快適すぎて大沼キャンプ
  東大沼キャンプ場(11月1日〜2日)
  
     洞爺湖でのキャンプを終えて、これが今シーズンのキャンプ納めになっても良いなどとホームページ上で宣言しておきながら、実は私にはそれで納める気持ちなど毛頭無かったのである。 
       今年の秋は、長年の懸案だった道南キャンプへ行こうと早くから心に決めていたのに、なかなか都合が付かないうちに10月が終わってしまった。 
       でも道南ならば11月でもオープンしているキャンプ場がいくらかあるし、文化の日の3連休に絡めれば長い休みも取れそうだ。後の問題は天気だけ。秋の天気は変わりやすく、最近は3、4日間隔で天気が崩れている。 
       そのような状況の中で、全ての条件が揃った11月1日からの5日間でキャンプへ出かけることに決定した。 
       道南の恵山方面は3年前に一度訪れているので、今回は松前、江差方面に的を絞る。11月に入ってオープンしているキャンプ場は少なくなっているものの、3年前の道南キャンプでの経験から、クローズ後でもトイレや水場が使えるところがあるのを知っていたので、泊まる場所にそれほど心配はしていなかった。 
       最初の目的地は10月でクローズしている東大沼キャンプ場である。 
       少しでも早く現地に着きたいので、長万部まで高速を利用する。もっとも、高速道路は室蘭の方を経由するのでかなり遠回りになってしまい、高い料金を払う割には実際にかかる時間はそれほど短縮にもならない。 
       一般道路を走って遅い車の後ろでイライラするより、キャンプ初日くらいは気持ち良く走りたいと言う気持ちがあったのだけれど、そのためだけにしてはちょっと高い出費である。 
        昼食はケンタッキーフライドチキンの直営店「ハーベスター八雲」で食べることにした。 
       ちょうどその向かいに今シーズンオープンしたばかりの八雲オートキャンプ場があるので、ちょっと下見をしてみる。昨日までオープンしていたはずなのに、今日は入り口ゲートが固く閉じられ場内もガランとしている。 
       ゲートの脇から入って中を一回りしてみたけれど、さすがに施設は立派である。ただ、そんな豪華な施設よりもここの魅力はサイトからの噴火湾の展望だろう。高台に位置して、目の前に遮るものが何も無いので噴火湾の穏やかな海が一望の下に見渡せる。ほぼ何処からでもその風景を楽しめるが、やっぱり特等席のサイトは存在しそうだ。 
       まあ余程のことが無い限り、我が家がここに泊まる機会は殆んど無さそうである。 
       昼食を終えていよいよ大沼へと向かう。 
         その前に八雲町の「ヤクモ飲料の湧水」で、ポリタンク一杯に湧き水を満たした。 
         今回はキャンプ場がクローズしていた場合に備えて、水を持ち歩くように考えていたのである。その水も、ただの水道水ではなくて、せっかくだから道南の名水にしたい。そう考えて、わざわざ「無料で汲める北海道名水ガイド」と言う本まで買ってしまったのだ。 
         その本によると、ここの湧き水はカルシウム分の多いことが特徴だそうだ。 
         駒ケ岳の姿が次第に大きくなってきた。 
         毎回この山の姿が見えてくると、道南までやって来たな〜という感慨を覚えるのである。 
         20年くらい前に駒ケ岳の中腹まで通じる登山道路を車で登ったことがあるけれど、最近は火山活動の影響によりこの道路も閉鎖されたままだ。 
         国道から外れて駒ケ岳山麓の道路を走りながら、そんな昔のことが思い出された。 
         大沼の手前で日暮山に登り、そこからの展望を楽しむ。 
         「明日の朝は早起きして、ここから朝日を見ることにしよう。」 
         奥尻島キャンプでも同じようなことを考えて、結局そこへの道が夜間通行止めで予定が狂ってしまったと言うことがあったが、さすがに今回は大丈夫だろう。 
         朝日で赤く染まる駒ケ岳の姿を楽しめそうだ。 
       
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     私達が到着した時に停まっていた2台の車のうち、もう1台の車のカメラマンも三脚を担いで登ってきた。 
 朝日が昇るまでもうしばらく時間がありそうなので、私達は一旦駐車場に戻りコーヒータイムにする。 
 駐車場からの方が、大沼を覆う雲の海を間近に見ることができる。その雲の海は、先ほど見た時よりも大きく膨れ上がってきているようだ。ちょっとした風で刻々とその姿を変えるのだろう。 
 数羽の鳥がその雲の上を悠々と飛んでいる。空高くに浮かぶ雲のその上を飛ぶ鳥を、更にもっと高いところから見下ろしているような、あたかも神の視線を得た様な不思議な感覚に囚われた。 
 コーヒーを持って再び山頂に戻る。 
 ようやく駒ケ岳の山頂にまで朝の光が届いてそこだけが赤く染まり、その色は次第に山の麓へと広がっていった。 
 二人のカメラマンはレンズを何度も取替ながら、そんな駒ケ岳に向かってシャッターを切り続けている。 
 一方の私は交換レンズも三脚も無く、それならば機動力で勝負だとばかりにカメラを抱えて急な山の斜面を滑り落ちそうになりながら移動したりと、必死に目の前の風景をカメラに収める。 
 かみさんは、せわしなく動き回るそんな私の様子に呆れながら、一人落ち着いて、朝の風景の移ろい行く様を楽しんでいる。 
  できれば霧が晴れてくる時の様子まで見ていたかったけれど、気温がもっと上らないと晴れてこないとのことだったので、キャンプ場まで戻ることにした。 
 まだ霧に包まれている湖畔の道路を走っていくと、突然霧が晴れで白く霞んだ島の姿が湖上に浮かび上がったりと、幻想的な風景を楽しめる。 
 途中ではその霧も完全に晴れたかと思ったけれど、キャンプ場まで戻ってくるとそこはまだ霧に包まれたままだった。 
 焚き火にあたりながらそんな風景を楽しんでいると、ようやくその霧も晴れてひっそりと静まった大沼の湖面が目の前に広がってきた。素晴らしい朝の風景である。 
       朝食を食べていると、昨日のコーギーが再び我が家のサイトまで遊びにやって来た。相変わらずフウマのお尻を追い掛け回している。 
         しばらくしてから、ようやくコーギーの飼い主が姿を現した。その人の話しによると、そこから1kmほど離れた場所に住んでいて、このコーギーは時々脱走してはキャンプ場まで遊びに来ているとのことだった。 
         平然とした顔でテントの周辺にマーキングするものだから、随分図々しい犬だなと思っていたが、私達の方が彼の縄張りの中に進入していたことになるみたいだ。 
         ちなみに名前は「ケンタ」だそうだ。メス犬を連れてこの付近に泊まる時は、ケンタに要注意である。 
          真っ青な空、風も無くその空を映しこんだ真っ青な大沼の湖面。暖かな太陽の陽射し。他にキャンパーの姿はなく、桟橋で釣り人が竿を出しているだけだ。 
         シーズン中でも滅多に無いくらいの素晴らしいキャンプ、いや、シーズンオフだからこそこれだけの条件に恵まれるのだろう。 
         1泊目のキャンプでこんなに快適な思いをしてしまっても良いのだろうかと、心配になってきた。 
         これ以上快適なキャンプが他で出来るとも思えないし、このままここでもう1泊してそのまま帰ってしまったとしても何の不満も無いかもしれない。 
         一般観光客の姿がちらほらと見えるようになってきたのをきっかけに、緩みきった心に活を入れて撤収を開始することにする。 
       そうして10時には全ての撤収を完了。今日はいよいよ、我が家にとっては未踏の地である道南は檜山方面に向かって車を走らせることになるのだ。 
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