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青森・秋田の旅(桃洞滝)

田沢湖オートキャンプ場「縄文の森たざわこ」(5月26日~27日)

昨日の夕方、田沢湖オートキャンプ場のバンガローを予約できたので、これで今日の宿の心配はなくなった。
明日は1日中雨の予報だったので、既に23日に横手市内のビジネスホテルを予約してある。
横手市に泊まる事にしたのに特に理由は無い。
周辺の宿の中でここが一番安く泊まれる宿だったというだけの話しである。

北欧の杜オートキャンプ場
無料の薪を使わせてもらって朝から焚き火を楽しむ


今日と明日の泊まる場所が決まっているので、その間で何処を観光するか考える。
普通は観光する場所が決まってから宿を探すのだけれど、雨の影響で予定が大きく変るのはキャンプの旅では何時ものことだ。
今回は行き先を青森と秋田に絞っていたので、両県それぞれのガイドブックを用意していた。
3年前の東北の旅で東北版のガイドブック1冊に頼っていたのと比べると、一般的な観光地以外のマイナー情報も載っているので、こんな時にはありがたい。

北欧の杜オートキャンプ場
インスタントのスープに冷凍チャーハンやお惣菜を使った朝食


そうして思い付いたのが桃洞滝までのトレッキングである。
日本二百名山の一つである森吉山山麓の桃洞渓谷にある滝で、途中から分岐する赤水渓谷とあわせて渓谷沿いの道は天国の散歩道とも呼ばれているらしい。
そしてブナの森も美しいとなれば、もう言うことなし。

朝から焚き火を楽しみ午前7時半にキャンプ場を出発。
目指すは登山口となる森吉山野生鳥獣センター。
阿仁前田の町から、今日もまた山に向かって入っていく。
ここから30キロ以上の往復。
昨日もそうだけれど、秋田の山は簡単に歩けるようなトレッキングコースでも、そこまで辿り着くのが大変なのである。

桃洞滝トレッキング
雪の残る山が森吉山か


山に入っていくと、車を停められるようなスペースがあると、そこには必ず車が止まっている。
全て山菜採りの車のようだ。
森吉山はマタギの里としても知られていて、さすがマタギ文化が根付いている土地なのだと感心してしまう。

途中、雪の残る山が見えていたけれど、それが多分森吉山なのだろう。
標高は1454mとそれ程高い山ではないけれど、やっぱり積雪量が多いのだろう。

午前8時50分に森吉山野生鳥獣センターに到着。
このセンターのオープンは6月1日からで、オープンに向けた準備をしているところだった。
午前9時前、桃洞滝を目指して歩き始める。
直ぐに小さな川があり、増水時は迂回ルートへと看板が有ったけれど、飛び石があるので問題なく渡れそうだ。

桃洞滝トレッキング
2つ目の濡れた飛び石がやばかった


しかし、ここでまさかの落水。
濡れていた飛び石の一つが、登山靴で渡るにはツルツル過ぎたのである。
パンツまでびしょ濡れになったけれど、今日は気温も高く、化繊のパンツなので歩いているうちに乾いてくれるだろう。
登山靴の中まで水が入ってしまったのには参ったが、そんなハードな山登りでもないので何とかなりそうだ。
カメラを入れてあるバッグも濡れてしまったが、カメラが無事だったのが幸いだ。

桃洞滝トレッキング
倒木で塞がれた橋


桃洞滝トレッキング
立川橋は橋だけがやたら高い場所に架けられている


その先の分岐を桃洞滝方向へ進み、立川橋を渡ってノロ川歩道に入る。
野生鳥獣センターから桃洞滝までは、ノロ川に沿うノロ川歩道を歩いて4.2キロ、高低差もほとんどなくコースタイムは1時間となっている。
ここを往復するのではあまり面白くないので、立川橋の少し先から分岐する黒石川登山道を利用した周回コースで歩くことにした。
黒石川登山道を経由すると、距離は5.2キロ、高低差が100m、コースタイムは100分となる。

黒石川登山道に入ると、稜線を緩やかに登っていく。
このルートはブナの森が美しいと聞いていたけれど、その通りだった。

桃洞滝トレッキング
黒石川歩道のブナ林は最高だ


昨日歩いた岳岱自然教育観察林と比較するのもなんだけれど、ブナ林を楽しむのならこちらの方が完全に勝っている。
巨木というほどではないけれど、ブナの大径木が多くて見ごたえがあるのだ。

ただ、登山道は落ち葉に覆われていて、途中で道を見失いそうになるところもあった。
その様子から、今シーズンになって殆ど人が歩いていないと思われる。

桃洞滝トレッキング
登山道が落ち葉に埋もれているので注意しながら歩く


稜線を登りきると少し視界が開けたが、何処が見えているのかさっぱり分からない。
その少し先で森吉山方面とノロ川歩道へ戻る分岐がある。

桃洞滝トレッキング
ピークまで登ってきた


ノロ川歩道へは一気に下っていて、ロープ場も沢山ある。
階段もない急斜面なので、ロープにかなり助けられた。

桃洞滝トレッキング
ロープを頼りに一気に下っていく


10時半にノロ川歩道に合流。
その先に赤水渓谷への分岐がある。
しかし、その分岐の矢印が川に向かっているので「えっ?どういうこと?」と戸惑ってしまったが、対岸を見ると目印のピンクテープが見えていた。
赤水渓谷は沢登のようなルートらしいので、この程度の渡渉はまだ序の口なのだろう。



そこから500mほどで桃洞横滝が現れた。
川幅一杯に広がる落差2mほどの滝である。
川を覆うように枝を伸ばす新緑の木々と相まって美しい風景を作っていた。

桃洞滝トレッキング
桃洞横滝


歩道沿いの花も目を惹く。
北海道ではあまり見かけない花や、お馴染みのシラネアオイやキクザキイチゲ、他にも沢山の花が咲いていた。

桃洞滝トレッキング
シラネアオイ、オオイワウチワ(北海道には自生しない)、キクザキイチゲ、ショウジョウバカマ


遊歩道は途中から川ギリギリを歩くようになり、所々に雪も残るようになってきた。
雪の上を見ても、歩いた跡は数人くらいしか確認できない。
ここの遊歩道の正式なオープンは、野生鳥獣センターがオープンする6月1日からになるのだろう。

途中で対岸に渡らなければならない場所があった。
橋を架けるような基礎もあったので、シーズン中は簡易な橋が架けられるのかもしれない。
ここは靴を脱いで渡るしかない。
水深は浅いけれど、水がとても冷たかった。

桃洞滝トレッキング
ここでは靴を脱いで渡るしかなかった


川を渡ってから先は、川沿いの岩の上を歩いていく。
前方に大きな雪渓が現れたが、滑落するような危険な箇所も無く、その上を乗り越えられた。

桃洞滝トレッキング
雪渓があるのは想定外だった


更に上流を目指して川沿いを歩いて行くと小さな滝が連続して現れた。
いよいよ目的地が近そうだと期待が高まる。

桃洞滝トレッキング
この風景の中を遡行するのはドキドキする


そして目の前に現れた滝を目にした時は、思わず歓声を上げてしまった。
午前11時10分、桃洞滝到着である。

桃洞滝トレッキング
滝を目にした時の感動は大きかった


岩の斜面に水流の模様を描きながら流れ落ちる滝の姿は本当に美しい。
直ぐ横からも細い滑滝が落ちてきている。

桃洞滝トレッキング
上の写真の左側から落ちてきている滑滝


滝の右側に階段のようなステップがあり、そこを通って上まで登れそうだなと見ていてけれど、その上には更に素晴らしい風景があるらしい。
予めそのことを知っていれば、沢靴を用意して来ていたかもしれない。

桃洞滝トレッキング
流れ落ちる水が描く模様が美しい


美しい風景を眺めながらおやつを食べる。
滝の音に混じって、カエルの鳴き声も聞こえてくる。

桃洞滝トレッキング
美しい渓谷の風景


近くの小さな水溜りの中は、沢山の卵やカエルで大賑わいだった。
あまり見かけないひも状の卵もあって、後で調べてみたらアズマヒキガエルの卵のようだ。
北海道にはもともと棲息していないのに、国内外来種として札幌周辺でも増えてきていて問題になっているらしい。

桃洞滝トレッキング
小さな水たまりは大賑わい


突然、銃声のような大きな音が谷の中に響き渡った。
帰る途中に崖の下にリュックがあったので、山菜採りの人が爆竹でも鳴らしたのか、それとも本物のマタギが熊を撃ったのか。
いずれにせよ、この辺りが熊の棲息域なのは確かで、私達も熊避け鈴は付けているけれど、ちょっと怖くなってきた。



帰り道は、黒石川登山道を迂回していた区間のノロ川歩道を歩く。
ここもまた沢山の山野草が花を咲かせていて、とても楽しい遊歩道だ。

桃洞滝トレッキング
色々な花が楽しめる


水芭蕉と一緒にカタクリまで咲いていて、咲く時期の異なる花をまとめて楽しめる。
最近まで部分的に雪が残っていたので、そんな風景になるのだろう。

桃洞滝トレッキング
この時期にカタクリが見られるとは思っていなかった


桃洞滝トレッキング
ハート型の葉が可愛いコミヤマカタバミ


12時半過ぎに野生動物センターまで戻ってきた。
作業をしていた人達が屋外でお弁当を食べている。
女性の方が声をかけてくれて、桃洞滝が素晴らしかったと話しをすると喜んでくれた。

予想以上に時間がかかってしまい、私達はまだ昼食を食べていない。
阿仁前田まで戻ってくるとコンベンションホール 四季美館という施設の中にレストランがあったので、そこで食事を済ませることにした。
特産品の販売コーナーもあって、ちょっとした道の駅のような施設だ。
午後1時50分、ようやく食べ物にありつけたのである。

四季美館かたりべ
腹が減っていたので何でも美味しく食べられる


同じ町にクウィンス森吉という温泉もあったので汗も流せた。
これが駅舎の中にある温泉で、改札口の直ぐ近くに温泉の入り口があって驚かされる。
どうせならばもっと先にあるマタギの湯に入りたかったけれど、それはまた次の宿題にでも取っておこう。
そう思えるくらい、森吉山の山麓には面白そうなフィールドが沢山あるのだ。

クウィンス森吉
左が駅の改札口、右が温泉の入り口


そうして田沢湖オートキャンプ場へ到着した時は午後5時を大きく過ぎていた。
ここのキャンプ場には「縄文の森たざわこ」の別名があり、バンガローの建物は縄文風の外観である。
このバンガローは1棟3140円で、オートサイトの1区画4300円よりも安価なのが信じられない。
バンガローに車を横付けできない難点はあるけれど、オートサイトよりも安いバンガローなんて聞いたことがない。

田沢湖オートキャンプ場縄文バンガロー
形が変わっている縄文バンガロー


車から荷物を運ぼうとしていたら、目の前に見かけない動物がいるのに気が付いて体の動きが止まった。
「タヌキ?アライグマ?」そのどちらでもない。
調べてみたら、やっぱりアナグマだった。
近づいていくと、排水溝の桝の中に隠れてしまう。
習性はタヌキと似ているようだ。
周辺には餌を探すのにアナグマが掘った穴が沢山開いていた。

アナグマ
アナグマを初めて見た


今日の宿泊者はオートサイトを含めて私達1組だけ。
明日の予報が雨になっている影響なのかもしれないが、利用者はもともと少ないようだ。
3年前の東北の旅では、この近くの田沢湖キャンプ場を利用したが、オートサイトはここの半額の料金なので、そちらの方に人は流れるのだろう。

田沢湖オートキャンプ場縄文バンガロー
快適なバンガローでまったりと過ごす


ここのバンガローは室内での煮炊きが禁止されているので、昼食が遅かったこともあり、夕食は近くのスーパーに買出しに出かけてお弁当とお惣菜で済ませる。
ビールを飲みながら、明日の雨の一日をどうやって過ごすか、じっくりと検討した。


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