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京都一周トレイル一日目(2020/11/13)

伏見桃山~伏見稲荷

京都一周トレイルは、京都の東南、伏見桃山から、比叡山、大原、鞍馬を経て、高雄、嵐山、苔寺に至る全長約83.3キロのコースである。
京都市内の民泊施設に泊まってこのトレイルを歩くのが、今回の旅の一番の目的だった。
紅葉の進み具合に合わせて歩くコースを選択する方法もあったけれど、一周トレイル完歩を目指すのならば、やっぱりスタートからゴールまで続けて歩く方が、歩き終えた後の感動も大きいだろうと考えた。

参考にしたのは、事前に購入した公式ガイドマップと、京都府山岳連盟で作成したトレイル詳細案内をプリントアウトしたもの。
スタートは伏見桃山からとする。

京都一周トレイル公式ガイドマップ
京都一周トレイル公式ガイドマップ


錦堀川町の宿を午前8時に出発。
開店準備で忙しそうな錦市場を通り抜け、突き当りの錦天満宮に参拝し、京阪電車で伏見桃山駅に降り立った。
午前8時50分に歩き始める。

錦市場
錦市場を歩いてウォーミングアップ


トレイルを歩くことも目的だけれど、その途中にある寺社に寄り道するのも楽しみの一つだ。
駅を出て直ぐに御香宮神社に立ち寄る。
京都伏見は、古来、名水が湧き出る地でもあり、神社境内には日本の名水百選にもなっている「御香水」が湧出している。
この水をサーモスのボトルに入れて先へ進む。

御香宮神社
御香宮神社で御香水をくむ


次に立ち寄ったのは乃木神社。
日露戦争当時の将軍である乃木希典ご夫妻を御祭神とする神社である。
私の乃木希典に対する印象は「無策のままに多くの将兵を無駄死にさせた将軍」であり、本殿の前で手を合わせるのにも何となく躊躇いがあった。
実在の人物を御祭神とする神社はあまり好きではない。

乃木神社
いかついイメージの乃木神社の中でこの飾りだけが可愛かった


乃木神社を出て緑濃い森の中を歩いていく。
この森の中には明治天皇陵や桓武天皇陵などがある。
明治天皇陵は眺めが良く正面参道の石段も見応えがあるとのことだが、往復で1キロも余計に歩くことになるのでパスすることにした。

明治天皇陵
明治天皇陵へと続く道


公式ガイドマップにはルート上に番号が振られていて、それに対応する標識が現地に建てられている。
今まで歩いていてその存在に気が付かなかったけれど、5番目の標識でやっとその存在に気が付いた。
以降、その標識を頼りに歩くこととなるが、たまにそれを見落として道に迷いそうになることも度々だった。

伏見桃山城の天守閣が見えてきた。
何も知らずにその姿を見れば感動するところだけれど、この天守閣はここに開園した遊園地の展望台として作られたもので、遊園地の閉園とともに取り壊される予定だったのが、市民の要望で残されたとの裏話を事前に知っていたので、感動もせずに写真だけ撮って通り過ぎる。

伏見桃山城天守閣
遊園地の展望台だと思うと感動できない




途中の公園で鉄棒練習?


トレイルは住宅街を抜けて荒れた竹林の中へと入っていく。
そこから暫く登っていくと大岩山展望台がある。

竹林
荒れた竹林


京都の市街地を取り囲む山の中にトレイルがあるので、ルート上には京都市内を見下ろせるビューポイントが何箇所もある。
せっかくの展望だけれど土地勘が全くないものだから、どの辺りが見えているのかさっぱり分からないのが残念だ。
京都山岳連盟が作成したトレイル案内によると、市街地を挟んで向かい側に見えている山はトレイルコース終盤の西山連峰らしい。
これから何日間かをかけてそこまで歩くと考えると気が遠くなってくる。

大岩山展望台
大岩山展望台からの眺め


展望台から山道を下っていくと大岩山神社がある。
その神社は、朽ち果てて倒れた鳥居や台の上から落下した狛犬がそのまま放置され、すっかり荒れ果てていた。
昔は賑わっていたらしいが、最近は信者も激減して、神社庁に廃神社届が出されたとのことである。
歴史のある神社でも、信者が減ればこうなってしまうのだという現実を思い知らされる。

大岩山神社
荒れ果てた大岩山神社


そこから更に下ると岩滝社がある。
行場としても使われていそうな一筋の水が流れ落ちる滝も有り、パワースポット的な雰囲気のある場所だ。
そこにある鳥居のデザインが奇抜なものだった。
日本画家の堂本印象氏(1891-1975)が奉納したものらしい。

大岩山神社岩滝社
大岩山神社の岩滝社はパワースポットだ


その先には濁った水を湛える白竜池があり、この池も京都の有名なパワースポットの一つとなっているようだ。
そんな場所に幼稚園児の集団が下から登ってきて驚かされた。

白竜池
パワースポットを歩く幼稚園児




トレイルは再び住宅地へと出てきた。
山の中を歩くのも楽しいけれど、こんな住宅地を歩いていると京都市民の生活を身近に感じられるのも楽しいものだ。

京都一周トレイルの風景
柿のなる風景も新鮮


名神高速道路の下を通り抜け住宅地を過ぎると、道沿いに小さな畑が広がっていた。
そこで作られている作物にも気を取られる。

京都一周トレイルの風景
のどかな風景を楽しみながら歩く


深草トレイルの大きな看板が立っていた。
京都伏見の深草地域に整備された遊歩道で、京都一周トレイルはその深草トレイルと大部分で重なっている。

再び竹林の中へと入ってきた。
最初に見た荒れた竹林とは大違いで、こちらは筍を採るために畑のように管理された竹林である。
その違いが興味深かった。

竹林
筍を採るための竹林なのだろう


今日は伏見稲荷大社まで歩くつもりでいた。
そのルートから少し逸れるけれど、コース上で「白菊の滝」の看板を何度も見ていたので、そこまで足を伸ばしてみる。
滝とは言っても、樋を通して水が流れ落ちる行場のような場所だった。

直ぐ近くには七面の滝と書かれた小さな看板があったので、そちらも見てみる。
薄暗い谷の中で流れ落ちている七面の滝の方がパワースポット的な雰囲気を強く感じた。

七面の滝
七面の滝、行場になっているのだろう


白菊の滝から更に山道を登っていくと稲荷山の山頂へと出る。
稲荷大社の御神体ともなる山であり、こちらの方は明日歩くこととして、元のトレイルへと戻った。

猫
人懐こい猫が見送ってくれた


稲荷山の山裾に沿って歩いていくと青木の滝、弘法の滝と、滝行場が続く。

竹林の中を抜けると、伏見稲荷大社の千本鳥居が連なる道へと出てきた。
そこはもう大勢の観光客が行き来する別世界である。
千本鳥居は過去に2度歩いているので、特に興味もなく、観光客を避けるように大急ぎで通り抜けた。

伏見稲荷大社千本鳥居
千本鳥居を急いで通り抜ける


既に12時半を過ぎていて、何処かで食事できる店を探さなくてはと考えていたところ、境内で茶屋を見つけた。
紅葉の庭を眺めながらそこで蕎麦を食べる。

伏見稲荷大社 稲荷茶寮
境内の茶屋で昼食


今日はトレイル初日でもあり、無理をしないでここで切り上げることにして、午後1時過ぎには伏見稲荷駅から市内へと戻った。
この日の行動時間は約4時間、歩いた距離は12.2キロ。
余力も残っていたので、祇園四条駅を降りた後、鴨川をそぞろ歩いて、錦市場で買い物をして宿へと戻った。


トレイル二日目へ 
 

鴨川
鴨川で一休み


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