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道南大返し湯ノ沢キャンプ

湯ノ沢水辺公園(11月2日〜3日)

 東大沼キャンプ場を後にして、今日はまずきじひき高原を目指す予定である。
 ここには函館の裏夜景を楽しめることで人気のある「きじひき高原キャンプ場」があるが、10月中でクローズになっているはずだ。
 一度は泊まってみたいと考えていたキャンプ場なので、もしもまだ開いていて、快適そうな場所ならば、そのままそこに泊まることにしても良いかなと考えていた。
 大沼公園まで来たところ、その付近の紅葉があまりにも美しかったので、急遽寄り道することにする。
大沼公園の紅葉 大小の島が点在し、大沼観光の中でも一番の人気スポット。人の群がる観光地が苦手な我が家は、何時もなら通り過ぎてしまうところである。
 平日の今日でも既に沢山の観光客の姿が見えている。森の中に、落ち葉に埋もれた散策路が延びているのを見つけ、人ごみを避けるようにその道を歩いてみた。
 大沼周辺の紅葉はほぼ終わりに近づいていると思っていたら、ここの紅葉は今が盛りと言った風情である。赤や黄色に色付いたヤマモミジやイタヤカエデ、その中でもブナの黄葉がとても印象的だ。まっ黄色から茶色へと変わっていく1枚1枚の葉のグラデーションがとても美しい。
 そんな木々が、複雑に入組んで沼のようにも見える大沼の湖面を艶やかに彩っている。
 こんなに美しい風景を楽しめるのに、こちらの散策路の方へは殆んど人が入ってこない。ちょっと道をそれて小島の間を巡る人気コースに入ってみると、先ほどまでの静けさは消え去り、周りからは中国語や韓国語の話し声が賑やかに聞こえてきた。島の間を縫うように観光客を乗せたモーターボートが波しぶきを上げながら走り回っている。
 平日でこれだけ賑やかならば、明日からの3連休の様子を想像したらちょっと恐ろしくなってしまう。平日の行程に大沼を組み込んでおいて良かったと胸を撫で下ろしながらそこを後にした。
 もっとも私達も観光客なので、大沼名物の大沼団子だけはしっかりと購入して、次のきじひき高原で食べることにする。

 曲がりくねった道路をひたすら登り続けると、やがてきじひき高原キャンプ場の入り口にやって来た。残念ながらその入り口は、既にゲートで硬く閉じられてしまっていた。
 開いていることは殆んど期待もしていなかったので、そのままその先のパノラマ展望台まで行くことにする。
 標高もかなり高く、周りは牧場になっていて木も殆んど生えていないので、かなり見通しは良さそうだ。
きじひき高原からの展望 展望台下の駐車場に到着すると、そこからは函館方面の様子が一望の下に見下ろせた。夜になれば素晴らしい夜景が見られそうだ。
 函館の街だけでなく駒ケ岳や大沼、そしてその向こうの噴火湾までが見渡せ、素晴らしい展望の場所である。
 そこから数キロ先には噴火湾展望台と名前の付いた展望台があり、ここからでもその場所が見えていた。風景的にはそれほど変わりは無さそうで、あまりここだけに時間をかけてもいられないので、3色団子を食べ終わると直ぐに次の目的地に向けて出発した。

 そろそろ昼食の時間である。
 特に目星をつけた店も無かったので「ハセストのやきとり弁当でも食べてみようか?」とかみさんに聞いてみた。
 すると即座に「何をミーハーみたいなこと言っているの!」と一笑に付されてしまった。
 ハセストとは函館方面にだけ展開するコンビニチェーン「ハセガワストア」のことで、そこのやきとり弁当が人気があるらしい。(室蘭の焼き鳥と同じく、串に刺さっているのは豚肉である)
 以上が直前に私がネットで仕入れた情報。
 それだから、かみさんがハセストとやきとり弁当のことを既に知っていたのには驚いてしまった。
 ハセストのやきとり弁当は、グレイのメンバーが好んで食べると言うことで有名になっただけとのかみさんの説明である。
グレイの話は知らなかったけれど、とりあえずご当地名物は食してみたい。
 ちょうど走っている途中でそのハセガワストアの店舗を発見、ためらわずに駐車場に車を乗り入れた。店に入るとその中央が厨房になっているのでビックリ。やきとり弁当以外にもそこで色々な弁当類を作っているみたいだ。
 注文するとその場でやきとり(豚串)を焼いてくれて、味付けも塩・タレ・塩タレとあって量も大中小に分かれている。注文して出来上がるまでの時間で他の買い物をする。なかなか良いシステムである。
 セイコーマートと業務提携しているので品揃えは似ているが、ご当地だけのアイテムも置かれているようだ。
 出来立ての弁当を買ってそれを何処で食べようかと考えながら車を走らせていると、そこから直ぐに海沿いの駐車場を発見。
かみさんが馬鹿にしていたやきとり弁当も結構美味しくて、函館山を目の前に眺めながらの快適な昼食タイムとなった。

やきとり弁当   函館山を眺めながらの昼食

 再び車を走らせて、近くの湯ノ沢水辺公園に寄り道した。ここは、11月に入ってもオープンしている数少ないキャンプ場の一つである。
 そうは言っても、平日なので誰もいないだろうと思っていたら、しっかりとソロキャンパーのテントが一つ張られていた。テントの前にずらりと衣類を干しているので、長期の旅行者なのだろう。
 両側を山に挟まれた川沿いのスペースにキャンプ場が作られている。オートキャンプができる作りになっていて、料金も無料。サイトから見える山肌や周辺の樹木が美しく紅葉していて、全体的にとても良い雰囲気である。
先客キャンパー ちょっとここに気を惹かれたが、今日の宿泊は知内町の農村公園キャンプ場を予定しているのである。
 翌日は松前町をゆっくりと観光したいので、なるべくその近くで泊まりたかったし、知内温泉のユートピア和楽園にも興味があったので、予定通り農村公園キャンプ場へ向かうことにした。
 それにしてもこの付近まで来ると、周りの風景が完全に変わってくる。山肌が赤く見えるのはブナの紅葉なのだろう。その中で緑色の部分が杉林だ。
 杉もブナも札幌付近では殆んど見られなくて、今時期の山の風景は、大体が葉の落ちたダケカンバとエゾマツやトドマツの緑である。
 道南らしいそんな風景を眺めながら車を走らせていると、それだけで嬉しくなってくる。
 正統派観光客となって、トラピスト修道院に立ち寄り売店でクッキーを購入。
 木古内町を過ぎて知内町へと入る。何れも私にとって初めて通過する町である。北海道内の未踏の地が少しずつ小さくなっていくのも嬉しく感じる。
 知内町市街地を通り過ぎて、そろそろキャンプ場があるはずだ。道路沿いに「農村公園」の看板を発見。あっと思った時にはそこを通り過ぎていて、慌てて車を停めた。。
 「な、何だか今、ゲートが締まっているように見えなかったか?」
 「う、うん、何か張り紙もあったみたい・・・」
 暗ーい気持ちのまま看板のあった場所まで引き返すと、しっかりとゲートが閉じられ、そこには「熊出没のため当分の間閉鎖します」と書かれた張り紙が張られていた。
 その張り紙の古ぼけた様子から見ると、もう長い間閉鎖されたままになっているようである。
 「熊ぁ?」
 周辺には民家も多く、とても熊が出そうな雰囲気ではない。湯ノ沢公園のほうが余程熊の気配が濃そうで、実際に「8月にキャンプ場内で熊目撃」の掲示もされていたくらいだ。
 それなのに一方は普通にオープンしたままで、一方は長い間閉鎖したままとなっている。これは完全に、管理する役場の考え方の差なのだろう。
 当然、必要な情報を示しながら後はそれぞれの考えで自由に利用してもらうという湯ノ沢公園の方に好感を持ってしまう。
 知内町には他にも市街地近くに2箇所のキャンプ場があるみたいだが、ガイドブックの情報を見てもとても泊まる気にはなれないようなキャンプ場だ。
 湯ノ沢まで引き返すか、それともこの先にある福島町の森林公園キャンプ場まで行くか。あらかじめ電話1本かけるだけでこんなトラブルは避けられると分かってはいても、何時も行き当たりばったりで行動してしまうのが我が家である。
 でもさすがにこの次はそうも行かないので、福島町に電話して「森林公園のキャンプ場は泊まれますか?」と聞いてみた。
 「・・・?、公園ですから開いてますよ・・・。」
 何だかしっくりとこない返事だったが、水やトイレの心配は無さそうだ。これからどうするかは、温泉に入ってから考えることにして、そこから5km先の和楽園へと向かった。
 ここには泉質の違う温泉が3ヶ所に分かれていて、それらが別々に分かれているものだからいちいち入り直さなければならない。
 本来ならテントを張り終えた後でゆっくりと、それぞれ泉質の違う温泉を楽しみたかったけれど、泊まる場所も決まっていないような状況ではそうもしていられない。
 私が入った浴室はやたらに混んでいて、洗い場もなかなか空かないもものだから、体も洗わずに出てきてしまった。
 さてどちらに向かおうかと考えたが、「同じ道を引き返すのも馬鹿らしいから先へ進みましょう」とのかみさんの意見に素直に従い、福島町の森林公園へと向かって車を走らせた。
 でも、どうしても私の頭の中に浮かんでいる不安が拭いきれない。
 キャンピングガイドに載っているサイトの写真がパッとしないのである。わざわざそんな写真を載せるということは、そんな場所しか無いと言うことだろう。それに役場の職員の応対。どうもそこをキャンプ場としては認識していないようである。
 サイトの様子を目の前にして愕然としてしまうような、嫌〜な予感がするのである。
 ブレーキを踏んで車を停める。
 「止めた!やっぱり湯ノ沢まで引き返すぞ!」
 そこから湯ノ沢までは45kmほど、距離的には大したことはないが既に日が西に傾いてきているので、急がなければならない。
 今年のオホーツクキャンプでも同じように倍の距離の90kmを引き返したことがあったが、オホーツクの交通量の少ない道路とここの道路状況とではちょっと差がありすぎる。
 遅い車の後ろを走りながらも、ちょうど西日を後ろから受ける形になって周辺の風景がとても美しく見えるので、イライラしないで走ることができた。
辺りは暗くなり始めていた そうしてやっと湯ノ沢水辺公園キャンプ場に到着。
 時間は午後4時20分、太陽はとうに山陰に隠れてしまい辺りは薄暗くなり始めていた。
 先客はソロテントが1張りのまま増えていない。サイトは平らで何処の場所でもロケーションに差は無さそうなので、先客から一番離れた場所にテントを設営することにした。
 問題はテントの向き。紅葉が美しい山側に入り口を向けたかったけれど、明日の朝はかなりテントが結露しそうな感じなので、テントがなるべく早く乾くように朝日が昇ってくる方向にテントを向けることにした。
 場所と向きが決まったので、後は猛スピードでテントを設営して、それが終われば休み無く夕食準備に取り掛かる。
 かみさんはダッチオーブンでチリビーンズを作るというので、私は焚き火台で火を熾して、その後は薪探しに向かう。
 テントを設営する時も地面が湿り気味なのが気になったけれど、数日前に雨でも降った感じで、乾燥したような薪は落ちていない。それでも何とか燃やせそうな折れ枝を数本拾うことができた。
 生木に近いので短く折ることもできず、長いままで焚き火台の上に乗せる。持参してきた乾燥した薪と一緒に燃やさないと、その拾った薪だけで焚き火をするのは不可能に近いだろう。
焚き火風景 焚き火の上にダッチオーブンを吊るして、私の仕事はここまで。ようやくビールを飲んでゆっくりと寛ぐことができた。
 かみさんは数日前にダッチオーブン料理の本を買ったばかりで、今回のチリビーンズもそれを見ながらの調理である。
 スパゲティが茹で上がって夕食の完成。
 これがとっても美味しかった。ダッチオーブン料理は男の担当って雰囲気だけれど、これだけ美味しいものを食べさせてもらえるのだから、敢えて私が手を出すことも無いだろう。
 その後はワインを1本空けて8時半には就寝。ちょっと早すぎる気もするけれど、夜更かしよりも早起きの方が好きな我が家なのである。
 テントの外から聞こえる物音で目が覚めた。
 確実に何かが近くにいる気配がする。一変に眠気も吹き飛んでしまった。最悪の事態に備えて車の中に逃げ込む手順を考えながら、耳を澄ませて外の様子を窺う。
 そのうちに別の音が聞こえてきた。
 「コンコンコンコン」
 ペグを打ち込む音である。時計を見たら9時半、明日から休日なので仕事が終わってからやって来たキャンパーなのだろう。安心して再び眠りに付いた。
 今度は大きなエンジン音で目を覚まさせられた。新しく車が入ってきたみたいだ。
 キャンプ場自体は山奥の雰囲気だけれど、考えてみれば函館市内からそれほど距離も無く、仕事帰りでも気軽にやって来られる場所なのだろう。
その後は特に物音も聞こえなく、朝までぐっすりと眠ることが出来た。

凍り付いた車今朝は昨日のように朝日を見に行くわけでもないので遅くまでぐっすりと寝ていようと思ったけれど、8時半に寝たのではどうしても朝の5時には目が覚めてしまう。
 今日も暗いうちから起きることにした。
 テントのファスナーを開けると、頭の上にパラパラと白いものが降ってきた。
 昨日の朝に降ってきたのは霜だったけれど、今朝降ってきたのは薄い氷である。
 テントの外へ出たところ、まさにテント全体が凍りついた感じだった。 0℃を少し下回った程度で昨日ほど寒くはないものの、湿度がやたらに高かったので空気中の水分が全てテントに凍りついてしまったのだろう。
 その氷が解け始めるとテントの中に雨が降り始めることになるので、テーブルや椅子は全てテントの外に出してしまう。
 朝の焚き火とコーヒーを楽しみながら、朝日が昇ってくるのを待つことにする。
 明るくなってから探すと、昨日よりもやや乾燥した薪を拾うことができた。
霜と紅葉 昨日のチリビーンズの残りを水で薄めてスープ仕立てにして、焚き火の上に吊るす。
 冷たい水で震えながら顔を洗うのが気持ち良い。
 やがて向かいの山肌を一足早く朝の光が照らし始めた。
 ちょっと周辺を歩いてみる。霜が降りて真っ白になった草と朝日で照らされた山肌の赤さが、なかなか美しいコントラストをなしている。
 美しい晩秋の朝の風景だ。
 やがてキャンプ場全体に朝の光が行き渡った。
 他のキャンパーも起き出してきたようである。夜に到着した2組を加えて4組のキャンパーである。この3連休はもっと賑やかになるのだろう。
 なるべく早く撤収したいのでテントの結露をタオルでふき取るが、完全に乾くのは無理そうだ。次のキャンプ場で乾かすことにして撤収を開始。もっとゆっくりしたい快適なキャンプ場だったけれど、10時には撤収完了。
 今日はいよいよ道南の最南端、松前町を目指すことになる。

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