北海道キャンプ場見聞録
念願のワカサギキャンプ
網走湖(2月20日~21日)
流氷キャンプ地を後にして、やって来たのが能取岬。
もしも今回のキャンプがソロだったとしたら、ここもキャンプ地の候補にしていたところである。
それなので、テントを張れそうな場所の確認もしたかったのだが、やっぱり観光地だけあってここでテント泊するのは無理との結論に達した。
能取岬に建つ灯台
流氷に埋め尽くされた岬の風景を期待していたのに、意に反して岬の周りには青い海が広がっていた。
流氷を見るのは本当にタイミングが難しい。
それでも所々に流氷が集まっていて、それを高い場所から見下ろすのもなかなか新鮮である。
能取岬の周囲は海面が広がっていた
ここで流氷とはお別れして、女満別の農業構造改善センターひまわり温泉に入りに行く。
周辺のホテルや旅館の日帰り入浴が午後からなのに、ここは午前11時から営業しているのがありがたい。
農業構造改善センターひまわり温泉
温泉でさっぱりとした後は、道の駅メルヘンの丘で昼食。
ここには豚丼やラーメン、ピザの店などが入っている。
私は女満別産さくら豚の豚丼を食べたかったけれど、運悪く店が定休日だったので、隣のラーメン屋で網走湖のしじみを使ったしじみラーメンを食べる。
中に入っているしじみの数では、完全に天塩町のしじみラーメンを上回っていた。
メルヘンの丘の7本の木
腹を満たしてから向かったのが、網走湖のワカサギ釣り場。
今日はここでテントを張って、ワカサギを釣りながら1泊する予定である。
テントの中でワカサギを釣って、その場で食べて、そのままテントの中で寝る。
以前からやってみたかったキャンプの一つである。
ただ、心配だったのは、ここでは夜間の釣りが禁止されていることである。
釣り場の営業時間は午後4時までとなっていて、念のために事前に電話で「午後4時を過ぎてそのままテントを張っていても良いですか?」と聞いてみたところ、「夜間の釣りを禁止しているので、私からはダメとしか言えません」との微妙な回答。
調べてみると、夜中にやってきて釣りを始める人も結構いるみたいなので、何とかなるだろうと考えてテントを張ることにした。
網走湖のワカサギ釣り場
昨日と違って、今日はジャンボソリを使って荷物を運べるのがありがたい。
氷の穴開けをどうするか悩んでいたけれど、たまたま午前中で引き揚げた人の開けた穴が二つ並んでいるのを見つけ、その上にテントを張ることにした。
去年で引退することになったソレアードのテントが、ワカサギ釣りで再び役に立つこととなる。
その隣に私用のテントを張ろうと思って雪を踏み固めていると、踏み固めた場所の下から水が滲んでくるので驚いた。
気温はずーっと氷点下のままで、ここで水が出てくるのが信じられない。
氷の上に積もっている雪の厚さは15センチ程なので、雪の保温効果で氷の表面が溶けているとも思えない。
以前に朱鞠内湖でワカサギ釣りをして不思議に感じたのだが、積雪が2mを越えているのに、湖上に積もっている雪の深さは50センチも無いのである。
多分それと同じで、湖の氷の上に降り積もる雪は、理屈は分からないけれど常に何処かで溶けているのだろう。
午後になると帰る人も多くなる
セッティングが終わって早速、氷に開いた穴の中に釣り糸を垂らす。
直ぐに魚信があって、良い型のワカサギが釣れてきた。
その後も順調にワカサギが釣れ、タバコをゆっくりと吸っている暇もないくらいだ。
ソレアードがワカサギテント代わりになる、中にはかみさんのテントも
最初はかみさんと数を競っていたけれど、そのうちに数を数えるのも面倒くさくなってくる。
ただ、針にかかっても逃げられることが多い。
魚信が有っても、上げてみると空振りだったりとか、上げる寸前に針から外れたりするのだ。
針が小さ過ぎたのか、併せ方が下手なのかは分からないが、それが無ければ多分倍くらいは釣れていた気がする。
順調にワカサギが釣れてくる
午後4時近くになると、周りのテントは全て無くなっていた。
午後4時を過ぎると、そろそろ注意しに来るんじゃないかと気が気ではない。
暫くすると物音が聞こえたので、「とうとうやって来たか」と観念してテントの外の様子を覗いた。
するとその物音は、新たにやって来た釣り人がテントを張っている音だったのである。
その後からもポツポツと釣り人がやって来る。
午後4時を過ぎてからやって来る釣り人も結構いた
それでようやく安心してビールを開けることができた。
それまでは、もしも追い出されたら車で何処かに移動しなければならないので、ビールを飲むのも我慢していたのである。
数は数えていないけれど、3時間で100匹程度のワカサギが釣れた。
釣れたワカサギをかみさんが天ぷらにしてくれる。
衣をつけて油の中に入れると、まだ生きているワカサギがその中でのたうっていた。
とても不憫に思えたけれど、新鮮なワカサギの天ぷらは堪らなく美味しいのである。
100匹以上はありそうだ
油の中でもがくワカサギも
去年の秋から、テント内の暖房としてイワタニのガスストーブを使っていた。
秋のキャンプではそれなりに役立っていたけれど、さすがに冬のキャンプでは力不足で、無いよりはまし程度の暖かさしかない。
しょうがないので、今まで使っていたシングルバーナーの上に載せて使う遠赤外線ヒーターを追加する。
暖かさではやっぱりこちらの方が勝っている。
ただ、その分ガスの消耗は激しい。
イワタニのガスストーブは安価なカセットボンベを使えるのが魅力だけれど、冬のキャンプでは暖房費は節約しない方が良さそうだ。
秘密兵器のイワタニのガスストーブは大して役に立たなかった
気温は昨日程下がっていないけれど、湖上独特の寒さがある気がする。
テントから外に出ると、あまりの寒さに体が縮み上がる。
冷えた空気が湖上に淀んでいるのかもしれない。
空ではオリオン座が冷たい光を放っていた。
話題になっているとおり、オリオン座のベテルギウスは驚くほどに暗くなっていた。
これでは星空の冬の大三角も簡単には見つけられないだろう。
遠くに見えるホテルの灯りが恨めしい
朝のテント内の気温はマイナス5度。
ペットボトルのお茶も一部しか凍っていなかった。
テントに触ると、サラサラと音を立てて上に積もっていた雪が流れ落ちた。
夜中に少し雪が降ったようだ。
テントの外に出てみると、空は曇って、辺りはモノトーンの世界になっていた。
雪を被った常設のワカサギテント
イワタニのガスストーブが寒さのためか着火しない。
しょうがないので、遠赤外線ヒーターを先に使って、それで暖めてようやく着火することができた。
朝食を済ませて撤収を始めると、また雪が舞ってきた。
今日は家に帰るだけなので、テントの撤収も雪がこびりついたままで袋の中に押し込む。
荷物はジャンボソリに乗せて運ぶ
釣り場の営業は午前8時半からなので、それまでには撤収しようと思い、8時15分頃にはソリに荷物を積んで駐車場まで戻ってきた。
そこで管理事務所のおばさんと顔を合わせたので「おはようございます」と挨拶をしたら、「今日の料金を払ってくださいね」と言われる。
「今日は釣りはしていないんだけどな~」と思いながら、キャンプ料金と割り切って1人800円の料金を支払ったのである。
網走湖にお別れ
こうして二日間のキャンプは終了。
久しぶりの流氷キャンプ、そして以前からやってみたかったワカサギ釣りキャンプと、冬のキャンプを十分に満喫して、札幌へと車を走らせたのであった。