北海道キャンプ場見聞録
屋久島縦走4日目(2012/4/14)
淀川小屋・淀川登山口・ヤクスギランド
命の森を歩く |
朝4時半、まだ真っ暗なうちからゴソゴソと物音が聞こえてきた。 今日は8時に淀川登山口まで迎えに来てもらえるようにタクシーを予約してあったので、それまでには何が何でも下山しなければならない。 3日間履き続けて、雨で濡れ、強烈な臭いを発している靴下などは、ゴミ袋に密閉してザックの中に押し込める。 まずは、昨日はまともに写真も写せなかった淀川の風景を楽しむ。 |
感動的に透明な水の流れる淀川 |
私たち以外誰もいなくなった小屋には、今度は今朝から登り始めた人達が到着し始める。 屋久島を縦走する場合、小屋と小屋の間隔が離れているため、余裕のある行程を組みづらいのが難点である。 昨日の天気が嘘のように、森の中には眩しいほどの朝の光が射し込む。 すれ違う人達が多くなってくる。 7時25分、4日ぶりにアスファルト舗装された道路へと出てきた。 そこから安房の街まで標高差約1400mを一気に下ることになるのだが、途中にある紀元杉の前で止まってもらって、駆け足で写真を写す。 |
紀元杉に圧倒される | 紀元杉を見上げる |
最初はこの区間の移動をどうするかでかなり頭を悩ませていた。 紀元杉から出るバスは始発が10時39分、次のヤクスギランドから安房へのバスは15時09分、この2本しか走っていないのだ。 ところがタクシーを予約しようとすると、淀川登山口からヤクスギランドまでの乗車なら、安房の街中までの料金5000円を払ってもらわないと迎えには行けないと言われてしまった。 でも風呂に入りながら良く考え直したら、今回の方法を思いついたのである。 ヤクスギランドに到着して、まずは腹ごしらえ。 休憩所の2階のテラスからは太忠岳の天柱岩が良く見える。 ヤクスギランドの中には歩きやすい散策路が整備されていた。 ヤクスギランドの中は、外の喧騒が嘘のように静けさに包まれ、荒川からの水音と野鳥のさえずりが聞こえてくるだけである。 今回の屋久島縦走は1日ごとに雨と晴れを繰り返している。 その運転手さんの話で面白かったのは、屋久島町がまだ上屋久町と屋久町の二つに分かれていた頃の話。 運転手さんが言うには、もののけ姫の舞台となったのはあくまでも屋久島全体であり、見どころだってヤクスギランドの方が沢山あるとのこと。 ただ、もののけ姫のことは知らなくても、「白谷雲水峡」と「ヤクスギランド」の名前だけで比較すれば、自然を求めて屋久島にやってくる人ならば前者の方に興味を持つのは当然の様な気がする。 ヤクスギランドの外周をぐるりと回る150分コースは、途中から整備された木道を離れ、昨日まで歩いていたような山道へと入っていく。 昨日までの雨でたっぷりと水を含んだ森は、とても生き生きして見える。 |
みずみずしい苔 | 苔に興味を惹かれる |
倒木更新や切り株更新の姿がそこらじゅうに見られる。 明治から昭和にかけて生きた植物学者である南方熊楠は熊野古道に所縁が深く、その彼が奇しくも「すべての命はつながっている」との考を持っていたと聞く。 太忠岳へ続く登山道の分岐までやってくる。 相変わらず美しい森が続く。 |
美しい森を歩く |
元のコースに戻って、仏陀杉まで下ってきた。 その後、30分コースまで戻ってきて整備された木道を歩いていると、森の中にフェンスで囲まれた一角があった。 フェンスの外は裸地なのに、その内側ではシダ類が茂っていた。 約3時間半程でヤクスギランドを歩き終え、その後はレンタカーで安房の街まで下りる。 近くの茶屋で軽く腹ごしらえしてから、レンタカーで尾之間までドライブする。 途中で猿川のガジュマルに立ち寄る。 その後はかみさんの行きたがっていた空港近くの店へ向かう。 |
観光バスが次々とやってくる千尋滝 | 気分は南国 |
雑貨屋のル・ガジュマルとアウトドア関連の会社である屋久島メッセンジャーの直営店で買い物。 そしてようやく今日の宿である屋久島山荘にチェックイン。 まずは風呂へ一目散。4日分の汚れを落とす。 部屋の窓を開けると、穏やかな流れの安房川と屋久島の前山の風景が飛び込んできた。 翌日は9時30分初の飛行機に乗り、5時間後にはもう北海道の地に立っていた。 |