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別寒辺牛川

(別寒辺牛川橋〜厚岸水鳥観察館)

カヌーポート駐車場 日本の果てキャンプを終えて、道東旅行3日目のイベントは別寒辺牛川の川下りである。
 初日に厚岸水鳥観察館で川のレクチャーを受けていたので、直接スタート地点の別寒辺牛川橋へと向かう。
 そこにカヌーを降ろしてから、ゴール地点の水鳥観察館へ車を回す。
 昨日の琵琶瀬川の事もあるので、予め厚岸のさくらハイヤーに電話をしておいた。
 水鳥観察館の駐車場に付くと既にタクシーが来ていたので慌てて準備をする。
 そして水鳥観察館の方にも届け出をしておく。
 川を下るのに届出をするなんてちょっと抵抗があるけれど、届け出をしておけば下った後でライセンス証をもらえるので、それを記念にするつもりで素直にルールに従う。
 ちなみに、今時期は制限が無いけれど、タンチョウヅルが営巣する季節には、1日に下る艇数が制限されるので、注意しなければならない。

川下り前に記念撮影 タクシーでスタート地点へ移動。
 4200円の料金は痛いけれど、商業ツアーで下る事を考えれば格安の金額である。
 スタート地点にはカヌーポートも作られているけれど水量が増えている影響で下の方が水没していた。
 それに、泥が分厚く積もっているのでそこから出艇する気にはなれず、そこに流れ込んでいる支流の方からカヌーに乗り込む。
 水鳥観察館で、数日前の雨で川が増水し流れも速くなっていると言われていたが、確かに岸から見る流れは私の想像以上だった。
 とは言っても、それは昨日の琵琶瀬川と比べたらの話で、これくらい流れがあった方が楽に楽に下ることができる。
 水の濁りは酷かった。まるで、泥を混ぜて掻き回したばかりの様な濁り方である。
別寒辺牛川 これではカヌーポートが泥に埋もれてしまう訳である。
 でも、瀬の中で水しぶきを浴びることも無いので、ただの茶色い色の水だと思えばそんな濁りも気にならない。
 倒木が多いとも聞かされていたが、カヌーを引っ掛けるような意地悪なものも無く、それがかえって湿原らしい雰囲気を演出している様な気もする。
 下っていく先の木の枝に、何か青いものがぶら下がっているのが見えた。
 釣り人が残していったルアーだろうと思って近づいていくと、それが突然飛び立ったのには驚かされた。
 カワセミである。
 この後もカワセミは何度も姿を現したが、ちょっとでも近づけば直ぐに逃げてしまい、この時が一番のシャッターチャンスだったのである。


別寒辺牛川の風景   別寒辺牛川の風景
これくらい流れがある方が下りやすい   美しい河畔林

 別寒辺牛川は期待していた以上に美しい川だった。
 その一番の理由は豊かな河畔林である。
 湿原の川は、河畔林と言ってもヤナギやハンノキが大部分を占め、森としての美しさは殆ど感じられない。
 この別寒辺牛川は、川を下っているのではなく、森の中の散策路を歩いているような気さえしてくるのだ。
目の前から飛び立ったタンチョウヅル 周りの山もちょうど良い背景として視界に入ってくる。
 森の木々は少しだけ色づき始めていて、ちょうど新緑の季節の春紅葉のような色合いになっている
 川の流れを曲がって目の前に現れる風景の美しさに「おーっ」と歓声をあげることも度々である。
 目の前で突然大きな音がして、2羽の丹頂が飛び立った。
 大きな鳥は直ぐに飛び立つことができないのか、水面から少し上がったところで不恰好にバタバタと羽ばたき、そしてようやく上空に飛び去っていった。
 昨日から鳥や動物達を驚かせてばかりで、申し訳なく思ってしまう。
 彼らのフィールドの中にお邪魔させてもらうのだから、出来る限り慎ましく振る舞いたいものである。


別寒辺牛川の風景
まるで新緑の時のような風景だ

別寒辺牛川の風景   別寒辺牛川の風景
河畔林を眺めながら下る   そろそろ河畔林も無くなってきそうだ

国道44号の橋をくぐる 森を抜けて、川は次第に湿原の様相に変わってくる。
 国道44号の橋をくぐる。
 国道44号を車で走っていると、橋の欄干に「みんなの道」と書かれたのぼりがずらりと取り付けられているのを良く見かける。
 それに何の意味があるのかは知らないが、その黄色いのぼりがはためく風景を川の上から眺めるのもなかなか面白い。
 つがいのカワセミが川の上を飛び交っている。
 一組だけが私達のカヌーに追われるように下流へ下流へと飛んでいるのか、何組ものカワセミがいるのかは良く分からないが、川を下っていてこれだけカワセミの姿を目にするのは始めてだ。

 川は小高い山を目の前にして、その山の右と左へ分流していた。
 ガイド地図では右は行き止まりらしいので、左の流れへと進む。
JRの鉄橋 JRの鉄橋をくぐる。
 赤レンガの古ぼけた橋脚が美しい。
 廃線橋脚マニアが見たら喜びそうだけれど、これはまだ現役の鉄橋である。
 やがて目の前に広大な水面が見えてきた。
 何かと思ったら、左側から流れ込んでいるチライカリベツ川との合流部であった。
 別寒辺牛川の支流であるはずの、こちらの川の方が幅が広いのは何か不思議な気がする。
 もっともこの辺まで来ると、川と言うよりも厚岸湖の一部と言っても良いのかもしれない。
 曇り空なのがつくづく残念だった。
 この水面に青空が映りこんでいたとしたら、最高に美しい風景が目の前に広がっていたはずである。
 それを思うと、北上してくる台風が憎らしくて堪らなくなってきた。


チライカリベツ川との合流   別寒辺牛川の風景
この先でチライカリベツ川と合流   川幅が一気に広がった

別寒辺牛川の上を電車が走る 最後は小さな支流に入り込んで、水鳥観察館裏のカヌーポートに上陸する。
 その手前でもう一度鉄橋と国道の橋をくぐるのだけれど、国道の方の橋桁がやたらに低いので、体を低くしてギリギリで通り抜けることができた。
 水位が上がる通れなくなることもあるらしく、そんな時は国道の上で上陸しなければならないようだ。
 1時間45分の川下りを終えて、カヌーポートに上陸。
 観察館裏の園地に水飲み台があったので、その水で長靴とカヌーの中に付いた泥を落とす。
 最後に水鳥館の職員に挨拶して、ライセンス証を貰った。
 釧路川の湿原部を下るのならば、別寒辺牛川を下った方が変化があって楽しいかもと思わせる今回の川下りだった。

2010年9月25日 曇り 


国道の橋をくぐる   カヌーを洗う
国道の橋桁に頭がぶつかりそう   汚れたカヌーも綺麗にできた

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