北海道キャンプ場見聞録 夏山歩きの部屋
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屋久島縦走1日目(2013/4/13)
花之江河登山道(ヤクスギランド〜石塚小屋)

こんな青空なのに


突然のように思い付いた屋久島行き。ツアーの予約をしたのは出発の12日前だった。
2年連続の屋久島なので、事前の下調べもほとんどしないまま。
縦走ルートは花之江河登山道から入って、石塚小屋、鹿之沢小屋に泊まって花山歩道を下りる2泊3日コース。
そこに予備日を1日入れ、ツアー指定のホテルに2泊し、計5泊6日の屋久島ツアーである。
希望した安いホテルが満室で、飛行機の時間も変更したことにより、若干料金が加算されて一人あたり86800円也。
格安海外ツアーと比べると高い気もするけれど、これで屋久島へ行けるのだから文句は無い。

5時半に予約したタクシーに乗ってヤクスギランドを目指す。
運転手さんの話によると、私達が今回歩く花山歩道と花之江河登山道は、屋久島の中でも1番と2番のお勧めコースだそうである。
ヤクスギランドで朝食その表現の仕方が、映画ランボーの様に顔に緑色の迷彩を塗った人間が突然現れてもおかしくは無い雰囲気なのだとか。
「屋久島の山では結構沢山の人が死んでいるから、山小屋で寝る時は注意した方が・・・」と脅かされ、前日から泊まっていたホテルで強烈な金縛りにあったばかりのかみさんは、本気で怯えていた。
屋久島でタクシーに乗ると色々な話が聞けて、とても面白い。

ヤクスギランドに着いて、宿で用意してもらった朝食弁当を食べる。
その間に寒さで体が震えてきた。
ホテルを出る時は感じなかったけれど、ここまで登ってくる間にかなり気温が下がったようである。
ヤクスギランドの標高は1000m近いので無理もない。

朝日を受ける天柱石朝食を終えて早々に歩き始めることにする。
時間は6時15分、2泊3日の屋久島縦走のスタートである。
空は晴れ渡り、駐車場から見える太忠岳の天柱石には既に朝日が当たっていた。
去年の縦走は、まだ辺りが薄暗い中、雨に降られながらのスタートだったのと比べると大違いだ。

ヤクスギランドの中は去年一度歩いているので、あまり寄り道をしないでサッサと通り過ぎる。
それでも吊り橋を渡って荒川の清冽な流れを見ると、ついついその川原まで降りてしまう。
川原と言っても、屋久島独特の巨大な石がゴロゴロと積み重なった川原である。
何時もながら、とても人間の手には負えない自然の力の凄まじさに、ただただ圧倒されるばかりである。


荒川の川原 宮之浦の街を歩く
その美しさに息を呑む荒川の風景 ヤクスギランドで巨木を楽しむ

巨木との出会いそうして50分程でヤクスギランドを通り過ぎ、いよいよ花之江河登山道へと足を踏み入れる。
それまでの整備された登山道が、木の根が複雑に絡み合う中、道無き道を進むようなワイルドな登山道へと変わる。
木々の枝に巻き付けられた目印の赤いテープがなければ、何処が登山道なのか直ぐに分からなくなってしまう。
歩いている時にそのリボンが見えなくなった時は、登山道から外れかかっている時である。
直ぐに立ち止まって、ゆっくりと辺りを見回すと、正しいルートを示す赤いテープが必ず見つかる。

登山道沿いに次々に現れるモミやスギの巨木達。
1本1本に悠久の時を経てきたそれぞれの歴史が感じられる。
屋久島の奥懐へと分け入ってきた気分である。


空を覆う巨木
頭上に枝を広げる巨木

白骨化したスギ小さなピークまで登ってくると、真っ青な空を背景にした白骨化したスギの姿がとても印象的だ。
台風などで樹皮がはぎ取られてこのような姿になるらしい。

花之江河登山道に入って2時間ほど歩いたところで、大和杉の看板を見つけた。
かみさんは、その看板の隣で大きな岩の上に根を張っている杉に対して一生懸命カメラを向けていた。
確かに大きな杉だけど、名前を付けられるような杉には見えない。
「あの〜、それって違うんじゃないの?」

その看板が指している方向に向かって少し下りていくと、木々の枝の間から見える先には、明らかに周りの樹木とは異質なものが忽然と聳え立っていた。

大和杉に抱かれて他の屋久杉もそうだけれど、名前の付けられた屋久杉は全て、その周囲に違う空間を作り出している気がする。
それだけ存在感が際立っているのだ。

大和杉は他の屋久杉のように柵に囲まれることもなく、直接その幹に触れることができる。
この登山道を訪れる人の少なさがそれを許してくれるのだろう。
でも、千年以上この地で生きてきた屋久杉にとって、鹿以外の生き物がその周りを歩き回るようになったのはここ数十年のことだろう。
この事が屋久杉にどれくらいのストレスを与えているのか、気になるところではある。

そんな事を思いながらも、夢中になって大和杉にカメラを向け続けた。


大和杉
圧倒的な存在感の大和杉

大和杉 大和杉
そそり立つ大和杉

美しい沢途中で美しい沢を渡る。
屋久島の縦走路では、雨で沢が増水した時には通れなくなる場所が幾つもある。
ここもそんな沢の一つだが、しばらく雨が降っていないので、穏やかで美しい表情しか見せていない。

朝のタクシーの運転手さんが言っていたけれど、屋久島の沢は増水しても雨が止めば直ぐに水が引いてくるのに、それを待てずに沢を渡って事故に遭ってしまう登山者が多いそうだ。

沢を渡って急な登山道を登ると、再び巨木が次々に現れる。
そんな風景を楽しみながら、次に目指すのは石の上の展望台だ。
今日はせっかくの良い天気なのに、樹木に遮られて周りの山々が全く見えない。
石塚小屋までのルート上、その展望台が唯一の周囲を見渡せる場所らしい。
当初の計画では、昼頃にその展望台に着くので、そこで昼食を食べることにしていた。


くぐり杉 巨木と戯れる
島ではよく見かけるくぐり杉 何がどうなっているのか分からないような巨木

この石の上が展望台だったとは次第に高度を上げていくと、大きな石の間を通り抜ける場所があった。
しかし地図で確認すると、展望台はそこではなさそうだ。
更に先に進むが展望台らしき場所はなかなか現れない。
時間はもう午後1時になろうとしていた。
これはもしかしたら、いつの間にか通り過ぎてしまったのかもしれない。

そう思い始めた頃、突然大きな岩の上に出てきた。
周りの山も見えているし、ここが展望台らしい。
期待していた程の風景ではないが、既に午後1時を過ぎていたのでそこで昼食にすることにした。

そこからは、頂上に大きな岩が鎮座した屋久島独特の山の風景が見えていた。
黒味岳や投石岳だろう。
日射しも暖かく、快適な昼食である。

ここが展望台? 黒味岳などが見える
展望台らしき場所で昼食 一応は黒味岳や投石岳も見えます

そうして石塚小屋を目指して再び歩き始めたところ、唐突に姿を現した石塚小屋に驚かされた。歩き始めてから2分も経っていなかった。
何のことはない。展望台だと思って昼食を食べていた場所は、石塚小屋の直ぐ裏だったのである。

ちょっと拍子抜けだったが、午後1時50分石塚小屋に到着である。時間も早くて、我が家が一番乗りだった。

石塚小屋内部屋久島の山小屋は薄暗いところが多いけれど、ここは窓が多いので中も明るい。
利用者が少ない山小屋だと聞いていたので、うらぶれたイメージを抱いていたが、なかなか小綺麗な山小屋である。

私達が荷物を広げ終わった頃、お父さんと中学生くらいの男の子の親子登山者がやって来た。
隣の種子島から来たとのこと。
私達と同じくヤクスギランドから登ってきたので展望台の事を聞いてみると、彼らは今回はその展望台からの風景を目的にして、この登山道を登ってきたのだと言う。
その場所はやっぱり、途中で通り抜けてきた大きな石の上がそうだったらしい。
ルート中の一番のポイントを見逃してしまったとは、悔やんでも悔やみきれない出来事だった。

後で詳しく調べてみると昭文社の山地図に乗っている展望台の場所は、実際の場所よりも一つ石塚小屋寄りのピークになっているようだ。
そのために、大石の間を通り抜けた時もGPSで確認して展望台はまだ先だと思い込んでしまったのである。

水場石塚小屋の水場は、花之江河方向に5分程歩いた場所にある。
巨大な石の下から水がチョロチョロと流れ出している。
種子島のお父さんの話によると、石割水と呼ばれていてとても美味しい水だそうである。

そこで顔を洗って水を汲み、小屋へ戻る途中の岩の上でひなたぼっこをする。
天気は良くても、気温が低く、風に吹かれると震えてしまいそうな寒さである。
日射しで暖められた岩の上に寝そべると、まるで岩盤浴をしているみたいに気持ちがよい。

小屋に戻ってビールで乾杯。
ザックの中に入れておいただけのビールがよく冷えているのには、素直に喜ぶ気にはなれなかった。


ひなたぼっこ ビールで乾杯
小屋へ戻る途中にひなたぼっこ 縦走1日目を祝って乾杯

小屋の中で夕食を終えて何もしないでいると体がどんどん冷えてきてしまう。
1本だけ持って来ていた白ワインを、きっっちりと半分だけ飲む。
それで少しだけ体が温まったが、こんな時は焼酎を持ってきて、それをお湯割で飲んだ方が良かったかもしれない。
シュラフに潜り込むとそのまま出られなくなり、まだ明るい6時半に就寝。

ところが夜中の9時半頃に山小屋に入ってきた人のおかげで、心地良い眠りを妨げられてしまった。
それでも、縦走初日の疲れのため、その後は翌朝までぐっすりと眠ることが出来た。

縦走1日目の写真 

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縦走断面図

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