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青森・秋田の旅(藤の郷・白神山地藤里)

北欧の杜オートキャンプ場(5月25日~26日)

カラリと晴れた気持ちの良い十和田湖の朝だった。
薪がまだ沢山余っているので、起きて直ぐに焚き火を始める。
せっかく集めた薪を余して帰るわけにはいかないのだ。

宇樽部キャンプ場
朝から焚き火


風がなくて湖の湖面も凪いでいた。
こんな時はやっぱり湖畔のサイトにテントを張っているキャンパーが羨ましく思える。

宇樽部キャンプ場
凪いだ湖は美しい


日差しが強いので、出発までの短い時間だったけれどシュラフを干す。
気が付くと、太陽の光に照らされてキラキラと光る細かな水蒸気の粒がテントの周りを流れていた。
何時の間にか湖から霧が湧いてきていたのだ。
シュラフが濡れてしまうと焦ったが、この程度の霧なら太陽の日差しの方が勝ちそうなので、そのままにしておいた。

宇樽部キャンプ場
霧が湧いてきたけれど次第に消えていった


今日は白神山地に向かう途中、十ノ瀬 藤の郷という藤の名所があるみたいなのでそこに寄っていくことにしていた。
何気なくそこのホームページを見ていると、今年から駐車場を予約制にしたと書いてあったので焦った。
慌ててインターネットから予約をしたけれど、平日の9:00~10:00の時間帯は空いていて当日でも問題なく予約できてホッとする。

午前7時50分にキャンプ場を出発。
最近買った本に「日本の絶景108」というのがあり、青森県の絶景として3年前に訪れた仏ヶ浦と昨日歩いた奥入瀬渓流、そしてこれから向かう発荷峠の3カ所が紹介されている。
発荷峠は3年前も訪れているけれど、天気が悪くて印象にはあまり残っていない。

発荷峠第2展望休憩所
第2展望休憩所からの展望


今回は天気も良くて期待していたけれど、うっかりして一番眺めの良い第1展望休憩所を通り過ぎてしまい、第2展望休憩所から十和田湖を眺める。
しかし、展望所周りの樹木が育ちすぎて湖が良く見えない。

今から第1展望所に戻る気にもなれずに、先を急ぐ。
と言うのは、何処にも寄らずに走ったとしてもカーナビに表示されている現地への到着予想時間は、既に午前9時を過ぎているのである。
それでもその先に紫明亭展望台というのがあったので、ここにも寄り道。
駐車場から走って展望台まで登ったが、ここでも樹木が邪魔で日本の絶景108に入るような展望は楽しめなかった。


紫明亭展望台からは遠くに八甲田連峰が見えていた


とうとう現地への予想到着時間は午前9時20分を超えてしまう。
そうして午前9時25分に現地に到着。
駐車場は空いていて、これなら予約制にする必要もなさそうだけれど、週末などは不法駐車で地域住民の方に迷惑をかけることもあるようなので、やむを得ず予約制にしたらしい。
それと合わせて、今まで無料で公開していた藤園を今年から有料にしていた。
金額は確かめていなかったけれど、千円も取られてちょっとびっくりである。

十ノ瀬 藤の郷
もっと大きな藤棚があるかと思っていた


外から見た限りでは私が想像していたような大きな藤園ではない。
田んぼに囲まれた藤園は、農家の方が趣味で藤を栽培していたもののように見えるし、実際もそうだったみたいだ。
受付の際に写真集のような立派な小冊子を貰ったけれど、そんなサービス無しで入場料を500円にした方が妥当だと思う。

十ノ瀬 藤の郷
藤の木の下に入ってみると良い眺めだ


私が想像していたのは、大きな藤棚があってそこから見事な藤の花が下がっている様子だった。
実際は、藤棚もあるにはあるけれど、1本1本の藤を仕立てて見せている感じである。

ここの藤園の一番の魅力は、水の張られた水田越しに眺める藤の花だと思う。
幸い、周りの水田の畦道は立入禁止にもなっていないので、そんな写真を撮らせてもらう。

十ノ瀬 藤の郷
もっと離れた場所から水田を大きく写したかった


藤園の中を歩いていると甘い香りに包まれる。
期待していたのとは少し違ったけれど、心を癒やされて藤の郷を後にした。

十ノ瀬 藤の郷
マスクをしているのがもったいなく思えるような良い香りが園内に漂っていた



次に向かったのは白神山地世界遺産センター(藤里館)。
白神山地は11年前の秋に夜行特急はまなすを利用して訪れたことがあり、その時は弘前からバスに乗って白神山地に向かい、大きなザックを背負ったまま津軽峠から高倉森自然観察歩道を歩いてアクアグリーンビレッジANMONのキャンプ場へ入った。
夜行列車で早朝に青森に着いて、その日のうちの白神山地3時間半トレッキングだから、かなりハードな行程である。
今なら、計画段階でこれは無理だと諦めているだろう。

その時は広大な白神山地のごく一部を歩いただけなので、今回の旅では3ヶ所のトレッキングコースを歩いて、白神山地を満喫しようと計画していた。
本当なら白神山地の主峰白神岳登山を企画するところだけれど、コースタイム登り5時間の登山は今の私にはちょっとキツそうなのでパス。
我ながら軟弱になったものだと思う。

道の駅ふたつい
途中の道の駅ふたついで売られていたバター餅、この地方の特産?


今日は岳岱自然教育観察林の一周1時間のトレッキングである。
白神山地世界遺産センター(藤里館)で地図を貰って入山。
気軽なトレッキングのつもりで、この辺りの行程はあまり真剣には考えていなかった。
誤算だったのは、世界遺産センターから目的地まで車で45分もかかってしまうことである。

太良峡
岳岱自然教育観察林へ続く道は眺めも良いけれど、それだけ厳しい道程だった


道は舗装されているものの、曲がりくねった細い道で場所によっては転落の恐怖さえある。
落石注意の看板はあっても、実際に道の上に落ちてきた岩が転がっていたりして、注意のしようもない。
道は藤琴川沿いに続き、辺りは太良峡とも呼ばれる景勝地らしいが、周りを眺めている余裕などない。

そうして12時過ぎに岳岱自然教育観察林の入り口に到着。
まずは、道の駅で買ったきりたんぽや山菜おこわで腹ごしらえ。

岳岱自然教育観察林
道の駅で買ってきたお昼ごはん


全体的に若いブナ林だけれど、一際異彩を放っているブナの巨木を見つけた。
ウッドチップが敷かれた遊歩道からは外れているけれど、林床に笹などが茂っていないので、その巨木まで容易に近づける。

岳岱自然教育観察林
一際大きいブナの巨木


その先に更に上回る巨木があった。
こちらの方はシナノキらしい。

岳岱自然教育観察林
シナノキの巨木


その後も時々現れる巨木を楽しみながら、一番奥にある湧き水を目指す。
所々に雪の残る場所もあり、雪解け後にここを歩いている人も殆どいないようだ。
駐車場に車が結構停まっていて驚いたが、散策道の整備をしている人たちの車だったみたいだ。

岳岱自然教育観察林
雪が残っていて人が歩いた様子もない


高低差も少なく歩きやすい道だけれど、暑さに参ってしまう。
車の温度計は下界で27度、山奥まで入ってきても23度もあり、我が家の野外活動対応気温を既に超えているのだ。

湧き水までやって来て、持ってきた水筒に水を汲む。
一口飲んでみたところ、とてもまろやかで美味しい。
山で湧き水を飲むと、何処でも美味しく感じるものだけれど、ここの湧き水は本当に美味しいと思った。

岳岱自然教育観察林
見た目はぱっとしないけれど美味しい湧き水だった


森の中の散策路は周回できるようになっている。
モリアオガエルの池と看板が立っている場所があったが、雪が残っていてどれが池なのかわからない。
繁殖期は6月頃で、池の上に張り出した木の枝などに産卵する。
テレビの番組で見たことがあるけれど、北海道には生息していないカエルなので、一度実物を見てみたいものだ。

岳岱自然教育観察林
雪が解ければモリアオガエルの池が現れるのだろうか


ここの森には400年ブナと呼ばれるブナの巨木がある。
ブナの寿命は300年前後とされ、それを遥かに超えるこのブナは白神のシンボルとされている。
そのブナが、今年の3月に倒れているのが発見されたという。
400年も生きてきて、何でこのタイミングで倒れるのかと思ってしまうが、何時倒れてもおかしくない状態だったのだろう。

400年ブナ
根元部分はかなり腐朽していたようだ


倒れたブナの周囲には立入禁止のロープが張られ、近づけなくなっている。
倒れてしまうと、周りの樹木と比べることもできずにその大きさが伝わってこない。

大きく枝を広げていた巨木が倒れると、森の中には穴が空いたような大きな空間ができる。
倒れたブナの上には太陽の日差しが届き、これからそこには新しい命が芽生えてくるのだろう。
巨木の姿を見られなかったのは残念だけれど、これはこれで貴重な場面を見られたのかもしれない。

400年ブナ
光が差し込むようになった森の中で新たな生命が芽生えるのだろう


岳岱自然教育観察林から更に車で10分ほど走った先に田苗代湿原があり、そこも徒歩1時間ほどで回ることができる。
最初の計画ではそこまで足を伸ばすことも考えていたけれど、この細い道をこれ以上走る気にもなれず、時間的にも厳しくなってきたので、ここで引き返すことにした。



里まで降りてきて、世界遺産センター近くにある峨瓏の滝と権現の大イチョウに寄り道していく。
それなりに見応えはあったけれど、ここを目的地としてわざわざやって来るまでの価値は無いような気がする。

峨瓏の滝
峨瓏の滝は良く見るタイプの滝だ


同じことは岳岱自然教育観察林にも言えて、1時間のトレッキングのために往復90分の緊張させられる運転をしてまで訪れる価値があるかと問われれば、正直言って?マークが付くのである。

権現の大イチョウ
権現の大イチョウの大きな乳根


二ツ井町のスーパーで買い物を済ませて、今日のキャンプ地である北欧の杜オートキャンプ場に向かう。
秋田県立の北欧の杜公園の中にあるキャンプ場である。
午後3時20分に公園の総合受付であるパークセンターに到着。
ここのフリーサイトの評判が良いので、先にサイトを見せてもらうことにする。

北欧の杜オートキャンプ場
気持ち良さそうにキャンプをしているキャンパーの邪魔をしたくはない


ネットの情報によると最近新たに作られたフリーサイトは大きな池に面していて、オートサイトよりもロケーションが良いらしい。
オートサイトの半額で利用できて眺めも良いとなると、少しくらいの荷物運びは我慢できる。
フリーサイトはテント8張りまでの制限があり、今日は先客が3名いるらしい。
様子を見ると、ソロキャンパーが適度な間隔でテントを張っていて、そこに割り込む気にはなれない。
芝生の状態もあまり良くないので、素直にオートサイトを利用することにした。

北欧の杜オートキャンプ場
広さも十分なオートサイト


サイトの場所も決めてから受付をする。
キャンプ場側で一方的にサイトを決められる所も多いけれど、自分で好きな場所を選べるのは本当に気持ちが良い。
区画も広くて周りを樹木に囲まれなかなか快適なサイトだ。

テントを張り終えて、車で5分ほどの場所にある金沢温泉でトレッキングの汗を流す。
地元の人が入りに来るような小さな温泉だけれど、キャンプ場の近くにこんな温泉があるのはとてもありがたい。

北欧の杜オートキャンプ場
樹木も多く落ち着けるサイトだ


ここのキャンプ場で嬉しいのは薪が無料ということだ。
小さなキャンプ場でたまにそんな所もあるけれど、これだけ設備の整ったキャンプ場で薪が無料なんて聞いたことがない。
薪の量も十分で、焚付用の細い薪や木の皮まで用意されている。
大部分は杉材だが、広葉樹の薪も用意されている。
ただ、太いものが多くてちょっと使いづらい。

北欧の杜オートキャンプ場
ここに積んである薪を燃やし放題


ありがたくその薪を使わせてもらって焚き火を楽しむ。
翌日は南下して鳥海山の眺めを楽しみ、その近くの南由利原青少年旅行村に泊まる予定だった。
しかし、予約の電話を入れるが全くつながらない。
キャンプ場のホームページが無く、今年になってここに泊まっている情報も全く見つからなかったので、一抹の不安は感じていたのだけれど、もしかしたら営業していないのかもしれない。

北欧の杜オートキャンプ場
快適な焚き火を楽しめた


ただのキャンプならば他の場所を探せば良いのだけれど、明後日は朝から確実に雨になりそうなので、ここの安いバンガローを利用するつもりでいたのだ。
こんな時のために安く泊まれるバンガローのあるキャンプ場をリストアップしてあるのだけれど、予定していた場所の近くには適当なキャンプ場がなかった。
ここにきて、旅の予定を大きく変えざるをえなくなってきたのである。


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