トップページ > キャンプ > キャンプ日記 > 2010年キャンプ日記

緑に囲まれて兜沼キャンプ前編

兜沼公園キャンプ場(7月2日〜3日)

 クッチャロ湖畔キャンプ場を出て、まずはベニヤ原生花園へ向かった。
 ここは、それ程花の綺麗な原生花園でもないけれど、近くにまで来たのだからその様子だけは見ておこうとの気持ちである。
 車から降りるとモワッとした蒸した空気に包まれる。
 数日前に記録的な暑さとなった北海道は、その後天気が崩れても、相変わらず平年よりも気温が高い状態が続いているのだ。
 原生花園の中の遊歩道を歩き始めたが、ヨシやスゲが伸びていて花があまり目立たない。
ベニヤ原生花園 目立つのはせり科の大型植物、エゾニュウなどの白い花ばかりである。
 沼を挟んだ海岸砂丘の方がエゾカンゾウなどの花が沢山見えるが、遊歩道はそこには伸びていない。
 大型望遠レンズ付きカメラで撮影していたおじさんの被写体は、花ではなく鳥のようである。
 ここの原生花園は花よりも鳥を楽しみに来た方が正解かもしれない。
 日差しが照り付けると、一気に気温が上がってくる。
 いつの間にか上空には青空が広がっていた。
 湿度も高く、この蒸し暑さは北海道の人間には耐えられないものである。
 散々待ち焦がれていた青空が、この時ばかりは余計なものに感じてしまう。
 「霧よ出て来い」と空に向かって祈ってみたが、私の霧男としての神通力は既に失われたようで、更に強い日差しが照り付けてくるだけだった。
 それでもやっぱり、沼を渡る橋の上から見る風景は、青空をバックにした方が格段に美しいのである。


青空が美しいベニヤ原生花園

今日も曇り空の直線道路 昨日は霧に包まれてその魅力を楽しめなかった8キロ直線道路経由で北に向かうことにする。
 しかし、空模様は本当に思い通りにはなってくれなく、直線道路までやって来ると再び空には雲が広がってしまった。
 次はそこの近くのモケウニ沼に向かう。
 現地に着いても、くしゃみと鼻水がひどいかみさんは、車から降りようとしない。
 シラカバ花粉アレルギーのかみさんは牧草花粉にも弱くて、道北は今が一番牧草の刈り取りの真っ盛り。
 札幌では治まっていた花粉症の症状が、再びぶり返してしまったようだ。
 しょうがないので、沼には寄らずそのまま走り続けることにした。
 モケウニ沼には6年前に訪れていて、駐車場から沼までの真っ直ぐに伸びる300mの木道とその周りの湿原、そして木道の終点に広がる湖面と、なかなか楽しいスポットである。
 一方、周囲では一番牧草の収穫が終わった牧草地への堆肥やスラリーの散布が真っ盛りである。
 強烈な臭いに包まれながら、「強い雨が降れば、この一部はモケウニ沼に流れ込むのだろうな〜」と、ついつい考えてしまう。

宗谷丘陵の子ギツネ その後は宗谷岬を目指してひた走り、途中から細い砂利道に入り込み宗谷丘陵の牧場へと登っていく。
 宗谷丘陵の観光は宗谷岬側から入ってくるのが一般的だが、宗谷岬まで行っても特に見るものも無いし、誰も通らないようなこんな裏口から入った方が面白いのだ。
 その途中で子ギツネが1匹、道端に寝転がっていた。
 通過車両に餌をねだる観光ギツネでもなく、かと言って野生ギツネの様な人間に対する警戒心もまだ希薄で、のんびりと毛づくろいをしている。
 そのまま車でゆっくりと近づいていくと、面倒くさそうに起き上がって、草むらの中へと消えていった。
 目の前にはなだらかな起伏が続く宗谷丘陵の風景が広がる。
 後ろを振り返ると、丘陵の向こうにオホーツク海が見える。
 空は雲に覆われ、海も霞んでいるけれど、その雲の下に陸地のようなものが少しだけ見えていた。
 「あんな所に島が有るわけないよな〜、海上に黒い霧でも出ているんだろう」
 そう考えて、あまり気にも留めなかったけれど、後になって考えると、それは遠くサハリンの地が見えていたのかもしれない。
宗谷丘陵の風景 「なまら蝦夷」の地図には宗谷丘陵の森林限界地点と書かれている場所があったので、それを確認するため丘陵の間を縫うように走る道道889号を南へ向かってみた。
 その森林限界から南には針葉樹林が広がっているのが、その北には一切樹木は無くなる。
 でも、これを森林限界と呼ぶのはちょっと無理があるな〜というのが正直な感想だった。
 樹木が生えていないのは、牧草地にするために木を切り払っただけの話しだろう。
 念のために、ちょっと調べてみた。
 ここの地形自体は、地中の水分が凍結や融解を繰り返すことによって形成された周氷河地形である。
 開拓以前のこの地域の原植生はトドマツやエゾマツが優先する森林だったのが、1911年の火災によってその大部分が消失してしまった。
 その後内陸部分では植生が回復したものの、北の方は強い季節風により樹木が育たず現在の状況になっているらしい。
 このことを知れば、森林限界の言葉も正しい表現に思えてくる。
宗谷丘陵と風車群 宗谷丘陵には巨大風車が立ち並んでいる。
 この風車が建てられる前の風景を私は知らないので、今のこの風景を素直に楽しむことができるが、かみさんが工場地帯の風景を嫌うように、この風景を拒否する人もいるかも知れない。
 宗谷丘陵の中で一際小高く聳えているのが丸山である。
 その上に登れば最高の景色が楽しめそうだが、その頂上には自衛隊のレーダー基地があるため、周りには厳重な柵が張りめぐらされて近づくこともできない。
 「なまら蝦夷」には宗谷丘陵の「海に続く道」も紹介されていた。
 私達が入ってきたのとは反対側になる、海まで下りるダート道が眺めが良いとのことである。
 丸山の麓を通り過ぎ、その「海へ続く道」へ向かう途中で素晴らしい場所を見つけた。
 これまで宗谷丘陵は何度か訪れているけれど、ここへ来るのは初めてだった。
 そこからは宗谷丘陵の大パノラマを一望できるのである。宗谷丘陵一番のビューポイントといっても良いだろう。
宗谷丘陵「海に続く道」 ここは、宗谷丘陵の中を巡る延長10キロのフットパスのコースの一部になっている。ここのフットパスは、北海道のフットパスコースの中でもロケーションの素晴らしさでは文句無しに一番だと思う。
 ただ、残念なのは車でも走れるフットパスなことである。歩いた方がより景色を楽しめるとは分かっていても、10キロの道程を考えれば楽な方を選んでしまう。
 もしもこのフットパスが徒歩でしか歩けないものだとしたら、私は真っ先に歩きに来ることだろう。
 「海に続く道」はちょっと期待外れだった。
 ダート道がそのまま海に続いているように錯覚するとのことで、天気が良ければ利尻や礼文、サハリンの姿まで一望できるとのことだけれど、今日は雲が多すぎた。
 同じ名前を付けるのならば、私達が入ってきたダート道の方がその名前に相応しいだろう。


宗谷丘陵の風景

 その後は「なまら蝦夷」に載っていたラーメンを食べるために、稚内市内へと向かう。できれば市街地には入りたくなかったけれど、他に食べ物屋の情報が無いのでしょうがない。
 目的のラーメン屋「青い鳥」は稚内駅近くの飲み屋街のような場所にあった。
 店内の壁には有名人の色紙も沢山張られている。その中に、今日これから向かう予定の「坂の上の雲ロケ地」に関係する阿部寛のサインを見つけたのは嬉しかった。
あそこに利尻島が見えるはずなのに 美味しい塩ラーメンを食べた後は、一旦日本海に出て今日の宿泊地である兜沼公園へと向かう。
 せっかく道北まで来て、宗谷岬もノシャップ岬へも寄らないことになるけれど、道北も何度目かになるとあまり先端には興味が湧かなくなってくるのだ。
 稚咲内海岸のコウホネの家も何度も立ち寄っている場所だが、ここは車を停めてコウホネ沼を一周する遊歩道を歩く。
 ただ、花を楽しむと言うより、今年の花の状況を確認するのが目的であるのように、早足で一巡りするだけだ。
 上空に青空は見えているものの、利尻島は雲に隠されて、その一部しか姿が見えない。

 そうして兜沼公園キャンプ場に到着。
 他にキャンパーの姿は無く、迷うことなく我が家の一番のお気に入りの場所にテントを設営。前回ここに泊まった時は、その場所を先客に占められていたので、何処にテントを張るかでかなり悩まされたのである。
 これで帰る家が出来たので、安心して次の目的地、豊富の坂の上の雲ロケ地へと向かうことが出来る。
 途中で宮の台展望台に寄り道。稚咲内海岸で見た時よりも雲が取れてきた利尻島が奥に控える雄大な景色を楽しむ。
 ここから見る夕日も素晴らしそうだ。
 水場もトイレもあるので、夕日を楽しんでそのまま野宿、そんなことを考えながら展望台を後にする。


宮の台展望台から見る利尻島

 「なまら蝦夷」を見ると、近くにジェラートの美味しい店があるらしいので、寄り道することにした。
 今回の旅は本当に、なまら蝦夷頼みの旅になった。下調べもしないで出てきたので、もしもこの本が無ければ単調な旅になっていたところである。
看板を頼りに店を探す 大まかな地図なのは相変わらずで、ここでもまたその店「工房レティエ」にたどり着くまでちょっと苦労する。
 ただでさえ人の少ない道北。その道北の更に辺ぴな場所に店があって、どうして経営が成り立つのか不思議に感じる。
 平日にもかかわらずレティエには二組の先客がいた。さすがにここは、浜頓別のチーズ工房よりはメジャーのようである。
 ここでもチーズが作られていて、商品の説明を読むと「リィシリ」と言うチーズは洞爺湖サミットの食事にも出されたのだとか。
 私達が知らないだけで、もしかしたらここは結構名の通った店なのかもしれない。
 ちょっと高いけれど、その「リィシリ」も一緒に購入した。
 外のベンチに座ってジェラートを食べる。そこには3匹の人懐っこいワンちゃん達が繋がれていた。尻尾を振りながら涎を垂らす3匹に見つめられると、ゆっくりと味わってもいられない。
坂の上の雲ならぬ坂の上の牛 最後に3匹の頭やお腹を撫でて、豊富の大規模草地牧場の中に作られた「坂の上の雲ロケ地」へ向かう。
 丘の上では牛の群れがのんびりと草を食んでいた。
 すると突然その牛達が走り出した。
 まるで焼尻島で見たヒツジの群れを見ているようだ。
 その牛が、青空を背景に緑の丘の上を駆けていく。
 「坂の上の牛だぁ〜!」かみさんと私は同時に声を上げた。

 「坂の上の雲ロケ地」は牧場のレストハウスの隣りに、ロケで使用された臼砲陣地のロケセットが復元されている。
坂の上の雲ロケセット まあ、このセット自体は別に見るほどのものでもないけれど、大規模草地牧場の風景は素晴らしい。
 レストハウスで100円飲み放題の牛乳をコップ1杯だけ飲んでから、牧場の更に奥へと車を走らせる。
 宗谷丘陵は丘の起伏の中に牧場があるけれど、こちらは山の起伏の中に牧場が作られていて、よりダイナミックな風景が広がる。
 牧場を通り抜けてそのまま北へ向かうのも面白いけれど、豊富温泉に入る予定なので適当な場所から引き返すしかなかった。
 ホテル豊富で油の臭いのする湯に浸かって、その帰りに川島旅館で名物のプリンを購入。
勿論これも、なまら蝦夷情報である。


豊富大規模草地牧場   豊富大規模草地牧場

 兜沼のキャンプ場まで戻るのに国道を走るのもつまらないので、湿原の中の道を走ることにした。
 ところが、道路地図を見ながら近道を走るつもりだったのが、途中で道に迷ってしまった。
利尻島の姿 農道が複雑に入り組んでいるが、迷ったと言っても、北へ向かって走っていればそのうちに大きい道路に出るので問題はない。
 でも、近道するつもりがかなりの遠回りになっていることだけは確かである。
 途中で利尻岳の素晴らしい姿に出会う。
 なまら蝦夷の中に「道に迷ってみよう」との文書が書いてあった。そうすれば思わぬ景色に出会えることが出来るとのこと。
 この利尻岳の風景がそれなのだろう。
 でもそれは時間に余裕がある時の話し。
 こちらは一刻でも早く風呂上りのビールを飲もうとしているのに、景色を楽しんでいる余裕など無いのだ。

兜沼公園キャンプ場のサイト そうしてようやくキャンプ場に戻ってきた。
 テントを開けると随分と蟻が多いことに気が付く。特に、テントを収納していた入れ物に蟻が沢山群がっている。
 恐る恐るそれを除けてみると、その下がちょうど蟻の巣になっていて、気味が悪くなるくらいの蟻が蠢いていた。
  到着後直ぐにビールを飲むはずが、結局テントを蟻の巣の上から移動させることになり、その後でやっとビールの缶を開けることが出来たのである。
 既に風呂上りの気分は消え去ってしまっていた。
 でもここは、本当に落ち着けるキャンプ場である。
 うっそうとした森の中で周りの風景が見えるわけでもない。
 たとえ夕焼けで西の空が赤く染まっていたとしても、森の中では少しだけその赤味を感じられるだけだ。
 夜のキャンプ場緑に囲まれた中で鳥の囀りを聞くだけしか、ここですることはない。
 昨日のクッチャロ湖では素晴らしい夕日に心が舞い上がっていたが、ここでの様に心が落ち着くことは無かった。
 別にここでも、兜沼の湖畔まで出れば利尻岳を赤く染める夕日を見られそうだが、わざわざそうする気も起こらない。
 ここでは、この静かな時間を楽しむのが正しい過ごし方なのである。
 今夜は夏のキャンプらしく焼肉とビールの夕食。
 今年の我が家の単独キャンプでは初めての焼肉である。
 アオバズクの鳴き声が森の中に響く中、静かに夜はふけて、今日も9時に就寝。

 朝は鳥の囀りで気持ち良く目が覚める。
 コーヒーを入れて、昨日川島旅館で買ってきた白いプリント特濃プリンをいただく。
 それはプリンと言う食べ物とは全く別のものだった。白いプリンは牛乳を食べているようだ。特濃プリンもあっさりとしていてとても美味しい。
森に射し込む朝の光 そのうちに、木々の間をやっと通り抜けた朝の光がサイトまで届いてきた。
 その僅かな光を受けた木の葉が透明に輝く。
 芝生一面に花を咲かせた白やピンクのデージーが光の中で輝いて見える。
 場内をぐるりと一回りする。
 他のキャンパーは、BMWに乗ったソロの男性一人だけだ。
 他にはトレーラーが1台、兜沼に近い広場に停まっていた。
 さすがにトレーラーを引いては、場内の細い道は入ってこれないのだろう。
 我が家のキャンプ旅行も明日が最終日。
 札幌まで帰ることを考えれば、もう少し南のキャンプ場に移動すれば楽そうだが、ここがあまりにも快適なので、もう一泊ここに泊まることに決めた。

兜沼キャンプ後編へ続く 

前日のクッチャロ湖キャンプへ  

兜沼キャンプ前編のアルバムへ 


朝の兜沼公園   兜沼公園の緑


戻る   ページTOPへ ページトップへ