夕食は質素なフリーズドライの山食。
考えてみれば、コンビニ弁当を買ってここまでぶら下げてくることも可能だったのである。
かみさんはここへ来る前に「今日は焚き火もできないし夜は退屈ね」と言っていた。
しかし実際には、月の明かり、沖に浮かぶ漁火、町の夜景、夜空に輝く星、同じサイクルでテントを照らす灯台の灯など、退屈するような事は全く無かった。
しかし、次第に雲が広がり満月も漁火もその中に隠れてしまった。
その雲は何処かから流れ来たものではなく、その場所に突然湧き上がってきたような雲なので、明日の朝にはまた消えているかもしれない。
それを期待してテントの中にもぐり込んだ。
昨夜は朝までぐっすりと眠れたのに、今夜は真夜中に目が覚めてしまい、その後がなかなか寝付かれなかった。
気温が高いのでシュラフの中が暑苦しく、漁船のエンジン音もやたらに耳に付くのだ。
テントの入り口を開けて空を見上げると、既に雲は無くなりオリオン座が目の前に輝いていた。
かみさんも目を覚ましていたようで、テントから抜け出してきた。
私も気分転換のために一度起きることにする。
月は既に西の空に傾き、海の上に光の道を作っていた。
海岸で小さな灯りが見え隠れしているのは、釣り人のヘッドランプの灯りのようだ。
最近はキャンプでも寝る時間が早いので、その時間帯には白鳥座が一番目立っている。
それなので、私が寝た後に高度を上げてくるくオリオン座の姿が随分と新鮮なものに見える。
ちょうどオリオン座流星群が極大日を迎えているので、二人で流れ星の姿を探す。
時々、目の錯覚かと思えるような僅かな光が流れたような気もするが、これだけ月の明かりがあると暗い流れ星は確認できない。
それでもかみさんが二つ、私が一つの流れ星を見ることができて、再びテントにもぐり込んだ。
朝は5時過ぎに起き出す。
日の出まではまだかなり時間があるけれど、まだ月明かりもあり、東の空も直ぐに白んでくるので、早起きし過ぎた気はしない。
水飲み台で顔を洗ったり乙部の湧き水で入れたコーヒーを飲んでいると直ぐに朝が訪れる。
今度は月が沈み太陽が登ってくる。
かもめ島の上にいると、地球が回っている事を直接感じる事ができる。
今日は太陽が直ぐにテントを照らしてくれた。
テントが乾くまでの間、かもめ島を散歩する。
4年前の道南キャンプの時にもかもめ島を一周しているけれど、その時は時間が無くて島の下に広がる岩盤部分は歩いていなかった。
|