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二人流氷キャンプ

浜小清水の海岸(2月19日~20日)

2011年の一人旅流氷キャンプ以来、海を埋め尽くす流氷の姿を見ていなかったので、今年の冬のキャンプは流氷一本に的を絞った。
去年の様に空振りに終わらせないために、流氷の状況や風向きを注意深く観察しながら、この日ならば大丈夫だろうと決行日を決めキャンプの準備に取り掛かる。
すると、流氷キャンプ嫌いのかみさんが「今年は私も行くわ」と言い始めたのである。

ソロキャンプならば、どんなに厳しいキャンプになっても誰に気兼ねをすることも無いのだが、2人キャンプだとそうはいかない。
そして、食事は全てかみさんの仕切りとなり、私は一切手を出せなくなる。
頭を切り替えるのに少々時間がかかったが、まあ何時も通りのキャンプに行くのだと自分に言い聞かせることにした。

そうして午前8時に札幌を出発。
最近は高速道路を利用することも殆どなくなっていたけれど、さすがにオホーツクまで走るとなると高速道路に頼らざるを得ない。
旭川紋別自動車道を終点の遠軽まで一気に走るつもりでいたけれど、途中で自衛隊の車列と遭遇。
路面凍結で50キロ規制となっている中、見事に制限速度を守って走っている。
2車線区間で一気に追い抜いても、その先でまた車列にぶつかってしまう。
そんなことが何度も繰り返され、痺れを切らして手前の瀬戸瀬ICで一般道に降りたが、そこにもまた自衛隊の車列が。
しかし、こちらの方は最高速度が60キロなので、自衛隊の車列は高速道路よりも早く走っていたのである。

遠軽道の駅「森のオホーツク」
遠軽道の駅「森のオホーツク」、中央の建物は足湯の施設


昼食は、去年の12月にオープンしたばかりの道の駅「森のオホーツク」で食べることにする。
この道の駅は、高速道路が遠軽まで延びたのと同時にオープンし、北海道初の、スキー場併設の道の駅でもある。
ここのフードコートは地場産食材を利用したメニューも充実し、なかなかお勧めだ。
私が食べた「1日分の野菜カレー」も、ビックリするくらいに野菜が入っていてなかなかユニークで美味しかった。


1日分の野菜カレー
遠軽道の駅「森のオホーツク」
明るいフードコート


昼食後は一気に車を走らせ、藻琴までやって来ると流氷に覆われた海が見えてきた。
JR北浜駅横の展望台に上ると、遠くに見える知床半島まで真っ白な流氷原が広がっていた。
これならば今日のキャンプ地の海岸にも流氷が接岸していそうだ。

北浜駅展望台
北浜駅展望台から見える流氷


今回は2011年のソロキャンプの時と同じ場所にテントを張るつもりである。
去年の冬のキャンプでも2泊目にそこを利用するつもりでいたが、流氷が全く無くてそのまま札幌まで帰ることになってしまったのだ。

現地に着くと、去年までは海岸の近くまで車で入れたのに、今年は道路からの入り口に柵が付けられていた。
一瞬焦ったけれど、近くの脇道の路肩に何とか車を停められたので助かった。
荷物はザック一つなので、駐車場所が200mくらい遠くなったとしても全く問題はない。

流氷キャンプ
荷物を背負ってキャンプ地へ


JRの鉄橋の下をくぐって海岸に出ると、そこには期待通りの流氷の海が広がっていた。
20011年の時は岸に打ち上げられた流氷の上にテントを張ったけれど、今回の流氷はその時ほどの勢いはない。
流氷を目の前に眺められる場所にテントを張ることにした。

流氷キャンプ
最高のキャンプ地だ


上空には大空が広がっているけれど、流氷原の向こうに見えるはずの知床連山は、ほとんどが雲に隠れていた。
間近に見える海別岳も山頂付近が雲に隠れているものの、こちらはなかなかの迫力で流氷原の先に聳えていた。
そんな風景を眺めながら缶ビールを開けたが、氷点下の気温の中で飲むビールは罰ゲームの味がした。


キャンプ
海別岳の山頂に雲がかかっているのが残念


キャンプ
この先に知床連山が見えるはずなのだが


流氷と金麦
ビールは汗をかきながら飲むに限る



テントの前で寛いでいるとスノーシューを履いた男性が近づいてきて声をかけてくれた。
話しをしていると地元の方だと言う。
海を埋め尽くす流氷よりも、これくらい海面が開いている方が好きだとその男性が話していたが、確かにその通りだと思う。
全部が真っ白だと、内陸部の雪原と大して変わりがなくなってしまう。
青い海面が見えているからこそ、真っ白な流氷が際立って見えるのだ。

流氷キャンプ
流氷を眺めながら寛ぐ


流氷
青い海面と白い流氷のコントラストも良いものだ


ただ、2011年の時は、打ち寄せた流氷が海岸に積み上がった流氷山脈を見られたり、流氷が波に揺られて音を立てる流氷鳴きを聞けたりと、今日とは全く違う迫力ある流氷の姿を楽しめたのである。

陽が傾くにしたがって気温がどんどん下がってくる。
楽しい流氷キャンプだが、その代償としてこの寒さに耐えなければならない。

流氷キャンプ
海別岳


斜里岳
夕日を浴びる斜里岳


流氷と知床連山
知床連山にも夕日が当たる


斜里岳や海別岳が夕日を浴びて赤く染まる。
知床連山もようやく姿が見えてきた。
しかし、肝心の夕日の方は、西の空には雲がかかり期待していたような風景は見せてくれなかった。

流氷キャンプ
夕日は雲に邪魔された


夕食メニューはキムチ鍋。
ソロキャンプならば腹さえ満たせれば何を食べても良いのだけれど、かみさんはこんな時でも普通に料理を作らなければ気が済まないのである。
大体は家で仕込んできているので、暖めれば直ぐに食べられるのだが、困るのは湯気である。
小さなテントの中で濛々と湯気を立てていたら、テントの中はあっと言う間に結露してしまう。
しょうがないのでテントの外に鍋を置いて暖めるしかない。


夕食はキムチ鍋


暗くなればテントの中に籠ってワインを開ける。
テントの中で火を使えば、内部の温度は10度くらいにはなる。
それでも足元は0度程度で、寒いことに変わりはない。
酔わないうちにワイン1本があっと言う間に空いてしまう。

流氷キャンプ


午後8時前には各々のテントに分かれて就寝。
シュラフの中に入れば、寒さは殆ど感じない。
外に出ている顔だけが寒いので、頭まですっぽりとシュラフに潜り込む。



朝起きてテントの中に吊るした温度計を見ると-13℃まで下がっていた。
シュラフの襟元は寝息で結露しているし、テントの内部は凍り付き、触れるとパラパラと霜が降ってくる。
若干だけど夜中に雪も積もったようだ。

朝6時、気合を入れてテントの外に出る。
海別岳周辺の空が赤く染まっていたので、朝日はその辺りから昇ってくるようだ。

流氷キャンプ
流氷キャンプの朝


昨日よりも流氷が岸から離れたようで、海面が少し広がっていた。
昨日から風は殆ど吹いていないのに、本当に流氷は風任せである。

流氷
昨日より海面が広がっていた


良く見ると、開いた海面には薄い氷が張っていた。
その氷が朝焼けの空を写して赤く染まる。
朝日が昇ってくるまで、そんな風景を眺めながら海岸を歩き回った。
と言うか、じっとしていると寒くて堪らないので動き回るしかないのだ。
指先も痛くなってきて、凍傷寸前である。

流氷と朝日
流氷キャンプの日の出


ようやく昇ってきた朝日を撮影してテントに戻る。
かみさんが暖かいコーヒーを入れてくれていて、今まで飲んだコーヒーの中で一番美味しく感じた。
直ぐ近くに釧網本線が通っていて、そこを走る列車が私たちに気が付いたのか、汽笛を鳴らしながら通り過ぎる。

流氷キャンプ
凍り付いたテント


流氷
海面も凍っている



通り過ぎる列車が汽笛を鳴らしてくれた


朝食を済ませてから撤収開始。
このまま帰るのならばテントの撤収も適当に済ませるのだけれど、今回はもう1泊予定しているのでテントに付いた霜もなるべく綺麗に落とさなければならない。
冬山で何泊もテント泊するような登山家は凍ったテントやシュラフをどうしているのだろうと、冬のキャンプをする度に思ってしまう。

流氷キャンプ
車へと戻る


ザックを背負って最高のキャンプ地を後にする。
横を流れている川には沢山の白鳥の姿があった。
どおりで、夜中に白鳥の鳴き声が聞こえていたわけだ。


横を流れる川で越冬している白鳥


青空が広がり今日も良い天気だ。
まずは温泉に入って温まりたいところだけれど、朝からやっている温泉が無いので、時間をつぶすためにとりあえず能取岬に向かって車を走らせた。


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