北海道キャンプ場見聞録
星空観察キャンプ
然別湖北岸野営場(7月29日~31日)
2年ぶりに企画されたカヌークラブの然別湖キャンプ。
前回は、ネオワイズ彗星や湖面に映る満天の星空が見られ、その感動をもう一度と企画されたようだ。
今年は白雲山の登山もオプションとして追加されていた。
しかし、当日の天気予報はなかなか微妙である。
星が見られなければ、ただ飲んだくれるだけのキャンプになってしまうし、白雲山も3年前に登っている。
参加するかどうか迷っていたけれど、十勝の実家に行く用事もあるので、そのついでに参加することにした。
どうせならば静かな然別湖も楽しみたいので、前日からキャンプ場入り。
清水町の実家から然別湖の北岸野営場までは、車で1時間もかからない。
十勝平野は雲に覆われていたけれど、白樺峠を超えると青空が広がってきた。
日曜日に登る白雲岳の登山口の様子を見に行く。
3年前に登ったときは士幌高原側から登ったので、ここの登山口には来たことがないのだ。
目的は、登山口と言うよりもその近くにある湖底線路の方だった。
最近SNSで人気の湖底線路
この湖底線路はSNSで話題になっていて、私がその存在を知ったのもSNSの写真からである。
最初にその写真を見た時は「何だ?これは!」と驚いたけれど、冬に遊覧船を陸に引き上げるためのレールと聞いて、ちょっと拍子抜けだった。
まあ、写真で見る限りは不思議な光景ではある。
そうして午前9時半にはキャンプ場に到着。
既に夏休みに入っているし、最近のキャンプブームもあり、平日といえども場内は混雑しているだろうと思っていたが、驚くくらいに場内はガランとしていた。
それでも湖が直接見える場所は、全て先客のテントが張られている。
場所取りを兼ねてかみさんのソロテントは少し離して設営
私達だけならばそんな場所にテントを張りたくなるが、今回は団体キャンプなのでそこは対象外。
結局、2年前に集まった場所付近に自分たちのテントを設営。
特にこれといった特徴のないサイトだけれど、落ち着ける場所である。
これはやっぱり、ここのキャンプ場の自然の濃さがそうさせるのだろう。
素晴らしい環境のキャンプ場だ
一息ついてから幌鹿峠を超えて糠平の温泉に入りに行く。
峠を越えた先に幌鹿の岩清水と呼ばれる湧き水があるらしいので、そこで水を汲んでいくつもりだった。
北岸野営場の水は沢水を直接引いてきたものなので飲用不可となっている。
煮沸すれば飲めるのだけれど、それよりも湧き水の方が良いのだ。
上の黒いパイプからはチョロチョロとしか流れ出ていない
しかし、パイプから流れ出ている水は、10リットルの水入れを満たすにはあまりにも少な過ぎて諦めることにした。
パイプ以外の場所から流れている水ならば水量も十分だったけれど、これならばキャンプ場の沢水と大して変わらないような気がしたのだ。
昼食は、予定していた店が休みだったので、近くのレストラン「Bistro ふうか」に入る。
食事のメニューはハンバーグとカレーしかないので、私は特別メニューのダムカレーを注文。
開いている店はここしか無かった
ダムは、勿論糠平ダム。
後でその写真を見た人から「タウシュベツ橋梁もありますね」と言われた。
それで初めて「このスライスチーズは何で穴が開いているんだろう?」と思いながら食べたチーズが、タウシュベツ橋梁を表していることを知ったのである。
タウシュベツ橋梁には気が付かなかった
食後の温泉は糠平温泉ホテルの日帰り入浴へ。
この時間に日帰り入浴で利用できるのはここだけしか無かったということもあるけれど、男湯も女湯も貸し切り。
露天風呂はないけれど、700円で源泉かけ流しの温泉に入れるのだから不満はない。
貸し切りの温泉を楽しめた
午後1時半過ぎにキャンプ場に戻ってきた。
ポツリポツリと他のキャンパーもやって来る。
近くの炊事場の裏に若者グループが集まってきていた。
「これは騒がれるかな~」と心配していたら、その中にカヌークラブの女性メンバーがいたのでビックリ。
彼女の職場は帯広にあって、今日は若者グループでのキャンプらしい。
素性の分からない団体と、知っている人間のいる団体とではイメージが全然違う。
それならば少々騒がしくても気にならないだろう。
この辺りが一番人気のある場所だ
そのグループでは、サウナテントも用意していた。
サウナで汗を流して、そのまま然別湖に飛び込むなんて最高だろう。
と羨ましく思っていたら、キャンプ場の管理人からテントサウナは禁止だと言われていた。
事前に観光協会の方にテントサウナの使用について確認しOKを貰っていたようだが、キャンプ場の決まりが優先のようだ。
若者たちは意外とすんなりとその決まりを受け入れたみたいだが、もしもそれが私達のグループだったとしたら絶対に納得せずに「観光協会の人間を呼んでこい」とか難癖を付けていたことだろう。
のんびりと時間を過ごす
他にも知っている顔を発見。
最近クラブに入会した帯広在住のHかわさん夫婦である。
明日からのキャンプや登山には参加するけど、今日はテントだけ張って帰るとのこと。
テント2張りとスクリーンテントを湖が見える方の広場に設営し、そこにカナディアンとダッキーを置いて帰っていった。
それだけあれば明日のための場所取りができるのにと思ったけれど、まだ2回くらいしか顔を合わせたことがない方なので、そこまではお願いできなかった。
今日はこれ以上キャンパーは増えそうにないけれど、明日の土曜日が心配なのだ。
夕食はバーベキュー。
テントの直ぐ近くに美味しそうなタマゴタケが生えていたけれど、それには手を付けないことにする。
美味しそうなタマゴタケ
日中は南の風が強く、カヌーで漕ぎ出すような雰囲気ではなかったけれど、夕方になって風も弱まってきたので、カヌーに少し乗ってみる。
湖の向こうには、くちびる山や日曜日に登る白雲山が見えている。
十勝平野は相変わらず雲に覆われているのか、それらの山を超えて雲が然別湖まで流れ込んでいた。
山の向こうから雲が流れ込んでくる
その後は焚き火タイム。
途中で湖畔に降りてみたが、薄い雲が広がっているようで、星はあまり綺麗には見えない。
明日の夜の方が晴れそうなので、星空は明日に期待したほうが良さそうだ。
と思っていると、突然明るい火の玉が現れ、回転するように揺れながらゆっくりと流れて、燃え尽きるように姿を消した。
それが私が生まれて初めて見る火球だった。
キャンプ場の夕暮れ
この日の夜、キツネにテントの中を荒らされた。
何かゴソゴソと音がするな~と思って外に出た時は既に手遅れだった。
ゴミ袋は勿論、野菜を入れてあった袋もテントの外に引っ張り出されて、中身が撒き散らされていた。
しかし、被害は少ない。
ピーマンやキノコを少し噛じられただけで、クラッカーの箱やレトルトのご飯はそのまま。
カラスだったらそれを最初に開けるのだろうが、キツネはそこまで知恵が回らないようだ。
焚き火を楽しむ
それよりも、テントのポールを繋いでいるベルトが食い千切られていたのはガッカリだった。
テント内のものを外に引っ張り出すのに、そのベルトを食い千切る必要はなく、しかも1本のベルトの数カ所が食い千切られていて、ただの嫌がらせとしか思えない。
夜中にそんな事件も有ったけれど、翌朝は期待通りのベタ凪の湖面と、そして期待以上の青空が広がっていた。
直ぐにコーヒーを落として、湖上のコーヒータイムを楽しむ。
期待通りの然別湖の朝
湖面にはちょっとした拍子でさざ波が広がってしまうことがある。
「ベタ凪の湖面はもう終わりか」とがっかりしていると、何時の間にか元の静かな湖面に戻っていたりする。
さざ波の立っていた湖面が何時の間にか鏡の湖面に
あちらこちらで湖の底から空気の泡が上がってきている。
ずーっと泡を出しているわけではなく、少し経つと消えてしまって、また別の場所から泡が湧いてくる。
こんな泡が氷の中に閉じ込められて、糠平湖のようなアイスバブルになるのだろう。
東側の湖岸はまるで日本庭園のような美しさだ。
日本庭園のような東側の湖岸
北側の湖岸には流木の墓場があった。
夏の間は南の風が吹くことが多く、ヤンベツ川が増水した時に湖に流れ込む流木が、その風に流されて集まってくるのだろう。
沢山の流木が橋のように繋がっていて、その上を走り回ったら面白そうだ。
流木の墓場で遊んでみたい
真夜中にやってきた熊五郎さんファミリーが、私達の隣にテントを張る。
かみさんが夜中に熊五郎さんの声が聞こえて、時計を見たら午前2時だったのでビックリしていた。
昨日は松の落葉の中に頭だけ見えていたタマゴタケが一日でこれだけ大きくなった
後は他のメンバーの到着を待つだけ。
別に私は場所取りするために前日にやって来たわけではないのだけれど、近くに他のキャンパーがやってこないか気になってしょうがない。
焚き火台をさり気なく離れた場所に置いて、次々にやって来るキャンパーを牽制する。
それでも、大体のキャンパーは真っ直ぐに湖畔側のサイトを目指すので助かる。
午前中にはクラブの大型タープも張られ、開いていた場所にもソロテントが張られ、ようやく落ち着くことができた。
次第にメンバーも集まってくる。
日中は相変わらず南風が吹いていたけれど、その程度の風でカヌーに乗らない選択はないのが、流石にカヌークラブである。
Hかわさんが持ってきたアリーに興味津々
Hかわさんが持ってきたカヌーは、私が以前に乗っていた組み立て式のカナディアン「アリー」。
乗る度に組み立てるのが面倒で、数回乗っただけで最近は全然乗ってないと言う。
昨日は私も手伝ってようやく組み立てられた感じだ。
N島先輩が、早速アリーに乗ってみる。
私のPoket CANYONと同じ色のアリー
その後は、昔はアリー乗りだったI山さんとタンデムで弁天島を目指して漕ぎ出していった。
SUPのNもとさんも、向かい風など気にする様子もなく弁天島を目指す。
アリーに乗るこの二人の写真はなかなか貴重である
この日下界では32度まで気温が上がっていたようだが、然別湖は標高800の場所にあることもあって、そんな暑さは感じない。
湖で一遊びした後は、それぞれが夕食を作り始める。
三々五々夕食の準備に取り掛かる
かみさんは、パエリアを作ることにしていたが、メニューがNもとさんと被ってしまった。
他にもピザを焼いたり、ゲンコツのような塊肉を炭火で焼いたり、お洒落なイタリアン風の料理に定番のジンギスカンまで、次々に出てくる料理を食べていたら、直ぐに腹一杯になってしまう。
こんなピザ窯、欲しいかも
かみさんとNもとさんのパエリアが出来上がる頃には私も既に満腹。
このパエリア対決は引き分けだったようだ。
パエリア対決!
然別湖キャンプでの一番の目的は星空観察会。
天気次第の企画だけれど、2年前に続いて今年も星空が広がってくれた。
クラブの中には元天文部員が2名もいるので、解説付きの星空観察会だ。
皆で然別湖の湖畔に椅子を並べる。
そろそろ暗くなってきたかな
丁度ISSが飛んでくる時間だった。
然別湖で見るISSは、今までに見てきたISSよりも一際明るく然別湖の上空を横切っていった。
とても明るいISSだった
Y田さんは望遠鏡を用意してくれた。
望遠鏡で見るのにはやっぱり土星が一番である。
他にも色々な星団を望遠鏡に捕らえて見せてくれたが、やっぱり土星の環のインパクトには勝てない。
然別湖と天の川
空が暗さを増すにつれて天の川もハッキリと見えてくる。
天の川の一番明るい部分が丁度然別湖の上に見えるのも、ここの星空を更に魅力あるものにしているのだろう。
昨日のような火球は出現しなかったけれど、明るい流れ星が結構流れる。
今時期はみずがめ座流星群ややぎ座流星群が極大を迎えるので、流れ星が多く見られるのだ。
でも、大体は私が下を向いている時に流れることが多く、他の人の半分も見られなかったような気がする。
写っているのは人工衛星だけど、流星も写してみたかった
翌日は朝から南風が少し吹いていた。
それでも、E田さんやHさんが早朝から湖に漕ぎ出していく。
私達も、昨日は途中で引き換えしていた弁天島まで漕ぐことにする。
Nもとさんが写してくれた
その途中、早々と弁天島の神社に参拝して戻ってくる途中のNもとさんとすれ違う。
私達も弁天島の周りを一廻りし、舟の上から手を合わせて帰途についた。
弁天島の神社に参拝していく
途中から向かい風が急に強くなってきた。
他にもファルトボートで漕ぎ出しているキャンパーが何組かいたけれど、初心者だとキャンプ場まで戻るのに結構苦労していたかもしれない。
風を避けられる場所でコーヒーを飲んでからキャンプ場へと戻る。
他のメンバーは早くも朝食を食べ始めていた。
クラブのキャンプでは朝食の時間も早いのだけれど、今日は白雲山登山の予定もあるので何時も以上に早かった。
昨日のパエリアの残りが朝食に
私達も急いで朝食を食べてテントを撤収し、午前9時前にはキャンプ場を後にした。