無しでは歩く事ができそうにない。

化野念仏寺の紅葉鳥居本のバス停で下車し、そこから化野念仏寺まで古い町並みの中を歩いていく。
ここは伝統的建造物群保存地域にも指定されているところで、ここを歩くのも楽しみにしていた。
でも、藁葺き屋根の建物に混ざって鉄板葺き屋根の建物もあって、ちょっと興ざめである。

化野念仏寺の紅葉はちょうど見頃を迎えていた。
真っ赤な紅葉が頭上を覆い、苔の上にも真っ赤な散り紅葉。
そんな風景の中に石仏群がひっそりと佇んでいる。
ここを訪れるのは2回目になるが、私の好きな場所の一つである。

12年前の秋にも嵯峨野を訪れていて、今回の旅の計画を立てる時も、できればまだ行った事の無い場所と考えていた。
しかし、過去2回の京都旅行で主な寺社はほとんど回っていて、12月に入ってからでも紅葉が楽しめる場所は限られてしまう。
一日かけて洛西を回ろうと思うと、やっぱり嵯峨野の紅葉名所は外せないのである。


化野念仏寺の紅葉
化野念仏寺の紅葉は正に盛りを迎えていた

祇王寺次に向かったのは祇王寺。
散り紅葉が美しい寺として知られている。
ここまで来るとさすがに観光客が増えてくる。
散り紅葉といえば侘び錆びの世界になるけれど、観光客が多いとそんな雰囲気には浸っていられない。
人の流れに流されるように庭園を一回りして外に出てきた。

門前の茶屋で一服してから次に向かったのは厭離庵。
ガイドブックには乗っていなくて、ネットで紅葉の穴場と照会されていたところである。
入り口も分かりづらく、ここならば人も少ないだろうと思ったが結構な人出だった。
紅葉も期待したほどではなく、ちょっとがっかりして外に出てきた。

常寂光寺仁王門を彩る紅葉そろそろ日も傾いてきたので、落柿舎、二尊院は外から眺めるだけにして、今日の寺社めぐりの最後は、嵯峨野の紅葉の名所常寂光寺で締めくくる事にした。
人の多さは最初から覚悟していたので大して気にならない。
紅葉名所の素晴らしい紅葉を十分に楽しんで、帰りは嵐電で一気に市内まで戻る。

嵐山駅へ向かって歩いている間に日が暮れて、次第に周りが暗くなってきた。
しかし、人出は逆に増えてくる感じだ。
嵐山駅周辺の賑わいに圧倒されながら電車に乗り込みホテルを目指した。


厭離庵 嵐電嵐山駅
厭離庵の紅葉 嵐電の嵐山駅から帰途につく

お食事処金時ホテルに戻って一休みしてから食事に出る。
目的の店は、道路を挟んだホテルの真向かい。
泊まっている部屋からも見える「金時」という食堂。
老夫婦が二人でやっているこぢんまりとした店で、定食類はホッと落ち着けるような美味しさ。

今回の旅行では、食事に金をかけないことが一つの目標だったが、こんな店がホテルの前に有ってくれたおかげで本当に助かったのである。

京都の旅2日目の写真 



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