7月の道北、9月の道東、そして今回の道南キャンプ。
何れも3泊4日の日程で、こうして道内を隈なく回る年も我が家にとっては珍しいことだ。
毎年、キャンプシーズンが終わりに近づくと、まだ開いているキャンプ場が多い道南方面に足が向いてしまうのは自然の成り行きだが、今年は特に太田神社参拝という大きな目的があるので檜山方面に狙いを定めて日程を組み立てた。
我が家の場合、予定を組んでも天気予報次第で直ぐに変わってしまうのが常だけれど、今回は珍しく我が家の日程に合わせてくれたように晴れの予報が続き、初日はまずせたな町に向かって追分ソーランラインを南下する。
寿都町の道の駅「みなとま〜れ寿都」に寄り道し、生炊きしらす佃煮の食べ比べ3個セットを買い、その後は茂津多岬灯台へ向かう。
ここには5年前にも一度立ち寄ったはずだが、その時の写真を見ても灯台の上から写した風景が一枚も無かった。
「日本一高い場所にある灯台なのに、何で写真を撮らなかったんだろう?」
そう思いながら灯台までやって来て、ようやくその理由を思い出した。
その灯台からは眼下に広がる海しか見えないのである。
海の写真は何処で撮影しても海でしかない。
それでも、そこに登って来るまでの風景は十分に楽しむことができた。
昼食はネットで調べておいた「漁師の直売店 浜の母ちゃん食事処」に入った。
国道沿いのけばけばしい店の様子に驚いたが、普段は入らないような店でも、旅行者気分になっているのでためらい無く入ることが出来る。
「イカ刺し定食のイカは新鮮なの?」って聞いてみたら、ちょっと恥ずかしそうに「冷凍です」って答えてくれたのは、正直な店で好感が持てる。
海鮮丼を頼むと、生簀の中から材料のホタテを取り出してくれる。出来ればアワビも取って欲しかったけれど、生簀の中から出されたのはホタテだけだった。
そうしてせたな町に到着。
最初に向かったのが「こんどうチーズ牧場」。
最近は地方に出かける度に、その地域のチーズ工房を訪ねるのがマイブームになっている。
何処のチーズ工房も牧場直営なので分かりづらい場所にあり、この「こんどうチーズ牧場」も例外ではなかったが、要所に看板が立っていたので迷わずにたどり着けた。
そこは、店と言うよりもただのチーズ工房で、ショーケースなんて代物は何処にも無い無い。
ご主人が工房の方から素のままのチーズを幾つか出してきて、試食させてくれる。
その中から、キトビロの入ったデンマーク風ハバーチを買うことにした。
値段も聞かずに決めてしまったので、ご主人がそのチーズの重さを量ってラップで包むのを見ながら、「その固まりって少し大きすぎるよな〜、半分くらいで良いんだけど・・・」とドキドキしながら待っていると、無難な値段だったのでホッとする。
その後は、道路地図に景勝地マークが付いていた狩場渓谷を目指したが、途中でゲートが閉まっていたために止む無く撤退。
その後、立象山の青少年旅行村の様子を見ながらせたな町市街地へと戻る。
このキャンプ場は16年前にも一度訪れているが、その時は風が強くてテント設営を断念し、その後放浪することとなった思い出が残っている場所だ。
今回も条件が良ければここに泊まっても良いかなと考えていたが、やっぱり風が強かったので、予定通り真駒内ダム公園に向かうことにした。
その前に甲田菓子店で賞味期限1時間の名物「岩シュー」を購入。
今回のキャンプ旅行では事前にリサーチする余裕があったので、地元の名物店はチェック済みなのである。
そうしてキャンプ場に到着。
今時期の平日なので他のキャンパーの姿は無し。
真駒内ダム下の園地がオートキャンプ場として整備されている。
以前は、無料で泊まることができる穴場のキャンプ場として人気があったようだが、現在は有料となっている。
オートサイトが1000円、フリーサイトがテント一張り500円の料金。
両サイトの間は通路を挟んで隣接し、その違いは車の駐車スペースが有無だけである。
他に利用者が来るとは思われず、当然フリーサイトにテントを張るところだけれど、500円の違いなので、何となくオートサイトを選んでしまった。
テントを張り終えてまず最初にしなければならないのは、賞味期限が迫っている「岩シュー」を食することである。
皮のサクサク感が売りなので1時間の賞味期限となっているらしく、その期限にはギリギリ間に合ったが、どうせならば買って直ぐに食べた方が良かったかもしれない。
岩シューを食べ終わったところで直ぐに腰を上げる。
相変わらず忙しい我が家のキャンプである。
狩場渓谷が駄目だったので、今度は真駒内ダム上流の熊戻り渓谷に向かうのである。
私は紅葉に彩られた渓谷美が大好きなので、何々渓谷と聞けば黙っていられないのだ。
この熊戻り渓谷の紅葉も期待通りに私を楽しませてくれた。
渓谷沿いの林道は熊戻野営場で行き止まりとなり、そこから先はゲートを開けなければ進めない。
以前、賀老高原野営場に泊まった時に林道をかなり奥まで進んだことがあったけれど、その先はここに通じているはずである。
熊戻野営場は、その名前からかなり恐ろしげな場所を想像していたが、意外なほどに明るい雰囲気のサイトが広がっていた。
もしも真駒内ダム公園にテントを張ってなければ、ここでも良かったかなと思えるくらいだ。
でも、ここまでの道程と周囲の環境を考えれば、真っ暗闇の中で一晩を過ごすにはかなりの覚悟を必要としそうだ。
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