大樹町市街地に架かる大樹橋が見えてきた。
前日にここの右岸まで車を回送してあり、一旦上陸して、キャンプ道具を下ろして、その後再び海を目指して下り続ける予定となっている。
川岸で出迎えてくれたのは、ここから合流する予定のまるさんご夫婦だ。
本州にお住まいのまるさんご夫婦は、北海道に来るのは初めてで、昨日函館に着いたばかりとのこと。
今年の夏に千歳川を一緒に下ったKevipaさん達の知り合いでもある。
そのためかどうかは分からないが、ワンボックスカーにカナディアン2艇積みと言うのは、本州からやってくるご夫婦パドラーお決まりのパターンだ。
北海道でこんなスタイルを見かけることは殆ど無く、本州からやってくる知り合いのパドラーは全員がこのスタイル。
誰か影響力の強い方がいるのだろうけれど、この極端な違いはとっても不思議に思えてしまう。
キャンプ道具を下ろし、上流に置いてあった車を回収し、それを河口へと回し、昼食も買い込んで、トイレを済ませる。
ここでツアーを打ち切るメンバーが2名。大型カナディアンに一人で乗っていたメンバーが別のカナディアンの人と新たにペアを組み、そこにT葉さんも乗り込み、3人艇となる。
T葉さんもここで終わる予定だったのが、海まで出ることを勧められて、気が変わったようだ。
そこにまるさん夫婦とワンちゃん1匹の乗るカナディアンが加わり、新たな体制で海を目指して川下りを再開した。
大樹橋の下を過ぎると直ぐに、川底の岩盤が洗濯板のようになった瀬となる。
さすがにここではカヌーの底を擦ってしまうけれど、ルートさえ間違えなければ座礁することも無く下ることができる。
まるさんにとって、北海道に到着して最初に下る川が、いきなりこんな荒瀬と言うのも気の毒な気がするけれど、さすがに本州の方ではKevipaさん達と一緒に下っているだけあって、危なげなく瀬の中を下っている。
逆に危なげなのは、S水君の艇にO橋パパとT葉さんが乗り込んだ3人艇である。
3人でワイワイガヤガヤといたって楽しそうに下っているけれど、15フィートと若干小さめのカナディアンに巨漢のS水君など3人が乗り込むと、喫水も下がって、如何にも何かが起こりそうな予感を漂わせている。
ふるさと大橋を過ぎた先にある瀬は、数年前まではかなりの迫力があったけれど、去年あたりから大人しい瀬に変わってしまった。
それでも、ファルトボート2人艇のバウに乗るKなべさんの奥さんは、頭から思いっきり波を被りながら瀬の中を下っていった。
ふるさと大橋を過ぎると、人工物は殆ど無くなり、広大な川原の風景が広がってくる。
その雄大さに、まるさんが「本州では見たことの無い風景だ」と感動しているけれど、それにはまだちょっと早すぎる。
これから先、空はますます広くなり、もっともっと感動的な風景が待ち受けているのである。
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