北海道キャンプ場見聞録
京都一周トレイル二日目 (2020/11/14)
伏見稲荷~粟田神社
トレイル二日目は昨日の続きの稲荷大社からスタートとなる。
今日は土曜日なので人気観光地でもある稲荷大社はかなりの人出が予想される。
混雑を避けるため、午前6時半には宿を出て阪急電車、京阪電車と乗り継ぎ、午前7時過ぎに伏見稲荷駅に到着。
7時10分にスタートできたけれど、その時間でも稲荷大社には結構な人がいた。
過去に2度訪れているので境内を見て回ることもなく、足早に先を急ぐ。
早朝から結構な人出
それでも、せっかくなので奥の院の近くにある「おもかる石」を持ち上げてみる。
持ち上げた時に軽く感じると願いが叶うという。
これをやるのは2度めなので要領は心得ていた。
何気なく持ち上げると重く感じてしまうので、持ち上げる前に「これは重たそうだ」と思い込んでおけば軽く感じるのである。
そんな裏技を使って軽く感じながら持ち上げたのだけれど、肝心のお願い事をするのを忘れていた。
おもかる石を持ち上げる時は事前の心構えが大切
千本鳥居もさっさとくぐり抜けるが、途中の「ひざ松」には願掛けをしていく。
この「ひざ松」は膝痛に霊験あらたからしいのだ。
実は、今回の旅に出る前に左膝を痛めてしまい、トレイルを歩けるかどうか心配していたのである。
歩く分には問題ないけれど、階段の上り下りでは痛みを感じる。
無事にトレイルを歩き通せるようにお願いしながら、ひざ松様を擦ってから先へと進んだ。
ひざ松様に神頼み
その先の熊鷹社は、初めて訪れた時、薄暗い中に揺らめく蝋燭の炎やその灯りに照らされる狐の姿に感動したものである。
今日は時間も早かったので奉納された蝋燭もなく、ちょっと寂しかった。
展望の開ける四つ辻まで登ってきた。
トレイルコースは、ここから稲荷山には登らずに泉涌寺の方に向かうのだが、この先の「お山めぐり」コースを歩かないのは勿体ない。
四つ辻から朝日に照らされる京都市内を眺める
稲荷山山頂を経由し一回りして再び四つ辻まで戻ってくるコースには、無数の祠や塚、鳥居が点在し、稲荷大社の中でも最高のパワースポットなのである。
反時計回りに歩くと、三の峰、間の峰、二の峰と登っていき、最後に稲荷山山頂の一の峰へと辿り着く。
紅葉の美しい二の峰
聖域でもあるので静かに歩きたいところだが、土曜日なので賑やかなグループもあり、少しイラッとさせられる。
一の峰を過ぎると、谷に向かって下っていく。
辺りは薄暗く、更に霊気が強まってくる気がする。
上の方は朝日も射し込んでいるけれど、下るにしたがって薄暗くなってくる
御劔社、薬力社、御膳谷奉拝所、眼力社と続き、それぞれに手を合わせながら巡っていく。
この中では、御膳谷奉拝所が私の一番好きな場所だ。
薄暗い中に苔生した祠や塚がずらりと並んでいる様子は、何とも言えない神秘的な雰囲気なのである。
御膳谷奉拝所付近
四つ辻まで戻ってきて、そこからは本来のトレイルコースへと進むのだが、トレイルコースから外れた荒神ヶ峰が絶好の展望台らしいので、そちらへと進んだ。
四つ辻も眺めの良い場所だけれど、荒神ヶ峰の方が遮るものが無くて素晴らしい展望を楽しめた。
荒神ヶ峰からの展望
そこから山を下り、五社之滝、泉涌寺、今熊野観音寺と巡っていく。
この辺りは、5年前の秋にほぼ同じルートを歩いていた。
その時に京都一周トレイルの存在を知り、いつかは歩いてみたいと思うようになったのである。
5年前にこんな標識を見て京都一周トレイルの存在を知った
泉涌寺は一度見たことがるので山門から中を覗いただけ、今熊野観音は紅葉の綺麗な参道を少し歩いただけで、先へと進む。
泉涌寺の山門から先は有料区域なので中を覗いただけ
トレイルはやがて山道となる。
薄暗い森の中を歩いていると一条の光が射し込んでき。
明るい森の中では、山茶花なのだろうか、ピンクの花が光を受けてとても美しく咲いている。
山道を歩いていると沢山の感動に出会える。
山茶花と椿の違いが良く分かっていない
気持ちよく歩いていると、トレイルは突然車の往来が激しい国道1号線へと出てきた。
信号も無く、とても横断できるような状況ではなかったが、地下歩道で反対側に渡ることができる。
トレイルは再び山の中へと入っていく。
つづら折れの急な登り坂だ。
その山道に露出している岩には方状節理が見られ、山道にも四角く割れた破片がたくさん転がっている。
その中の形の良い一つをお土産として持ち帰ることにした。
山に登ったり川を下ったりした時の我が家の定番のお土産は、そこに落ちている石なのである。
こんなところを登っていると石が気になる
土曜日だけあってトレイルランナーも多い。
追い越す時は必ず歩いて追い越すし、挨拶もしてくれるし、京都のトレイルランナーは皆マナーが良い。
標高242mの清水山山頂はトレイルから30mほど入った場所だが、三角点があるだけで展望は無い。
分岐点にベンチがあったのでそこで一休みするが、樹木の隙間から下界の様子がチラリと見える程度だ。
この山の山麓に清水寺があるのだが、山の中を歩いていると全くそんなことは分からない。
清水山山頂で一休み
トレイルの途中から清水寺へ下りる道もあるが、現在は台風による倒木で閉鎖されていた。
広々とした場所に出てきたと思ったら、そこは東山山頂公園だった。
園内のテーブルでお弁当を広げる人たちもいて、駐車場には大型バスも停まっていた。
こんな場所があると分かっていたら、私達もお弁当を持ってきていただろう。
途中で食事できる場所もなさそうだから、今日は下山してから食事できる店を探すつもりでいたのだ。
ここでお弁当を食べたかった
ここの公園には展望台もあった。
正式な展望台だけあって、トレイルを歩き始めてからの展望ポイントの中では、ここからの眺めが一番素晴らしかった。
京都タワーも見えているので、何となく位置関係も把握できる。
東山山頂公園展望台からは京都市内中心部が良く見える
そこからもう少し進むと青蓮院門跡と書かれた山門があった。
青蓮院門跡は知恩院の隣りにあったはずで、何でこんな場所に山門があるの?と戸惑ってしまったが、ここは青蓮院の飛び地境内になっているようだ。
その先に大日堂将軍塚があった。
拝観料がかかり、初めて聞く名前だったけれど、せっかくだからと何も分からないままに拝観料を払って中に入る。
建てたばかりらしい青龍殿という立派な建物には入る気がせずにスルーしたが、その裏に回ってびっくりした。
木造の巨大な舞台が広がっていて、そこからの眺めが最高なのだ。
東山山頂公園からの眺めも良かったが、見える範囲はこちらの方がはるかに広い。
この展望だけでも、お金を払って入っただけの価値はあった。
青龍殿大舞台からの展望は素晴らしい
境内にはもう一つの展望台がある。
青龍殿の大舞台より更に高い場所に作られているので、ここからの眺めも素晴らしかった。
その展望台の隣りにある土盛りが将軍塚と呼ばれる施設らしい。
全く知識は無かったけれど、桓武天皇がこの山の上から京都盆地を見下ろしてここに都を造ることを決め、将軍の像に甲冑を着せ埋めて都の安泰を祈ったと伝えられている事を後から知ったのである。
その事を知っていれば、もっと違った目でこの土盛りを眺めていたに違いない。
大日堂将軍塚ともう一つの展望台
ここの庭園も良かった。
紅葉が素晴らしく、京都に来てから初めて目にする美しい紅葉だった。
大日堂将軍塚の庭園
すっかり満足して再びトレイルへと戻る。
トレイルは、私達が先程までいた展望台の下に沿って続いていた。
展望台から景色を眺めている人たちは、その足元を人が歩いているとは思いもしないだろう。
山道を下っていくと、杉林の先に都会の街並みが見えてきた。
もう少しで杉林を抜けられる少し手前に尊勝院がある。
小さなお寺だけれど、御本尊は、「おみくじ」の祖として知られる元三大師像とのこと。
街が見えてきたけれど、すんなりとは出られなかった
寺を出て舗装道をそのまま下ると、最後の出口が扉で閉じられて鍵もかかっている。
あれ?と思って調べてみると、トレイルは尊勝院の境内を通り抜けるようになっていたのである。
そうしてようやく街まで下りてきて、最後に粟田神社へ寄り道する。
京への出入り口の一つである粟田口に鎮座し、街道を行き来する人々はここで旅の安全を祈願していたとのこと。
そんな由緒も知らないままに参拝し、手水鉢に浮かべられたアヒルの姿に喜んでカメラを向け、この日のトレイル歩きを終わらせることにした。
子供が喜びそうなアヒル手水
この日の行動時間は5時間10分、歩いた距離は12.1キロとなった。
既に12時を過ぎていて、この後食事する店を探すことになるのだが、周辺は観光客が行き交う場所でしかも土曜日。
食べログで調べてみたけれど、名の知れた店は何処も行列ができている。
そんな中で1店だけ、普通の喫茶店らしい外観の店を見つけて、そこに飛び込む。
それなりに美味しいうどんを食べて、昼食難民にならずに済んだのである。
この店のおかげで昼飯にありつけた
この日は地下鉄東西線の蹴上駅から電車で宿まで帰ったのだけれど、トレイルを歩く距離以外に、スタート・ゴール地点までの移動や食料品の買い出し等で歩く距離もプラスされるので、宿へ戻ってきた時には疲れ果てている。
それでも、泊まっている宿は市内の中心部で交通の便も良く、食料品を買うスーパーやコンビニも近いので、トレイル歩きには便利な場所で助けられた。