歴舟川の川下りを終えた後は、晩成温泉で汗を流すことにする。
温泉から出た後は、そのまま晩成キャンプ場でキャンプをして、歴舟川の河口で聞いた太平洋の波の音を今度はテントサイトで聞きながら、ゆったりと川下りの余韻を楽しむ。
と言うのが、私がこれまで何度も夢見てきた理想的なキャンプシーンなのだけれど、ここのキャンプ場ではテント設営を断られたり、団体キャンパーにサイトを占領されていたりと、ことごとくその夢は打ち破られ続けてきたのである。
そんな苦い経験があるものだから、今回は札幌を出る前に電話で確認することにした。するとやはり、「サイトはまだオープンしていません。温泉の横にならテントを張っても良いですよ。ちゃんとトイレも水場も有ります。ただ、通常の料金はいただきますから。」との返事が返ってきた。
「水場やトイレが使えなくても良いですから、テントだけ張らせてもらえませんか?」
「ダメです。それにオープン前なので草刈もしていません。」
「草が伸びていても構いません。テント張らせてもらえませんか?」
「ダメです。入り口も閉鎖してあります。」
「・・・。」
現在、この温泉とキャンプ場は指定管理者の管理になっている。これまで市町村で管理していた施設を民間事業者にその管理を任せるようになったのが指定管理者の制度なのだけれど、「民間の管理になれば利用者へのサービスが良くなる」との考えの下に作られた制度だ。
ところが、他にも幾つかの施設を見ているけれど、以前よりサービスのレベルが低下していると施設の方が多いのが実態だ。
ここの指定管理者も温泉施設の管理には力を入れても、キャンプ場の方は温泉とセットで管理対象に入れられたものだから、その管理についてはちょっともてあまし気味と言ったところだろう。
そもそも、「トイレと水場を使わせてやればキャンプなんて何処でもできるだろう」との意識しか、ここの管理者は持ち合わせていないような気がする。
これまで晩成キャンプ場のAサイトは私にとって憧れの場所だったけれど、こんな考えで管理されているようなキャンプ場には、もうそんな気持ちを感じることは無くなってしまいそうだ。
晩成がダメならばと、次に候補に考えたの湧洞湖キャンプ場。
ここは既に閉鎖されてしまったキャンプ場だけれど、前回利用した時もオープン前の時期だったので、我が家にとってはほとんど関係が無い。天馬街道で湧き水を汲んできたのも、ここでキャンプするためであった。
ただ、その次のキャンプ地として考えていたのがキトウシ野営場。ここもオープン前なのでトイレも水場も使えない。さすがに3泊連続での野宿キャンプとなると、私もちょっと自信が無い。かみさんは「湧洞湖で良いんじゃない」とのん気に構えているけれど、川下りキャンプ装備から普通のキャンプ装備に体勢を整え直さなければならないし、何処かゆっくりできるキャンプ場に泊まろうと言うのが私の考え。
そうして、キャンピングガイドを見ながら決めたのが浦幌森林公園キャンプ場である。ここならば手ごろな値段でオートサイトも利用できるし、その後東へ向かうのにもちょうど良い場所にある。
そこへ向かう前に、まだ時間の余裕もあるので湧洞湖の原生花園を見に行くことにした。
海へ向かうにしたがって、また霧が濃くなってきた。その濃さが限界まで達すると、時々ポツリポツリと水滴になって落ちてくる。前回ここへ来たときも同じような濃い霧の中だった。
今度の道東キャンプで私が唯一気に入らなかったのが、この湧洞湖を含めた4年前の道東キャンプとルートと時期がほとんど重なってしまっていることである。せめて1週間遅らせることができれば、前回以上に花が咲いている風景を見られるのにと考えたけれど、それほど都合よく休みの時期を変えることはできなかった。
昔のキャンプ場跡に到着。そこにあったトイレは既に取り壊されて全くの更地となってしまい、今となってはそこがキャンプ場だったとは誰も気が付かないだろう。
その場所にはジェットスキーを楽しむ若者達が集まっていた。これからここは、そんな使われ方をする場所に変わってしまうのかもしれない。
海岸沿いの道をゆっくりと車を走らせる。その道路と海の間の幅の狭い草地は、エゾカンゾウ、ヒオウギアヤメが競うように咲き誇り、花の帯のようになっている。
以前来た時は、その草地の中に縦横無尽に車の走り回った跡が付いていたけれど、曲りなりにも植物保護の措置がとられるようになったみたいで、車が入れないように所々に柵も付けられていた。
その効果もでてきたのか、以前よりも花の数が増えたような気がする。
ハマナスやセンダイハギの花も混ざって艶やかな風景となっている海側と違って、湧洞湖側は葦が茂る広々とした緑一色の平原となっていて、その中にエゾニュウなどの白い花が茎を伸ばして咲いている。霧に包まれたモノトーンのようなこんな原生花園の風景もなかなか良いものである。
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