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熊野古道中辺路(継桜王子〜熊野本宮大社)を歩く

(熊野古道の旅 4日目)

3日目 < 4日目 < 5日目

のなか山荘 熊野古道歩きの2日目は、一番長い距離を歩かなければならず、朝食も朝の6時に用意してもらっていた。
 当然、朝起きた時は外はまだ真っ暗。窓を開けると美しい星空が広がっていた。
 二人でそんな星空を見上げていると、流れ星が横切った。
 腹ごしらえをして、6時40分には「のなか山荘」を出る。
 昨日のゴール地点である継桜王子まで車で送ってくれるというので、今日は素直にその好意に甘えることにした。
 何せ宿から王子までは、1キロの急な登りなのである。
 宿の奥さんが、曲がりくねった細い坂道を猛スピードで車を走らせる。
 直ぐ脇の側溝に車が落ちないかと、乗っている方は冷や汗ものだ。
 そうして「とがの木茶屋」の前で降ろしてもらって、お別れの挨拶をした。


継桜王子 杉の巨木 継桜王子
継ぎ桜王子の杉の巨木

 まずは昨日の続きで、継桜王子の巨大な杉をもう一度堪能する。こんな巨木は、それに触れているだけで幸せな気持ちになってくる。
  そうして午前7時、熊野本宮に向けて歩き始める。でも、道路沿いに美しいピンクの椿を見つけて直ぐにその歩みが止まってしまう。
美しい椿の花 こんな事ばかりしているから、何時も時間がかかってしまうのだ。
 道沿いの民家では、どの家もホースや蛇口などから惜しげもなく水が流れ出ている。
 熊野の山々が湛える豊富な水が、湧き水となって何処からでも湧いてくるのだろう。
 青空が広がっていたのに、怪しげな雲が湧いてきてパラパラと雨を降らせてくる。
 その雨も直ぐに止みそうなので、雨具は出さずに傘をさして歩くことにする。
 途中の中川王子は古道から逸れて、山道を少し登ったところにある。古道と言っても、今歩いている場所は普通の車道なので、本来の道は中川王子の小さな石碑がある場所を通っていたのだろう。
 わざわざ山道を往復して見に行くような場所でもなかったけれど、まだ体力が十分にあるので、少しくらいの寄り道は気にならない。


天気雨が降る   こんな所からも水が!
晴れているのに雨が降る   こんな所からも水が!

 小広王子を過ぎると、いよいよ山道が始まる。急な坂を下っていくと四阿があったので、歩き始めて1時間、それほど疲れてはいないけれど小休止をすることにした。
 男性が一人、速い足取りで私達を追い抜いていった。野中には私達が泊まった宿以外に宿泊施設は無いはずなので、近露から歩いて来たのだろうか。
いよいよ山深くへと入っていく 私達とは比べものにならないような速さである。
 こちらも負けてられないので、後を追うように歩き始める。
 すると、杉林への入り口で、如何にも熊野古道らしい苔生して良い感じの石段を見つけ、ここで初めての「後ろ姿を写真」の撮影にチャレンジ。
 セルフタイマーで、二人で歩いている後ろ姿を撮影するのだけれど、荷物を背負ったままでのこの撮影は、経験のある人でなければその大変さは分からないだろう。
 最初のこの写真は、杉林の中が暗すぎて、失敗作となってしまった。
 こんな事ばかりしているものだから、先程の男性からは、ますます離されるばかりである。

 熊瀬川王子を過ぎると、杉林の中の急な登りが続き、いよいよ中辺路の中で一番険しい地域へと入っていく事になる。
 草鞋(わらじ)峠に到着。そこの案内板によると、この付近の山道は蛭降峠百八丁とも呼ばれ、昔は山ビルに悩まされた所だとか。
 現在は、首筋にポトリと落ちてくるのは杉の枯葉くらいなので、心配することもない。
 峠を越えると、今度は急な下り坂が始まる。
 杉林がとても美しく、何度も立ち止まってはカメラを向けてしまう。


美しい杉林

 下まで降りてきて沢を渡ると、再び急な上り坂となる。
 先程下ってきたのが女坂、これから登るのが男坂、ここの谷間には仲人茶屋があったそうである。
 坂の途中で、休憩中の男女を追い抜いた。私達より少し年上くらいのご夫婦だろうか
休憩中 男坂を登り切った場所にあるのが岩神王子、ここで私達も休憩することにした。
 先程のご夫婦が私達を追い抜いていくのを見送る。
 ご主人の方は、何処かで拾った弓のように曲がった木の枝を杖代わりにして、嬉しそうに歩いていた。バネのように弾力があって良いのだそうだけれど、端からはなかなかそうは見えない。
 私達も再び歩き始める。
 今度は、延々と下り坂が続く。せっかく苦労して登ってきたのに、とっても損した気分である。
 登山と違ってピークを目指すわけではなく、ひたすら登って下っての繰り返し。山を縦走した経験はないけれど、こんなものなのだろうか。
 縦走の場合はピークにたどり着く度に、それぞれの感動がありそうだけれど、ここの場合はピークに立っても眺めが良いわけではなく、それはただ次の下りの始まりでしかない。
 ブツブツと文句を言いながら下ってくると、小さな谷川へと出てきた。
谷川沿いの古道 頭に巻いていた日本手ぬぐいを、綺麗な沢の水で湿らせて、それで顔を拭く。ヒンヤリとした冷たさが心地良い。
 それをまた頭に巻いて歩き始める。
 古道はしばらくの間、この谷川沿いに続いている。最初はほんの僅かな流れだったのが、次第に他の沢水を集めて、大きな流れへと変わってくる。
 そんな流れを見ていると、足の疲れなど忘れてしまう。
 先程のご夫婦が、道の上でカニを見つけて大騒ぎしていた。かみさんが「沢ガニですよ」と知ったかぶりをして教えている。
 やっぱり、道の上をカニが歩いているのは、こちらの方でも珍しいことなのだろうか。
 ちなみに、後で調べてみたら、このカニは沢ガニとは違う種類みたいだった。
 また、私達の方が先に進むことになった。
川を渡る 川幅は更に広がり、これならカヌーで下れそうかな何て話しをしていると、古道は橋を渡ってこの川の対岸へと続いていた。
 こんな川を見ていると、ついつい我慢できなくなり川原へと降りてしまう。
 本当に美しい流れである。
 そのまま橋を渡ろうと思ったら、蛇形地蔵の案内板を見つけて、先に渡っていたかみさんを呼び戻した。
 小さな社も建てられていて、随分と大事にされている地蔵だと思ったら、旅人の遭難を防ぐお地蔵さんらしい。
 その前のベンチに男性が一人、寝ていたので、邪魔しないように直ぐにそこを立ち去った。
 歩き疲れて寝ていたのだろうか。
 橋の対岸から大勢のグループが渡ってきた。
 昨日は歩いている間、誰とも会わなかったのに、さすがに天気の良い今日は歩いている人も多いみたいだ。

 その先には平坦な地形の杉林が広がっていた。
 江戸時代には多くの茶屋や民家があったそうだけれど、現在はその面影は全くない。
 歩きやすい場所なので、本日2度目の後ろ姿写真を撮影する。
後ろ姿写真 坂道での撮影と比べると、とっても楽である。
 その先の湯川王子には、例のご夫婦が既に到着していた。
 私達が蛇形地蔵に寄り道している間に、追い越されていたらしい。
 そのご夫婦が、赤い実を沢山付けた植物を見つけて「これは何でしょう?」と聞いてきたので、かみさんがすかさず「これはまむし草と言って、上の方から順番に実が赤く染まってくるのですよ」と説明していた。
 実は今日、歩き始めた頃にこの植物を見つけて、「これは何て言う名前なんだろう?」って二人で頭を悩ませていたのである。
 私は、この植物が数週間前の新聞に載っていたのを知っていたので、「ほらっ、新聞に載ってただろ、何だっけ?、蛇とか毒とか、そんな名前だった気がするけど・・・」
まむし草の実 「あっ、まむし草ね!」
 その時は、蛇と毒からまむしが出てくるのも凄いな〜と感心したものだ。
 それを今、かみさんが知ったかぶりでそのご夫婦に説明しているのを聞いて、吹き出しそうになってしまった。

 また私達が先に進むことになる。
 再び急な上り坂が続く。腕時計の高度表示の数字がどんどんと増えてくる。
 せっかく下ってきた分をまた登り返す感じで、ここの登りが一番きつく感じられた。
 そして突然舗装道路へと出てきた。ここが三越峠で、休憩所でお弁当を食べることにする。
 のなか山荘で作ってくれたおにぎりはとても美味しかった。
 毎日、私と息子の弁当を作らされているかみさんは、「人に作ってもらったお弁当って本当に美味しいわね〜」と感動しながら食べていた。
のなか山荘のお弁当 食事を終えて一服していると、「あら〜、舗装道路へ出てきたわよ〜」と甲高い女性の声が聞こえた。
 そちらを振り返ると、例のご夫婦の奥さんだった。
 旦那さんはしばらく遅れて、ようやく上まで登ってきた。
 この辺りは私達夫婦と同じで、登りは女性の方が強いみたいである。
 休憩所で話しをしていると、そのご夫婦も札幌からの旅行者であることが分かり、お互いにビックリである。
 どうりで、カニの姿を見てあれだけ驚いていた訳である。
 まむし草を知らなかったのは、多分北海道新聞をとっていないからなのだろう。
 この日は、途中の小広王子から歩き始め、行けるところまで歩いて、その後は温泉に泊まる予定とのこと。優雅な行程で羨ましい。
 多分、この先でもう一度出会うことは無さそうなので、お別れの挨拶をし、一足先に歩き始める。

 登った後には必ず待っている下り坂、濡れて滑りやすくなっている場所も多く、この日は私とかみさん、それぞれ一回ずつの尻もちを付いている。
 その上に私は足も挫きかけて、何とか堪えたものの、その際に左足の甲の外側を痛めてしまったようだ。
 おまけに左足の親指にも、まめができそうである。
何時の時代の石垣か? 杉林の中を下っていくと、建物跡のような石垣が目に付くようになってきた。ここも昔の茶屋などの跡だろうか。
 杉林の中に石垣だけが段々畑のように続いている様子からは、かなり大きな集落がここにあったことが想像できる。
 更に歩いていくと木造の廃屋も一軒残っていた。
 どうやら、江戸時代の茶屋跡ではなくて、昭和の遺跡のようである。杉林に呑み込まれた石垣だけを見ていても、時代の区別はつかないのである。
 「それにしても何でこんな山奥に集落が?」と思いを巡らせていると、その先は車も通れるくらいの林道になっていて、拍子抜けしてしまう。
 それでも、ここで人々がどんな暮らしをしていたのか、思いを巡らすのも楽しいものである。
 そのまましばらく林道を歩き、途中から川沿いの道へと降りていく。
 コンクリートで固められた川を渡り、砂利の流れ込んだ荒れた川の様子を眺めながら歩いていると、古道歩きの気分は完全に吹き飛んでしまう。
 全てが山の中の道を歩くわけではないのだから、これくらいは我慢するしかないのだろう。
 名前も分からない色付いたカエデを眺めながら歩くことにする。


無粋なコンクリートの護岸   紅葉
現実に引き戻される風景   名前の分からないカエデの紅葉

 足も痛くて、そろそろ休憩したくなってきた。
 湯の峰温泉へと続く赤木越えの分岐地点に公園のような場所があったので、そこの芝生で休もうとしたら、かみさんから「日が当たって暑すぎるわ!」と文句を言われた。
 地図を見ると、休憩できそうな発心門王子まで後1.2キロ。疲れた体にむち打って歩き続けることにする。
足がもう限界 その先の船玉神社の隣に、可愛い狐が鎮座する玉姫稲荷があったので、そこにフウマの遺影を飾って記念写真を写す。
 京都旅行で伏見稲荷大社に行って以来、稲荷神ファンになってしまった私なのである。
 ^鼻王子を過ぎ、急な坂道を登って、ようやく発心門王子に到着。ベンチを見つけて、倒れ込むように座り込んだ。
 靴下を脱いで足の状態を見たけれど、まめもできていなくてホッとする。
 ここには昔、大鳥居があり、本宮入口の聖域とされたそうである。今は古ぼけた鳥居があるだけで、その先には舗装道路が続いていて、これから聖域に足を踏み入れるといった感慨は全く湧いてこない。
 ここの水場で手ぬぐいを湿らせ、それを頭に巻き直し、気合いを込めて歩き始めた。

からくり案山子 その先にトイレが併設された立派な休憩所があったが、横目で見ながら通り過ぎる。
 山里の中を抜ける道を歩いていると、道ばたに面白い案山子を見つけた。記念撮影をしようと思ってその前に立った瞬間、突然その案山子がガタガタと音を立てて動き始め、肝を冷やす。
 ししおどしの要領で川の水を利用した、からくり案山子だったのである。
 その他にもユーモラスな案山子があって、歩き疲れた私達を励ましてくれるかのようだ。
 リンドウの様な小さい青い花が、道ばたに目立つようになってきた。
 北海道で山歩きをしている時は、こんな花を見つける度に写真を撮るのに忙しいのだけれど、歩くのに精一杯でそんな余裕もない。
 水呑王子に到着。喉は渇いていなくても、ここではやっぱり水を一杯飲んでおくことにする。
 そこから杉林の中をしばらく歩くと、また山里へと出てきた。山間の集落で眺めも素晴らしい。
 山の中ばかりでなく、地元の人達の生活を身近に感じられる、こんな道を歩くの楽しいものである。
 無人販売所でミカンが売られているのを見つけて、空き缶の中に100円玉を入れて、そのままミカンの袋を持って歩く。


水呑王子で   伏拝の山里
水呑王子ではやっぱり水を飲まなくちゃ   伏拝の山里を歩く

 そうして伏拝王子に到着。
 見渡す限りの山の連なりの中に、目指す本宮らしき場所がポツンと見えている。
 いにしえの旅人が熊野本宮大社の姿をここで初めて望み、その有り難さにひれ伏して拝んだという伏拝王子、二日間歩いただけの私にもその気持ちは十分に感じることができた。
 そこの休憩所で一休み。先程買ったミカンをここで食べたけれど、涙が出るくらいに美味しかった。
 そのミカンに力を得て、熊野本宮大社を目指して最後の一歩きである。


伏拝王子から見える本宮
伏拝王子から見える本宮の姿、この感動は歩いた人でなければ分からない

杉林の中を黙々と歩き続ける 三軒茶屋跡の休憩所では地元の野菜なども売られていたけれど、おばちゃんに挨拶してそのまま通り過ぎる。
 そこのお客さんとおばちゃんの「あんな重そうな荷物を背負って凄いわね〜」と背中から聞こえてくる会話に、何となく力づけられる。
 坂道を黙々と下っていくと「ちょっとよりみち展望台」の看板を発見。
 でも、その看板の先の急な上り坂を見て、寄り道しないでここも通りすぎる。
 後で知ったのだけれど、ここからの眺めはなかなか素晴らしいものだったらしい。
 この時はもう、ひたすらゴールの本宮大社を目指すこと以外に何も考えられないような状態だったのである。
 途中で中学校の修学旅行らしき団体を追い越した。
 いくつかのグループに分かれ、それぞれに一人ずつ語り部さんが付いて一生懸命熊野古道の歴史を説明しているようだが、真面目に聞いているのは前の方の数人だけで、これでは語り部さんもやってられないだろう。
 退屈そうに聞いていた生徒達は、その説明が終わるやいなやワイワイ騒ぎながら、石の階段をピョンピョンと駆け下りてくる。
 限界に迫りつつある疲れた足で、その階段を一歩一歩下っている私達は、あっさりと追い抜かれる。
 急な石段を下りて住宅街へと出てきた
 その先にある祓所(はらいど)王子は、熊野本宮大社へ行く前に旅の汚れを祓い清める場所らしいが、そこにも修学旅行生が群がっていたので、祓い清めは省略して通り過ぎる。
 そうしてこんもりとした杉林の中に見えてきた鳥居の姿、歩き始めてから7時間30分、とうとう熊野本宮大社に到着である。

本宮裏鳥居にゴールイン! ただ、この鳥居は本宮大社の裏口のような場所なので、本宮境内へは裏道から入る形なのが、ちょっと情けなかった。
 私達は信仰心を持って熊野古道を歩いて来たわけではないので、熊野本宮大社にお参りしても、あまり感動は湧いてこない。
 かみさんも同じである。
 おざなりに手を合わせただけで、サッサと出てきてしまった。
 熊野本宮大社は元は熊野川の中州にあったものが、明治22年の大洪水でいくつかの社殿が流され、その被害を免れたものがここに移築されている。
 そんなことも、感動が湧いてこない理由の一つなのかもしれない。
 建物自体の古さは相当なものなのだろうけど、周りを囲む貧弱な杉林との取り合いの悪さも影響している気がする。
 そうして境内は写真撮影禁止、建物にもあまり近づけなく、これでは信仰心が無ければ素直には感動できないのである。

 今日の泊まる宿は蒼空ゲストハウス、B&B(朝食付きの宿)形式の宿泊施設なので、夕食は外で食べなければならない。
 ところがこの日は曜日の関係で、周辺の食事処は全て定休日。夕食をどうするかが今日の大問題だった。
 でも、熊野本宮大社の鳥居を出たところに「茶房珍重庵」という食事処を見つけ、そこで軽く麺類を食べておくことにする。
大斎原の大鳥居 その後は、以前に熊野本宮大社が鎮座していた大斎原(おおゆのはら)まで歩く。
 畑の中の一本道を歩いていくと、真正面に聳える大鳥居。
 でも、この大鳥居も平成11年に建てられたものだそうで、そこをくぐっても特に感慨は無い。
 大斎原の旧社地も、聖地として写真撮影は禁止。
 でもその聖地は、私の目にはそこらにある公園と大して違いのないものにしか見えなかったのである。
 そこで見かけた一人の男性。今日、最初に私達を追い越していった男性だった。
 話しこそしなかったけれど、何となく同士のような親しみを感じてしまう。
 旧社地を抜けると、そのまま川を渡って街の中へ出られるのだが、そこの橋が台風18号で流されてしまっていたので、また元の道を戻らなければならない。
 宿へ向かう途中、酒屋に寄って今日のビールを仕入れる。美味しそうなパンも売っていたので、明日の昼食用としてそれも一緒に買い込んだ。
 明日の昼食をどうするかも大問題だったので、これで一安心。コンビニが近くにある生活に慣れていると、こんな事でも苦労するのである。
蒼空ゲストハウスに到着 のなか山荘を出てから10時間、午後4時40分、ようやく蒼空ゲストハウスに到着。
 私達の姿を見つけた宿のオーナーが、わざわざ外まで駆け出てきて出迎えてくれる。
 今年の7月にオープンしたばかりの宿なので、建物も真新しい。
 各部屋に風呂が付いていて、それもビジネスホテルのようなユニットバスではなくて、浴槽も洗い場も広々している。
 真っ先に風呂に入りたいところだったけれど、その前に4日分の洗濯物を洗濯機に放り込む。
 熊野本宮大社付近で宿泊する場合は、湯の峰温泉や川湯温泉などに泊まるのが一般的だろう。
 でも、バスなどに頼らずに熊野古道中辺路を歩き通そうとした場合、この蒼空ゲストハウスはとても便利な立地にある。
 リーズナブルで、洗濯もできて、部屋の風呂も広くて、徒歩の旅人には本当にありがたい宿である。
 インターネットも使えて、コーヒーも自由に飲めて、オーナーも親切。近くで夕食が食べられる場所が少ないことと、翌日のお弁当を作ってもらえないことがちょっと残念なくらいである。
 ちなみにこの日の夕食は、私がお湯を入れて作る山食で、かみさんはのなか山荘で作ってもらったおにぎりの残り。まことに質素な私達の旅である。
 風呂から出た後は入念なストレッチ。痛めた足には湿布を貼る。
 古道歩きもあと二日。明日からは小雲取越え、大雲取越えを歩いて、目指すは那智の大滝だ。

この日の詳細行程 


蒼空ゲストハウスの部屋   蒼空ゲストハウス外観
窓が大きくて気持ち良い   静かな環境の宿である

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