北海道キャンプ場見聞録 夏山歩きの部屋
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小辺路縦走(2016/04/17)

三日目(三浦峠〜観音堂)


マイケルと記念撮影三日目の朝を迎えた。
昨日の夕暮れに続いてい、今朝も三浦峠からは素晴らしい風景を楽しめた。
一足早く朝日を浴びる伯母子岳、雲海に沈む五百瀬の集落。
暴風雨の中で迎えた昨日の朝とは大違いである。

何時も通りにフリーズドライの簡素な朝食を済ませ、テントを撤収。
その頃には朝霧も晴れ、五百瀬の集落も望めるようになっていた。

出発の準備が整ったので、マイケルに挨拶して先に出発した。
時間は7時40分。
今日も19キロ程歩く事になるが、大きな峠越えは無いので楽に歩けそうだ。


三浦峠からの朝の風景
三浦峠からの朝の風景も最高だった!

マイケルと二晩一緒に過ごしたおかげで、頭の中が英語変換モードに変わってしまっていた。
美しい風景を見ると「オウ、グッドロケーション!」と大げさな身振りで感動する。
かみさんに「ちょっと待って」と声をかける時も、「ストップ、プリーズ!」ってな具合だ。
ちょっと遅すぎるかもしれないが、英会話をもっと真剣に習ってみたくなった。

ツツジも花を咲かせている三浦峠を出ると西中まで標高差800mの下りが続く。
天気も良く、杉林ではない明るい森の中を歩いていくのは気持ちが良い。
古矢倉跡、出店跡と、ガイドマップに載っているポイントを順調に通り過ぎていく。
その様な場所には地蔵菩薩や石垣が残っていたりして、人が暮らしていた痕跡を確認できる。
説明板を読むと、こんな山の上に水田も作られていたらしく、驚いてしまう。

途中の開けた場所からは、谷を挟んだ向かいの急峻な山肌に小さく家が張り付いているのが見える。
それが今西集落らしい。

何であんなところに人が住んでいるのだろう。
明治に入ってから本格的に開拓が進められた北海道は、畑を作りやすい場所から人が住むようになってきた。
それでもたまに「こんな山奥まで良く開拓したものだ」と驚くような場所も存在するが、それでもここと比べたらずーっと暮らしやすい土地に思える。

何故ここに住まなければならなかったのか?
今回の旅では、そんな疑問がずーっと私の頭の中について回っていた。


今西集落
急峻な山肌に家が張り付く今西集落

沢水を飲ませてもらう古い空き家の前を通り過ぎると舗装道路へと出てきた。
つづら折りのその道路を下っていく。
その辺りの家は山から流れ出る水を生活用水として使っているようだ。

沢の所々に取水施設が作られている。
歩いていても、豊富な水が山から流れ出ている事が良く分かった。

ようやく県道425号まで出てきた。
コースタイム2時間10分のところを2時間20分程で下りてきたので、まずまずのペースである。
そこでオーストラリアから来たという若い女性と出会う。
彼女は那智大社からスタートしてここまで歩いてきたとのこと。
タンクトップ姿で若い女性がこんな山奥を一人旅出来るのだから、日本は平和な国なんだと、変なところで感心してしまう。
ニュージーランから来ている人が私達の後から歩いてきていることを告げて彼女と別れる。


山間の車道を下る 県道が見えてきた
山間の車道を下っていく 西川にそって通る県道が見えた

小辺路を歩いていて人に出会ったのは外人二人と日本人一人だけ。
北海道から来た私がここの風景に驚く以上に、オーストラリアとニュージーランドから来た二人には感動的な風景に写るのだろう。

バスの時間に間に合ってしまった西中から十津川温泉までは8キロ近い車道歩きとなる。
人によっては西中からバスに乗って十津川温泉まで移動するようだが、西中大谷橋バス停の出発時間は10時7分。
それに乗るのは無理だと思っていたので、十津川温泉まで歩くつもりでいた。
しかし、私達がやって来た時、バスはまだバス停に停まっていたのである。
運転手さんに道を尋ねた後、「頑張って歩きます」と告げて再び歩き始める。

その先で小辺路入口の看板を見つけた。
私達は車道をそのまま下りてきたが、それ以外の山道もあったようだ。
途中の標識を見落としていたようである。

県道の横を流れる西川は美しい川だった。
カヌーで下ると気持ち良さそうである。


西川
西川はカヌーで下りたくなるような川だ

バス停で一休み県道を歩いて行くと所々に集落が現れる。
地元の人々の生活が身近に感じられ、山道を歩くのとは別の楽しみがある。

神社に寄り道したり、バス停のベンチで一休みしたり。
バスに乗って通りすぎるには勿体ない区間である。

でもこれは、北海道から来た私の感覚で、地元の人には何の面白さもない風景なのかもしれない。

相変わらず、急な山の斜面に建てられている家には驚かされる。
一応は県道沿いなので、それなりに交通の便なども良いのだろうが、何を生活の糧にしているのか不思議でしょうがない。

可愛いショーウィンドウ途中でマイケルに追い抜かれる。
さすがにその若さには敵わない。
西川の水がいつの間にか濁ってきていた。

この西川には平成23年の大雨の影響は見られなかったが、十津川温泉に近づくにしたがって、河川敷で大工事が行われていたりして、やっぱり被害はあったようだ。

小辺路縦走の計画を立てている時、この辺りでの川原キャンプの可能性も探ってみた。
しかし、大雨の影響を受けた川の様子を見ると、河原キャンプは到底無理な計画だったようだ。


車道歩きも楽しい
地元の人達の生活様子を感じながら歩くのも楽しい

昴の郷に到着十津川温泉昴の郷に到着。
時間は12時を過ぎていた。

今日の宿泊地予定は、ここからまた山道を2時間ほど登った先にある観音堂。
昴の里で久しぶりに汗を流そうとも考えていたが、ここで温泉に入るとその後再び歩く気にはなれないだろう。
おまけに雲行きも怪しくなってきていたので温泉は諦めることにした。

それでも、昴の郷のレストランで久しぶりにまともな食事をとる。
ただ、小綺麗なレストランに入ると、自分達の身体から立ちのぼる臭いが気になってしまう。

レストランを出ると、外にいたマイケルの姿がいつの間にか見えなくなっていた。
彼は十津川温泉で温泉に入るのを楽しみにしていた様子だったので、多分今日は何処かの宿に泊まるのだろう。
ただ、体中に入れ墨をしているので、普通の温泉に入れてもらえるのかがちょっと心配だった。

恐怖の吊り橋雨がポツポツと落ちてきていたので、雨具を着込んで歩き始める。
その先で吊り橋を渡るのだが、これがなかなかスリリングだった。
落下防止の手段は心許なく、おまけに横揺れも大きい。
重たいザックを背負っているので、その横揺れが余計に怖く感じるのだ。
渡りきった時は心底ホッとした。

階段を登ると石畳の道が現れた。
如何にも古道らしくて良い雰囲気だ。
ただ急な登りに再び汗が噴き出し、たまらずに着ていた雨具を脱ぐことにする。

十津川温泉を眼下に眺められる場所まで登ってきた。
十津川の水は茶色く濁っていた。


古道らしい石畳の道 十津川温泉郷を見下ろす
古道らしい石畳の道だ 十津川温泉郷を見下ろしながら一休み

花が生けられた水場鹿避けの柵の扉を開けて中に入ると集落があった。
そこが天空の郷とも呼ばれる果無集落である。
水の張られた田んぼに雨粒の波紋が広がってきているのを見て再び雨具を着込む。

民家の前に花が生けられた水場があったので、そこで水を飲ませてもらう。
その民家の縁側は小辺路を歩く人が自由に休めるように開放されているようだ。
ここが観光ポスターにも写っている岩本のおばあちゃんの家らしい。

おばあちゃんは、急に降り出した雨で取り込んだ洗濯物を家の中で整理しているようで、話しを出来なかったのが残念だった。


果無集落
美しい天空の村だ

観音石仏に手を合わせる果無集落の最後には西国三十番観音石仏がひっそりと立っていた。
十津川村からこの先の八木尾まで西国三十三ヵ所観音霊場の石仏が並んでいるので、この先からはその一つ一つに手を合わせていく。

雨水だけを頼りに稲作が行われていたという天水田跡、山口茶屋跡の杉の防風林、次々に現れる観音石仏などを楽しみながらひたすら登っていく。

十津川温泉から観音堂までの標高差は約700m。
普通の日帰り登山でもこれだけの標高差を登るのは結構きつい。
今日は比較的楽だろうと考えていたが、やっぱり今日も最後は自分の限界を越えていた。

一歩一歩、気力だけで歩を進め、昴の郷からのコースタイム2時間のところを3時間かけて観音堂へ到着。
この観音堂には水場とトイレがあるとの事だったので野営地に選んだのである。
しかし、現地に着くまで「この山奥に本当に水場やトイレがあるのだろうか」と心配だった。

素晴らしい水場その心配も現地について吹き飛んでしまう。
トイレこそ入るのを躊躇うような仮設トイレだったが、水場の方は山から引いた水が常にホースから流れ出ている最高の水場だった。

早速そこでビールを冷やす。
歩き始める時は1泊1本として3本のビールをザックの中に入れてきたが、3泊目となる今日はザックの中身も少なくなり、野営用の水を担ぐ必要もなかったので、昴の郷でもう1本ビールを買い足してきたのである。

雨は相変わらずポツポツと降り続けていたので、観音堂の軒先を使わせてもらう。
丁重にお参りして、観音堂の内部にも少しだけ荷物を置かせてもらった。
ネットの情報ではそこに古い小屋も建っているとのことだったが、その小屋は完全に取り除かれたようで、その跡がちょうど良いテントスペースだった。

タオルを濡らして身体の汗をふき、一息付いたところでビールで乾杯。
こうして小辺路縦走最後の夜を無事に予定通り迎えることとなったのである。

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小辺路縦走三日目のアルバム 


観音堂前でテント泊
縦走最後の夜も、なかなか良いテン場で過ごせた

三浦峠7:40 - 出店跡8:20 - 矢倉観音堂9:15 - 西中大谷橋バス停10:05 - 12:15昴の郷13:15 - 果無集落14:15 - 観音堂16:10 (縦走記録グラフ



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