北海道キャンプ場見聞録 夏山歩きの部屋
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屋久島縦走(2016/05/14)

二日目(白谷小屋〜新高塚小屋)


朝3時に目覚ましをかけて、ソロの男性が早々に出発した。
彼はこの日淀川小屋まで行くと言っていたので、暗いうちから歩き始めなければならないのだ。
コースタイムでは約13時間、信じられない健脚である。

白谷小屋を出発顔を洗いに外に出ると霧雨が降っていた。
最後に聞いた天気予報では、今日は曇り時々晴れのはずだったのに、山の上の天気、特に屋久島の場合は天気予報なんて殆ど当てにならないようだ。

朝のコーヒーを入れ、朝食を済ませ、朝の6時半には山小屋を出る。
この日の目的地は新高塚小屋。4人組パーティーも同じ小屋を目指すと聞いていたが、まだ出発していないようだ。

朝の6時半でも、下から登ってきた登山者が休憩のために次々と白谷小屋までやって来ていた。
さすがに週末の土曜日である。
多くの観光客は、金曜日に屋久島入りして土曜日に縄文杉を目指すといったパターンなのだろう。

苔むす森有名な苔むす森はサッサと通り過ぎる。
この程度の苔むした森の風景は、これから先でいくらでも見ることができる。

その先から急登が続く。
霧雨が降っていたので雨具を着込んで山小屋を出たのだが、暑くてたまらずに雨具を脱ぐことにした。
少々の霧雨ならば体温で直ぐに蒸発してしまうけれど、雨具を着ているとそれ以上に汗で濡れてしまうのだ。

辻峠まで登ってきた。
ここから脇道に逸れると、太鼓岩と呼ばれる最高のロケーションの場所がある。
4年前の時は雨が降っていたので、諦めて素通りしていた。
今回は雨こそ降っていないものの、霧がかかって展望は望めそうにない。
途中まで登ってみたが、ここで余計な体力は使いたくないので、今回も太鼓岩はパスすることにした。

途中から雨が本格的に降り始めたので、汗で濡れるのは我慢して雨具を着込むことにする。


辻峠から下っていく 辻の岩屋
辻峠を越えると下りになる 辻の岩屋を過ぎる頃から雨が強くなる

トロッコ軌道を歩く8時半に縄文杉へのメインルートであるトロッコ軌道へと合流した。
雨に降られながら歩くトロッコ軌道は、4年前と全く同じシチュエーションである。

その時と違うのは、今回は防水の一眼レフカメラを持ってきていることだった。
前回は大型の一眼レフを持ってきていたが、雨で濡れないようにカバーを掛けて持ち歩いていたので、写真は殆ど撮れずに終わってしまった。
防水一眼レフだと、ザックのショルダーベルトに取り付けた状態で持ち歩き、良い風景があれば直ぐに撮影できるのである。

重たいザックを背負ってノロノロと歩いていると、軽装の団体ツアーに次々と追い越される。
縄文杉まで日帰りするとなると、のんびりと歩いてもいられないのだろう。

途中のトイレには長蛇の列。
携帯トイレが推奨されているが、実際に日帰り客で携帯トイレを持ってきている人なんて殆どいないのだろう。

何となく見覚えのあるガイドさんから挨拶された。昨日、渡渉中に転んだ時、助けてくれたガイドさんだ。
昨日とは別の客を連れて歩いている。商売繁盛の様子である。


団体ツアーに追い越される トイレには長蛇の列
団体ツアー客に追い越される トイレの前は長蛇の列

トロッコ道が終わり、いよいよ大株歩道へと入っていく。
相変わらず、後ろから追い付いてくる人に何度も道を譲る。

ウィルソン株までやって来た。
切り株の中から空を見上げるとハートの形に見えるのでウィルソンハートと呼ばれている。
ウィルソン株の前の大賑わい前回は土砂降りに近い雨の中で、ハートの形を確認する余裕も無かったので、今回は何とか写真に収めたいところだ。

人が少なくなったところで、ウィルソン株の中に入ってみる。
そこでは団体ツアー客が、ガイドの指示で順番にウィルソンハートの写真を撮っているところだった。
ハートの形に見えるのは、本当に限られた場所から見上げなければならないようだ。

そのガイドが、何も知らずに株の中を見て歩いていた外人の男女に向かって「邪魔!邪魔!そこ退けて!」と暴言を吐いたのには驚いてしまった。
その後に取って付けたように小声で「すいません」とは言ったけれど、酷いガイドもいたもんである。
ガイドの質もピンキリなのだろうけど、ツアーに参加する時はガイドがどんな人間なのか、事前によく調べてから決めた方が良いだろう。

自分の客に一通り写真を撮らせた後、私に向かって「ほら、ここから撮りなさい」と言ってきた。
本当に嫌な奴だと思いながら、言われた場所から見上げると、なるほど空がハート型に見えていた。


ウィルソンハート
かなり微妙なハートだと思うが

大株歩道を登るその先から更に登りがきつくなる。
降りてくるグループとのすれ違いも増えてくる。
ガイドの付いた団体の場合、大体はガイドの指示で避けて待っていてくれる。
それはありがたいのだけれど、上で待たれていると疲れていても無理して登らなければならない。

そんな私達の様子を見ながら、ガイドが「この様に大きな荷物を背負っているのは縦走する人達です。大変そうに見えますが、この先で山小屋に泊まるので、私達より楽かもしれません。」などとツアー客に説明していた。

動物園の猿になった気分である。
まあ確かに、縄文杉を見た後にまたこの同じ道を引き返さなければならない彼らが気の毒に思えてしまう。

初老に近いおばちゃん達の団体が休んでいた。
ガイドが「大丈夫ですか?まだ歩けますか?」と声をかけると、「もう歩けるわけないでしょ!」、「何言ってるの!貴女が一番元気でしょ!」、「それもそうね、ギャハハハハ!」。

幻想的な風景が次から次に現れるおばちゃん団体はこの先の高塚小屋に一泊するみたいだが、このおばちゃん達の面倒を見なければならないガイドの方が気の毒に思えてしょうがなかった。

登りはきついけれど、素晴らしい風景が次々に広がる。
森を包み込む霧が、その風景を更に神秘的なものに変えている。

所々にある広めのテラスでは、沢山の団体がそれぞれ弁当を食べているところだった。
準備の良いガイドは、タープを張ってツアー客が雨に当たらないようにしていた。


天をつく巨杉
頭上にも素晴らしい風景が広がる

そんな様子を横目で見ながら、縄文杉までやって来ると、そこでも団体ツアーが撮影の順番待ちをしていた。
そこもサッサと通り過ぎて、空いている場所から縄文杉の写真を数枚撮って、先を急ぐ。
4年前はこの先の高塚小屋に泊まり、翌早朝に誰にも邪魔されずに縄文杉との対面を楽しむことができたので、今日のこの状況ではここで時間を割く気にはなれなかった。


縄文杉
霧に霞む縄文杉

新しくなった高塚小屋それにしても、週末とは言っても結構な人出である。
それがゴールデンウィークには、1日で700人以上が縄文杉を訪れていたらしい。

その時にガイドをした人が「GWのことは思い出したくもない」と言っていた程なので、余程悲惨な状況だったのだろう。
屋久島=縄文杉、そんな考えを無くした方が、もっと屋久島を楽しめるのは確かだと思う。

高塚小屋は最近新しく立て替えられ、3階建ての小綺麗な建物に変わっていた。
そこに泊まってみたい気もしたが、今日は多分大混雑になりそうである。
あの賑やかなおばちゃんグループもやって来るのだから、やっぱり予定通り、この先の新高塚小屋を目指した方が良さそうだ。

急な階段を登る既に午後1時近くになっていたので、ここで昼食を食べようとしたが、汗で濡れた身体が冷えてくるので、昼食抜きで新高塚小屋まで歩くことにした。

高塚小屋の先から始まる登りも結構きつい。
所々に階段が整備されているけれど、階段よりもその横を登った方が楽な場所まである。
そんな階段を勝手に「意地悪階段」と名付けた。

雨は相変わらず降ったり止んだりを繰り返している。
急な登りが終わると尾根の上に続く道となる。

ハイノキが真っ白な花を咲かせ、ヤクシマシャクナゲも所々で花を咲かせ始めていた。
辺りを覆う霧がそんな花達を更に美しく見せている。
私の好きな道である。


美しい風景
ハイノキの花と巨木

新高塚小屋に到着14時45分、新高塚小屋に到着した。
そこには既に沢山の登山客が入っていたのでビックリする。
縄文杉側から登ってきたのは多分私達だけだと思うので、その人達は多分反対側から縦走してきたのだろう。
小屋に入って直ぐの蚕棚式スペースの2階部分が空いていたので、そこにスペースを確保する。

その後も次々に登山者がやって来る。
白谷小屋で一緒だった4人グループも到着して、何とか場所は確保できたようだ。
ほぼスペースも埋まって、これで今日は終わりかなと思っていた頃、突然「こんにちは!」と大きな声を張り上げて一人の男性が入ってきた。
6、7人の客を連れたツアーガイドである。

ほぼ満員に近い室内を見ても全く気にせず、自分の客に向かって「ここは250人まで泊まれる山小屋ですから、お互いに詰めてもらえば楽に入れます」と説明していた。
ここの宿泊定員は40人だったはずである。

自分達のスペースで寛ぐ 「女性はこことここ、男性はここに入って下さい」と勝手に割り当てていく。
私達がいる場所も、寝るだけなら後2人分のスペースはありそうだったが、その割り当ての中には入れられなくてホッとした。

ツアー客の中の一人の女性が、私達の下のスペースに場所を割り当てられたようだ。
そして「あら、すいません。もう誰かがマットを敷いてくれているわ」とお上品な口調でしゃべっていた。
直ぐにそれは、他の人が敷いたものだと正されたようだが、その後に「お布団は何処にあるのかしら?」と言い始めた。

えっ?えっ!
ツアーガイドからどんな説明を受けているのだろう?
一応はシュラフだけは持ってきているみたいだ。

夕食の準備を始めたガイド究極の勘違いおばさんか、と思ったが、意外とそうでもなさそうだった。
下の人との会話を聞いていると、何処かの山小屋では敷き布団1枚に2人で寝かされたこともあったらしい。
そんな話しをあくまでもお上品な口調で、楽しかった思い出として語っているのである。

勘違いしていることに変わりは無いが、きっと普段とは違う山の生活が面白くてしょうがないのだろう。
それを苦痛とは感じていないのは、私達よりも山を楽しんでいると言えるのかもしれない。

その間にもガイドの男性は外で食事の準備をしていた。
横を通る人達に向かって「山でラザニアを作る人なんていないですよね〜」と得意げに話しかけている。
まあ確かに、それだけの荷物を背負って来るのだから、ガイドも大変だと同情はしてしまう。

しかし、そのガイドさん、何と食器を忘れてきたようである。
本当にガイドなの?と疑ってしまう。

テン場も埋まっていくそこで先程のお上品な女性が、他のツアー客に小声で「お昼のお弁当の容器を持ってきて下さいって」と伝え、ゴミ袋の中から空の容器を取り出していたのである。
私はこの女性のファンになってしまいそうだった。

その後からも登山客が次々とやって来たが、さすがにこの時間に来る人達は皆、テントを用意していて、小屋の周りの板のテラスにそれぞれテントを設営してた。

そんな混雑した山小屋も午後8時を過ぎると静かになった。
私にとって初めての体験とも言える混雑した山小屋での宿泊。
何だかとても新鮮に感じた。

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屋久島縦走2日目のアルバム 


白谷小屋6:30 - トロッコ軌道8:30 - 大株歩道入口10:00 - 13:00高塚小屋13:15 - 新高塚小屋14:40 (縦走記録グラフ



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