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歴舟川(2020/09/19)

3度めも濁流の歴舟川

カヌークラブの9月例回は恒例の歴舟川。
前日の大雨により、歴舟川尾田観測所の水位は18日14時で103.50mまで上昇していた。
その水位では、例会実施は多分無理だったと思われるが、1日でほぼ60センチ水位が下がって、何とか予定通り例会は実施することができた。

歴舟川
当日朝に尾田橋の上から見た川の様子


それでも水は濁ったまま。
歴舟川を下るのは今シーズン3回目になるけれど、一度も清流の歴舟川を下れていないのである。

まず土曜日に下るのは歴舟川の坂下からキャンプ場まで。
そんな増水・濁流の歴舟川に集まったのは40名。
今回のツアーリーダーであるO橋さんがミーティングの中で「40名で下るような川ではありません」と笑いながら話していたが、まさにその通りである。
10代から70代まで各年代が揃っての40名。
それで増水した歴舟川の上流部を下るクラブなんて、日本でも他には無いだろう。

歴舟川
スタート前、40名でのミーティング


それでも大体のメンバーはそれなりのスキルもあり、初心者のことみちゃんとあゆみちゃんも8月例会でシーソラプチ川と空知川を下っているので、そんなに問題はないだろう。
少なくとも、大体のメンバーはそう思っていたはずだ。

歴舟川
ゴルジュ地形の中へと入っていく


増水して瀬の波が大きくなっているのが心配だったが、それ程でもない。
ただ、流れが早く、ゆっくりと止まっていられる大きなエディも少ないので、初心者にはちょっと厳しそうだ。
私が先頭で下っている時、あゆみちゃんが突然私の前に出てきたのでビックリした。
流れに乗ってしまうとコントロールできなくなるのだろう。

歴舟川
これで水が澄んでいれば最高の風景が広がるのだが


美しいゴルジュ地形の中を流れる上流部だけれど、水が濁っているとその風景も霞んでしまうようで、感動も少ない。
もっともそれは私の感じ方であって、大方のメンバーは濁った水にガッカリするよりも、増水した川を楽しんでいるように見える。

歴舟川
増水を楽しんでいる人達


あっという間にゴルジュ出口の瀬までやってきた。
何時もならば岩の間をスラロームのようにすり抜けながら下らなければならないのだが、今日は全ての岩が水没しているので、真っ直ぐ下れば良いだけだ。
波も怖くなるような大きさではない。

歴舟川
ゴルジュ出口の瀬、あゆみちゃん(手前)も問題なく下っていく


瀬の手前に上陸して写真を撮っていると、かみさんが「私は下らないから」と言うのでビックリした。
川原は全て水没しているので、瀬の下まで行くには崖をへつるように歩かなければならない。
「それでも大丈夫だ」と言うので、余計な口出しはせずに、好きなようにさせておくことにする。

歴舟川
下った方が楽だと思うのだけど・・・


あゆみちゃんにことみちゃんも沈することなく下っていった。
私は瀬を下った後、かみさんが下りてくるまで、流れのある場所にとどまって待たされることとなる。

歴舟川
瀬を下った後はかみさんが下りてくるのを待たなければならない



歴舟川
綺麗な川原で一休み


そこから少し下ったところの川原で昼の休憩となる。
あゆみちゃんが、その川原の手前にあった流木に引っかかって沈したらしい。
それを見ていた人の話では、漕ぐ力が弱くて本流から抜け出せなかったとのこと。
確かに、川の真ん中に流木があったけれど、遠くからでもそれは確認できて、早めに岸の方に寄っていれば何の問題もない流木だったはずだ。
周りからのサポートができていないのかと、少し心配になる。

歴舟川
流木で沈したあゆみちゃんは反省会


休憩を終えて再スタート。
周りの風景も開けてきて、少しだけスリルを味わえるような瀬も所々にあり、楽しく下っていく。
歴舟川らしい土壁も現れる。

歴舟川
あゆみちゃんも楽しみながら瀬を下っていた


前方に川幅一杯に広がる半分埋もれた堰が見えてきた。
先に下っていた人が左に寄るようにサインを送ってくれる。
堰を越えた後も浅瀬が続き、座礁しないで下るためには左岸ギリギリのルートをとるしかない。

歴舟川
川幅一杯に伸びる堰


後続メンバーにもそのルートを教えてあげようと、皆が下ってくるのを待っていたが誰もやって来ない。
やっと下ってきたY田さんが言うには、誰かがストレーナーに引っかかったみたいで、時間がかかりそうだと教えてくれる。

上流まで歩いて上がってみたが、途中から川原が無くなるので、対岸へ渡らなければそれ以上は進めない。
皆が集まっているのは、土壁の下で流木が折り重なっているストレーナーの対岸である。
どうやら、そのストレーナーに入ってしまったようだ。
状況は分からないけれど、誰かがOKサインを出してくれたのを見ると、大事には至らなかったようでホッとする。

歴舟川
遠すぎて何が起こったのか分からない



そのストレーナーに嵌ったのは、あゆみちゃんだった。
そのショックでカヤックにも乗れないらしく、まずはNもとさんのSUPで私達のいる岸まで送り届けてもらう。
SUPで運ばれてきたあゆみちゃんの顔を見ると、顔面蒼白とはこんな状態を言うのだなと思うくらいに血の気の失せた顔色だった。

自分が土壁を下っていた時に、そんな危険なストレーナーを見た記憶がない。
もしも危険だと思ったら、大体はそこに留まって様子を見るのだけれど、何も気にしないで通り過ぎていたのである。
後で皆の話を聞くと、ストレーナーが気になってそこで止まった人もいるみたいだ。

歴舟川
GoProに記録されていたストレーナー、突っ込んだのは奥の方らしい


家に帰ってから自分のGoProの動画で確認すると、川が大きく右カーブしている所にそれらしいストレーナーが写っていた。
そして、カーブする岸に沿った早い流れがそのストレーナーに向かっている。
しかし、川幅が広いので私は事前にストレーナーから大きく離れるようにルートを変えて下っていたので、大して気にならなかったのだ。

その急な流れは、幅も狭く、誰かが事前に下るルートさえ教えてあげれば、漕ぐ力の弱い彼女でも簡単にその流れから出られたはずだ。
しかし、後で聞いたところではスキルのそれ程高くないメンバーが4艇くらい固まって下っていて、彼女は岸側にいたので避けきれないまま突っ込んでしまったらしい。

そんな事があるから、私は瀬の中ではなるべく他の舟と間隔を開けるようにしているが、カヤックを始めたばかりの彼女にそんな配慮ができるわけもない。
今回の事故については、重大インシデントとしてクラブ会員の間で原因・対策等について話し合われることになるのだろうけれど、このような大人数での川下りは楽しい半面、リスクも付きまとう。

歴舟川
我が家の舟にあゆみちゃんを乗せ、彼女のカヤックはウッチーの舟の後ろに繋ぐ


ただ、大人数だからこそ、皆で力を合わせてトラブルを乗り切れる利点もある。
そこからは、私達のカナディアンの真ん中に彼女を乗せて、彼女が乗っていたカヤックはウッチーの舟の後ろに繋げて、とりあえず途中の相川橋まで下ることになった。
そして、足の速いカヤックが先にキャンプ場まで下り、そこから車で相川橋まで迎えに来てもらう手立てである。

この後は、こんな状態の彼女を沈して再び流れの中に放り出すようなことは絶対にできないので、今までにないくらい慎重に下っていく。

歴舟川
慎重にひたすらチキンルートを下る


あゆみちゃんも徐々に元気を取り戻し「前からカナディアンやSUPにも乗ってみたかったのですが、今日はその両方に乗ることができて良かったです」などと言えるまで回復していた。
相川橋の手前には岩盤が剥き出しになった瀬があったはずだけれど、その瀬は土砂に埋もれて消えてしまったので、無事に相川橋まで彼女を送り届けることができたのである。

歴舟川
左から歴舟中の川とヌビナイ川が合流してくる


相川橋から先は写真もほとんど写さずに、先を急ぐように下っていく。
そしてあっという間にヌビナイ川と中の川の合流部までやってきた。
どちらの川の水も、歴舟川本流と同じくらいに濁っている。
明日はヌビナイ川を下る予定なので、早く濁りが無くなることを祈るだけである。

歴舟川
尾田橋の上からガンちゃんが写してくれた


尾田橋手前の洗濯板状の瀬も、水が増えたおかげでコース取りに迷うことなく下ることができた。
途中でトラブルはあったけれど、流れが早かったおかげでスタートから3時間半でキャンプ場まで下ってきた。
後は美味しいビールを飲むだけである。
(この時の川下り動画はこちら
 

(当日12:00歴舟川水位 尾田観測所:102.89m)



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