北海道キャンプ場見聞録
天塩川(2023/07/15)
ダウン・ザ・テッシ-オ-ペッ 2023 1日目
ダウンザテッシ1日目はびふかアイランドカヌーポートから音威子府村川の駅「中の島」までの25キロを下る。
ダウンザテッシに参加し、天塩川の名寄市から天塩町河川公園までの100マイルを下るとマスターとして認定されるが、私は2018年と2019年の参加で既にマスターの称号は貰っている。
マスターになったことで3回目の参加はもう無いだろうと考えていたが、同じクラブのNもとさんが念願だったSUPでの参加を認められたということで、少し風景の変わるダウンザテッシの様子を見てみたくて、私も参加することにしたのだ。
ダウンザテッシ開会式
今年の参加者は245名92艇、それにスタッフ艇29艇が加わる。
それらの舟が一斉に川の上に浮かぶ風景は圧巻だが、参加が3度目ともなると最初の時のような感動は湧いてこない。
川の上でスタートを待つ
その中でSUPは4艇だけ。
SUPの参加は去年から認められるようになっていたが、参加条件として事前講習会への参加が義務付けられている。
NもとさんがSUPを始めた時、目標の一つとしていたのが「ダウンザテッシへの参加」だったという。
しかし事務局の中にはSUPに対する偏見のようなものがあるらしく、参加を希望しても冷たい対応をされていたらしい。
私からも「彼女のスキルには問題なく、何とか参加を認めてあげて欲しい」とのメールを出したことも有ったが、簡単には話は進まなかった。
そんな中でようやく折り合いが付いたのが、事前講習会への参加ということだった。
講習会とは言いながら、その技術を見極める意味もあったのだろう。
私ならば途中で嫌気が差して「そこまでして参加する気はない」となっていただろうけど、我慢強いNもとさんは晴れて参加を認められたのである。
SUPで初参加のNもとさん
参加者の舟が全て川の上に出てくるまで、先に出艇した舟はそこに留まっていなければならない。
最近の雨で天塩川の水位は上がり、流れも結構早くなっていた。
最初はシングルパドルで漕いでいたけれど、流されそうになって直ぐにダブルパドルに切り替えた。
私が初めてダブルパドルで川を下ったのは、2年前にNもとさんと二人で尻別川を河口まで下った時。
その時の下った距離は23キロで、NもとさんのSUPに置いていかれそうになって途中からダブルパドルに切り替え、ようやく同じ速さで下れるようになったのである。
今回のダウンザテッシでは2日間で50キロを下らなければならない。
一人でどこまで漕げるか、参加にあたっては自分の限界を確かめる意味合いもあった。
そうして午後12時40分過ぎにスタートとなる。
100艇以上のカヌーが一斉に川を下り始める
ダブルパドルで漕いでいてもやっぱりダンデム艇の方が早い。
一生懸命に漕いでいても次々に追い越されていく。
タンデム艇やSUPの方が速い
暫く下っていくと前方に瀬が見えてきた。
ダブルパドルで下っていても、瀬を下る時はやっぱり慣れたシングルパドルの方が心強い。
波の中でもカヌーの細かな操作が可能なのである。
後続艇が団子になって瀬に入ってくる
瀬を越えていくと、ウッドカナディアンがひっくり返っているのが見えた。
今回、一緒にキャンプしているグループの舟だった。(キャンプの様子はこちら)
同じグループの人達と一緒にレスキューしようとしたが、スタッフ艇から「私達がやるので先に下ってください」と言われ、そのまま通り過ぎる。
仲間のカナディアンがひっくり返っている
どんよりと曇った空からポツポツと雨粒が落ちてくる。
雨具も用意していたが、わざわざそれを着るほどの降り方ではない。
恩根内大橋手前の恩根内テッシは、増水で潰れてしまって周りが少し波立っているだけ。
4年前に下った時は渇水で、川を横断するように岩が連なるテッシの姿が確認できて面白かったのだが、残念である。
恩根内テッシはほとんど潰れていた
ダブルパドルで漕いでいても次第に同じグループのメンバーからも遅れ始める。
向かい風のせいだった。
尻別川を一緒に下ったSUPのNもとさんの姿も何時の間にか見えなくなってしまった。
60艇くらいが写っているがこの中に私の姿は無かった
前方に小車大橋の姿が見えてきたので、その写真を撮ろうとするが、カメラを構えている間にカヌーが風で回されてしまう。
それくらいのタイムロスなど気にしなければ良いのだが、その間に数艇には追い抜かれてしまうので、漕ぐ手を休めたくはないのだ。
小車大橋
その先の小車の瀬は大きく左にカーブしていて、先を進む人達は右岸側を大回りするように下っている。
カーブの内側は瀬になっているので、スタッフからそのように指示されているようだ。
私は先行している舟と少しでも差を縮めたかったので、カーブの内側の短縮ルートを進む。
波も高く、所々に浅瀬もあるが、注意して下っていれば座礁することもない。
しかし、そこで縮められたのは僅かな距離だった。
再び向かい風との格闘が始まる。
親指内側にできたマメが潰れそうになっていた。
パドリンググローブをしていても、破れてボロボロになっているのでほとんど役に立っていないのだ。
先行していた人達が途中で待ってくれていて、そこでようやく仲間のグループと一緒になることができた。
10分くらいは待ってくれていたらしい。
ようやく皆と一緒になれた
その先で待ち構えていたのは斜めテッシと呼ばれる瀬だ。
左岸側を下れば大した波ではないが、その右側には一面に大きな波が立っていた。
そちらを下りたい気もあったが、ここは素直に皆と同じルートを安全に下る。
斜めテッシは左岸側を通過
そしてその先にあるのが豊清水の瀬。
ロート状に中央に流れが集まる場所なのだけれど、それ程大きな瀬にはなっていなくてちょっと拍子抜けである。
豊清水の瀬に入っていく
天塩川温泉の橋を午後3時に通過。
仮設トイレも置かれて休憩ポイントにもなっていたが、仲間のグループの中で休憩する人は無し。
一休みしたい気持ちもあったけれど、しょうがなく下り続ける。
天塩川温泉の前を通過、私もかろうじて橋の下辺りに写っている
そこからゴールの中の島までは7.5キロ。
最後の試練が待っていた。
向かい風の風速は平均で4m程度。
それ程強い風では無いけれど、一人しか乗っていない大型カナディアンは風にはからきし弱い。
ダブルパドルで何とか漕げているけれど、シングルパドルだったらリタイアも考えていたかも知れない。
マメは完全に潰れて、皮がペロリと剥がれてしまう。
雨で手が濡れていて、おまけにパドリンググローブが役に立っていないので、当然の結果かもしれない。
パドルの握り方を変えたり、腕だけでなく身体の回転を利用して漕いだりと、試行錯誤しながらゴールを目指す。
何とかゴールまでたどり着けた
そしてようやく午後4時にキャンプ場前の川の駅「中の島」に到着。
大会の日程表では午後4時半が到着予定時間になっていたので、それよりは余裕をもってゴールできたことになる。
初日は何とか頑張れたけれど明日も同じように漕げるのか。
明日の筋肉痛が心配になるダウンザテッシ初日だった。
(当日12:00天塩川水位 恩根内:52.92m、茨内:35.47m)