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泊まれるだけで嬉しい浦幌キャンプ

うらほろ森林公園キャンプ場(6月24日〜25日)

 歴舟川の川下りを終えた後は、晩成温泉で汗を流すことにする。
 温泉から出た後は、そのまま晩成キャンプ場でキャンプをして、歴舟川の河口で聞いた太平洋の波の音を今度はテントサイトで聞きながら、ゆったりと川下りの余韻を楽しむ。
 と言うのが、私がこれまで何度も夢見てきた理想的なキャンプシーンなのだけれど、ここのキャンプ場ではテント設営を断られたり、団体キャンパーにサイトを占領されていたりと、ことごとくその夢は打ち破られ続けてきたのである。
 そんな苦い経験があるものだから、今回は札幌を出る前に電話で確認することにした。するとやはり、「サイトはまだオープンしていません。温泉の横にならテントを張っても良いですよ。ちゃんとトイレも水場も有ります。ただ、通常の料金はいただきますから。」との返事が返ってきた。
 「水場やトイレが使えなくても良いですから、テントだけ張らせてもらえませんか?」
 「ダメです。それにオープン前なので草刈もしていません。」
 「草が伸びていても構いません。テント張らせてもらえませんか?」
 「ダメです。入り口も閉鎖してあります。」
 「・・・。」
温泉隣のテントサイト 現在、この温泉とキャンプ場は指定管理者の管理になっている。これまで市町村で管理していた施設を民間事業者にその管理を任せるようになったのが指定管理者の制度なのだけれど、「民間の管理になれば利用者へのサービスが良くなる」との考えの下に作られた制度だ。
 ところが、他にも幾つかの施設を見ているけれど、以前よりサービスのレベルが低下していると施設の方が多いのが実態だ。
 ここの指定管理者も温泉施設の管理には力を入れても、キャンプ場の方は温泉とセットで管理対象に入れられたものだから、その管理についてはちょっともてあまし気味と言ったところだろう。
 そもそも、「トイレと水場を使わせてやればキャンプなんて何処でもできるだろう」との意識しか、ここの管理者は持ち合わせていないような気がする。
 これまで晩成キャンプ場のAサイトは私にとって憧れの場所だったけれど、こんな考えで管理されているようなキャンプ場には、もうそんな気持ちを感じることは無くなってしまいそうだ。

 晩成がダメならばと、次に候補に考えたの湧洞湖キャンプ場。
 ここは既に閉鎖されてしまったキャンプ場だけれど、前回利用した時もオープン前の時期だったので、我が家にとってはほとんど関係が無い。天馬街道で湧き水を汲んできたのも、ここでキャンプするためであった。
 ただ、その次のキャンプ地として考えていたのがキトウシ野営場。ここもオープン前なのでトイレも水場も使えない。さすがに3泊連続での野宿キャンプとなると、私もちょっと自信が無い。かみさんは「湧洞湖で良いんじゃない」とのん気に構えているけれど、川下りキャンプ装備から普通のキャンプ装備に体勢を整え直さなければならないし、何処かゆっくりできるキャンプ場に泊まろうと言うのが私の考え。
 そうして、キャンピングガイドを見ながら決めたのが浦幌森林公園キャンプ場である。ここならば手ごろな値段でオートサイトも利用できるし、その後東へ向かうのにもちょうど良い場所にある。
原生花園の中で そこへ向かう前に、まだ時間の余裕もあるので湧洞湖の原生花園を見に行くことにした。
 海へ向かうにしたがって、また霧が濃くなってきた。その濃さが限界まで達すると、時々ポツリポツリと水滴になって落ちてくる。前回ここへ来たときも同じような濃い霧の中だった。
 今度の道東キャンプで私が唯一気に入らなかったのが、この湧洞湖を含めた4年前の道東キャンプとルートと時期がほとんど重なってしまっていることである。せめて1週間遅らせることができれば、前回以上に花が咲いている風景を見られるのにと考えたけれど、それほど都合よく休みの時期を変えることはできなかった。
 昔のキャンプ場跡に到着。そこにあったトイレは既に取り壊されて全くの更地となってしまい、今となってはそこがキャンプ場だったとは誰も気が付かないだろう。
 その場所にはジェットスキーを楽しむ若者達が集まっていた。これからここは、そんな使われ方をする場所に変わってしまうのかもしれない。
 海岸沿いの道をゆっくりと車を走らせる。その道路と海の間の幅の狭い草地は、エゾカンゾウ、ヒオウギアヤメが競うように咲き誇り、花の帯のようになっている。
 以前来た時は、その草地の中に縦横無尽に車の走り回った跡が付いていたけれど、曲りなりにも植物保護の措置がとられるようになったみたいで、車が入れないように所々に柵も付けられていた。
 その効果もでてきたのか、以前よりも花の数が増えたような気がする。
 ハマナスやセンダイハギの花も混ざって艶やかな風景となっている海側と違って、湧洞湖側は葦が茂る広々とした緑一色の平原となっていて、その中にエゾニュウなどの白い花が茎を伸ばして咲いている。霧に包まれたモノトーンのようなこんな原生花園の風景もなかなか良いものである。

エゾカンゾウが花盛り   霧に包まれる原生花園

 湧洞湖を出て、後は今日の宿泊予定地浦幌町の森林公園キャンプ場を目指すだけだ。
 このキャンプ場はキャンピングガイドによるとペット禁止になっているのがちょっと気がかりだったけれど、今時期の平日ならば他のキャンパーは誰もいないだろうし、断られることは無いだろうと勝手に信じ込んでいた。
 あらかじめ電話で確認すれば安心できるのだけれど、電話だと建前しか言わない人が多いので、私はこんな時は現地で直接お願いするようにしているのだ。
 市内のスーパーで買出しを済ませて、キャンピングガイドの地図を見ながらキャンプ場へ向かった
 国道沿いにある浦幌森林公園は、その中に温泉施設などもあって私の想像していた以上に整備された場所なので驚いてしまった。整備された場所と言うのは色々と不都合が多いものである。案の定、園内の所々に「公園内での犬の散歩は禁止します。」と書いた看板が立てられていた。これはかなりまずい状況かもしれない。
 公園内でさえダメなのならば、キャンプ場など絶対に犬を入れさせてくれるわけは無い。
 討ち死に覚悟で管理棟の中へ入っていった。
 「あの〜、犬がいるんですけどキャンプさせてもらえますか?」と恐る恐る聞いてみる。
 すると管理人のおじさんは、「う〜ん、本当はダメなんだけど、今日は他に誰もいないからオートサイトの方なら良いよ。」と、言ってくれたのである。
 この時は本当に嬉しかった。今回のキャンプで一番嬉しかった瞬間である。
 本来ならばこれが普通の対応だと私は思うのだけれど、他に誰もいなかったとしても「決まりだから絶対にダメだ」と言う管理人も存在するのである。

我が家のサイト 晴れて受付を済ませてオートサイトへ車を乗り入れた。
 両側を山に挟まれた細長い谷状の地形、その中央に車道が延びて両側にサイトが配置されている。一番奥まで行くと、そこからは山の上に登る遊歩道が続いている。
 ほとんど同じような地形のキャンプ場を何処かでみたような気がするけれど、なかなか思い出せない。
 樹木も多くて、奥に行くほど日当たりも悪そうだが、本来は犬禁止のキャンプ場なのだから、なるべく迷惑にならないようにその奥にテントを張ることにした。
 日当たりが悪いと言っても、そもそもどんよりとした曇り空がずーっと続いているので、そんなことはほとんど関係ないのだ。
 午後6時、テント設営完了。
 森林公園自体は国道に隣接しているのだけれど、このキャンプサイトは国道とはやや離れていて、回りを山に囲まれているので、聞こえてくる音は鳥の囀りだけである。
 なかなか素晴らしい環境で落ち着くことができる。
 立派な水洗トイレに立派な炊事場。川原で○○○をした後、火を付けてティッシュを燃やし、その上に石を幾つも積み重ねるような苦労は、今回はしなくて済むのだ。
 炊事場にはコンセントも沢山付いていたので、ここぞとばかりにデジカメの電池とか携帯電話とか髭剃りとかを充電する。今度の1週間キャンプに備えて自動車用のDC-AC変換アダプタを買ったのだけれど、こんな施設があるところではありがたく使わせてもらうことにする。
 気温が低いので特にデジカメの電池の消耗が激しく、既にコンパクトデジカメの方の電池は川下りの最中に切れてしまっていたのだ。
 食事を済ませた後は、テントの前室にこもってワインを飲んで過ごす。気温が下がってきたけれど、ガソリンランタンが暖房器具の代わりをしてくれるので、ちょうど良い暖かさだ。
 何時ものキャンプと違って焚き火ができないのがちょっと寂しいけれど、この時期になれば焚き火に暖房としての機能を求めることも無いので、何とか我慢できる。今日も夜9時に就寝。

落ち着いた雰囲気の場内   テントの中でくつろぐ

 この日の朝も霧がかかっていた。
 朝のコーヒーを飲んだ後は、サイトの奥にある散策路を歩いてみることにする。
 散策路といっても、いきなり急な山の斜面にウッドデッキ風の木製階段が続いていて、そこを登るだけでかなりしんどい。
散策路と言ってもほとんど木道 登り口の案内図を見ると展望台があるらしいのでそこまで行ってみるつもりだ。その急な階段を登り終わっても、そこから更に坂道が続いていた。
 やっとの思いで展望台に到着。その展望台もまたかなり高さがあり、その上まで登るとさすがに良い眺めだった。晴れていればもっと良い眺めなのだろうけど、そのことはあまり考えないようにする。
 しばらくはこんな天気が続きそうなので、これも道東の風景の一つとして受け入れなければ、これから先、愚痴ばかりこぼすことになってしまいそうなのだ。
 登ってきた時とは違うルートを通下って、テントサイトまで戻ってきた。 結局1時間もかかってしまい、軽い気持ちの朝の散歩のはずが、まるで軽登山のようになってしまった。

 今回の道東キャンプで是非とも泊まりたい場所の一つに来止臥野営場を考えていた。そこに泊まるとしたら、今日が旅の行程上ちょうど良さそうである。
 そう思ったものの、昨日からずーっとこんな霧の中のキャンプをしていると、そろそろ明るい風景が恋しくなってきてしまう。
 釧路の近く、そして海に面した来止臥ならば、今日も霧の中のキャンプになってしまうのは確実だろう。サイトからの海の展望が素晴らしいという来止臥なのに、霧の中ではそこに泊まる意味が無い。
 そこで、少し内陸へ入れば太陽の姿も見られるかもしれないと考え、悩んだ末に今日のキャンプ地を達古武オートキャンプ場に決定した。
 そうして朝食を済ませてキャンプ場を出発。
荒野 まずは昨日走った道を海岸線まで引き返して、これもまた4年前に訪れているトイトッキ浜の原生花園に立ち寄る。
 海岸の入り口に立てられていた看板に「この海岸は国有海浜地なので自由に釣りやキャンプができます」と書かれていた。「キャンプは禁止します」の看板は良く見かけるけれど、「自由にキャンプができます」とは嬉しい内容である。
 でも、どんよりと雲が垂れ込める暗い空と鉛色の海を見ていると、さすがの私もここでテントを張るのは躊躇ってしまいそうだ。
 草地の中に付けられたデコボコ道を車で走ってみたけれど、出発前に考えていた「荒野を目指して道東キャンプ」のテーマには、この場所は最適のキャンプ地だったかもしれない。
 ここの原生花園は、湧洞湖のような見た目の派手さは無いけれど、じっくりと観察すれば意外な発見がある、そんな感じの場所である。
 そんな発見を期待してゆっくりとこの中を歩きたかったけれど、一度訪れている場所に時間をかけるのも勿体ない気がして、車でぐるりと一回りしただけでそこを後にする。
 次に十勝太の海岸沿いの道を走る。海岸段丘の丘が一気に海に落ち込むその風景は、十勝の最果てと言った印象で私の好きな場所である。
十勝太の風景 昔はその崖の縁ギリギリに砂利道が通っていて、素晴らしい風景を眺めながらのドライブを楽しめたのだけれど、現在はやや内陸寄りに立派な舗装道路が作られ、その風景を楽しめなくなってしまった。ただ、旧道はそのまま残されており、車止めで塞がれてはいるもののその横を通りぬけて旧道ドライブを楽しんでいる人もいるみたいだ。
 海岸に降りられそうな道を見つけ、そこを下っていったところ、その途中に湧き水が湧いているような場所を見つけた。ヤカンも置いてあったので、多分地元の人が利用するような場所なのだろう。我が家のポリタンクは、既に日高山脈の湧き水で満たされているので、その十勝太の湧き水は眺めるだけで終わってしまった。
 ここ十勝太にはパラグライダーの滑空場もある。愛好家の間では日本の海岸線の中では最高のフライトエリアとして知られているらしい。
 私はパラグライダーの知識は全く無いけれど、ここが最高のエリアだと言うことは良く分かる。この崖の上から太平洋に向かって飛び立つのは最高に気持ちが良さそうである。
 舗装道路の工事は途中で終わっていて、そこから先は少しの間、昔の旧道を走ることになる。途中の黄金の滝でも記念撮影。
 後は、昼食に釧路ラーメンを食べるために釧路を目指して一気に車を走らせた。

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